2024年確定申告が必要な人(対象者)はこんな人!タイプ別に解説
確定申告には、「確定申告が必要な人(対象者)」「確定申告が不要な人」「確定申告をした方がいい人」の3タイプがあります。
年金受給者、退職者、アルバイト、主婦などタイプによっても異なります。また各個人の年収や給与、年金額などによって必要な金額などの条件は変わります。
■この記事で学べること
【1】確定申告が必要な人、不要な人、した方がいい人とは?
【2】確定申告とは?2024年(令和6年)
【3】確定申告が必要な人がしないとどうなる?
【4】タイプ別確定申告が必要な人・必要な金額
【5】確定申告の必要書類
2024年(令和6年)確定申告が必要な人はこんな人として、退職者や相続した人、2箇所から給与をもらう人、パート、年金受給者などタイプ別にファイナンシャルプランナーが解説します。
※目次の5以降はタイプ別にわけていますので、下記の目次より必要な項目をみてください。
この記事のもくじ
確定申告が必要な人(対象者)、不要な人、した方がいい人とは?
確定申告は、「確定申告が必要な人(対象者)」、つまり必ずしなければならない人もいれば、「確定申告をした方がいい人」や「確定申告が不要な人」がいます。
この3つのどれに当たるかまずは確認してください。まずは基本的なところを確認しましょう。
確定申告が必要な人(対象者)とは?
最初に確定申告が必要な人の要件についてみていきます。
。に会社員などの給与所得者の場合は通常は不要なケースが多いので気になるところでしょう。
給与所得者で確定申告が必要な人とはこんな人
- 給与所得者で確定申告が必要
- 給与の年間収入金額が2,000万円超
- 給与所得が1か所から、且つ給与の金額が源泉徴収の対象となるケースで他の所得金額(※)の合計が20万円超
- 給与所得が2か所以上から 且つその給与の金額が源泉徴収の対象となるケースで、年末調整をされなかった給与の収入金額と、他の所得金額(※)の合計が20万円超
- 給与につき災害減免法の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けている
- 同族会社の役員やその親族など、その同族会社から給与以外に貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けている
※給与所得、退職所得以外
年金など公的年金等に係る雑所得のみで確定申告が必要な人
公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある
退職所得のある人で確定申告が必要な人(対象者)
外国企業から受け取った退職金などで、源泉徴収されていない(通常は源泉徴収されて課税関係は終了しています)
その他確定申告が必要な人(対象者)
所得には10種類あるとお話しました。
これらの各所得の合計から、最終的に所得税額を計算して、ここに残高があって納税していないようなら通常は確定申告が必要な人に該当します。
簡単な話、儲け(所得)から、経費や控除など差し引けるものは引いてまだ残り(儲けが残っている)があるなら、税金がかかるので確定申告してねということです。
自営業やフリーランスなどの人は、当然のことながら確定申告が必須になります。
確定申告が不要な人
確定申告が必要な人(対象者)に該当するところがなければ、基本的には確定申告は不要になります。
但し「確定申告が必要な人」と「確定申告をした方がいい人」はまた別です。
こちらはタイプ別のところで改めて解説します。
確定申告をした方がいい人
確定申告をした方がいい人とは、簡単に説明すれば還付申告に該当する人です(税金が戻ってくる)。
例えば住宅ローン控除を利用する(初年度)、医療費控除を利用する、災害や事故などで被害があった(雑損控除)などです。
ふるさと納税でもケースによって確定申告が必要なケースがあります。
いくつかはこの後詳細を説明しますが、税金を取り戻すなら手続きは自分ですると覚えてください。
個別の事情で税金が戻ってくるための手続きは、自分で確定申告をして手続きしなければなりません。勝手に計算して振り込まれるようなことはありません。
確定申告とは?
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得に対する税金を計算して申告・納税する手続きをいいます。
会社員や公務員は年末調整や自営業で予定納税などをしている人は、すでに納税をしています。
ところが別な要因(住宅ローン控除、他の所得との関係、各種の控除、転退職など)で、計算上それぞれ過不足が生じることがあります。
それを確定申告をすることで精算します。
2024年(令和6年)の確定申告の時期
2024年(令和6年)の確定申告の時期はいつ?
