がん保険の必要性と不要論を検証!おすすめの6つの選び方・比較方法
がん保険の必要性や不要論は以前から色々言われていますが、医療技術の進歩やがん治療も変わってきています。
■この記事で学べること
【1】がんの死亡者数・がん保険の加入率
【2】がん保険の必要性と不要論それぞれの根拠
【3】がん保険の仕組み、加入する場合の6つの選び方・比較方法
がん保険の必要性と不要論について改めて確認すると同時に、加入する場合のおすすめの選び方・比較についてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
がんの死亡者数とがん保険の加入率
がん保険必要性の前にがん及びがん保険にかかる統計を確認しておきましょう。
癌における死亡者数、疾患者数
日本人のがんにおける死亡者数は全体で385,787人です(2022年・出所:厚生労働省 人口動態統計)。
性別や年齢によって疾患するがんの部位(種類)や死亡率なども変わってきます。
- がんの死亡数の多い部位
- 死亡率と男女別の年齢
- 部位別にがんで死亡する確率
- 男女別・部位別での疾患数・疾患率
- がんの生存率(5年・10年)
- がんサバイバー生存率
これらの統計について下記を参考にみてください。統計の種類が多いのでリンクを貼っておきます。
癌というかたちでひとくくりにしてしまいますが、状況は部位や性別、年齢などによっても色々違うということです。
がん保険の加入率
次にこの記事のテーマであるがん保険の加入率についてです。がん保険・がん特約の加入率は次のようになっています。
世帯 | 世帯主 | 配偶者 |
66.7% | 60.1% | 43.6% |
出典:令和3年度 生命保険に関する全国実態調査(生命保険文化センター)
ちなみに2003年は世帯55.5%、世帯主49.8%、配偶者29.2%です。第三分野保険の自由化後から2年くらいの頃ですが、加入率は伸びています。
最も第三分野の医療分野の保険(がん保険、医療保険など)は保険会社も積極的に取り組みしていますから、その効果もあると考えていいでしょう。
がん保険の必要性と不要論の両方を検証
そもそも保険は、自分の経済力や資産などでまかないきれないものを、カバーするために加入するのが本来の主旨です。
生命保険の死亡保障や火災保険などは良い例です。
がん保険について必要な理由や不要な理由をそれぞれ列挙してみましょう。
がん保険の必要性の高い理由
- がんという病気のみに備えて手厚い保障がある(診断給付金、入院無制限など)
- 癌が心配で且つ預貯金など資産が少ない人は必要性が高い
- がんになったとき、治療方法の選択の幅が増える
癌も入院日数が少なくなる傾向があるので、診断給付金や一時金に特化してまとまったお金が貰えるがん保険が確かに金銭的な助けになります。
最近では診断給付金が複数回支払うものが主流なので理にかなってはいます。
また医療技術の進歩と平均寿命の延びや死亡率の低下も鍵です。技術の進歩と共に医療も高額化しています。
実際に経済力があるほど、どのような医療か選択しやすいのは確かです。
がんは再発や転移などもあるので、がん保険が選択の一つにはなるでしょう。
がん保険の不要論の根拠
- 日本の公的医療保険制度(高額療養費等)でカバーされる部分がある
- 癌以外の病気は保障されない
- 預貯金などがあれば病気になってもそれをカバーする治療費は自費で用意できる
日本には公的医療保険制度があるため、思っているほどは医療費の負担はありません。以下のような制度があります。
- 医療費3割負担(現役世代)
- 高額療養費
- 傷病手当金(会社員や公務員など。自営業は対象外)
現役世代の人なら医療費はそもそも3割負担で済みます。
仮に医療費が100万円なら30万円です。そこからさらに高額療養費で負担が軽減します。その人の収入などで5段階に分かれていますが、
平均的な(真ん中)のランクなら上記の30万円からの自己負担は約9万円くらいです。お
勤めの人はさらに傷病手当金があるので要件に該当すれば最長1年半に渡り報酬の2/3までは支払いになります。
別途会社員などは会社の福利厚生や疾病時の対応(ある程度柔軟に対応してくれるなど)もあります。
がん保険は当然癌だけを保障しますので、他の病気になったらがん保険では保障されません。
がんになる確率は他の病気に比べると高いかもしれませんが、それは分からないことです。
また最初にお伝えしたように預貯金などの資産で対処できるなら、がん保険にこだわる必要はありません。
人によっては医療保険で病気全般をカバーしたいというケースや命に関わるような癌なら、延命する必要はないと考える人もいるでしょう。
このように挙げていくと、がん保険は必要か、必要でないかの理由はそれぞれあるわけです。
同じような考え方は、医療保険は必要か、必要でないかでも言えることです。
がん保険や医療保険が必要か不要かの考え方
もしもに対する対処の仕方は3つ
医療費や災害などで突発的に費用の負担が発生した場合、公的な保険で不足する分について備える方法は次の3つです。
- 預貯金などの資産でカバーする
