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年金の繰上げ・繰下げ受給の損得!年金受給で知るべき5選

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年金(国民年金・厚生年金)の繰上げ・繰下げ受給とは?

年金(国民年金・厚生年金)の繰上げ・繰下げ受給とは?

65歳から受給できる国民年金(老齢基礎年金)や厚生年金(老齢厚生年金)は、繰上げて65歳よりも早く、また逆に繰下げて65歳以降の年金受給とすることも可能です。

このように年金の繰上げ受給、繰下げ受給とは、本来年金受給が始まる年齢よりも前あるいは後に年金受給をはじめることをいいます。

繰上げ受給及び繰下げ受給している割合はどのくらい?

自分の年金を繰上げ受給あるいは繰下げ受給しようかと考えているものの他の人はどうしているか気になるところでしょう。統計を見ながら確認していきましょう。

統計は国民年金のものになります。表が2つありますが、上が従来から年金受給している人、下が新たに年金の支払いを請求している人です。

<国民年金老齢年金の繰上げ繰下げ受給状況の推移>

(年度末現在、単位:%)

繰上げ 本来 繰下げ
2011年度 41.7 57.1 1.2
2012年度 40.2 58.6 1.3
2013年度 38.6 60.1 1.3
2014年度 37.1 61.6 1.3
2015年度 35.6 63.1 1.4

 

(新規裁定者、単位:%)

繰上げ 本来 繰下げ
2011年度 25.3 73.0 1.7
2012年度 18.5 80.3 1.2
2013年度 14.4 84.1 1.4
2014年度 12.4 86.1 1.5
2015年度 10.9 87.1 2.0

出所:平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概要

過去5年で見てみると本来の年金受給の年齢からの人が増加傾向にあります。割合でみてもここが一番多いのですが、繰上げ、繰下げ受給の2つを比べると繰下げして年金受給する人はほとんどいません。

全体のわずか1~2%の割合です。繰り上げ受給については全体としては35.6%で、ここ5年で6%くらい下がっています。新規の受給者については半分以下になっています。

原因は分かりませんが、「老後不安」「老後破綻」という言葉が流行りはじめた頃に合っている気もしますが、平均寿命が延びる中で冷静に収支を計算している人も増えているのかとも考えます。

繰上げ受給の言い分、繰下げ受給の言い分

改めてなぜ繰上げ受給、繰下げ受給するのか考えてみましょう。

  • 繰上げ受給:年金をもらわないで死んでしまったら損
  • 繰下げ受給:長生きしてお金がないのは不安

筆者の主観もありますが、これらをやっている人とお話ししていると上記のような返事が返ってくることが多いです。特に繰上げ受給は年金支払っているのに1円も貰わないと損してしますと考える人も多いようです。

それでは次に年金の「繰上げ受給」「繰下げ受給」のメリット、デメリットと知っておきたい注意点について解説します。

年金繰上げ・繰下げ受給の損得!メリットとデメリット・注意点

年金繰上げ・繰下げ受給の損得!メリットとデメリット・注意点

年金の繰上げ受給、繰下げ受給をする場合、通常65歳からもらえる年金が何歳から逆転するかということでしょう。

損益分岐点についてはこの後解説しますが、収支以外に知っておきたい損得、メリットとデメリットについて確認します。デメリットにはプラス注意点という視点も入れておきます。

年金の繰上げ受給

メリット

  • 年金を早く受給できるため、早く死亡することがあってもゼロはない

デメリット・注意点

  • 早く年金を受取る分、所定の減額率で年金が減額される
  • 繰上げ受給した後はあとから戻したり、取り消したりすることはできない。
  • 加入期間を満たしていない場合などの任意加入や追納ができない。
  • 繰上げて請求後、事後重症(※1)などによる障害基礎年金の請求は不可
  • 寡婦年金(※2)の支給がなくなる。現在寡婦年金を受給している人はストップする
  • 65歳になるまで遺族厚生年金・遺族共済年金を一緒にもらえることはできない。

※1障害認定日の段階でその症状が障害に該当しないときでも、その後傷病が悪化して障害状態になったときには障害年金を請求することができる制度

※2自営業など第1号被保険者である夫が死亡したとき、所定の要件を満たしている妻に60~65歳までに支給される年金

年金の繰下げ受給

メリット

  • 繰下げした期間によって年金の受給額が増額される

デメリット・注意点

  • 繰下げ受給までに死亡したら年金はもらえない(遺族の請求も不可)
  • 国民年金(基礎年金)の受給権が65歳に達した日において発生する際に少なくとも66歳に達した日までの間は繰下げ請求を待機する必要があります。
  • 65歳に達した日から66歳に達した日までの間遺族基礎年金、障害基礎年金、厚生年金保険などの年金を受ける権利があると繰下げ請求そのものができない。
  • 振替加算額については、繰下げ受給を請求しても増額がない。

繰上げ受給も繰下げ受給も細かい要件などがあります。安易にするしないではなく、金額のシミュレーション計算などはしつつ、自分と配偶者の細かい要件などもチェックして決めるようにしましょう。

年金の繰上げ受給と繰下げ受給の損益分岐点は何歳か?