2024年(令和6年)の確定申告の時期は、上記のカレンダーにあるように2024年2月16日(金)~年3月15日(金)です。
前年の1/1から12/31までに生じた所得について翌年の2/16から3/15までの期間に原則として確定申告を行います(土日にかかる場合は翌営業日)。
確定申告の時期についてよくある勘違い
2024年(令和6年)の確定申告といいましたが、正確には2023年分(令和5年分)の所得について、確定申告を2024年(令和6年)に行うということです。
毎年12月に「税制改正大綱」(これから税金をこう変えるという方向性の原案)が発表されます。
年が明けると確定申告の時期になるため、その税制改正大綱の内容が確定申告に関係あるか気にする人がいますがそうではありません。
確定申告は毎年1/1~12/31の所得を翌年の2/16~3/15の間に計算して申告納税します。
2023年12月に発表された税制改正大綱に関係するのは、その多くは2024年以降の所得分で、実際の確定申告は主に2025年以降です。
毎年税制改正大綱は大きな話題になりますから、税務に詳しくない人でもニュースなどを目にすることが多くなります。
年明けの確定申告で何か関係するのではないかと不安になる人もいますが、全体の流れは上記の図のようになります。
そもそも12月に発表されて法案も成立していないのに年明けからいきなり適用されることは普通はありません。
毎年この流れが続きます。
確定申告が必要な人にあたるかどうかも、いつ発生した所得なのかを起点に確認するようにしてください。
確定申告が必要な人(対象者)がしないとどうなる?
確定申告は、解説したように申告期限(原則3月15日)までに申告・納税をしなければなりません。
「副業は申告しなくてもばれないだろう」「大した金額ではないから必要ないだろう」「うっかり忘れていた」など軽く考えている人もいるようです。
しかし納税は義務ですから、確定申告をしない場合には重いペナルティが課されることがあります。
具体的には、延滞税や無申告加算税を追加されることになります。
確定申告を必要な人(対象者)がそれをしなかったから、確定申告をするより手間がかかったり、払わないでよい税金も負担することになるので注意してください。
甘くみていると痛い目にあいます。次に確定申告が必要な人をタイプ別に詳しくみていきます。
年金受給者で確定申告が必要な人(対象者)
年金受給者で確定申告が必要な人
すでに解説済みですが、年金受給者で公的年金等に係る雑所得のみの場合には、所得控除を差し引いて残高がある場合には確定申告が必要になります。
年金受給者で確定申告が不要な人、必要ない人
高齢者の場合には、負担を軽減する意味もあり、確定申告が不要なケースもあります。
年金受給者で確定申告が必要な金額・不要な金額は具体的には次のとおりです。
- 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下、且つ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
年金受給者といっても自営業で収入がある、不動産の家賃収入が入る、民間生命保険会社などの個人年金もあるなど他の収入がある場合は事情が変わってきます。
原則を理解しつつ個別の事情(他の所得など)を考慮して確定申告が必要か確認してください。
パートで確定申告が必要な人(対象者)
パートは原則として確定申告は必要でない
パートの場合、会社員と同じで大前提として1年間の合計収入が一定金額以下は所得税がかかりません(他の所得がないものとする)。
もともと103万円の壁と言われたいたものですが、パートでは配偶者が扶養に入っているケースが多いためです。
2018年から配偶者控除・配偶者特別控除の改正がありました。パート先によっては社会保険料も関係してきます。
所得税がかからないのは、基礎控除や給与所得控除があるため一定の金額以下だと所得がゼロになるためです。
パートでも確定申告をした方がいいケース
中小企業などでパートやアルバイトが多いと年末調整の対象として処理していないこともあるので、その場合は確定申告をした方が得になります。
このように所得税が源泉徴収されることがあります。
この場合アルバイトやパートのみの収入なら、源泉徴収票を確認してみましょう。
手元にないということなら、勤務先に源泉徴収票を発行してもらってください。
アルバイトで確定申告が必要な人(対象者)
アルバイトについては、親や家族の扶養に入っているケースではパートの場合と基本的な考え方は同様です。
配偶者や親などの扶養に入っておらず、アルバイトで生計を立てている場合では、所得にこだわらずに仕事している人もいるでしょう。
こうしたときには会社員などと同じようにみていきます。
この記事の目次にある「確定申告が必要な人」の項目を再度確認してください。
住宅ローン控除で確定申告が必要な人(対象者)
住宅ローンを利用して家を買って入居した人は、 条件を満たせば住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除の適用1年目(初年度)は確定申告が必要です。
但し2年目以降については年末調整で処理されることになっています。
住宅ローン控除を差し引いても、この記事の目次4-1のところで解説した「給与所得者でも確定申告が必要な人」に該当するなら、確定申告が必要になります。
相続で確定申告が必要な人
単純に相続によって相続財産を受けただけでは確定申告は必要ありません。
そもそも相続について課税されるのは所得税ではなく相続税だからです。
相続税の課税対象になるなら、所定の期日までに相続税の納税が必要です。
しかし相続した不動産や株式などをその後売却していると、その売却益については譲渡所得などとして所得税の課税対象になります。
そのため確定申告が必要になるケースがでてきます。