- 配偶者など家族の収入やその他収入(不動産収入など)でカバーする
- 保険でカバーする
医療費について必要・不要が議論されるのは、医療費については公的保障があることと、不足分は預貯金でカバー可能だからです。
上記の3点を上から消していって、上の2つで対応ができない状況なら保険の必要性は高くなります。
医療保険、がん保険よりも優先する保障の有無
医療費などについての考え方はお伝えしましたが、優先するリスクについてもチェックしておいてください。
- 死亡保障(子どもなど残された家族の生活費・教育費等)
- 医療保障(がんなどになったときの医療費)
- 就業不能(病気や怪我で働けなくなったときの、収入を保障)
- 介護保障(介護状態になったときの保障)
- 生存保障(長生きしたときの生活費)
保険に求められる保障を列挙していくとこれらのものがあります。すべて加入していたらキリがありません。
先ほどの預貯金や公的保障でカバーされるものよりもされないものが保険加入は優先です。
最も重視するものから保険の利用を検討してください。
時間の経過とともに状況は変わります(必要保障額が下がるなど)ので適宜見直ししてください。
がん保険に限りませんが、いまは医療保険も含めて終身タイプが主流です。しかし若いうちに加入しても医療技術などの変化で保険も変わります。
年齢を重ねるとがん保険(医療保険も同様)は高くなるので、新しい商品を追いかけ続けたらきりがないのでどこかで見切りは必要です。
もちろんこれらの統計や自分の資産状況などみて不要と判断するのもいいでしょう。
がん保険の仕組みとは?
がん保険の種類
がんへの保障であれば、がん保険が一般的でしょうが他にもがんの保障はあります。
- がん保険
- 死亡保障のがん特約
- 三大疾病(特定疾病等)
死亡保険などにがん特約を付帯することもできますし、三大疾病(特定疾病)の保障などの場合でも、三大疾病の一つは癌です。
これが5大疾病、七大疾病、八大疾病などになってもがんの保障はあります。
がん保険の保障
がん保険の保障は主に次のもので構成されています。
- 診断給付金、一時金
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 先進医療
- 抗がん剤治療や放射線治療
- その他特約 等
現在では「診断一時金」を中心としたタイプと「治療給付金」を中心にした2タイプが主流です。
主な特徴は次のとおりです。
■診断一時金型
- 条件を満たせば複数回給付されまとまったお金で治療可能
- 治療内容に関係なく給付されるため、新しい治療方法がでた場合も対応しやすい
- 保険料は治療給付型より高い
■治療給付金型
- 放射線や抗がん剤で治療した月に給付される。そのたびに請求する
- 放射線や抗がん剤などの標準治療以外には非対応となることも
- 診断一時金型より保険料は安い
これらに加えて今後の未知の治療に対応するため、自由診療に対応する保障を付帯するものが増えてきています。
また長期に渡る治療の継続や再発後の治療、医療機関の紹介や日常の家事代行の手配などサービスも多様化しています。
住宅ローンのがん団信との比較でがん保険は必要・不要?
団信(団体信用生命保険)に加入する際がん団信があります。がん保険とどちらがいいのか迷う人もいるようです。
住宅ローンがらみのがんの保障と民間生保で加入するがん保険を比較してみましょう。
住宅ローンのがん団信とは?
住宅ローンの団信とは、ローンの返済途中に本人が病気で死亡等した場合、遺族のために保険金で返済が終わる仕組みのことです。
これに上乗せ団信というものがあって、がん団信もその一つです。
がんと診断された際、以降の住宅ローンの返済を免除します(上皮内がんは除外する場合が多い)。
がんだけでなく、三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)、七大疾病、八代疾病、これら以外の病気の就業不能や自然災害に対応するものまで最近は多様化しています。
対象になる病気が増えるほど、支払い条件が色々ついてくる点には注意が必要です。
一般的にこの上乗せ団信を付帯すると、住宅ローン金利に0~0.3%程度(金融機関によって異なる)上乗せ金利を支払うことになります。
がん団信と民間生保のがん保険の保障の違い
どちらもがんの時に保障がはじまるため、どちらか1つあればいいのではないかと考える人も多いでしょう。
実際に保障が重複する部分がありますが、それぞれの役割はもともと違うということをまずはかくにんしてください。
- 住宅ローンのがん団信:住宅ローンの返済をカバー
- 民間生保のがん保険 :がんになったときの医療費をカバーする
目的が違うことは分かったが、家計が助かるから同じではないかと思った人も多いでしょうが時間軸で考えると違いが分かります。
例えば35歳から30年間、住宅ローンの返済をするとします。
がん団信は住宅ローンの返済が終わるまでの保障です。
60歳定年で残りの5年は再雇用で働く場合、退職金も含めて住宅ローンを完済するゴールが見えてきます。
がん団信の必要性が少なくなってきますし、65歳の完済とともに保障も終わります。繰り上げ返済すればもっと早まる可能性があります。
