地震保険が値下げ(2022年10月)改定後の都道県別保険料と改定内容!
2022年10月から地震保険が改定されています。全国平均では引き下げとなるものの、一部値上げの地域や火災保険の改定もあるので注意が必要です。
■この記事で学べること
【1】改定の背景
【2】地震保険の平均改定率と改定内容、改定実施時期
【3】火災保険は次の改定で値上げ
【4】都道府県別、改定後の地震保険料
地震保険の次回の改定の動向と都道府県別の具体的な地震保険料についてファイナンシャルプランナーがご案内します。
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この記事のもくじ
地震保険料率改定の背景
地震保険の改定の背景について確認していきましょう。主に3つの要件の背景があります。それぞれ項目別にみていきましょう。
3段階改定の保険料不足の解消
はじめにお話ししたように3段階に分けての地震保険料率改定が実施されました。
しかしもともと一気に保険料の値上げを行うのではなく、本来必要となる保険料水準に少しずつ近づけていく仕組みでした。
その水準に到達するまでの期間は保険料不足が発生するため、次の改定で不足分が上乗せされます(全国平均で+1.6%)。
今後10年程度かけて「上乗せを」していく予定です。
地震保険の各種基礎データの更新
地盤データや住宅・土地統計調査、地震保険契約データなどが更新され、評価方法の見直しや耐震性の高い住宅の普及効果で保険料が全国平均で▲2.3%引き下げとなります。
耐震性の高い物件が普及していることも関係しています。
所在地・構造別の基本料率の見直し
地震保険の基本料率改定において保険料が引き上げとなる場合、今回の改定で契約者に急激な負担が内容に激減緩和措置が取られています。
次の改定で特に大幅な保険料引き上げとなる茨城県、埼玉県、徳島県、高知県のイ構造は引き上げ率の上限を30%とする激変緩和措置が取られています。
また大分県の等地区分(地震保険の所在地の区分け)が2等地から1等地に変更となります(結果保険料は値下げ)。
こうした3つの背景を加味した結果、地震保険の次の改定では全国平均の保険料率は引き下げとなります。
具体的な改定幅を続けてみていきましょう。
地震保険の平均改定率と改定内容、改定実施時期
ここから地震保険の改定における平均改定率とその内容についてみていきます。
念のためにお伝えしておくと、地震保険料やその内容はどの損害保険会社でも共通です。
業界団体である損害保険料率算出機構は、火災保険については「参考純率」という参考数値を算出してこれを参考に各損保が火災保険料率を算出して改正します。
これに対して地震保険料率ては、「基準料率」を算出して各損保が共通して使用します。
地震保険は火災保険とセットで加入しますが、火災保険料部分と地震保険料部分でこのような違いがあることを覚えておいてください。
地震保険料率の全国平均の改定率
地震保険の基本料率が「0.7%引き下げ(全国平均)」、つまり次回は平均では値下げ改定となります。
建物の所在地(都道府県別)および構造によって地震保険料は引き下げだけでなく、引き上げとなるケースもあります。
ちなみに構造別の地震保険料の最大引き上げ率と最大引き下げ率は次のようになります。
- 最大引き上げ率:イ構造+29.9%(茨城県、埼玉県、徳島県、高知県) ロ構造+12.3%(茨城県、埼玉県))
- 最大引き下げ率:イ構造▲38.1%(大分県) ロ構造▲47.2%(大分県)
*地震保険は構造別にイ構造とロ構造の2つがあります。主な違いは下記のとおりです。
- イ構造:火災保険の構造区分がM・T構造(主として鉄骨・コンクリート造の建物)
- ロ構造:火災保険の構造区分がH構造(主として木造の建物)。木造の建物であっても、建築基準法に定める耐火建築物・準耐火建築物、省令準耐火建物に該当するものはイ構造。
*M構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)のこと
全体としては平均して値下げではあるものの、上記に挙げた4県は大幅な値上げです。該当する人は注意してください。
地震保険の改定内容
地震保険料率が値下げ改定されることの他、長期契約をする際の長期係数が一部見直しされます。
保険期間2年~4年については改定されませんが、保険期間5年の契約について長期係数は次のように改定されます。
- 改定前:地震保険期間 5年の長期係数 4.65
改定後:地震保険期間 5年の長期係数 4.70
この後具体的に都道府県別の地震保険料をご紹介しますが、東京のM構造など改定率が0%のケースもあります。
しかし改定率が0%でも地震保険5年の長期契約では長期係数が割引率が改定されるため若干の値上げとなります。
地震保険改定の実施時期は2022年10月1日
損害保険料率算出機構が金融庁長官に地震保険料率の改定を届出した段階では、改定日は明確になっていませんでしたが、2022年7月時点で各損保が公表をはじめています。
地震保険の改定は2022年10月1日の保険始期の契約からです。
