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確定拠出年金(企業型)は退職時の塩漬け注意!個人型との違いと併用とは?

 2016/12/01 殖やす
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個人型の確定拠出年金が2017年1月より拡充されますが、企業型の確定拠出年金にも大きく関係することです。この拡充で企業型確定拠出年金は個人型の併用とマッチング拠出を選択することが可能になります。

企業型確定拠出年金のメリット・デメリット、また企業型は転退職する際には自動移換されないように注意するポイントがあります。

老後の資産形成では、最も有利な確定拠出年金(企業型)の制度や運用、所得控除まで解説します。

確定拠出年金の企業型とは?

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確定拠出年金には、個人型(愛称:iDeCo・イデコ)と企業型があります。

このうち国民年金の第2号被保険者である会社員で要件に該当する人が加入するのが企業型の確定拠出年金です。

具体的に企業型の対象になるのは以下の2つのケースです。

  • 企業型DC+(確定給付年金or厚生年金基金)を導入している企業
  • 企業型DCだけ導入している企業

年金制度の全体像の図で確認してみましょう。次の図の②~⑤が会社員が加入する年金制度です。

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このうち企業型DCに加入できるのは緑色の枠で囲った③と④の会社員です。青い四角が企業型のDCです。複雑な図なので他は見ないで結構です。緑の枠内の③か④を縦にみてください。

赤い破線の新設のところは2017年1月からになります。

企業型の確定拠出年金の特徴は、勤務先の企業が確定拠出年金の制度を導入・実施するかどうかを決めることです。

社員自身が企業型の確定拠出年金を勝手に設立することはできません。一般的に退職金制度の一環として導入されるケースが多いため、企業側が掛金を負担します。

企業型確定拠出年金の掛け金

 

先ほどの図に記載されていましたが、企業型の確定拠出年金の掛金の上限は次のようになります。

  • 企業型DC+(確定給付年金or厚生年金基金)の企業(図の④) 月々55,000円
  • 企業型DCだけの企業(図の③) 月々27,500円

これらの掛金を会社負担になります。なお、これらはあくまで支払うことのできる掛金の上限です。

勤務先企業が必ず上限一杯まで掛金を支払うわけではありません。上限は月々55,000円でも実際の拠出は15,000円ということもあるのです。

確定拠出年金の企業型と個人型の違い

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ここで確定拠出年金の企業型と個人型の違いについて確認しておきましょう。

企業型 個人型
DCの導入 企業が制度導入・実施 加入者個人が任意で契約・加入
掛金負担 企業(※1) 加入者個人
対 象 企業型DCと他の企業年金導入企業及び企業型DCのみ導入企業勤務の会社員 自営業者、フリーランス、企業型DCや他の企業年金制度見導入の企業勤務の会社員(※2)
加入者数 約581万人 約28万人

※1 マッチング拠出や2017年1月以降に個人型DCを併用して個人負担できるケースがある
※2 2017年1月から公務員や主婦などこれまでDCに加入できなかった人まで拡充
※3 加入者数は2016年8月末現在(出所:厚生労働省)

このように加入者数では、企業型の方が圧倒的に多い状況です。

これは従来の企業年金制度の負担が重い企業が、運用リスクを加入者自身が負う企業型DCに移していること、個人型の周知が不足してきたなどが背景にあります。

企業型と個人型で大きく異なる点は、掛金の負担を企業型は会社が負担することです。

運営管理機関(要は契約する金融機関)に対して、個人型では口座の開設時や解説中に事務手数料が必要です。

会社型では加入者個人はその負担がないのが大きな特徴です。実は運用を考えた場合、この点は個人型と比較しても大きな違いです。

確定拠出年金(企業型)のメリット、デメリット

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確定拠出年金には、税制優遇や運用商品、特に投資信託の運用管理費用(信託報酬)が安いなどのメリットがあります。

反面60歳まで資金の引出ができない、年金受給額は個々の加入者の運用成績次第というデメリットがあります。

確定拠出年金の基本的なメリット・デメリットを踏まえた上で、企業型ならではのメリットとデメリットをみていきましょう。

確定拠出年金(企業型)のメリット

  • 通常掛金は企業負担(個人型は加入者負担)
  • 制度導入の手続きは勤務先が行ってくれる(個人型は自分で調べて、自分で契約)
  • 初期の投資教育は勤務先が実施

確定拠出年金(企業型)デメリット

  • 運営管理機関を自分で選ぶことができない(企業が契約)
  • 自分で意思ではなく、勤務先が導入を決めるためあまり考えずにやっている人がでてくる

デメリットについて補足しておきます。運営管理機関ごとに提供される運用商品(投資信託、預金、保険など)は異なります。

会社が導入を決めた運営管理機関の運用商品に魅力的なものがない場合(実際にありえる)、自分だけ勝手に変更することができません。

また勤務先の都合で確定拠出年金をはじめるため、資産運用など興味がない、やりたくない人も結果的にはじめることになります。

これ自体はデメリットではなく、むしろ良い機会なのですが、せっかくの機会を棒に振っているケースが多いのも事実です。

確定拠出年金の企業型の運用

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統計によると、企業型確定拠出年金の運用は、元本確保型が約6割、投資信託等が約4割です(企業年金連合会 2014(平成26)年度決算 確定拠出年金実態調査)。

