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【台風・集中豪雨・土砂崩れ】火災保険の水災(水害保険)の補償と必要性

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火災保険の水災(水害)の補償は、台風・集中豪雨・洪水等の浸水による損害をカバーします。水災補償には細かい支払条件がついています。

■この記事で学べること

【1】水災(水害保険)の補償内容

【2】水災の保険金はいくら、どのように支払われる?

【3】水災補償の付帯率と必要性

【4】共済(県民共済・こくみん共済coop・JA共済)の水災補償

【5】水害で被災したときにやっておきたいこと

水災(水害保険)について、火災保険(建物、家財)と自動車保険にわけてファイナンシャルプランナーが解説します。

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この記事のもくじ

火災保険の水災(水害保険)の補償内容とは?

火災保険の水災(水害保険)の補償内容とは?

火災保険の水災補償とは?

はじめに火災保険の水災の補償について確認しましょう。

水災補償(水害保険)とは火災保険の補償の一つです。水害保険や洪水保険などという保険があるわけではありません。

水害のみを補償した保険というのはありません。あくまで火災保険の補償の一つと考えてください。

火災保険では、「水災」という言葉を使います。火災保険のパンフレットなどをみても水害保険・洪水保険などという言葉は一切でてきませんので注意してください。

火災保険の水災はどんな損害が対象?

火災保険の水災とは、一般的に「台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等」が原因の損害が対象になります。

台風や豪雨くらいはイメージできるでしょうが、水災には融雪洪水や土砂崩れ、落石なども水災の補償の範囲に入っています。

自宅の近くに海も川もないから水が上がってくることはないと思っても、山や崖があったら土砂崩れの可能性があります。

ちなみに給水管などからの水漏れは水災ではなく別の補償で支払います。また雨漏りは水災はもちろん火災保険の支払の対象外です。

他にも津波も対象外で地震保険から支払われますから、別途地震保険の加入が必要です。

これらは水に関する損害ですが、水災補償とは別です。

他にも下水が溢れる都市型の水災もあるので、都市部の居住であってもリスクチェックを怠ってはいけません。

火災保険の水災の保険金はいくら、どう支払われる?

実は火災保険の補償の中でも水災は、保険金の支払い基準が他の補償と比べると複雑です。

住宅であれば保険金の支払い対象となる目的は、家(建物)や家財です。以下、具体的にみていきましょう。

水災の補償はどんな基準で支払いいくらもらえるのか?

保険会社によって多少異なることがありますが、一般的には水災の支払いには次の要件があります。

  • 床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水
  • 再調達価額等の30%以上の損害が生じた場合

つまり床上浸水ではなく、床下浸水では対象にならないということです。こうしたところが水災(水害保険)の保険金の支払いについて分かりにくくなっている原因です。

損害保険会社によって多少異なることもある点は考慮してください。

水災の定率払い・実損払いと水災補償のおすすめ

水災の保険金は、支払い基準だけでなく、支払い方法にも種類があります。

昔の火災保険は下記の①の定率払いか水災の補償はありません。

現在の火災保険は②の実損払いが中心になっています(①のケースもあります)。

①定率払いの例

  • 損害額が新価額の30%以上      実際の損害額
  • 損害額が新価額の15%以上30%未満  保険金額×10%
  • 損害額が新価額の15%未満       保険金額×5%

②実損払い

  • 実際の損害額(自己負担がついている場合はそれを差し引く)

