【手術給付金】生命保険と医療保険の手術給付金は種類や倍率・金額が重要!
医療保険や医療特約に加入している人は多いですが、入院日数が減少する中で通院や在宅療養に並んで大切な保障が「手術給付金」です。
■この記事で学べること
【1】手術給付金とは?その倍率や金額
【2】対象となる88種類と公的医療保険に連動の手術の違い
【3】給付の対象とならない手術の種類
【4】確定申告の医療費控除と手術給付金
【5】手術給付金に関するよくある質問(Q&A)
生命保険や医療保険、がん保険の手術給付金とは?
生命保険の医療特約や医療保険、がん保険は入院や通院、その他一時金などの保障の他に「手術給付金」という保障があります。
入院給付金や通院給付金などのように、例えば1日いくら設定するということをわざわざ設定しないケースも多いため、意外と気にしない人も珍しくありません。
手術給付金とは医療保険や医療特約などの加入者が、病気や怪我で所定の手術を受けた際、手術の内容に応じた給付金を支払う保障をいいます。
手術給付金の必要性が高い理由
もともと医療特約や医療保険など医療費をカバーする保障は、長い間入院給付金を中心とした構成になっていました。
医療そのものが入院を中心とした治療だったからです。
しかし今は入院を中心とした治療よりは、在宅療養や通院治療に医療の軸が移ってきています。
毎年平均在院日数は減少傾向にあるため入院期間も短くなり、医療保険などもそれに合わせて変わってきています。
そのため入院せずに(日帰り入院含む)手術のみということもあるため、手術給付金や特定の病気などで一時金を給付する保障の必要性が増しているのです。
もともと医療保険などは必要ないという人はそれでいいのですが、加入を考えている人は手術給付金の対象となる手術の数や給付倍率も気にするようにしてください。
手術給付金の種類と倍率、金額
手術給付金の保障があっても手術をすれば何でも給付の対象になるわけではありません。
医療保険も多様化しているので保険各社によって色々なタイプがありますが、大きく分けると対象となる手術には主に次の2つのタイプがあります。
- 約款所定の88種類(または89種類)が手術給付金の対象
- 公的医療保険に連動する約1,000種類が手術給付金の対象
比較的旧タイプの保険では前者が一般的で、現在の医療保険などでは後者のタイプが中心になっています。
多い方がよさそうですが、どのように違いがあるのか手術給付金の対象となる手術や倍率や金額などの点からみていきましょう。
約款所定の88種類
あらゆる保険には、契約者と保険会社の契約について内容を記載したルールブックがあります。これが「保険約款」と言われるものです。
小さな字で色々細かく書いてあるあれです。
約款所定の88種類(89種類のタイプもあり)というのは、手術給付金の対象となる手術が約款に明記されているタイプの保険です。
別な言い方をすればここに載っていない手術は給付の対象になりません。
もう一つのタイプに1,000種類というのがあるので88種類では少なく感じますが、主要な手術は一般的にこの88種類に含まれています。
ちなみに88種類の手術を対象とするタイプは、最近のものではなく以前の医療特約や医療保険がこのタイプです。
手術の内容によって入院給付金の10倍、20倍、40倍の倍率で給付金が支払われます。
例えば入院給付金が1日あたり1万円設定されているとします。
ある手術の倍率が10倍なら1万円×10倍(10万円)、20倍なら1万円×20倍(20万円)、40倍なら1万円×40倍(40万円)という計算で手術給付金が支払われます。
公的医療保険に連動する約1,000種類
88種類を対象としたタイプに対して、最近主流なのが公的医療保険に連動する約1,000種類の手術を対象とするタイプです。
各社違いはありますが、一つの目安として2010年以降くらいからこのかたちで手術給付金を支払うものが増えてきています。
手術の倍率については、医療保険などの種類や同じ商品でも選択する型によって違います。
手術の種類によって違いはあるものの、多くても~20倍程度ぐらいの倍率のものが多く、対象になる手術は増えているものの手術によっては88種類のものより手術給付金の倍率が低いものがあります。
しかし保険会社の競争が激化してきた結果、この倍率を引き上げている保険会社もあります。
もちろん倍率が高くなれば保険料も高くなります。
手術給付金の対象にならない主な手術とは?
手術給付金の保障があってもあらゆる手術が手術給付金の対象になるわけではありません。どんな手術でも対象になると勝手も考えていると肝心なときにがっかりすることになります。
手術給付金の対象にならない手術とは?