相続の場合には、亡くなった人(被相続人)に「準確定申告」が必須です。
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に手続きが必要ですから覚えておきましょう。
具体的なところが分からないことがあれば税理士に相談することをお勧めします。
転職者・退職者で確定申告が必要な人
転職者の場合
転職した場合は新たに入社した会社に、転職前の会社でもらった源泉徴収票を提出すれば、まとめて年末調整してもらうことができ確定申告は不要になります。
しかし失業中に社会保険料(国民年金・健康保険)を自分で支払った分は反映されません。
このようなケースでは確定申告をするといいでしょう。なお失業給付金は非課税になります。
退職者の場合
退職して退職金を受取った場合、外国企業などでは源泉徴収されていませんので、確定申告の手続きが必要です。
通常は源泉徴収で課税関係は終わっているので確定申告は不要です。
念のためですが、退職所得の受給に関する申告書を提出していないケースでは確定申告をした方が有利です(一般的には提出するものです)。
また年末調整を受ける前に退職して12月までに再就職しなかった人、年末調整を待たずに退職して失業している人、転職先の年末調整時期に間に合わなかった人など退職する時期によっては確定申告が必要です。
株式の売買で確定申告が必要な人
株式の売買などで得た利益は、原則として確定申告が必要になります。
特定口座(源泉徴収あり)を使っている人は確定申告の手間を省くことができます。
具体的には証券会社での取引状況や使っている口座の区分により確定申告方法が異なります。
特に譲渡損がでて他の譲渡益から差し引いたり、翌年以降に繰り越すケースなどでは確定申告が必須になります。
特定口座(源泉徴収あり)
原則として確定申告は不要。株式等の売買の都度、証券会社で儲け(譲渡益)から源泉徴収して納税します。
特定口座(源泉徴収なし)
儲け(譲渡益)があった場合には、原則として確定申告が必要。年間取引報告書(1年間の譲渡損益を記載した書類)が送られてきますので、これを使って確定申告をします。
一般口座
儲け(譲渡益)があった場合には、原則として確定申告が必要。自分で1年間の譲渡損益を計算して、確定申告をします。
副業(雑所得、事業所得、給与所得など)で確定申告が必要な人
政府の働き方改革の一環として、正社員の副業推進する動きがでてきました。
そうは言っても現状は副業を禁止している会社が普通なので、確定申告では副業収入をどうしたらいいか気になるところでしょう。
副業という言葉がでてくる時点で主に会社員の人などが、会社に内緒でこっそりやっている(もしくは会社公認で)収入部分が対象というケースが多いでしょう。
通常は、会社員で会社が年末調整している立場にある人は、給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
副業でもそれなりに所得が発生すれば当然に確定申告が必要です。
副業 (雑所得、事業所得など)
小遣い稼ぎでネットオークションやブログのアフィリエイトなどの広告収入などは比較的ありがちです。
雑所得や事業所得に該当するものは単に手元に入ってきた収入だけでなく、掛かった必要経費を差し引くことができます。
例えばブログの独自ドメインの取得や維持管理などにかかる費用です。
こうした経費を差し引いて20万円を超えるかが確定申告の要不要に関わってきます。
副業(給与所得)
会社員でありながら、例えば休日にコンビニでアルバイトをしている場合、2カ所から給与を得ていることになります。
この記事の目次「4.1.1 給与所得者で確定申告が必要な人」に戻ってください。
給与を2カ所から貰っている場合(給与所得が2カ所からある)、要確定申告です。所得税はお金の性質によって、最初に10種類に区分します(「○○所得」と呼ばれるどれかに入る)。
所得の種類によって税金のかかり方が異なります。自分の所得が何に当たるのか確認することからはじめてください。
ふるさと納税で確定申告が必要な人
ふるさと納税にはワンストップ特例という確定申告が不要になる制度があります。
ワンストップ特例を使える要件は、ふるさと納税をする自治体の数が5つまでであることです。
加えてもともと確定申告が不要な人(サラリーマンなど)であることが条件になっています。
自営業の人などはそもそも確定申告が必要なのでふるさと納税に関係なく確定申告となります。
但し住宅ローン控除の1年目など確定申告をする人は、ふるさと納税も確定申告となります。
確定申告に必要な書類(2024年)
所得税には、種類が10種類あります(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得)。
それぞれ所得の種類ごとに特性が異なりますので、確定申告に必要な書類もそれぞれ変わってきます。
確定申告の申告書がいるのはもちろんですが、所得に応じた書類のそれぞれは国税庁のサイトを参考にしてください。
まとめ
例えば給与以外の他の所得の金額が20万円超なら、税金のかかる対象が増えますから確定申告で精算しなければなりません。
逆に払い過ぎていた税金を戻してもらう手続き(還付申告)については、確定申告をした方が得です。
この還付申告については税務署で自動的に還付額を計算して払い戻してくれるわけではありません。
全般的にいえることですが、税制上、有利な制度を利用したり還付を受けたりする場合には自分で手続きが必要です。
「確定申告をした方がいい人」は確定申告すれば税金が戻されます。
税制の基本的な仕組みを知っておくことは、資産形成や家計管理をしていく上でもとても大切なことです。
確定申告は基本的なところですから、しっかり押さえておきましょう。
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