このように定率払いと実損払いでは保険金の支払い方法は全く違います。

実損払いの方がいいのは分かるでしょうが、こちらの方が後からでてきています。

住宅総合保険などの古い保険タイプの火災保険は定率払いと考えてください(住宅火災保険は水災補償なし)。

何十年も前に加入した火災保険だとこのタイプの可能性があります。

損保各社の最近の個別の火災保険でも定率払いを採用しているところはあります。

現在各社が主力で発売している火災保険は実損払いが中心です。

損害額に対して契約金額を上限に、免責金額(自己負担)が設定されていればそれを差し引いて支払うというものです。

水災のリスクが物件の立地や建物の構造上、高いと判断する状況なら、掛け金の負担はアップしても実損払いの火災保険を検討してみるといいでしょう

以前は定率払いが中心でしたので、自由化前の住宅総合保険などで20~35年位の長期契約をしているなら定率払いです。

既契約がある人はよく確認してください。この火災保険の場合、最高でも損害額の×70%などが上限になっています。

また住宅火災保険という商品もかつてありましたが、これに水災補償はありません。

なお、保険会社によっては、定率払いをもう少し細分化しているケースもあります。

実損払いにしておけば、保険金の支払い基準は分かりやすくなります。

但し、実損払いでは保険料はその分保険料(掛金)が高くなること、いずれにしても地盤面から45cmなどの支払い基準が前提にあることを覚えておいてください。

水災リスクの高い人は、定率払いでなく実際の損害が補償されるタイプにするのが火災保険の水災補償のおすすめです。

水災補償の地盤面から45㎝の地盤面とはどこのこと?

火災保険の水災(水害保険)の地盤面から45cmの地盤面とはどこのこと?

地盤面から45cmと聞くと、そもそも地盤面とは一体どこから45cmなのかということに疑問を持つ人もいるでしょう。

勘違いしている人も多いのですが、「地盤面」イコール「地面」ではありません。

通常は建物の基礎が乗っているところが地盤面です(地面より少し上)。

また実際に水害の被害を受けたところが建物の1階部分とは限りません。地下にある建物設備などが浸水により被害がでることもあるからです。

実際には地下ならその地下の地盤面から45cmになります。

個別の物件ごとに建築の仕方や構造などが違うので、すべてに当てはまるわけではありませんが、基本的にこのような考え方をするので知っておきましょう。

火災保険に水災(水害保険)を契約後に後から追加できるか?

火災保険に水災(水害保険)を契約後に後から追加できるか?

土砂崩れまで対象だと思わずに水災補償をつけていなかった、保険料を安くするために水災を外していたが、など後から付帯する場合の手続きについて確認しておきましょう。

損保の火災保険の補償設計には2つのパターンがあります。

  • 補償内容が異なるプランを自分で選ぶ
  • 基本補償をベースにその他必要な補償を自分で設計

これを踏まえて後から火災保険に水災を追加する具体的な方法を考えてみましょう。

中途解約

火災保険は保険会社によって設計方法が異なります。

補償が異なるプランから選ぶタイプだと、途中で付帯するというというわけにはいかないので解約して、再度契約することになります。

補償の中途付加(追加)

