自動車保険にASV・AEB割引(2018)適用!軽自動車も型式別料率クラス導入
自動車保険は2018年から改定、新たな割引制度の導入(AEB割引・ASV割引と軽自動車の保険料の細分化)されています。
■この記事で学べること
【1】料率改定と型式別料率クラス
【2】2018年の改定内容
【3】自動車保険の改定で注意しておきたいこと
自動車保険の改定の動きを先取りして今後の自動車選びと自動車保険の対策を考えてみましょう。
この記事のもくじ
自動車保険の保険料率改定の動き
損害保険料率算出機構(損害保険業界のベースとなる保険料率の指針を出しているところ)が自動車保険の改定を2016年11月24日付けで金融庁長官へ届出しました。
これを受けて同年12月9日付けでこの届出の審査の結果を受領しています。
一般的にこの流れがでてから、損害保険会社でも改定の告知や社内システムの構築など準備期間が必要です。
損害保険会社によって改定内容や改定時期などは違いますが、早いところではすでに2018年1月から改定をしています。
会社によっては4月改定のところもあるので一律同時期ではありません。
自動車保険の保険料率と型式別料率クラス
改定の内容に入る前に自動車保険の保険料のベースとなっている型式別料率クラスについて説明をします。
この制度が分からないと今回の改定がよく理解できません。自動車にはそれぞれ型式が定められています。洋服などの品番みたいなものですね。
この型式つまり車ごとに事故率など保険に与える影響はかなり差があります。
そのため型式ごとに適用する料率を1~9クラスに細分化しています。型式は車検証に記載されています。下記の見本の緑の枠のところです。
出典:国土交通省
型式ごとに、「対人」「対物」「傷害」「車両」この4つそれぞれに1~9クラスの区分があります。
1クラスが一番保険料が安く、9クラスが高くなります。この型式別料率クラスは固定されているものではありません。
同じ型式の事故率などを考慮して、一定の頻度で見直されます。
例えば対人の料率クラスが4から3に下がったが、車両料率クラスが4から5に上がることなどもあります。
これは自動車保険の証券や満期案内、見積もりなどにも下記のように必ず記載されています。
自動車保険の型式別料率クラスの一部改定の背景、ASV、AEBとは?
自動車のASV、AEBとは?
以前よりASV*(先進安全自動車)の搭載車について、割引の検討がされていました。
ASV(先進安全自動車)とは、AEB*(衝突被害軽減ブレーキ)などの先進技術を利用してドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車をいいます。
*ASV(Advanced Safety Vehicle) AEB(Autonomous Emergency Braking)
ASVはスバルのEyeSightやダイハツのスマートアシストなど自動車メーカー各社が開発しています。
なお、近年話題になっている自動運転とは別なことです。
今回この中のAEB(衝突被害軽減ブレーキ)会社によってASV割引(自動運転ブレーキ)など違う名称にしていますが主旨は同じです。
型式別料率クラスの一部改定の背景
具体的には、リスク軽減効果の高いAEB搭載の自動車の普及が進んでいることが挙げられます。
その反面AEBのリスク軽減効果が自動車保険料に十分に反映されていないことが背景にあります。
AEBが搭載されていることにより、リスク回避ができているなら保険料(掛金)にもきちんと反映させましょうということです。
自動車保険の改定内容
AEB(衝突被害軽減ブレーキ)割引(会社によってはASV割引など)の新設(割引率、改定時期)
2018年(平成30年)1月1日以降、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)の装着の有無で9%の割引を適用する予定です。
この割引は、発売後約3年以内の型式の自動車に適用されます。
2018年からこうした改定をするということだけなので、改定実施時期は必ずしも一律ではありません。
3年経過したら割引がなくなるのか、というとその通りですが、それまでにデータ収集して以降は型式別料率クラスに直接反映するかたちになります。
以前あったエアバッグやABSの割引は今はありませんが、そのリスクは型式別料率クラスにすでに反映させたかたちになっています。これと同じです。
自家用軽四輪乗用車にも今後型式別料率クラス及びAEB割引を導入予定
実は自家用軽四輪乗用車には、自家用の普通乗用車や小型乗用車に適用されている型式別料率クラスは適用されていません。
自家用軽四輪乗用車に乗っている人は、保険証券をみてください。型式別料率クラスの欄はありますが、ブランクで記載がないはずです。
こちらの改定時期は、2020年(平成32年)1月1日までに導入することとなっています。
いずれの改定もいつ以降、あるいはいつまでにとなっており、現場レベルでいつ改定とはでていません。
今後明確に改定日が決まるでしょうからおおよその動きを押さえておいてください。
2018年からはAEB装備などの有無が聞かれる
上記の写真のように2018年以降の自動車保険契約分からAEB装置などの有無が聞かれます。
ある程度古い車は無いでしょうが、新車の場合には装備の可能性が高いので忘れないようにしてください。
被害者救済費用等補償特約の新設の動き
余談ながらいくつかの損保で2017年頃から「被害者救済費用等補償特約」を新設しています。
大手だと東京海上などが先行してはじめましたが、自動運転などにかかる部分です。
つまり自動運転のような状態で、ドライバーのミスと関係ないシステム上の問題で事故を起こすと、必ずしも事故の責任が運転者本人にあると言えないケースがでてきます。
加害者がはっきりしないと損害保険会社も事故対応が難しくなります。
これでは被害者も困るのでそうした場合でも事故対応できるようにした特約です。
今後の自動運転の導入を考えると当面はこうした特約が利用されるでしょう。
自動車保険の改定で注意しておきたいこと
AEB(衝突被害軽減ブレーキ)については、安全性を考慮したかたちですので、今後新しく自動車を購入する人にはお得になります。
保険料が安くなるに超したことはありませんからここは特に問題ありません。
気をつけておきたいのが、2つめの自家用軽四輪乗用車への型式別料率クラスの導入です。
今までは同じ用途車種ならベースが同じですから、車種による違いはでてきませんでした。
購入必要や自動車の維持コストの点から自家用軽四輪乗用車を使っている人もいるでしょう。
地域によっては家族一人に車一台になりますから、コストの安い軽自動車は魅力があります。
軽自動車もスポーツタイプから、ワゴンなどタイプが広がっています。
型式別料率クラスが導入されることで、保険料(掛金)が安くなるケースや逆に高くなるケースもあるでしょうから、こうした視点から軽自動車の車種選びも必要になってきます。
2020年以降の改定で型式別料率も大きく変わります。
まとめ
ASV(先進安全自動車)におけるAEB(衝突被害軽減ブレーキ)割引の導入、そして軽自動車の型式別料率クラスについていかがでしたか。
損害保険全般に言えることですが、リスク実態に応じた保険料を負担することが如実に表れてきています。
リスクが高ければそれに応じた高い保険料、低ければその分考慮した保険料になりつつあります。
この傾向は自動車保険に限った話ではありません。
今後車の買い替えが、この改定前後に当たりそうな人は、この改定の動きを覚えておいてください。