【賃貸火災保険・家財保険】相場金額とおすすめの加入方法は?
賃貸火災保険や家財保険に義務・強制に近いかたちで加入した経験がある人も多いでしょう。またネットで加入できる保険もでています。
■この記事で学べること
【1】賃貸火災保険・家財保険とは?加入は義務?
【2】対象と補償内容、金額や比較の方法
【3】掛金(保険料)の相場
【4】家財保険の保険金支払いのポイント
【5】共済の家財保険
賃貸火災保険や家財保険の補償内容、安い保険のつけ方や保険料相場(掛金)、解約などについてファイナンシャルプランナーがまとめます。
この記事のもくじ
賃貸住宅(アパート・マンション)の賃貸火災保険・家財保険とは?加入義務と必要性
賃貸アパートやマンション・賃貸住宅の賃貸火災保険・家財保険とは?
家財保険は、賃貸物件の入居者が自分の家財を対象に加入する火災保険のことです。
賃貸の入居者用の火災保険ということです。
そのため「賃貸火災保険」「家財保険」などという言葉が使われますが、これらの名称の保険商品があるわけではありません。
その意味では家財保険も火災保険も違いはありません。
すべて同じ「火災保険」です。
物件を所有している、賃貸している、火災保険を所有する建物につける、家財につけるなどの違いです。
住宅物件であれば、保険をつける対象は、主に「建物」か「家財」です。
物につける保険では自分の所有物以外に保険をつけられませんから、賃貸入居者は建物は対象外で家財のみになります。
火災保険の中に「家財の保険」「賃貸の火災保険「持ち家の火災保険」があると考えると分かりやすいでしょう。
火災保険の家財の対象、対象外となるものは何か?
次に火災保険の目的となる「家財」の対象になるもの、対象外となるものをみていきましょう。
一般的に身の回りにある家具やテレビや冷蔵庫などの家電全般、洋服等まで対象になります。
もう少し簡単にいうと「生活用動産」です。
自分の所有物であることが前提です。例えば次のようなものです。
- 家具(テレビ・冷蔵庫・パソコン・エアコンなど)
- 家電
- 食器
- 衣類
- 布団 など
挙げるときりがありませんが、自転車については敷地内での損害であれば、損害の原因によっては対象です。
保険の対象の名称は、「家財一式」といいますので、まさに生活用動産です。
ミニマリストのような人を除き、家の中にある家財を積算するとそれなりの金額になるものです。
なお、一般的に1個または1組の価額が30万円を超えるような高額な貴金属類や美術品などは一定金額以上は対象外です。
最近は保険会社によってこの規定は多少違いますが、個別に明記をして必要な書類があれば家財の対象に明記物件として入れることができます。
わざわざ分けている理由は、こうした貴金属や美術品などは家電製品などと違って、金額の算定が難しいためです。
賃貸火災保険・家財保険の加入は義務・強制?その理由と必要性、入らないはあり?
賃貸アパートやマンションの賃貸借契約は専用住宅であれば通常は2年です。
賃貸借の期間に保険期間を合わせます。
そのため賃貸火災保険の必要性以前にポイントは賃貸借契約書です。
契約書にも火災保険の加入を義務付けていて、それを承知で契約するなら知らん顔はできません。
しかしなぜ加入を義務付けるのでしょうか。
実際のところ大家も不動産屋も入居者の家具やテレビ、洋服などの家財が燃えてなくなろうが、人のことですから知ったことではありません。
ある意味火災保険に加入するかどうかはその人の勝手です。
問題は入居者の落ち度で火災や漏水などを起こしてしまったとき、保険なしで損害賠償できるかどうかという問題です。
賃貸借契約が終われば、借りた部屋など元通りにして家主に返す(現状回復)契約になっていますが、火災を起こせばそれができなくなります。
また漏水を起こせば階下の人に弁償しなければならないこともあります。
これらは他人への損害賠償ですが、実務的には保険の加入がないと個人の経済力では難しいケースがあります。
だから物件の所有者である大家、それを管理する不動産屋は火災保険の加入を義務付けようとするわけです。
賃貸住宅の大家からすれば自分の所有資産の中でのトラブルは避けたいでしょうからある意味当然です。
賃貸火災保険・家財保険の必要かどうかという点についてですが、上記の点から必要性は高いと考えてください。
法的な責任を負うような事故を起こして加害者になれることもあるので、入居者自身を守るためでもあるのです。
賃貸火災保険・家財保険の加入が強制されていなければ入らない選択はできるでしょう。
高額な損害賠償を求められたら普通の人は自分の資産ではまず対処できません。
自動車を運転するのに対人・対物賠償の保険なしで運転するのと考え方は変わらないと考えてください。
賃貸火災保険を自分の好きな保険会社やプランにしては駄目?