地震保険は各社内容が一律のため、改定時期も各社同時と考えてください。具体的な都道府県別、構造別の保険料はこの後お知らせします。
火災保険の次回改定で大幅に値上げ
地震保険はこの改定で全国平均で値下げ改定となりますが、火災保険は次の改定で全国平均では大幅に引き上げ(値上げ)されています。
*個々の改定幅は建物構造や地域等で異なります。
地震保険は火災保険とセットで加入するため、同じ契約となるので保険料も一緒に支払います。
地震保険料が引き下げられても、火災保険が引き上げられると結果的には値上げということになりかねないのです。
火災保険は自由化の関係で各社内容がバラバラです。
地震保険の改定時期に合せる可能性も高いので注意してください。
地震保険でごく一部引き上げになる都道府県は火災保険と合わせると大幅な値上げです。
さらに火災保険はこの度の届出と別に水災危険のリスクに応じた保険料の導入の検討もはじめています。
地震災害だけでなく水災リスクの高い地域の人は次の次の火災保険の改定にも注意が必要です。
地震保険の改定後の保険料(都道府県、構造別)
ここから具体的に改定後の地震保険料について都道府県別および構造別に具体的にみていきましょう。
地震保険の割引は適用していないので、割引が該当するケースはここからさらに保険料が安くなると考えてください。
*ロ構造の場合、以前より一部の物件で経過措置が適用されていますがここでは割愛します。
もともと本来のロ構造の保険料率に少しずつ近づけているので一部の都道府県を除き、経過措置の料率も本来のロ構造の地震保険料率と同じに引き上げられています。
北海道・東北地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし) イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
北海道 | 7,400円 | 7,300円 |
青森県 | 7,400円 | 7,300円 |
岩手県 | 7,400円 | 7,300円 |
宮城県 | 11,800円 | 11,600円 |
秋田県 | 7,400円 | 7,300円 |
山形県 | 7,400円 | 7,300円 |
福島県 | 9,700円 | 11,600円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
北海道 | 12,300円 | 11,200円 |
青森県 | 12,300円 | 11,200円 |
岩手県 | 12,300円 | 11,200円 |
宮城県 | 21,200円 | 19,500円 |
秋田県 | 12,300円 | 11,200円 |
山形県 | 12,300円 | 11,200円 |
福島県 | 19,500円 | 19,500円 |
関東地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし) イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
茨城県 | 17,700円 | 23,000円 |
栃木県 | 7,400円 | 7,300円 |
群馬県 | 7,400円 | 7,300円 |
埼玉県 | 20,400円 | 26,500円 |
千葉県 | 27,500円 | 27,500円 |
東京都 | 27,500円 | 27,500円 |
神奈川県 | 27,500円 | 27,500円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
茨城県 | 36,600円 | 41,100円 |
栃木県 | 12,300円 | 11,200円 |
群馬県 | 12,300円 | 11,200円 |
埼玉県 | 36,600円 | 41,100円 |
千葉県 | 42,200円 | 41,100円 |
東京都 | 42,200円 | 41,100円 |
神奈川県 | 42,200円 | 41,100円 |
甲信越地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし) イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
新潟県 | 7,400円 | 7,300円 |
富山県 | 7,400円 | 7,300円 |
石川県 | 7,400円 | 7,300円 |
福井県 | 7,400円 | 7,300円 |
山梨県 | 11,800円 | 11,600円 |
長野県 | 7,400円 | 7,300円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
新潟県 | 12,300円 | 11,200円 |
富山県 | 12,300円 | 11,200円 |
石川県 | 12,300円 | 11,200円 |
福井県 | 12,300円 | 11,200円 |
山梨県 | 21,200円 | 19,500円 |
長野県 | 12,300円 | 11,200円 |