補償を選ぶようなネットの火災保険の場合には、保険期間の途中で補償を中途付加できるケースもあります。

実際には現在の火災保険は補償の異なるプランを選択する損保が多いので、中途付加できるケースは比較的少ないのが現状です。

ネット火災保険で補償を選ぶタイプは、セゾン自動車火災、SBI損害保険、JI傷害火災保険、ソニー損保、楽天損保、チューリッヒです。

*必ず詳細を各社に確認してください

火災保険に加入するときによく確認してください。補償を中途付加する場合の規定も各社それぞれです。

中途解約する注意点としては、長期契約している場合(10年以上)、今の火災保険は10年までの契約しかできません。

30年契約していた人も10年が最長です。

当然30年契約だと長期の分だけ掛金はずっと安くなります。解約する場合にはこの点も考慮してください。

住宅火災保険、住宅総合保険では水災の補償は追加できない

火災保険の旧タイプの各社の共通商品に住宅火災保険と住宅総合保険があります(住宅物件の場合)。

すでに損保各社は販売をしていませんが、火災保険は長期契約があるので既存の契約は存在します。それぞれ水災の補償の扱いは次のとおりです。

  • 住宅火災保険:水災補償なし
  • 住宅総合保険:水災補償あり

旧タイプの火災保険は補償を選んだり、カスタマイズできないので後から補償を追加することはできません。

住宅総合保険では補償はありますが、30%以上・床上浸水・地盤面から45㎝という条件は解説したようについていますし、支払い方法は先ほど解説した定率払いです。

さらに損害額の70%が支払いの上限になっており、水災などで建物が流失することになっても契約金額が上限になるわけではありません。

またいまの時点でこの火災保険の契約があるなら契約金額(補償額)は時価基準です。

掛金は以前の契約の方が安いので安易な乗り換えは慎重に検討が必要ですが、補償内容の確認はしておいてください。

水災の被害にあって保険金が支払われた場合の税金の取扱い

水災の被害にあって保険金が支払われた場合の税金の取扱い

火災保険から支払われる保険金は非課税扱いなので税金はかかりません。また水害(水災)による損害については雑損控除あるいは災害減免法の適用が可能です。

いずれか有利な方を選択して、税を軽減することができます。

国税庁 災害減免法による所得税の軽減免除

国税庁 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

火災保険で水災(水害保険)を必要としない場合の判断基準

火災保険で水災(水害保険)を必要としない場合の判断基準

水災の補償はいらなければ外すことで、保険料を減らすことができます。保険料の削減効果もあるので、可能であれば検討したいところです。

実際に火災保険に水災補償は必要かと考える人もいるでしょう。

いくつか判断基準も含めてみていきましょう。

ハザードマップを確認

その地域の水害の危険度を確認することができます。国土交通省に専用のサイトがありますし、各自治体ごとに地域の水害のハザードマップがあります。

これが絶対というわけではありませんが、居住している場所の周辺のハザードマップは確認しておきましょう。

これが絶対ではありませんが、リスクを知る目安にはなります。

国土交通省ハザードマップポータルサイト ~身のまわりの災害リスクを調べる~

マンション専有部分(高層階)の契約

ここから具体的に水災の補償が不要の可能性の高いパターンをみておきましょう。

はじめにマンションの専有部分の火災保険契約です。もちろん居住している階数や周辺の河川などの有無もあります。

通常はマンションの専有部分と共用部分は別に契約します。

マンション管理組合などが機能していないマンションの場合には、各所有者が専有部分+持分の共用部分を自分で契約することもまれにあります。

状況次第ではありますが、マンションの専有部分のみを契約するケースで高層階であれば水災は除外していいでしょう。

最初にお話したように火災保険の水災の補償には、「土砂崩れ」も含みます。

マンションの何階か、近隣に山などがないかなど個別の状況は必ず確認してください。

建物の立地が高台

建物そのものが高台に建っている場合も、水災補償の必要性が下がります。

但し建物が高台にあっても、道路の排水の関係でキャパを超えると浸水する可能性があるようなら、よく検討してからにしてください。

建物構造が半地下になっているケースなどの場合も注意して立地や周囲の環境をチェックするようにしましょう。

高台にあるからといって、絶対に大丈夫というものでもありません。

物件によって半地下になっているとか、水が溜まりやすい立地もあるでしょう。

個別のリスクを十分に考慮する必要があります。また水災の補償は床上浸水だけではない点にも注意が必要です。

