確定拠出年金(iDeCo・企業型)を活かす運用方法と商品、失敗を減らすコツ
確定拠出年金(iDeCo・企業型)では運用方法・商品をどうするかがポイントです。運用商品も複数あり、失敗しないためには最初が肝心です。
■この記事で学べること
【1】確定拠出年金の運用方法・利益確定
【2】商品から考える確定拠出年金の運用
【3】上手に運用するテクニックとコツ(配分変更・スイッチング)
【4】運用方法におけるiDeCoと企業型の違い
商品商品の配分や資産が殖えたときの利益確定、運用方法の配分変更やスイッチングなど確定拠出年金・iDeCoの失敗を減らす運用のコツについて解説します。
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この記事のもくじ
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の運用方法
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の運用方法をお話する前に、特にはじめての人、あまり調べずにはじめた人は改めて確認しておいてほしいことがあります。
それは確定拠出年金の特徴です。
この制度は老後の年金資産を作る制度であって預金やその他金融商品ではありません。
原則として年金受取開始までは資金の引出ができません。
公的年金(国民年金や厚生年金)が途中で資金の引き出しができないのと同じです。
単に預金の代わり、金融商品の代わりという感覚だと目的違いになる可能性があるので注意してください。
運用方法や運用商品については後からその配分や割合は変更することが可能です。
確定拠出年金(iDeCo・企業型)と運用方法
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の運用方法で最も効率的なのは、それなりに高いリターンが期待できる運用商品で運用することです。
その理由は高いリターンが期待できるということは運用益が上がる可能性があるわけです。
この制度では運用益に税金はかかりません。
運用に対するリスク許容度や年齢などによって、リスクのある資産への配分が少なくなる人や減らした人ももいるでしょう。
それはそれでいいのですが、確定拠出年金の特徴の一つである運用益が非課税ということを活かすにはリターンを期待できる商品で運用する方が投資効率がいいのです。
その意味では極端な話、投資資金の全額を元本確保型で運用するのはもったいないのです。
実際にこうした運用をするかどうかはともかく、考え方として理解してください。
それなりのリターンを期待して投資信託などで運用方法を決めた際、もう一つのコツは投資信託の手数料が安いものを選ぶことです。
投資信託などの手数料は、安いものが増えています。
その手数料(運用管理費用「信託報酬」など)が安いに越したことはないのです。
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の利益確定
確定拠出年金(個人型iDeCo、企業型)の運用では、運用益が非課税になるのはすでにお話したとおりです。
但し、運用益というのは売却しなければ利益が確定しません。
自分の資産状況の増減はネットなどでも確認できますが、これはあくまで今の時点で売却したらいくらの利益という評価益です。
もちろん売却すれば利益は確定します。しかし使うタイミングがまだ先なら売却した後にまた他の商品で運用しなければなりません。
一般的には別なものなどで積立を継続して、購入単価の平準化をはかっていきます。
まだリスクを取れる状況なら新NISAを使うのも手です。
商品から考える確定拠出年金の運用
確定拠出年金の運用商品には、「元本確保型商品」と「元本変動型商品」があります。
前者は預金や保険が中心です。後者は株式や債券などの投資信託です。
確定拠出年金の運用商品
確定拠出年金で高いリターンを期待できる運用商品となると、元本変動型商品になります。
こうした商品では特に信託報酬(運用管理費用)などの手数料が低いものを選んでください。
個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)なら、自分で加入する金融機関を選べますので、商品選び以前に金融機関選びが重要です。
預貯金での運用が駄目とまでは言いません。
しかし運用して殖えた分が非課税になることを考えると預貯金などの商品では確定拠出年金のメリットを活かしにくいのです。
またiDeCoは金融機関に支払う管理手数料を自分で負担しなければなりません。
ほぼゼロと言っていい預金金利では、この金融機関手数料の負担に喰われてしまいますから注意が必要です。
運用商品のランキングって参考になる?
