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60歳から年金を繰り上げ受給するデメリットとは?

60歳から年金を繰り上げ受給するデメリット
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公的年金(国民年金・厚生年金)は、繰り上げして最高60歳から前倒しして受け取ることができますが、年金減額などデメリットがあります。

■年金の繰り上げ受給の記事で学べること

【1】繰り上げ受給するデメリットと減額率

【2】繰り上げ受給すると何歳で追いつかれる?

【3】繰り上げするかの判断基準

【4】必要書類と手続き方法

公的年金の繰り上げ受給のポイントや注意点についてファイナンシャルプランナーが解説します。

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年金を繰り上げ受給するデメリットと減額率

年金を繰り上げ受給するデメリットと減額率

年金の繰り上げ受給の話になると60歳で繰り上げ受給した場合のケースがよく引き合いに出されます。

実際には61歳、62歳、63歳、64歳でも繰り上げ受給は可能ですし、さらに月単位で選択することができます。

例えば61歳6カ月、63歳2カ月などです。65歳に近づくほど減額率は減り、本来の年金額に近づいていきます。

それでは具体的に繰り上げ受給した際のデメリットや注意点を確認していきましょう。

年金を繰り上げ受給した場合のデメリットと注意点

繰り上げ受給をするとどのようなデメリットがあるのかよく覚えてください。主な注意点は以下のとおりです。

  1. 繰り上げ受給すると年金が減額(最大24%*)、この減額は一生涯続く
  2. 繰り上げ受給をした後に取り消しや変更はできない
  3. 繰り上げ受給後は、国民年金への任意加入や保険料の追納ができない
  4. 寡婦年金の受給や後で症状が重くなったことなどによる障害基礎年金の請求ができなくなる
  5. 65歳になるまで遺族厚生年金・遺族共済年金が併給できなくなる
  6. 老齢基礎年金を繰上げて請求した後は、寡婦年金が支給されない。既に寡婦年金を受給している人は、寡婦年金の権利がなくなる

*2022(令和4)年4月より「繰上げ」1カ月あたりの減額率が0.5%から0.4%に緩和されました(生年月日で違いがある)。
・0.4%減額:1962年4月2日以降生まれの人
・0.5%減額:1962年4月1日以前生まれの人

メリットについては早く年金を受給することができるということぐらいです。繰り上げ受給を検討している以上は事情があるでしょうが、60歳ならまだまだ働ける年齢です。

できればそれを前提に考えた方がいいでしょう。

年金繰り上げ受給の減額率

国民年金の繰上げ受給は月単位となっているため、請求した月の翌月分から繰り上げたかたちで年金を受け取ることができます。

次のように繰り上げる年金は次のように計算します(昭和16年4月2日以降生まれの人)。

  • 減額率=(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.4

ひと月当たり0.5%減額される計算ですから、65歳から受け取る年金を60歳に繰り上げ受給する場合には5年(60ヶ月)になります。

60ヶ月×0.4%=24%減額

このように計算します。仮に62歳7カ月(29ヶ月)で繰り上げ受給すると、29カ月×0.4%=11.6%減額となります。

繰り上げ受給の改正(2022年4月)

これから繰り上げ受給をするかどうか検討していて、繰り上げ受給をすると決めた人は、たかがひと月当たり0.1%と侮ってはいけません。

この減額割合は一生涯続きますから長く生きるほど効果が大きくなります。

60歳から繰り上げ受給するといつ追いつかれる?

年金を前倒しして早期に受け取ると減額されるため、通常どおり65歳から受け取るとやがて受給している年金の総額で追いつかれます。

60歳からの繰り上げ受給では、現状の0.5%の減額割合で「76歳8か月」、2022年4月以降の0.4%の減額割合で「80歳10か月」で65歳から年金を貰っている人に追いつかれます。

60歳からの1歳ごとの損益分岐点の年齢は次のようになります。

【繰り上げ受給後の損益分岐年齢の目安】

繰り上げ受給年齢 損益分岐年齢
60歳 80歳10ヶ月
61歳 81歳10ヶ月
62歳 82歳10ヶ月
63歳 83歳11か月
64歳 84歳11か月

ちなみに2021年の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。

女性はいずれも平均寿命前には受け取る年金の総額で逆転され、平均寿命はさらに延びていくでしょう。

デメリットのところで解説したように繰り上げ受給した後は取り消すことはできません。

いつまで生きるかは誰にも分かりませんが、平均寿命を基準に考えるとあまり得ではないのです。

年金繰り上げ受給をするかどうかの判断

年金繰り上げ受給をするかどうかの判断

年金の繰り上げ受給について専門家でおすすめする人は少ないでしょう。筆者も同様です。

1ヶ月0.5%減額というものの、繰り上げ受給後も生存している間ずっと減額され続けるからです。

言葉は乱暴ですが、長生きするほど減額を影響を受け続けます。

その他デメリットがあることを考慮すると年金の繰り上げ受給は生活がかなり厳しい状況で繰り上げ受給せざるを得ないような人が前提です。

人によっては早く貰わないと損、あるいは若いときの方がお金を使えるなどと考える人でしょう。

平均寿命は今後も延びるでしょうし、医療技術もかなりのスピードで進歩しています。

以前なら死亡率の高かった病気もいまは必ずしもそうではありません。

健康状態やどのような仕事を考えるかなどその人の状況にもよるでしょうが、できるだけ60歳以降も働き続けることを選択する方がおすすめです。

繰り返しますが、繰り上げ受給は60歳だけではありません。

61歳でも63歳4ヶ月でも1カ月単位で可能です。繰り上げ受給の時期を少しでも後にずらすことで減額率を軽減することができます。

こうした仕組みをよく理解した上で年金の繰り上げ受給を行うようにしてください。

年金繰り上げ受給の必要書類と手続き方法

年金繰り上げ受給の必要書類と手続き方法

ここでは年金を繰り上げ受給せざるを得ない人のために必要書類や手続き方法をお伝えしておきます。

必要な書類

年金の繰り上げ受給に必要な主な書類は次のものがあります。

  • 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書
  • 老齢年老金の繰上げ請求についてのご確認

書式については下記のリンクを参考にしてください。

日本年金機構 65歳前に年金を繰り上げて受け取りたいとき

繰り上げ受給の書類の提出先

年季の繰り上げ受給の提出は、近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。

書類等については提出先の年金事務所等に改めて確認するようにしてください。

日本年金機構 年金事務所等の検索

まとめ

60歳から年金を繰り上げ受給するデメリットとは?、についていかがでしたか。

ここまでお話したように公的年金の繰り上げによる前倒しの受給はデメリットの方が多いのが現状です。

特に生活が厳しい状況だと減額が一生続くため、その状況から抜け出すことも難しくなります。

色々と事情はあるでしょうが、繰り上げ受給だけでなく、働くことが可能か、その他方法はないか、色々な方法を模索して決めてください。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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