年金の繰上げ受給と繰下げ受給の損益分岐点

2016年の簡易生命表(出所:厚生労働省)によると60歳時点の男女それぞれの平均余命(あと何年生存するか)は以下のとおりです。

  • 60歳男性の平均余命:23.67歳 → 83.67歳
  • 60歳女性の平均余命:28.91歳 → 88.91歳

例えば年金の繰上げ受給をした場合、本来の65歳から年金受給をした場合、あるいは70歳から繰下げて年金受給した場合損益分岐点よりも長く生存できれば収支の上では得ということになります。

但しこれは現在の数字なので、すでに年金を受給する年齢の人にはそこそこ参考になりますが、もう少し若い世代は違う統計も考慮しておきたいところです。

内閣府の平成29年版高齢社会白書の平均寿命の推移と将来推計によると、2050年男性の平均寿命は84.02歳、女性は90.40歳と予測しています。

少し乱暴な言い回しですが医療技術も上がっていますので、病気になってもそう簡単には亡くならないということもあるでしょう。

繰上げ受給の減額率と損益分岐点

繰上げ受給:0.5%×繰上げた月数年金が減額

  1. 例)65歳→60歳に繰上げ受給
  2. 12ヶ月×5年=60 0.5%×60=30%減額
  3. 国民年金額(2017年)満額 779,300×(-30%)=545,510円

5年繰上げ受給すると上記の金額になります。77歳4ヶ月の時点でほぼ同じ金額です。男性でも女性でも平均並みの寿命まで生存する前提であれば、繰上げ受給するメリットは少ないということになります。

統計に見たように年金を新たに受給し始める人が繰上げ受給する割合が減っているのは理にかなっているといえます。

繰下げ受給の増額率と損益分岐点

繰下げ受給:0.7%×繰下げた月数年金が増額

  1. 例)65歳→70歳に繰上げ受給
  2. 12ヶ月×5年=60 0.7%×60=42%増額
  3. 国民年金額(2017年)満額 779,300×(+42%)=1,106,606円

実は繰下げ受給すると年金がこれだけ増えます。81歳11ヶ月で65歳から受取った場合とほぼ同額を受取ることになります。

実は繰下げ受給しても現在の平均寿命に届く前に収支は逆転します。仮に70歳から繰下げ受給するならそれまで生活費の目処などが雇用延長や自営業の継続で可能なら繰下げ受給もありでしょう。

繰上げ受給とは逆に統計では繰下げ受給までしている人は少ないのですが、今後は増えていくかもしれません。年金の繰下げ受給は長生きするほど得です。

繰上げ受給、繰下げ受給の請求方法、手続きと必要書類

繰上げ受給、繰下げ受給の請求方法、手続きと必要書類

年金受給の繰上げ、繰下げの手続きや書類については下記の電子政府の総合窓口e-GOVから確認できます。

繰上げ受給の手続きや書類

厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書(国民年金)

厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書(厚生年金保険)

繰下げ受給の手続きや書類

国民年金・厚生年金保険老齢基礎・厚生年金支給繰下げ請求書(国民年金)

国民年金・厚生年金保険老齢基礎・厚生年金支給繰下げ請求書(厚生年金保険)

年金繰上げ受給、繰下げ受給の判断基準

年金繰上げ受給、繰下げ受給の判断基準

繰り上げ受給する、あるいは繰下げ受給する判断については、基本的なところはそれぞれの注意点やデメリットを理解した上で収支をどう考えるかというところになります。

但し考えるのはここだけではありません。

この記事で繰上げ受給、繰下げ受給という話をしたのはあくまで公的年金(国民年金、厚生年金)の話です。人によってはさらに上乗せの企業年金に勤務先が加入しているケースがあります。

個人でも確定拠出年金の加入や生命保険会社で個人年金保険に加入するケースもあるでしょう。

今の時代60歳で定年して一切仕事をしないというわけでもありません。経済的な理由だけでなく働ければ働きたいという人も多いでしょう。

つまり60歳以降でも公的年金や私的年金、就業収入、不動産収入などもあるでしょう。

これらから税金が引かれて手取りとなります。繰上げ受給しても他の収入との関係で手取りが変わらないならする繰上げする意味はなくなります。

繰下げするにしてもそこまでの生活費も検討する必要がありますが今後は雇用の延長なども考えられます。年代ごとに年金受給の戦略は変わってくると考えてください。

繰上げ、繰下げ受給するのに個別の収支や損益分岐点はもちろん他の収入も含めた状況からシミュレーションすることを考えて判断するようにしてください。

まとめ

年金の繰上げ・繰下げ受給の損得!年金受給で知るべき5選、についていかがでしたか。

いまの繰上げ受給のデメリットや何より損益分岐点の収支なども考慮すると、今後は繰上げする人はさらに減ってくると考えます。自分の寿命が分からない以上、お金の計算はあくまで仮計算です。

平均寿命が延びる中で体と心とお金がそれなりに健康でないと、自分なりに豊かな老後とはなりません。

年金受給者の人ともお話することがありますが、少ないと文句を言いながらもいざ年金を貰う立場になるとうれしいものだそうです。

この感情は年金を受取るときでないと分からないでしょうが、損得だけでなく自分なりにお金を有益につかえる老後を過ごせるように受取り方を考えましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし
平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。FP歴19年。


・個人のお金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて損害保険ガイドを務め、約14年に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は500本以上。

現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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