中部地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし) イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
岐阜県 | 7,400円 | 7,300円 |
静岡県 | 27,500円 | 27,500円 |
愛知県 | 11,800円 | 11,600円 |
三重県 | 11,800円 | 11,600円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
岐阜県 | 12,300円 | 11,200円 |
静岡県 | 42,200円 | 41,100円 |
愛知県 | 21,200円 | 19,500円 |
三重県 | 21,200円 | 19,500円 |
関西地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし) イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
滋賀県 | 7,400円 | 7,300円 |
京都府 | 7,400円 | 7,300円 |
大阪府 | 11,800円 | 11,600円 |
兵庫県 | 7,400円 | 7,300円 |
奈良県 | 7,400円 | 7,300円 |
和歌山県 | 11,800円 | 11,600円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
滋賀県 | 12,300円 | 11,200円 |
京都府 | 12,300円 | 11,200円 |
大阪府 | 21,200円 | 19,500円 |
兵庫県 | 12,300円 | 11,200円 |
奈良県 | 12,300円 | 11,200円 |
和歌山県 | 21,200円 | 19,500円 |
中国・四国地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし)イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
鳥取県 | 7,400円 | 7,300円 |
島根県 | 7,400円 | 7,300円 |
岡山県 | 7,400円 | 7,300円 |
広島県 | 7,400円 | 7,300円 |
山口県 | 7,400円 | 7,300円 |
徳島県 | 17,700円 | 23,000円 |
香川県 | 11,800円 | 11,600円 |
愛媛県 | 11,800円 | 11,600円 |
高知県 | 17,700円 | 23,000円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
鳥取県 | 12,300円 | 11,200円 |
島根県 | 12,300円 | 11,200円 |
岡山県 | 12,300円 | 11,200円 |
広島県 | 12,300円 | 11,200円 |
山口県 | 12,300円 | 11,200円 |
徳島県 | 41,800円 | 41,100円 |
香川県 | 21,200円 | 19,500円 |
愛媛県 | 21,200円 | 19,500円 |
高知県 | 41,800円 | 41,100円 |
九州・沖縄地方
契約金額1,000万円あたりの保険料(割引なし) イ構造(主に非木造)・ロ構造(主に木造)
【イ構造】
イ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
福岡県 | 7,400円 | 7,300円 |
佐賀県 | 7,400円 | 7,300円 |
長崎県 | 7,400円 | 7,300円 |
熊本県 | 7,400円 | 7,300円 |
大分県 | 11,800円 | 7,300円 |
宮崎県 | 11,800円 | 11,600円 |
鹿児島県 | 7,400円 | 7,300円 |
沖縄県 | 11,800円 | 11,600円 |
【ロ構造】
ロ構造 | ||
改定前 | 改定後 | |
福岡県 | 12,300円 | 11,200円 |
佐賀県 | 12,300円 | 11,200円 |
長崎県 | 12,300円 | 11,200円 |
熊本県 | 12,300円 | 11,200円 |
大分県 | 21,200円 | 11,200円 |
宮崎県 | 21,200円 | 19,500円 |
鹿児島県 | 12,300円 | 12,300円 |
沖縄県 | 21,200円 | 19,500円 |
まとめ
この改定については、「改定がいつ、 何回実施されたか」「火災保険の改定の影響」の2つがポイントになります。
火災保険や地震保険が満期を迎える人で特に長期契約の人は、満期までの間に何度改定があったか注意してください。
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