土砂崩れや融雪洪水なども入りますので、例えばマンションの3階に住んでいても裏山があって土砂崩れの危険が想定されるなら加入を検討してみてください。

最近のその地域の住まいを取り巻く状況の確認

実はこの部分は漠然としていますが、結構重要なところです。近年の温暖化などによる気候変動の影響で想定できない水災や土砂崩れなどが起きています。

これまでなかったから、今後もないとは言い切れないのです。

新しく住む土地なら最近の状況を近所の人に聞いてみましょう。

水災や土砂崩れなどがなかったとしても、近くに山や川、海などがあればそのリスクは少なからずあるものと認識しておいてください。

他にも「融雪洪水」による損害も水災で補償します。降水量が少なくても寒冷地などにおいては水災の危険があります。

これまでの常識では考えられない災害が増えていることは考慮して補償プランを考えてください。

また大手損保などで水災関連の保険金の支払いに、人工衛星やドローン、スマホなどITやAIなどを使った取り組みが進んでいます。

単純に補償内容だけでなく、支払い時のこうした対応なども比べてみるといいでしょう。

火災保険の水災補償の加入率・付帯率と必要性

火災保険の水災補償の加入率・付帯率と必要性

みなどのくらいの人が水災(水害)の補償をつけているか見てみましょう。

火災保険の水災補償の付帯率

業界団体の損害保険料率算出機構が火災保険における水災補償の付帯率を公表しています。付帯率なので火災保険を契約している人がどのくらい水災補償をつけているかという割合です。

<火災保険 水災補償付帯率>

全国計:64.1%(2022年度)

出典:損害保険料率算出機構

ちなみに2015年度の全国計は73.4%で、緩やかに減少しています。

このように聞くと水災による被害が増えているのになぜ減っているのかと仕事柄よく聞かれます。

筆者自身も明確な答えは分かりませんが、水災は解説したように必要か不要かが比較的明確な補償です。

補償を検討する際にこの点を改めて検討して除外する人もいるのではないかと考えています。

自分の住まいの立地や建物構造、周辺環境など個別のリスクを考慮して火災保険の水災補償が必要かを考えてみてください。

また水災補償は除外するとそれなりに保険料が安くなります。

このことも関係している可能性はありますが、リスクがあるのに安くなるからという理由だけで水災補償を外すのは危険です。

付帯率はあくまで参考程度でいいでしょう。

火災保険に水災の補償は必要か?不要か?

損保各社の現在の火災保険は、水災の補償についてほとんどのものが除外することができます。掛金も安くなるので必要かどうか悩む人も多いでしょう。

以下の手順で火災保険に水災補償が必要か不要かの絞り込みをしてください。

  1. 建物の立地や周辺の状況によるリスクの確認(海や川、山、崖の有無など)
  2. 建物構造(一戸建て、マンション)及びハザードマップによるリスクをチェック
  3. 水災補償の内容を確認する(水災の補償範囲と支払い条件)
  4. 掛金と補償が見合うか

住まい構造や周囲の環境によって水災(水害)保険は必要か、不要なので外すかの判断は異なります。

単に掛金が安くなるからという理由だけならおすすめしません。

過去に水害がなかった場合でも、近年気候変動に伴う異常気象でこれまでになかったような台風や豪雨などによる河川の氾濫などが全国で相次いでいます。

今までなかったからこれからも大丈夫なわけではありません。

水災補償をいらないから外した場合、保険料がどのくらい安くなるかという予算と水災関連のリスクの高さをみて判断しましょう。

はじめに解説したように水災補償には土砂崩れなども含むのでこうしたことも忘れずに。

水災でも支払い条件を変更すれば安くなるものもあります。

火災共済(県民共済、こくみん共済coop(全労済)等)と水災(水害保険)補償

火災共済(県民共済、こくみん共済coop(全労済)等)との水災(水害保険)の補償はどう違う?

火災保険の水災(水害保険)だけでなく、火災共済(県民共済、全労済、JA共済等)と比較する人は多いでしょう。

特に共済は割戻金がでてくるのと、補償される内容が火災保険とは全く異なるので掛金が割安な傾向にあるためです。

都道府県民共済 新型火災共済

県民共済では新型火災共済がありますが、メインの補償の中に水災(水害)は入っていません。見舞金を支払う補償に「風水雪害」があり、ここから見舞金を支払います。

補償としては少し足りないですが、損害をまるまる補償してもらうというよりは、見舞金を多少受け取るようなイメージです。

損壊の3つの基準と契約金額によって支払われる共済金の上限が変わります。

■全 壊

建物 加入額2,000万円以上:600万円  加入額2,000万円未満:加入額の30%
家財 加入額1,000万円以上:300万円  加入額1,000万円未満:加入額の30%

