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資産寿命を延ばすための考え方とシミュレーション

資産寿命を延ばすための考え方とシミュレーション
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人生100年時代が浸透すると同時に「資産寿命」という言葉が使われるようになりました。老後の生活の質を保つために健康寿命だけでなく、資産寿命を延ばすことも求められています。

■この記事で学べること

【1】資産寿命とは?

【2】資産寿命の計算シミュレーション

【3】年代別・資産寿命を延ばす考え方と方法

資産寿命を延ばすための現状の確認とそれを延ばす方法について解説します。

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資産寿命とは?

資産寿命とは?

資産寿命とは?

資産寿命とは、自分の寿命の前に保有資産がゼロになるいわゆるお金の寿命のことです。

平均寿命は以前からよく言われていますし、毎年統計も公表されています。

しかし長寿化とともに単なる平均寿命だけでなく、健康寿命を延ばす必要性についても国をあげて対策をはじめています。

高齢になって体も心も年齢なりに健康であることは大事なことですが、生活していく上でお金も必要です。

平均寿命の延びとともに資産寿命も延ばすという考え方も問われるようになってきたのです。

資産寿命の前に必要なことなので、平均寿命や健康寿命の現状について数字で確認しましょう。

平均寿命の推移と今後の推計

最初に過去からの平均寿命の推移です。人生100年時代と言われる中で長寿化が進んでいることは誰もが認識していることです。

例えば50歳間近の1970年生まれの人が生まれた年(1970年)の男性の平均寿命は69.31歳です。

50年近く経ってこの頃よりすでに10数年寿命が延びています。また社会保険料や税金の負担も増加傾向です。

次の数字はよく聞く数字でしょうが、2019年の平均余命表によると男女の平均寿命は次の通りです。

平均寿命(令和3年)

  • 男性:81.47歳
  • 女性:87.57歳  (出所:厚生労働省 令和3年簡易生命表)

ここでの平均寿命というのは、男女それぞれ0歳での平均余命(この年齢から平均であと何年生きるか)を指しています。

さらに現実に近い数字にするために65歳時点での平均余命(65歳時点での寿命の平均)をみてみましょう。

65歳時点での平均余命

  • 男性:19.85歳 → +65歳=84.85歳
  • 女性:24.73歳 → +65歳=89.73歳 (出所:厚生労働省 令和3年簡易生命)

このように65歳時点の平均余命でみると、すでに内閣府の平均寿命の今後の推計の年齢に近い数字になっているのです。次に改めて健康寿命との差をみてみましょう

健康寿命(令和元年)

  • 男性:72.68歳(65歳時点の平均余命(令和元年)との差 8.73年)
  • 女性:75.38歳(65歳時点の平均余命(令和元年)との差 12.06年)

出所:厚生労働省

直近の健康寿命の統計がでていないので多少差異がありますが、平均寿命と健康寿命には男性で9年程度、女性で12年程度の差があると考えてください。

いくら平均寿命が延びても健康でなければ医療費や介護費用などがかかります。

社会保障制度改革の中で高齢者の負担もこれまでとは変わります。

その意味でも資産寿命を延ばす必要が高まっているのです。

資産寿命を延ばすために健康寿命、職業寿命を延ばすことが欠かせない

資産寿命・職業寿命・健康寿命・平均寿命

この記事のテーマは「資産寿命」ですが、実は単に資産寿命を延ばすだけでは不足です。

資産寿命を延ばすために必要なことはこの後解説していきますが、自分の保有資産を増やすために、また減らさないためには「職業寿命」「健康寿命」も延ばす必要があります。

資産寿命というテーマになるとお金を貯める・殖やすことだけがテーマになりがちです。

しかし何歳まで働けるか、何歳まで健康でいられるかということと資産寿命は密接に関係・連動しているのです。

資産寿命の計算シミュレーション

資産寿命の計算シミュレーション

金融機関のWEBサイトにある資産寿命シミュレーションツールとは?

「資産寿命 シミュレーション」などとネットで検索すると、銀行や証券会社など金融機関のWEBサイトのツールがヒットします。

これらのほとんどがいまある資産を何%で運用すると将来いくらになるか、毎月〇円を積み立てて〇%で運用していくと〇年度にいくらになるかを試算するツールです。

後は現在〇円持っていて〇%で運用しながら、〇円ずつ引き出していくと、どのくらいの期間で無くなるかなどを計算するものです。

つまり「保有資産のみ」などについての運用や取り崩しをシミュレーションするものなのです。

これはこれで便利ですが、資産寿命を計算するのにこれだけでは少々不足します。

資産寿命の計算シミュレーションの方法

資産寿命を計算する上で現在保有している資産以外に、公的年金や企業年金など収入が入ってきますし、継続して働いている人は就業収入もあるでしょう。

賃貸不動産経営をしている人なら家賃収入もあります。現在持っている資産だけでなく、今後入ってくる収入も加味しなければなりません。

また支出についても具体的にどうなっているかも考慮した方がシミュレーションが実態に近くなります。

そのため資産寿命のシミュレーションには、ライフプラン作成とともにキャッシュフロー表(CF表)、個人バランスシートの作成が欠かせないのです。

下記の関連記事にライフプランシミュレーションのツールがあるので使ってみてください。自分で難しければ専門家に作成してもらう方法もあります。

年代別・資産寿命を延ばす考え方と方法

具体的に資産寿命を延ばす方法を年代別に考えていきましょう。まずは年代に関係なく共通事項についてお話します。

もともと公的年金だけで老後の生活費を賄うものではない

公的年金に対する不安などがよく言われますが、ここまで長寿化が進んでる状況で、公的年金のみで老後の生活をするのは人によるものの少々無理があります。

例えば大卒23歳から仮に65歳まで働いた場合で42年間、その後65歳から100歳までを考えると35年間あります。

仮に60歳で仕事をやめている人は100歳までの老後の方が長くなってしまいます。

簡単な算数ですがこれまで働いてきた期間とほぼ同じか近いくらいの期間について、普通に生活できる水準を働かずに年金だけでカバーするということにそもそも無理があるのです。

