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公的年金等控除が2020年に改正!年金控除額の基礎の計算や年齢、条件を解説

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公的年金等控除とは?、公的年金等控除額表

公的年金等控除とは?、公的年金等控除額表

公的年金等控除(年金)の基本について確認していきましょう。

公的年金等控除(額)とは?

公的年金等控除とは、高齢者が年金収入を受け取る際にここから差し引ける必要経費です。

所得税では、収入の入り口を10種類の所得に分けています。例えば会社員の給料は給与所得、自営業なら事業所得、マイホーム売却なら譲渡所得などです。

このうち高齢者が年金受給する場合の、年金収入は「雑所得」に該当します。

税金の計算をする際に、収入金額から必要経費を差し引く(控除)することができます。年金所得者の必要経費に該当するものが、「公的年金等控除」です。

この記事のタイトルに公的年金等控除(年金控除)と書きましたが、現役時代に掛金を支払っているときの控除と高齢になってから受けとる年金収入の控除を混同しないようにしてください。

  • 民間の生命保険会社で加入する個人年金の掛金  個人年金保険料控除
  • 公的年金(国民年金、厚生年金など)の年金収入 公的年金等控除

このようにこれらは全く別な話です。繰り返しますがこの記事では公的年金等を受取るようになってからの年金収入の控除のことです。生保で加入する個人年金保険料控除は下記の記事をみてください。

控除の適用対象となる年金の種類

ここでいう「控除」というのは、年金収入を受取るときの話です。年金も所得ですから、手元にお金が入ってくればそこに税金がかかります。

公的年金等控除の対象になることで、手元に残るお金が多くなるわけです。掛金を支払っているときに社会保険料控除や個人年金保険料控除などの控除と混同しないでください。

公的年金等控除の対象の基本的な考え方は次のとおりです。

  1. 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
  2. 過去の勤務により会社などから支払われる年金
  3. 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で、1の法律の規定による社会保険又は共済制度

これを踏まえて具体的に公的年金等控除の対象になるもの、ならない主な年金の種類を列挙します。

公的年金等控除の対象

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 共済年金
  • 国民年金基金
  • 厚生年金基金
  • 税制適格年金
  • 確定給付企業年金(自己負担部分は除く)
  • 確定拠出年金(一時金で受取りの場合、退職所得控除の対象)   など

公的年金等控除の対象外

  • 遺族年金
  • 障害年金
  • 財形年金貯蓄
  • 生命保険会社の個人年金保険

このように公的年金「等」控除なので意外と対象となる範囲は広くなっています。但し老齢年金(高齢になって受取る、いわゆる年金)と違い、障害年金や遺族年金は公的年金等控除の対象になりません。

遺族年金や障害年金は公的年金等控除の対象・対象外というよりもそもそも所得税が非課税ですので控除を気にする必要がありません。

財形年金貯蓄も所定の非課税枠があるので同様の考え方です。民間の生命保険会社などで加入している個人年金保険などについてはこの控除の適用対象外です。

公的年金等控除額表(65歳以上、65歳未満)

公的年金等控除は年齢によって区分が分かれています。具体的には65歳以上か未満かで公的年金等控除額の速算表は、下記のようになります。

65歳未満

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
70万円以下 0円
70万円超130万円未満 収入金額-70万円
130万円以上410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円

65歳以上

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
120万円以下 0円
120万円超330万円未満 収入金額-120万円
330万円以上410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円

公的年金等控除の見直し・改正(2020年)

公的年金等控除の見直し・改正(2020年)

2018年の税制改正大綱(※)に所得税の公的年金等控除の見直し・改正が盛り込まれました。基礎控除や給与所得控除と同様の動きです。

※与党(今は自民党)が税制調査会を中心に来年度以降どう税制を変える話してまとめたもの。

平成30年度 税制改正大綱

公的年金等控除が見直し・改正となる背景

公的年金等控除は年金受給者などを対象にした控除ですが、高齢者でも高所得の人はいます。年金などで年収が500万円でも1,000万円でも同じように控除額が設定されています。

公的年金等控除は年金受給者のみ使える控除です。今後高齢者も定年退職後の再雇用や請負の仕事、起業など働き方改革の中でこれまでと違う税のあり方が必要です。

年金受給者のみ使える控除ではなく、関連記事にある基礎控除を減税して税の調整を誰でも適用される基礎控除を中心にしたものに動かしていく意向があるようです。

公的年金等控除の改正

公的年金等控除は、次のように改正される予定です。

公的年金等控除の改正内容

  1. 控除額を一律10万円引下げ
  2. 公的年金等の収入金額1,000万円超は控除額195万5千円が上限
  3. 公的年金等に関わる雑所得以外の所得の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下:上記1,2の見直し後の控除額から一律10万円引下げ
  4. 公的年金等に関わる雑所得以外の所得の合計所得金額が2,000万円超:上記1,2の見直し後の控除額から一律20万円引下げ

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、控除額を引下げ、年金収入の多い人に上限、さらに他の所得が高い人はそこから控除額引下げということです。

上記の3と4にかかる年金収入以外でいくらの所得があるかで3つのパターンがあります(1000万円以下、1,000万円超2,000万円以下、2,000万円超)。

計算の表が複雑そうに見えますが、表の①の定額と②定率を合計して最低保障額に満たなければそれが控除額になります。

公的年金等控除の改正の表

◆公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下

①定額控除 40万円
②定率控除(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円超720万円以下の部分 15%
720万円超950万円以下の部分 5%
③最低保障額 65歳未満 60万円
65歳以上 110万円