火災保険の加入を、契約書上縛ることはできても加入する保険会社やプランを勝手に強制することはできません。
家主や不動産管理をする立場からすれば、同じ保険会社でどんな補償に加入しているか分かれば楽です。
見方を変えれば物件の管理がしっかりしているところほど火災保険の加入について言ってくるでしょう。
ただそれと加入先や加入プランを強制することは別の話です。
自分で火災保険の掛金(保険料)の安いところを探すなら、その旨不動産屋などと交渉してきちんと契約しておいてください。
他で加入するのが駄目なら自分が必要な補償プランを個別に作ってもらうように交渉するという方法もあります。
火災保険の加入が求められるなら、他社で入った場合には火災保険証券のコピーなどを渡すようにしましょう。
賃貸火災保険に自分で探して加入していいなら、最近はネットで安く加入できるものもあります。
賃貸火災保険・家財保険と年末調整・確定申告
家財保険等の年末調整や確定申告について、保険料控除ができるかというと地震保険に加入していれば可能です。
適用されるのは「地震保険料控除」です。
そのため家財保険+地震保険で掛金の支払いますが、控除の対象となるのは地震保険の分の掛金となります。
賃貸火災保険・家財保険の補償内容
賃貸火災保険・家財保険の補償内容の構成
賃貸用の火災保険の補償についての構成は主に次の4つです。
- 家財の火災保険(自分の家財の補償)
- 家財の地震保険(自分の家財の地震の補償、任意加入)
- 個人賠償責任補償特約(第三者への損害賠償)
- 借家人賠償責任補償特約(家主への損害賠償)
家財の火災保険が軸になります。持ち家の人と建物と家財の違いはありますが、補償内容は大きく変わりません。
火災や落雷、台風、水濡れ、盗難、不足且つ突発的な事故(破損汚損など)一通りの補償が付帯しています。
地震保険の加入は自由ですが、特約である個人賠償責任補償特約、借家人賠償責任補償特約はセットになっていて加入必須です。
火災保険が主契約なので、これを外すことはできません。
家主側が火災保険の加入を義務付けるケースがあるのは、個人賠償責任補償特約や借家人賠償責任補償特約が物件の管理上必要だからです。
個人賠償責任補償特約は階下に漏水事故などを起こした場合、借家人賠償責任補償特約は自分が出火させて家主に賠償責任を負った場合などを対象にします。
借家人賠償責任保険(特約)は、保険会社によって少し補償の範囲が違うので注意してください。詳細は下記の関連記事にあります。
保険金額(契約金額)の決め方
本来の保険金額(契約金額のこと)の決め方は、実際に住まいの中に何があるか一点ずつ確認して積算するのが最も正しい方法です。
実務的にはとても時間がかかるのでこうしたやり方は住まいの保険ではまず使われません。
一般的に簡易評価というものを使います。
家財の保険金額は、年齢や家族人数によって保険金額の目安になる表をもとに決めていきます。
もっとも同じ年齢や家族構成でも所有する家財の数は違いますので一つの目安という考えでOKです。
家具や家電、洋服、ゴルフ用品など自分が思ったよりは家財は結構あるものです。
スーツ●着、ワイシャツ、ネクタイ、革靴、、などを足していくだけでもそれなりの金額になります。
年齢や家族構成で金額が決まっても、家財の保険はセットプランで勧められることが多いので、かなりざっくりした感じで決めています。
もっと金額を下げたい、上げたいなどの場合、この後補償のところでお話しますが、個別に設計することを考えた方がいいでしょう。
保険期間、火災保険料の支払い方法
保険期間は賃貸借契約の期間に合せますので、住宅であれば火災保険の保険期間は2年です。
保険料は2年間の一括払が一般的です。
加入を義務付けても月払などでお金の引落ができないことがあると、保険金が支払われないことがあるからです。
賃貸の火災保険(家財)の保険料相場はいくら?
賃貸火災保険・家財保険の保険料はセットプランが多い。安くするには?