先ほど平均寿命をみましたが、50年前といまでは平均寿命と老後の長さが違うのである意味当然のことです。

例えば自営業の人は国民年金(老齢基礎年金)だけですので、公的年金だけでは65歳からの支給額は満額でも年額80万円を切ります。

もともと公的年金だけでは不足するので、自営業ではそれ以外の自助努力や老後も働き続けることが前提です。

年代別資産寿命を延ばす考え方と方法

お金を増やす方法

お金を増やす方法は基本的に次の3つしかありません。これは若い世代でも老後に差し掛かった世代でも変わることはありません。

  • 収入を増やす、収入を得られる期間を延ばす
  • 無駄な支出を減らす
  • 資産運用等でお金を殖す

まずはここを意識してください。その上で資産寿命を延ばすためにしておいたい手順は次のことです。

資産寿命を延ばすために必要な手順

  • 現状を確認する
  • キャッシュフロー表を作ってシミュレーション
  • それに基づいて行動する

ライフスタイルが多様化している状況では、基本的なことは押さえつつ、自分の状況に合わせて個別に戦略を練る必要があります。

いずれにしても数字で見える化して現実を認識することが第一歩です。

年代別資産寿命を延ばす方法

ここから年代別の戦略をみていきましょう。ライフスタイルが多様化している現在では、年代別だけでは必ずしも実態に反映しないでしょう。

個別に色々事情があると思うので、自分なりにアレンジを加えてください。

20代

20代が他の世代よりも有利なことは老後まで時間があることです。時間を味方につけることを意識してください。

もう少し時間がかかるでしょうが、副業を認める企業も増えてきています。老後までにお金を稼ぐ力、お金を殖やす力をつける意識と行動をしてください。

家計管理することは基本ですが節約だけに捕らわれず、自分のキャリアを形成をするために必要な投資はどんどんやっていきましょう。

何よりも稼ぐ力をつけることが大切です。若いうちからそれを意識してください。

30代

基本的なところは20代と同様ですが、ある程度どんな業界でどんな仕事をしていくか固めていく年代です。

20代から貯蓄できている人はある程度のタネ銭ができてくる頃です。資産運用も検討していきましょう。

キャリアアップ、場合によってはキャリアチェンジも必要です。

また結婚して夫婦共働きの場合、子供がいなければお金を貯めやすいタイミングです。貯め時にはしっかり貯めて増やすことを意識しましょう。

40代

40代半ばくらいになると企業人の場合、社内でのその後の方向性がある程度見え始めてきているはずです。

それを意識しながら子どもがいる人は大学卒業など教育費がかかる時期や住宅ローンの返済が途中の人はこれも意識していきましょう。

世間では65歳くらいまでは働く動きになってきているので、投資経験のない人でも年金を受け取るまで20年近くの時間があります。

資産運用が苦手な人は、少額でもいいので少しずつ手を付けていくようにしてください。

50代

退職金や老後の生活について具体的に数字で確認していきたい時期です。

年金定期便で公的年金などの受給額を「具体的に」チェックするようにしてください。

お勤めの人で企業年金がある場合には勤務先に企業年金額も確認するようにしましょう。退職金も同様です。

50代はこれらの数字が具体的に見える時期です。数字が具体的なら、不足する数字もかなり具体的に見えてきます。

また子供の教育費の目途が立ちつつある人は、その分を貯蓄したり、投資に回すことも可能です。

50代から投資について間に合いますかという人がいますが間に合います。但し少額でいいので自分で少しずつでいいので勉強・経験していくようにしましょう。

分からない投資はしない、無理はしないこと、人任せにしないことを意識してください。

60代

具体的に退職金が支給されたり、年金をいつから受け取るか、雇用延長などでいつまで働くかなど老後のプランが具体的になっている時期です。

いつまで働くかはその人の考え方次第でしょうが、保有資産によってはなるべく長く働くことを考えていきましょう。

現在でも多少バランスが変わっているものの、老後の生活の柱となる収入や公的年金・(お勤めの人は)企業年金・就業収入です。

資産運用を60代からはじめるのは決してNGではありませんが、人任せにせずに自分で勉強していくこと、自分が取れるリスクの範囲内で過剰な金額を投下しないように注意してください。

また社会保障制度改革の中で、在職老齢年金の見直しが検討されています。

既に働きながら年金受給している人、これからする人はこの改革内容次第でプランの変更もありえますから、情報収集に努めてください。

まとめ

お金を貯めて・殖やし、資産寿命を延ばすためにすべきことは明確です。あとはなるべく早くをこれらを意識して取り組むことです。

お金は人生を楽しく豊かに過ごすためのものです。将来どうなるか分からないのは、今も昔もこれからも変わりません。

曖昧な情報に振り回されず、必要なことを理解してできることを少しずつ実践していくことが資産寿命を延ばすことに繋がります。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

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