手術給付金は通常は治療ではなく検査目的のものなどは対象になりません。
先ほども解説したように対象となる手術が約款所定の88種類(89種類)のタイプならここに記載されていない手術は対象外です。
それでは公的医療保険に連動する約1,000種類の手術なら何でも給付対象かというとそれも違います。
主なものを列挙します
- 傷の処置(創傷処理、デブリードマン)
- 切開術(皮膚、鼓膜)
- 骨・関節の非観血的整復術、非観血的整復固定術および非観血的授動術
- 鼻焼灼術
- 魚の目、タコ手術後の縫合
- レーザー・冷凍凝固による眼球手術のうち、近視、遠視または乱視による視力の矯正を目的とした手術
- 抜歯
- 異物除去(外耳、鼻腔内)
他に書きようがなので専門用語が多くて申し訳ありませんが、「非観血的」というのは血をみない手術とイメージしてください。
88種類の手術は主要な手術は入っていると言いましたが、上記に挙げた手術は比較的軽度なものなどが対象です。
手術給付金は何度でももらえるが例外もある
一般的に手術給付金は、給付に該当する手術を受ければ複数回給付金を受け取ることができます。しかし例外もあるので注意してください。
例えば次のようなケースです。
- 同じ日に複数回の手術を受けた場合には、手術給付金の倍率の高い手術の分のみが給付
- 一つの治療のプロセスで連続して手術を受けて、手術料が1回のみ算定される場合、手術を受けた1日目や給付金が高い手術が支払われる
- 放射線照射等を複数回受けた場合は60日に1回を限度に給付 など
原則として手術給付金は受けた手術の回数ごとに複数回給付されるという考えてでいいのですが、手術の内容や方法によってこのように違いがあります。
確定申告の医療費控除と手術給付金
生命保険や医療保険、がん保険などで手術をして医療費がかかった場合、医療費控除の対象となり確定申告することで手続きすることができます。
但し、負担した医療費の計算をする際、民間の保険会社や共済(県民共済やJA共済、こくみん共済coop(全労済)など)から入院や手術給付金などを受け取っているとそれを医療費から差し引きます。
例えば自分で負担した医療費が30万円でも、医療保険などから入院や手術給付金などの合計額が40万円なら自己負担がなかったことになるので医療費控除は使えません。
手術給付金のよくある質問
手術給付金についての基本的な内容について解説してきましたが、ここからはQ&A形式にして手術給付金に関するよくある質問についてお話します。
手術給付金が支払い対象になるかを保険会社に確認する際のポイント
恐らく最も多い質問が、自分が受けた手術が給付の対象になる手術かどうかです。
公的医療保険に連動する約1,000種類の手術の場合であれば、主治医に受ける手術が「公的医療保険制度の給付対象」かどうかを聞くのが早いでしょう。
もちろん漏れがあってはいけないので、加入先の保険会社にも確認はしておきましょう。
約款所定の88種類の手術の場合も含めて、最終的には診断書などを取り付けを求められることがあります。
診断書もただではないので、その前に対象になるかどうか確認したいというのはよくることです。
その際一般の人によくある間違いが「病名だけで手術給付金の支払い対象か加入先の保険会社に聞くこと」です。
「病名」だけでなく手術給付金の対象か聞くためにもっと大事なのが「手術名」です。言葉の最後に「~手術」あるいは「~術」とつきます。
病名と一緒に手術名も医療機関に確認することを忘れないようにしてください。
日帰り入院は入院給付金が出ない保険だと手術給付金は対象外?
入院して手術をするケースと入院を伴わない日帰り入院などで手術をするケースがあります。
結論としては加入している保険の内容によります。入院したかどうかに関わらず、手術の種類に応じて所定の倍率を給付するケースや一律で手術はいくらとする場合もあります。
特に古い医療保険の場合には内容をよく確認しましょう。
女性の医療保険で疾病入院給付金と女性疾病入院給付金がある場合
女性向けの医療保険や医療特約には、入院給付金などについても単純な入院給付金と女性固有の病気などを対象にするケースがあります。
病気によっては両方から給付されることがあります。手術給付金についても同様で両方から所定の倍率で支払うパターンや手術については一律いくらとするケースもあります。
似たように結論になりますが、加入している保険の内容によって違います。
入院一時金と手術給付金はどのタイミングで請求する?
公的医療保険から補てんされる分はあるものの、経済的に厳しい人は医療費を民間の保険会社からの給付金で支払うと考える人もいるでしょう。
一般的には入院をして手術をしたのであれば、手術給付金はいつでも請求可能です。
しかし実際にまだ入院中であれば入院給付金や退院一時金や通院一時金などが請求できることもあります。
その場合であれば退院後にまとめて請求にすれば手続きが簡単で、診断書の発行コストの負担も軽くなります。
給付金がないと医療機関への支払いができないようであれば、クレジットカードなどを利用して引落しを後ろにずらすなど医療費の支払いについて医療機関に相談してみてください。
手術給付金は必要か?
医療保険を含む各種保険や保障の話をすると、決まってでてくる話の一つが必要か不要かということです。
手術給付金が必要かということについては、この記事のはじめにも記載しましたが、商品によっては入金給付金の金額に連動して保障が決まるタイプもあり、除外できない者も少なくありません。
また医療そのものが入院から在宅療養や通院などに軸が移っているとお話しましたが手術も同様です。
手術の種類によっては医療費がかかるので、保険に加入する前提で手術給付金が必要かどうか考えているなら必要性は高いでしょう。
まとめ
【手術給付金】生命保険と医療保険の手術給付金は種類や倍率・金額が重要!、についていかがでしたか?
記事のはじめにお話したように手術給付金の倍率や金額などを選ばないでいい商品もあるため意外とスポットが当たらない保障です。
その一方で、病気や怪我をした場合には給付金の請求をする場面が多い保障でもあります。
医療保険や生命保険の医療特約などを検討する際には、手術給付金の内容についても忘れずにチェックしてください。
※保険会社や保険商品によって異なる点があるのは考慮するようにしてください。
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