賃貸用の家財の火災保険は、決められたセットプランで打診されることがほとんどです。
建物構造(耐火と非耐火の2種類)でプランがいくつか用意されています。
理由は不動産の賃貸借契約をするときに一緒に勧めやすいからです。
セットプランなので、例えば水災を外すという補償のカスタマイズはできません。
必要であれば個別にプランを作ってもらうように依頼してください。
実際のところ細かい補償の組み替えで手間もかかるので、不動産屋ではそこまでしてくれない可能性もあります。
その辺りも加味してやんわりお願いしてみましょう。
それでもできないと言われたら自分で火災保険料の安いところを探すことを交渉してみましょう。
火災保険料はどう算出しているのか?相場はあるの?
賃貸用の家財の保険に相場があるかというと、地震保険を除外する前提で、たいてい2年一括払いの掛金(保険料)で8,000円程度~25,000円程度(5,000円きざみ)のパターンが多いです。
最近はネットだともっと安いケースもあります。
地震保険が必要な場合はその分の保険料を別途プラスするかたちになります。
一般的に保険は「保険金額建て」になっているので、例えば火災保険で建物の保険金額が2,000万円、掛金が27,430円のようなかたちになります。
賃貸火災保険・家財保険は逆なので、掛金は20,000円などの丸い数字になっていて、保険金額が家財153.6万円などの端数になっています。
(数字は説明のためのもので正確な保険料ではありません)。
家財の保険金額(契約金額)に端数があるケースはこのためです。実は保険料相場はあってないようなものです。
2年間で8,000円程度~35,000円程度といったのは、先ほどの家財の簡易評価をもとに掛金がこれらの数字になるように逆算して補償を組み立てているわけです。
もちろん契約金額がいくらか、地震保険があるかどうかなども関係してくることは考慮してください。
相場と言えば相場ですが、あってないようなものです。
たいてい掛金から逆算してプランを作っているのでだいたい決まった範囲になっているのです。
賃貸火災保険・家財保険で保険料の安いプランの作り方とネット申し込み
賃貸の火災保険料を安くするには?
火災保険料を安くする要素の一つに水災(床上浸水や土砂崩れなど)補償を外す方法があります。
賃貸物件のアパートやマンションの場合、1階に入居している場合などは別ですが、そうでなければこの部分の補償を外すのは効果的です。
もちろん住まいの周囲(川や海、山、崖など)によく注意してください。安いからという理由だけで補償を外すのは論外です。
賃貸の火災保険もネット申し込みは安い(補償内容には注意)
賃貸物件の火災保険は決められたセットプランが多いと言いました。
しかしこのところネット申し込み専用のものが少しずつですが発売されはじめています。
保険料が安いものは、補償がどこが少なくなっているケースがある点には注意が必要です。
そうした補償の違いを理解した上での契約なら活用するといいでしょう。
年間の保険料が4,000~5,000円くらいのところが、ネット申し込みのものででてきています。
少額短期保険では賃貸火災保険では珍しい月払い380円からなどで販売しているところもでてきました。
家財の火災保険の保険金の支払われ方
家財の保険金額(契約金額)が年齢や家族の人数で決まります。
仮に500万円家財に付帯して、全焼したら500万円保険金がでるのかというと少し違います。
保険金の請求の方法
具体的には、どのような家財があってそれを列挙して保険金の請求をします。
もちろん後から思いだすことも多いので、改めて請求を出すことも可能ですが、契約している金額がそのまま支払いにはなりません。
これが自由にできると悪いこともできますので、持っていたものを書きだして請求するのが家財では一般的です。
もしものときに必ずスマホが手元にあるわけではないでしょうが、事前に簡単な写真は撮っておくといいでしょう。
家財ではテレビなどの破損などの請求漏れに注意
最近の火災保険では、破損汚損等(もしくは不足且つ突発的な事故ともいう)の補償が付帯しています。
例えば子供が液晶テレビなどをうっかり倒してしまって破損、壊れたとします。
破汚損の補償があればこうしたことでも保険金が支払われます。疑問もあるでしょうが、この場合うっかり壊れた証拠はありません。
上記のように偶然な事故を補償するのでカバーされます。
但しかなりモラルが問われる事故なので、通常数千円から1万円程度(保険会社による)の自己負担額の設定はされています。
上階からの水漏れでも自分の火災保険で請求できることも
上階から水漏れ事故(上階の入居者の責任の場合)があった際、上の入居者(加害者)が保険などで損害賠償をします。
例えば水漏れでテレビが壊れたとします。
加害者からの損害賠償は基本は時価で行われます。
使用年数に応じた減価償却がされるのです。テレビは家財なので自分の火災保険にも補償がついています。
重複して支払いはされませんが、いまの家財の火災保険は新価(新品の金額、再調達価額ともいう)で補償しています。
そのため相手の損害賠償との差額が生じることがあります。
この場合差額があればその分は受け取れますから、自分で加入している保険会社にも連絡はしておきましょう。
賃貸火災保険・家財保険と地震保険の請求
賃貸物件でも地震保険を付帯すると掛金はアップします。地震保険については火災保険部分と保険金の支払われ方が違います。
実際の損害を支払うのではなく一定の基準を満たしているかで損害認定をします。
現在の契約は支払い基準が4段階あるのでどの基準に該当するかです。
一番損害が軽い一部損の認定(家財の10%の損害など)に満たなければ、地震による保険金はゼロになります。
詳細は下記の関連記事をご覧ください。
共済で賃貸火災保険・家財保険の契約はできる?