民間のがん保険はいまはほとんど終身のがん保険ですから、この後高齢になっても保障は生涯続きます。
だから民間のがん保険がいいよということではなく、時間軸で長い期間でみると役割に違いがあるのが分かります。
がん団信に入っておいてその間にローンの返済をしながら貯蓄も増やすという考え方もあります。
ちなみに団信の上乗せの掛金は、住宅ローン金利に上乗せするパターンが一般的ですが、ごく一部別枠で掛金を支払うものもあります。
このようなものだと団信の上乗せを途中で見直して、返済途中でやめることもできます。
都銀だと三菱UFJ銀行やみずほ銀行などで取扱いがあります。
がん保険のおすすめの6つの選び方と比較のポイントと考え方
がん保険の保障期間は終身
以前は契約期間が決まっている定期タイプのものもありましたが、最近のがん保険は終身保障タイプがほとんどです。
掛け捨ての保険は掛金が下がってきていますから、終身タイプを基本に考えてみるといいでしょう。
診断給付金
がん保険に加入するつもりなら予算次第ではありますが、基本は診断給付金をベースに考えておくといいでしょう。
以前は入院を要件に診断給付金を支払うものがありましたが、今はがん診断された段階で給付されるものが中心です。
条件はあるものの2年経過後、複数回あるいは何度でも診断給付金が支払対象になるものがでています。
最高500万円まで支払になるなど、以前よりも充実してきています。診断給付金が出るならどれでも同じと思わずによく比較検討してください。
がん保険の自由診療に対応
がんの治療は新しい技術がどんどんでてきます。
追いかけたらきりがありませんが、長く加入するものなので今後の未知の治療に対応できるようにしておくといいでしょう。
がん保険の付帯サービス
がん保険や医療保険、その他生命保険等に加入していると付帯サービスがついていることがあります。
24時間健康相談やセカンドオピニオンサービスとなる医師の紹介です。
保険会社によってサービス内容は違いますが、この2つは大抵どこでもついています。
がん保険の場合にはさらにがんに付随するサポートなどもついているケースがあります。
実際に病気になれば、がん保険などよりも治療が先です。
医師から治療に関する説明を受けたが、他の医師の意見を聞きたい、他の治療方法がないかなどの場合にはかなり助けになります。
一般の人には医師を探す手段はかなり限られてくるはずですから、保険に加入するならこうしたことも頭に入れておいてください。
なお会社ごとにサービス内容が違いますから、内容はよく確認するようにしてください。
筆者はこのサービスに関する施設を見学したことが何度かありますが保険以上にかなり使えます。
がん保険で何を保障してほしいのか
ここまでお話してきたように、がん保険はかなり多様化しています。
これはいまの医療事情も反映した部分がありますが、お金の部分の保障はもちろんセカンドオピニオンサービスや場合によっては家事代行が必要なケースもあるでしょう。
あれもこれも保障していたら予算オーバーしてしまうでしょうが、がん保険の加入を検討しているならいまの医療事情をみて自分に必要なものを改めて考えてみてください。
お金の保障+αの部分をどう考えるかです。
がん保険も一定の頻度で見直しが必要
がん保険は、2001年の第三分野以降急速に広がりました。それから20年以上が経過しましたが、保障内容は本当に多様化しています。
医療技術が進めば治療方法も変わるので、それに合せて保険(がん保険)も変わります。
そのときの治療方法に合ったものでないと、役に立たないことはありませんが使いにくいこともあります。
例えば、昔は入院治療を前提に保障を作っていたけれど、最近は病気によっては入院日数が減っていて、一時金や通院の保障を以前より手厚くしているなどです。
がん保険に加入するなら、先々保障の見直しすることを視野に入れておいた方がいいでしょう。
年齢とともに掛金はアップするので、追いかけたらきりがありません。
どこかのタイミングで見切りをつける必要はでてきますが、考え方として覚えておいてください。
まとめ
がん保険の必要性と不要論を検証!おすすめの6つの選び方・比較方法、についていかがでしたか。
がん保険も医療保険などと同様に必要性と不要論についてよく議論される分野の保険です。
必要と考えるなら加入する場合のポイント、不要をするなら代わりに何をするべきかをきちんと考え方を整理しておきましょう。
自分なりの結果として、がん保険は必要ないという結論もあるでしょう。
頑張って預貯金を貯めるという選択も大いにありです。
また必要・不要どちらかの考え方だけに偏らないようにしてください。自分の考え方や取り巻く状況は変わっていきます。
がん保険に加入していたけれど不要になったので解約する、あるいは未加入だったが必要性を感じたので加入するでもいいのです。
がん保険は必要だ!不要だ!のいずれかの考え方に振回されてはいけません。
その時々の状況に応じて柔軟に対応することを心がけてください。
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