◆公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下

①定額控除 30万円
②定率控除(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円超720万円以下の部分 15%
720万円超950万円以下の部分 5%
③最低保障額 65歳未満 50万円
65歳以上 100万円

◆公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が2,000万円超

①定額控除 20万円
②定率控除(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円超720万円以下の部分 15%
720万円超950万円以下の部分 5%
③最低保障額 65歳未満 40万円
65歳以上 90万円

年金収入のみの人であれば一番上の表が該当します。合計所得金額が上がるにつれて①の定額控除や③の最低保障額が10万円ずつ下がっているのが分かると思います。

公的年金等控除の改正は2020年1月から

公的年金等控除の改正は、2020年(平成32年)分以後の所得及び2021年(平成33年)分以後の個人住民税について適用されます。納税については2020年の年末調整及び2021年の確定申告で直接関係してきます。

公的年金等控除の改正までのスケジュール

公的年金等控除の改正といっても、今は税制改正大綱がでただけですので決まったわけではありません。但しよほどのことがない限りこのまま法案が通過します。

具体的に税制改正が実施されるまでのスケジュールは次のようになります。

  • 2017年12月  与党(自民党)が税制改正大綱発表
  • 2018年01月  閣議決定
  • 2018年02月  改正法案 国会へ、その後法案可決
  • 2018年04月  改正法 施行
  • 2020年01月  この年の所得税から公的年金等控除が改正 2020年の年末調整、2021年の確定申告で適用

このように公的年金等控除の改正が確定するのは、改正法案が通過する2018年の春です。上記の流れで改正が動くので覚えておいてください。

以下は現在の公的年金等控除に関連する内容です。この改正なども関連づけて続けてお読みください。

公的年金等控除、控除対象の扶養の条件とは?

公的年金等控除、控除対象の扶養の条件

本人が公的年金等控除を利用するにあたり控除の対象となる配偶者・扶養親族の条件は次のとおりです。

  • 控除対象配偶者

控除対象配偶者とは、本人と生計を同一とする配偶者でその年の合計所得金額が38万円以下

  • 控除対象扶養親族(16歳以上)

控除対象扶養親族とは、本人と生計を同一とする配偶者以外の親族でその年の合計所得金額が38万円以下

  • 控除対象扶養親族(16歳未満)

16歳未満の控除対象扶養親族とは、本人と生計を同一とする配偶者以外の親族でその年の合計所得金額が38万円以下

公的年金等控除の計算方法、具体例(70万円、120万円)

公的年金等控除の計算方法、具体例(70万円、120万円)

公的年金等控除における雑所得の金額は次のようになります。公的年金等に係る雑所得の金額は、先ほどの速算表を使います。具体的にみていきましょう。

公的年金等控除の計算方法の例

【例】年金収入が340万円

340万円×75%-37.5万円=217.5万円  217.5万円が雑所得になります。

70万円・120万円以下の年金収入なら課税されない

他に働いていて勤労収入(給与所得)がある場合はそれを合算して税金の計算をします。年金収入のみの場合、公的年金等控除額の表にあるように最低限控除される金額があります。

  • 65歳以上 120万円
  • 65歳未満 70万円

公的年金等控除額の速算表でみたように年齢によって上記2区分があります。年金収入のみで上記の金額の範囲内(70万円、120万円)なら収入がゼロになるので税金がかかりません。

基礎控除と公的年金等控除の関係とは何?

基礎控除と公的年金等控除

公的年金等控除があるので、65歳以上で120万円、65歳未満で70歳までは税金がかからないと説明しました(年金収入のみとする)が、実際にはもう少し金額がプラスされます。

所得税には、基礎控除があるためです。基礎控除はすべての人(納税者)に関係する控除です。基礎控除は38万円あるので、これをプラスします。

  • 65歳以上 120万円+38万円=158万円
  • 65歳未満 70万円+38万円=108万円

厳密には収入金額から上記の控除を引いていくのが正しいのですが、基礎控除を合わせた基礎控除+公的年金等控除の合計で上記の金額までは課税されないということです。

確定申告と公的年金等控除

確定申告と公的年金等控除

年金所得者の税金は確定申告で手続きするのが基本です。しかし年金所得者には「確定申告不要制度」があります。

  • 公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ
  • 公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下

上記に該当する年金所得者は確定申告が不要となります。

現役時代に会社員だった人は、基本的に会社が給料から源泉徴収して年末調整で税金の関係は済んでいました。

年金所得者になると年末調整では不可になるので、確定申告が基本でこれが必要になるかは自分で判断しなければなりません。

【参考】 国税庁 年金所得者の確定申告不要制度

まとめ

年金控除/公的年金等控除とは?控除額の計算や年齢、条件を解説、についていかがでしたか。

意外に思うかもしれませんが、公的年金等控除のように年金所得者にも一定の必要経費が認められています。年齢で区分される税金のかかる対象や範囲をチェックしてください。

公的年金等控除額について改正されるかどうかは未定ですが、年金受給者で特に所得が高い人は動向に注意してください。

公的医療保険などでもそうですが年齢に関わらず、所得の高い人の負担増というのが一つの方向性になってきています。

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平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし
平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。FP歴19年。


・個人のお金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて損害保険ガイドを務め、約14年に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は500本以上。

現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

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