共済の賃貸アパート・マンション家財の火災保険(火災共済)
火災保険の他に共済(火災共済)を気にする人も多いでしょう。
県民共済やこくみん共済coop(全労済)などいくつか全国的に展開している共済があります。
具体的には、個人賠償責任保険と借家人賠償責任保険が付帯している家財の補償(共済)であれば共済であっても問題はありません。
補償内容や範囲、保険金の支払われ方などに違いはありますから、必ず内容を確認して契約するようにしてください。
損保・共済以外に少額短期保険もある
実は「損害保険会社」「共済」の他に「少額短期保険」というものがあり、賃貸用の家財の保険では、共済以上によくでてきます。
ミニ保険などと言われることもあり、その名の通り取り扱う補償が「少額」で「短期」のものです。
損保の場合、保険期間は2年間まで、保険金額は1,000万円が上限です。
保険会社と仕組みが違いますから、地震保険には加入できません。
物件の仲介をしている不動産屋で少額短期保険の取扱いがあるとここの商品を勧められることがあります。
個人賠償責任保険や借家人賠償責任保険の金額の上限が1,000万円という制限があるのと、地震保険そのものには加入することはできません。
良いとか悪いの前に単純に損保、共済とは多少仕組みが異なりますので覚えておきましょう。
賃貸物件を途中で引越する場合と損しないための解約について
家財の火災保険に加入していても、賃貸借期間の満了を待たずに引越しすることがあります。
この場合には火災保険をほったらかしにしている人がいますがもったいないことです。
具体的には2つほど方法があります。
賃貸火災保険・家財保険の変更
火災保険の契約はあるので、保険の目的の家財がある住所の変更をすることです。
物件の構造などが変わらなければ、単に変更するだけです。
物件の構造が木造アパートから鉄骨のマンションになったり、地震保険の加入をしていて、都道府県が変わると保険料の追加・返金が発生します。
但し、新しく入居する先で新たに火災保険に加入するように言われるなら、新たな入居先で手続きしましょう。
実際のにはその可能性が高いと考えてください。す
でに解説したように物件の賃貸借期間と火災保険の保険期間は一致している方が管理は楽だからです。
賃貸火災保険・家財保険の解約
この方法が現実的ですが、引き払う物件の火災保険の契約を解約する方法です。
日割り計算ではありませんが、一定の計算で掛金(保険料)が返金されます。
賃貸借契約の満了と同時に引っ越しならほとんど解約返戻金はないでしょう。
しかし賃貸借期間が長く残っていて引っ越しするようなら、きちんと解約して掛金の差額の返金をしてもらいましょう。
賃貸火災保険・家財保険の解約は忘れている人がかなり多いです。
たぶん不動産屋さんからもわざわざ言われることはあまりないでしょう。
賃貸の火災保険は契約期間の途中で引越しなどをするなら解約できる、解約すればタイミングによってお金が戻ってくることがあるので覚えておきましょう。
まとめ
賃貸住宅(アパート・マンション)の需要が多いのは毎年、年が明けてから3月にかけてです。
自分が家主や近隣の第三者に損害賠償を求められたときにどうするか考えてプランを決めましょう。
賃貸火災保険や家財保険も少しずつ多様化してきています。言われたままに火災保険に加入することはいいことではありません。
ネット契約も含めて検討してみてください。
家財も火災や災害ですべて失うとゼロから揃えなくてはなりませんから、補償内容も確認してこうした点も考慮してください。
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