さらに元本確保型商品が100%の人もいます。その加入者の割合が最も多いのは、導入企業の加入者の20%~~40%未満のゾーンです。

実は企業型でこれができてしまうのでは、運営管理機関に支払う事務手数料が企業型では加入者負担でないからです。

個人型では運営管理機関等に毎月数百円程度の事務手数料を加入者が支払わなければなりません。

マイナス金利の現在、預貯金や保険商品では確定拠出年金も資産は全く殖えません。その状況で事務手数料を取られたら資産は減っていくだけです。

確定拠出年金では運用期間中の収益(儲け)は非課税です。

このことから確定拠出年金を上手に活用する方法の一つとして、投資リターンの高い運用商品を利用するのが実は効果的に資産を殖やすことに繋がります。

預貯金以外はやりたくない人に強要するつもりはありませんが、せっかくの制度を活かせていないのはもったいないことです。

企業型の確定拠出年金の上乗せ

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実は企業型の確定拠出年金は勤務先が導入してくれれば、個人負担で上乗せして掛金を支払うことができるのです。

確定拠出年金(企業型)とマッチング拠出

マッチング拠出は、これまで勤務先企業のみが負担していた確定拠出年金の掛金を加入者自身が自分の負担で掛金の支払いをできるようにするものです。

マッチング拠出には上限額があります。勤務先との掛金との合計が拠出限度額である月額55,000円または27,500円を超えることはできません。

また会社の掛金を加入者の掛金が上回ることもできません。

例えば、企業型の上限が55,000円/月のケースで企業型の掛金を会社が3万円支払っているとします。

会社の掛金を加入者の掛金が上回ることはできませんから、加入者も3万円までになります。

2つ合わせると限度額の55,000円を超えてしまうため、加入者が加入できるのは25,000円までになります。

確定拠出年金、企業型と個人型の併用

2017年1月から個人型の拡充により、企業型に加入しているケースでも個人型に加入できるようになります。

企業型の上限が月々55,000円なら、個人型は月々20,000円、企業型の上限が月々27,500円のケースでは個人型は月々12,000円の掛金になります。

なおマッチング拠出と個人型DCそれぞれを上乗せすることはできませんのでどちらかを選択する形になります。

確定拠出年金(企業型)は、税金の所得控除はできる?

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企業型は勤務先で掛金の負担をしていますから、加入者個人の所得控除の対象にはなりません。

しかしマッチング拠出や個人型に上乗せ加入したときには、加入者個人の掛金負担になりますので、該当する掛金部分は所得控除の対象です。

確定拠出年金(企業型)は転職・退職時に塩漬けしないよう注意(自動移換)

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確定拠出年金の自動移換とは?

確定拠出年金(企業型)に加入していて転職や退職をすると、加入者の資格を喪失します。確定拠出年金(企業型)に個人別管理資産がある者が、加入者の資格を喪失します。

その後資産を個人型または他の企業型の確定拠出年金への移換などの手続きを6カ月以内に行わないと資産は現金化されます。

その上で現金化された資産は国民年金基金連合会に自動的に移換されてしまいます。

企業型の確定拠出年金が自動移換されると資産が塩漬け状態になる!

2016年11月のメディアの報道によると、転退職時に手続きせずに自動移換された資産(塩漬け)の総額が1,428億円!

実際に自動移換されると塩漬けされて下記のようなデメリットしかありません。

  • 運用がすることができないため、全く資産が殖えない。
  • 年金の受給可能な年齢になっても、給付が受けられない(受給には個人型年金に資産の移換が必要)。
  • 資産を仮預かりしている期間は、正式な加入期間とはみなされない。
  • 管理手数料が毎月51円(年間612円)必要。

株式投資などで購入した銘柄が暴落して売りに売れないため、ずっと保有している状態を塩漬けなどということがあります。

確定拠出年金では、転職・退職時に自分できちんと手続きしないと、上記のように自動移換されて塩漬けされた状態になります。

塩漬けされているだけならまだいいですが、車を路上に放置していたらレッカー移動されたようなものです。

罰金(つまり自動移換されるとコストがかかる)を取られている上に運用できません。せっかく有利な制度で積立したのに資産が減っていくだけです。

企業型の確定拠出年金の加入者のよくないところは、導入時に勤務先がまとめて契約してくれるので、転退職時も同じように勤務先が手続きしてくれると考えている人が多いことです。

確定拠出年金に加入すると、自分だけの専用口座ができ、そこに掛金を支払い、自分で運用して資産を殖やします。投資リスクも加入者が負います。

自分のための専用の口座ですから、転退職時の管理も自分でしなければならないのです。

まとめ

企業型の確定拠出年金についていかがでしたか。

公的年金に加えてその他の企業年金や確定拠出年金まで関係する企業型は自営業などの人に比べるとパターンが多いため制度が少し複雑です。

老後の資産形成をするために、会社負担で色々やってくれるのが企業型の大きな特徴です。

企業型の確定拠出年金についてメリット・デメリットを含めて自分でしっかり制度を理解、運用していくことが資産を殖やしていくことに繋がります。

会社負担で色々やってくれていることに甘えてしまうと、有利な制度の利点を活用することができなくなってしまうので注意してください。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし
平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引主任者)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。FP歴18年。


・個人のお金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて損害保険ガイドを務め、約13年に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は400本以上。

現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

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