■半 壊

建物 加入額2,000万円以上:300万円  加入額2,000万円未満:加入額の15%
家財 加入額1,000万円以上:150万円  加入額1,000万円未満:加入額の15%

■一部破損 損害額によって4段階

建物 加入額2,000万円以上:60万円~一律5万円  加入額2,000万円未満:加入額の3%~一律5万円
家財 加入額1,000万円以上:30万円~一律2.5万円  加入額1,000万円未満:加入額3%~一律2.5万円

こくみん共済coop(全労済) 住まいる共済

こくみん共済coop(全労済)における水害で被災したときの共済金の支払いは次のようになっています。

新火災共済に新自然災害共済を上乗せしているかで支払われる共済金が変わってきます。

さらに新自然災害共済はエコノミーとベーシックで保障の大きさが異なります。

臨時費用共済金は損保の火災保険と同様にプラスアルファで支払われるものです(共済金の15%)。

「新火災共済+新自然災害共済+臨時費用共済金」 ※右の金額は1口あたりの共済金及び支払限度額を指します。

■新火災共済(風水害等共済金)

全壊・流失 住宅の損壊率70%以上  30,000円/300万円

半壊    住宅の損壊率20%以上70%未満 15,000円/150万円

一部壊   住宅の損害額によって4段階 4,000円/40万円~500円/5万円

床上浸水  全床面50%以上で5段階、50%未満で2段階 15,000円/150万円~1,000円/10万円

■新自然災害共済 ベーシック(風水害等共済金)

全壊・流失 住宅の損壊率70%以上 70,000円/4,200万円

半壊    住宅の損壊率によって3段階 49,000円/2,940万円~21,000円/1,260万円

一部壊   住宅の損害額によって4段階 14,000円/840万円~1,400円/20万円

床上浸水  全床面50%以上で5段階、50%未満で2段階 35,000円/2,100万円~2,100円/126万円

■新自然災害共済 エコノミー(風水害等共済金)

全壊・流失 住宅の損壊率70%以上 50,000円/3,000万円

半壊    住宅の損壊率によって3段階 35,000円/2,100万円~15,000円/900万円

一部壊   住宅の損害額によって4段階 10,000円/600万円~1,000円/20万円

床上浸水  全床面50%以上で5段階、50%未満で2段階 25,000円/1,500万円~1,500円/90万円

JA共済 建物更正共済 むてきプラス

積立タイプなので共済はもちろん火災保険も含めて現在では少し特殊ですが共済金の支払いについてみていきましょう。

  • 水災によって生じた損害の損害割合が5%以上の5%以上の場合
  • 水災によって生じた損害の損害割合が3%以上5%未満の場合(床下浸水を除く)

