老後にもらえる年金をタイプ別に増やす方法
老後の生活に漠然と不安に思う人も多いでしょうが、らえる年金を増やせればそれに越したことはありません。しかし年金額を増やす方法は一律ではありません。
■この記事で学べること
【1】年金の加入期間を延ばし、年金保険料をより多く納める
【2】年金受給をはじめる年齢を後ろにずらす
【3】働く時間を延ばす
次のページ以降、これらの詳細と老後の年金を増やす方法について、タイプ別にファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
老後の年金を増やす方法(共通事項)
はじめにサラリーマンや自営業などという働き方の違いによるものでなく、誰にでも共通する年金を増やす方法と基本的な考え方についてお伝えします。
現役時代の自分が老後の自分を支える
とても重要なことですが、老後の年金は現役時代の自分が支えて増やすものです。
こんな書き方をすると公的年金(国民年金・厚生年金)などは、現役世代が老後の世代を支える制度ではないかと反論もあるでしょう。
確かに公的年金などの制度はそのとおりです。
しかし例えば国民年金を必要な月数加入して保険料を納付していなければ、老後に年金を貰えなかったり減額されたりします。
こうしたことがないようにきちんと年金制度に加入して保険料を納めるのは、他ならぬ現役時代の自分自身です。、
※この記事でいう国民年金は老齢基礎年金、厚生年金は老齢厚生年金のことを指しますが、解説の便宜上、国民年金および厚生年金と記載します。
老後の年金を増やす方法(共通事項)
はじめに書いたように働き方を問わず、老後の年金を増やす方法と基本的な考え方は次のとおりです。
- 年金の加入期間を延ばし、年金保険料をより多く納める
- 年金受給をはじめる年齢を後ろにずらす(年金の繰下げ受給)
- 働く時間を延ばす
それぞれ詳細についてみていきましょう。
年金の加入期間を延ばし、保険料を多く納める
国民年金など免除や猶予することが可能です。理由があれば仕方ありませんが、そうでなければ老後の自分の首をしめるだけです。
60歳以降でも加入期間が満額に満たなければ、加入できるケースもあります。
サラリーマンや公務員の人の厚生年金は、収入によって保険料や老後の年金額が変わります。
収入が多い方が保険料も上がりますが、将来の年金額アップに繋がります。
勤めの人は現役時代に収入をアップすることが、将来の年金額のアップになるのです。
パートなどをしている専業主婦(または主夫、以下解説の便宜上、専業主婦と書きます)も同様です。
働く時間を多くして、社会保険に加入します。手取りが減るから嫌だという人もいるでしょう。
特に女性は男性よりも平均寿命が長いので、老後の年金を増えることを考えると決してマイナスではありません。
年金受給をはじめ年齢を後ろにずらす(年金の繰下げ受給)
公的年金の受給は原則65歳からになります。年金の受給は65歳より早く受け取ったり(繰上げ受給、減額される)、遅く受け取る(繰下げ受給、増額される)ことを選べます。
現行の制度では、公的年金の繰下げ受給は1ヶ月遅らせるごとに受給額は0.7%増えていきます。
70歳まで年金の受給を遅らせることで最大42%年金を増額させることができます。
デメリットがあるとするなら、繰下げ受給して早く死亡してしまうことがあれば損をすることもありえます。
しかし繰下げ受給で増額された分は、そのまま生存している限り支払いが続きます。
わずかばかり預貯金を増やすよりもずっと効果が大きいのです。
現在70歳までの繰下げ受給を改正して、75歳まで繰下げ受給(最大84%増額)することを選べるようになります。
働く時間を延ばす
直接年金を増やすことに関係なさそうですが、間接的に物凄く関係があります。
60歳までに国民年金を満額受け取るために、加入期間が不足していれば続けて年金に加入する必要があります。
また年金を繰下げ受給するためには、繰下げしている期間の生活を維持しなければなりません。
そのために働く時間を延ばす、さらに付け加えるなら健康であること、高齢になっても仕事ができるスキルを身につけておくことが非常に重要なのです。
タイプ別老後の年金を増やす方法(サラリーマン・公務員、自営業、専業主婦など)
年金を増やす方法の共通事項を踏まえて、ここから個別に働き方ごとに年金を増やす方法を考えていきましょう。
会社員(サラリーマン)、公務員
会社員(サラリーマン)や公務員の場合、公的年金は国民年金+厚生年金が基本です。
後は勤務先によって企業年金を独自に導入しているので、同じサラリーマンでも勤務する会社ごとに企業年金の導入状況は異なります。
公務員の場合は上乗せ部分に共済年金がありましたが、2015年10月に民間企業の年金制度である厚生年金と一本化しています。
年齢の高いひとほど共済年金の割合が多いので年金額は増えるでしょうが、いずれも転職でもしない限り年金制度は変わりません。
お勤めの人の場合は、やはり収入を増やすことが老後の厚生年金額の増加に直結しますのでここを意識してください。