どんなものでも商品の選択で分からないことがあると、ランキングなどを見たくなることもあるでしょう。
確定拠出年金でも商品ランキングなどで検索する人がいるようですが、個別の商品自体のランキングはあまり参考になりません。
なぜなら加入している金融機関(運営管理機関という)によって確定拠出年金の運用商品が違うからです。
仮にランキングがあってそこに気に入った運用商品があっても、自分が加入している金融機関で取り扱っていなければ意味がありません。
個人型のiDeCo(イデコ)ならまだ自分で加入する金融機関を選べますが、企業型では勤務先が一括して契約するため自分では選ぶことはできません。
確定拠出年金を上手に運用するテクニックとコツ(配分変更・スイッチング)
確定拠出年金の運用方法は、一度はじめたらある程度は放置・ほったらかしの運用でも大丈夫です。
年に1回報告書が届くタイミングや忘れにくい日を決めてネットで数回確認する位でも十分です。
運用状況をチェックしてみたら、利益確定するあるいは毎月の運用商品や配分を変える、貯まった資産を違うもので運用するなどの場合は変更することも運用方法の一つです。
確定拠出年金の配分変更
「配分変更」とは、毎月の掛金で運用する商品の配分比率を変更することです。例えば毎月2万円の掛金で運用しているとします。
【変更前】
- 運用商品A 50%
- 運用商品B 30%
- 運用商品C 20%
【変更後】
- 運用商品A 30%
- 運用商品B 20%
- 運用商品D 50%
というように、毎月の掛金で運用する商品の配分比率を変えます。
注意事項としてこの配分変更は、運用方針そのものの変更です。長期運用の確定拠出年金で、目先の事情で頻繁に配分変更するのは、もともとの主旨を狂わすことになります。
運用に慣れてきたので、もう少し積極的に運用する商品に変更したいなど、明確な理由があれば構いません。
しかし目先の価格の動きに振り回されて頻繁に変更することは控えましょう。
確定拠出年金のスイッチング
「スイッチング」とは、運用・保有している商品を売却あるいは解約した後で、他の運用商品に変更することをいいます。
上記の例と同じように毎月2万円の掛金で確定拠出年金をした結果5年間で150万円の年金資産があったとします。
【変更前の年金資産】
- 運用商品A 75万円
- 運用商品B 45万円
- 運用商品C 30万円
【変更後の年金資産】
- 運用商品A 50万円
- 運用商品B 45万円
- 運用商品C 0万円
- 運用商品E 25万円
- 運用商品F 30万円
投資信託は、運用中に信託報酬(運用管理費用)がかかります。
他に運用商品によって売却した際に手数料(信託財産留保額)がかかることがあります。そのような運用商品だと売却するたびにコストがかかるので注意が必要です。
また売却したら次の運用商品で新たに運用することになります。
資金をまとめて投入することになるので、どのような商品で運用するかよく方向性を吟味してください。
運用方法における個人型iDeCoと企業型の違い
個人型の確定拠出年金(iDeCo)
iDeCo(イデコ)の場合には、加入の際に金融機関を自分で探して、自分で選ばなければなりません。
はじめに最も手間がかかりますが、面倒に思わずにしっかり金融機関を選んでください。
金融機関には口座管理費用などを支払いますが、iDeCoでは加入者負担です。かかるコストは一律ではないのでこれもできれば、コストが割安なものからみてください。
最低でも税込み171円(105円+66円)が必要です。
金融機関によってはこれにプラス数百円加算されるケースが多いです。
後から金融機関の変更可能ですが、さらにお金と手間がかかりますのでデメリットしかありません。
iDeCoの場合は、どのように運用するか以前に何よりもはじめの金融機関選びが重要です。面倒くさいと思わずに時間を掛けてしっかり調べましょう。
企業型の確定拠出年金
企業型の場合、自分で金融機関(運営管理機関)を選ぶことができません。
その手間はかかりませんし、口座の管理費用などは勤務先負担になっていることが多いです
それはいいのですが、投資信託の手数料が高い、自分の運用にあった商品がない金融機関で加入することになると最悪です。
可能な範囲で投資信託のコストが安いものを中心に検討してください。
結構手数料が高いものが混ざっていることもないとは言えません。
企業型の場合、良くも悪くも金融機関を自分で選んでいないため、よく見ない人も珍しくありません。
また勤務先で上乗せの確定拠出年金となるマッチング拠出かiDeCo(いずれか一方を勤務先で選択適用)を導入しているケースもあります。
強制加入ではありませんが、家計上で問題なければなるべくこの上乗せを活用してください。
*企業型の確定拠出年金の加入者は、改定によりiDeCoに加入しやすくなります(2022年10月より)。
また会社で投資教育などもあるので、積極的に参加してください。
iDeCoと違い会社が勉強する環境の無料で整えてくれます。これを使わない手はありません。
確定拠出年金の運用で失敗を減らし、利益を増やす流れ
最後に資産を増やしていくためにここまでのことを一つの流れにしておきましょう。必要ことは次の5つです。
- 老後の不足分としていくら必要か、そのための目標金額を決める
- 目標達成のために必要な掛金と運用利回りを決める
- 運用利回りの達成の無理がない資産配分を決める
- 定期的に資産配分を確認して、必要に応じて見直す
- 50代以降、年金受給を意識して資産配分や受取り時期を考え実行
老後にいくら必要かは個々に違いますので、ライフプランなどのシミュレーションが必要です。
以前は60歳定年でしたが、いまは65歳くらいになってきています。
確定拠出年金の受給は原則60歳からですが、最長70歳まで延すことができます(改正によって今後最長75歳に)。
それに見合った目標となる運用利回りを決めます。
企業年金連合会の調査によると(確定拠出年金に関する実態調査(2022年度決算))、制度導入からの平均利回りは3.1%です。
企業の制度導入時の想定利回りの平均は1.95%です。
自分も年金資産を増やそうとしたとき、確定拠出年金の運用の資産配分を100%預金にしたらどう考えても無理なのは分かると思います。
実際に必要な金額、自分が許容できる商品リスクなどを踏まえて資産配分を考えてください。
定期的に見直しするのはすでに解説したとおりです。
受け取り開始年齢の手前で利益が目標に達していれば、利益確定のために売却して資産の安全性を高める戦略もあります。
換金は急がないので、もう数年運用を続けて上昇するタイミングを待つなど、出口戦略は確定拠出年金のポイントです。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。
まとめ
確定拠出年金(iDeCo・企業型)を活かす運用方法と商品、失敗を減らすコツ、についていかがでしたか。
自分の運用方針と資産配分を決めて、それにあった金融機関を選び(個人型)、低コストな運用商品を選択します。
年に1~2度程度は資産状況をみて、必要なら配分変更やスイッチングも活用しましょう。
もちろんある程度の放置・ほったらかしの運用方法もありです。
確定拠出年金のデメリットも含めた特徴を知り、活用していくことが大切です。
自分で年金資産を殖やす経験値は何よりも代えがたいものです。確定拠出年金と別にお金を殖やすことを考えたときに必ず役に立ちます。