その上で次の2つの基準をもとに共済金の計算をします。

  • 火災共済金額が共済価額の80%以上 損害額(共済金額が限度)
  • 火災共済金額が共済価額の80%未満 損害額×火災共済金額/共済価額×80%

この共済金の支払い計算ですが、損保の以前の共通商品である住宅総合保険の水災の支払い方法に少し似ています。

前提として水災による損害で3%以上の損害がある前提(床下浸水を除く)で所定の損害割合が必要になるのが特徴です。

共済同士でも制度が全く違うと考えてください。共済は火災保険のように水災が必要ないので外すというカスタマイズはできません。

県民共済などは見舞金の位置付けですから、しっかり補償がほしいなら不向きです。

水害で被害を受けた際に火災保険の請求ですること

水害の被害を受けた際、写真で記録を残しておく

被害の記録を写真などに撮っておく

水災の被害を受けた際、床上浸水などがあれば泥水や汚水、油などもまざることもあり汚れや臭いなどがきつくなります。

水害の被害は地震災害に近く、多くの人が被災するため損害鑑定にも時間がかかります。できればその際にやっておいてほしいことがあります。

それは被害状況(家の外・中、家財など)の写真を撮っておくことです。家財などは使えないと判断すれば破棄してしまうでしょう。

損害鑑定してもらうまでに時間がかかると記憶はどんどん薄れていきます。

曖昧な記憶ではなく、明確な記録がある方が説明もしやすいですし、鑑定人も当時の状況を把握しやすくなります。

  • 建物:四方から全体像を撮る。損害のあった箇所に接近した写真を撮る
  • 家財:家の中や片付けて破棄する前に何を捨てたか撮っておく

スマホの写真でも構いません。何がどれだけ、どうなったか分かるように家財などは破棄する前に記録しておきましょう。

火災保険証券は紛失していても保険金請求は可能

土砂崩れで住まいが埋まってしまって火災保険証券がどこにあるか分からない人もいるでしょう。

その場合でも保険金の請求は可能です。

加入先の損保に問い合わせしてみてください。

加入先の損保が分からない、被災後に火災保険や自動車保険などの満期継続が近い

加入先の損保だけ分かっている場合は最寄りの支社などに連絡して本人確認などが取れれば契約内容は確認可能です。

保険会社も分からない場合、損保協会の自然災害等損保契約照会制度で照会可能です。

自然災害等損保契約照会制度 (平日9:15~17:00)

一般社団法人日本損害保険協会

災害救助法が適用された地域でご契約者が被害を受けられた場合の特別措置がでることがあります。具体的には契約手続きや保険料払い込みの猶予です。

上記の損保協会のWEBサイトにて確認してみてください。

火災保険の水災補償の今後の動き

火災保険の水災補償部分の掛金は一律です。

これを水災のリスクに応じた危険度に応じて地域ごとに設定する動きがでてきています。

実は火災保険の収支は2010年前後から非常に悪化しています。

本来、自然災害は突発的に発生するため単年の収支だけで判断するものではありません。

2022年10月1日より大手損保などを中心に火災保険の改定が実施されていますが、次の改定では2024年度中にも改定が実施される可能性があります。

いずれにしても水災リスクに応じた保険料設計がされる可能性は高いので特にリスクの高い人は動向に注意してください。

水災(水害)で車に被害を受けた際、自動車保険の適用

水災(水害)で車に被害を受けた際、自動車保険の適用は?

この記事では、主に家につける火災保険の水災についてお話ししてきました。

実際に家に被害があれば、その近くにあるであろう自動車も洪水などで水没する被害がでてきます。

自動車保険の場合、水災(水害)でも自車両の損害をカバーするのは、「車両保険」です。

個人用の自動車保険では、どこの損保でもたいてい2種類程度は補償内容の異なる車両保険を用意しています。

いずれの車両保険でも、洪水などで損害を受けた場合、保険金が支払われます。

いくら支払われるかの金額については、車両保険の契約金額は毎年、減価償却した分下がっていくのでその時の契約内容で上限が変わりますので注意してください。

なお、水災(水害)で保険金の支払いを受けたら、翌年の掛金は割引のランク(等級)は1等級ダウンです。

まとめ

【台風・集中豪雨・土砂崩れ】火災保険の水災(水害保険)の補償と必要性、についていかがでしたか。

近年、異常気象ともいえるような災害で家(建物)や家財、自動車がが増えています。水害(水災)もその一つです。

床上浸水といっても、きれいな水が浸水するわけではありません。泥水や汚水もあるので汚れや臭いもあります。

火災保険は被災した後のお金の話です。住宅購入時では予防の観点も考慮してください。

水災補償は必要ないとして安ければいいのか、しっかり補償が欲しいのか、住宅の周辺環境をよく見ながらこれらのバランスを予算を含めて検討しましょう。

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平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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