スキルアップしてより高い収入を得ることが、目先のことだけではなく老後の年金額を増やすことになるのです。
企業年金などの導入状況は勤務先によって色々でしょうが、個人型の確定拠出年金(iDeCo)などに加入できればこうした制度は利用しておきましょう。
もしくは勤務先が導入していれば確定拠出年金制度のマッチング拠出です。
iDeCoについては現行の制度では一部のサラリーマンは、勤務先の状況によっては加入することができないことがありますが、これについても改正が議論されています。
自営業・フリーランス
意外と問題が多いのが、自営業やフリーランスの人です。
サラリーマンなどのように入りたくなくても、給与から年金保険料が勝手に天引きされているわけではないからです。
何もしなければ基本は国民年金だけで、事業の資金繰りが厳しければ老後資金の年金を増額することは後まわしのケースもあるでしょう。
第一に国民年金が満額受給に満たないなど、保険料を納めていないならこれを満たすようにすることです。
また国民年金の上乗せの年金に加入することも検討しておきましょう。
具体的には、次の方法です。
- 付加年金
- 国民年金基金
- 小規模企業共済
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
気軽なところでは付加年金は、保険料が月200円で受給開始後は2年くらいで元が取れます。
これらの制度は確定申告の際も社会保険料控除や小規模企業共済等控除の対象になりますので、上乗せで年金を増やしつつ節税にも繋がります。
個人事業主の人が年金を増やす一番の方法は、厚生年金への加入です。
個人事業主は厚生年金に加入できないでしょという方、そのとおりです。ではどうするのかというと個人事業の法人化です。
本業で頑張って働き、売上や収入を増やし、法人化して年金額を増やすということです。
法人化するだけのメリットがある売上が必要ですが、それくらいになれば報酬も多く取れるので頑張ってみてください。
専業主婦(主夫)
次に専業主婦についてです。主婦の場合、パートなどをしているなら厚生年金に加入するくらいまで収入を増やすということをお伝えしました。
厚生年金の加入についても、2016年10月から従業員501人以上の企業、週労働時間20時間以上、賃金月8.8万円(年収106万円)以上など要件を満たせば加入するようになっています。
今後さらにこの従業員数の要件などが段階的に緩和されることが決まっています。
- 2022年10月(101人以上~)
- 2024年10月(51人以上~)
また妻が年下の場合、夫が定年退職して第2号被保険者でなくなると、妻は第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者が該当する)でなくなります。
仮にこの妻の年金の加入期間が少ない場合、第3号被保険者でなくなる61歳~65歳までの5年間は国民年金に任意加入することができます。
国民年金の加入期間は60歳までですが、加入期間が40年に満たない場合には、「本人の申請」で保険料を納めた上で、年金額を増やすことができのが任意加入です。
自分の意思ではじめなければならないので注意してください。知らなかったでは困るのは自分です。
また第3号被保険者でなくなることで第1号被保険者になりますが、自営業のところで解説した付加年金にも加入できるようになります。
他にも条件がありますが加給年金というものもあります。
夫は65歳から、妻は70歳から年金を繰下げ受給をすることで、受給開始時期を夫婦でずらすと世帯全体の受給額が上がる場合があります。
会社員(サラリーマン)や公務員として厚生年金の加入期間が20年以上ある場合に配偶者加算というものがあります。
夫が先に受給開始の繰り下げをすると、その間は加給年金は受け取れなくなります。
年下の妻がいる場合には、先ほどの年金の繰下げ受給をするか、加給年金を受け取ったほうがいいか、比較してからどのようにするか決めましょう。
個人型の確定拠出年金(iDeCo)は加入者ごとに年金資産が分別管理されます。
専業主婦で夫婦であっても、夫と妻それぞれで加入すれば妻の年金資産は妻のものとして別になります。
まとめ
老後にもらえる年金をタイプ別に増やす方法、についていかがでしたか。
自分がいつまで生きるのか分からないからこそ、難しいのですが自分の健康とともにお金の健康もこれまで以上に維持することが求められます。
記事の冒頭に書いたように、老後の自分の生活を支えるのは他人ではなく自分自身です。
老後になってからではできることに限りがあります。
社会保険に新たに加入したり、社会保険料が増えることで目の前の手取りが減ることを気にする人もいます。
へたに収入をセーブしてあれこれ気にするより、収入を増やすことに注力した方が自分のためにもなります。
現役時代から記事に書いたことを意識して行動するようにしてください。
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