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定年後に退職金で住宅ローンを一括返済する落とし穴とは?

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定年後に退職金で住宅ローンを一括返済すればいいと考えているケースがありますが上手くいかないケースもあります。老後資金にも影響があるので注意しなければなりません。

■この記事で学べること

【1】世帯主年齢でみる住宅ローンの負債額 総務省家計調査

【2】なぜ定年後に退職金で住宅ローンの一括返済が危険なのか?

【3】定年後に住宅ローンが残る際の具体的対策と注意点

定年後に多額の住宅ローンが残っているケースでの注意点と対応策についてファイナンシャルプランナーが解説します。

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世帯主年齢でみる住宅ローンの負債額

世帯主年齢でみる住宅ローンの負債額

総務省の家計調査にて、住宅・土地関連の負債額について定年前後の世代となる50代と60代についてみてみましょう。

  • 50代:1,045万円
  • 60代:601万円

出典:総務省 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)2020年5月19日公表

過去5年くらいの推移をみると50代、60代いずれも大きく数字は変わっていません。

これらの住宅関連の負債が50代、60代でどの程度影響するかは、収入や資産状況によります。

しかしもともと退職金を宛てにした住宅ローンの返済計画だと定年後に厳しい状況になる可能性が高くなります。

一方で、超低金利が続く状況で住宅ローン金利も低下しています。

比較的高齢の人でも借りやすい、あるいは晩婚化で住宅を購入する年齢が遅くなっていることなども影響していると言えるでしょう。

なぜ定年後に退職金で住宅ローンを一括返済すると危険なのか?

なぜ定年後に退職金で住宅ローンを一括返済すると危険なのか?

いまの50代、60代が住宅を購入したときから色々状況は変わってきています。

定年後に退職金で住宅ローンを一括返済することで、老後の資金不足になることが懸念されのるのです。

そもそも無理な返済計画の住宅ローンを利用していれば、定年後に住宅ローンが払えないということになりかねません。

税金や社会保険料負担が増えていたり、給与所得者などは以前よりも手取りが増えているわけではありません。

平均寿命が延びているため、単純に生活費は多くかかることになります。

また老後は医療や介護・認知症などによる急な出費も想定されるため、退職金で住宅ローンをまとめて返済することでこうした事態に対応しにくくなることもありえるのです。

ローンの返済はしなければならないものの、預貯金を減らしてしまうことで、その他のことに対処しにくくなるので注意しなければなりません。

定年後に住宅ローンが多額の場合の具体的対策と注意点

定年後に住宅ローンが多額の場合の具体的対策と注意点

住宅ローン残高がいくらか、退職金や貯蓄はいくらか、定年後も何歳まで働いていくらくらいの収入が得られるかを具体的な数字でみてください。

他にも60歳以降に子供が大学に入学予定など教育費がかかるケースはそうしたことも考慮しなければなりません。

その上で定年後に住宅ローンを退職金で一括返済することも含めて、他にどのような方法があるかみてみましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済(一括)

住宅ローンの残債を退職金や預貯金などで一括返済する方法です。住宅ローンの返済にかかる負担がなくなることが一番のメリットです。

注意点としてはここまで解説したように、老後の資金不足が想定されることがあることです。

住宅ローンの繰り上げ返済(一部)

住宅ローンの残債を一括返済する方法とほぼ同じですが、こちらの場合には全部ではなく一部だけを退職金などで返済します。

住宅ローンの返済は残るものの、一部を繰り上げ返済するためローンの返済負担を軽減することができます。

一方で、繰り上げ返済をするなら一括返済した方が総トータルでみた場合の利息負担は軽くなります。

一部繰り上げ返済をする場合のポイントは、どのくらいの割合を一部返済するかということです。退職金以外の預貯金の状況などをみて検討してください。

住宅ローンの借り換え

現在返済中の住宅ローンよりもさらに金利の低い住宅ローンに変更する方法をいいます。

手元に退職金などを残したまま住宅ローンの返済について、金利が下がった分の負担が軽減されます。

誰にでもできる方法ではないので、借り換えをして効果があるかどうかの検証は必要です。他にも借り換えする場合には、融資にかかる審査があります。

一般的には高齢になるほどこうしたことは不利になりやすいのでそれも加味するかたちになります。

住宅の住み替え

住み替えは自宅の土地建物の資産価値が高い場合の選択肢です。現在の住宅を売却して住宅ローンは完済します。

子供が独立していてこれまでの広さの住まいが必要ないなら、住まいの広さも含めてサイズダウンすることも選択肢になります。

但し、住み替えの場合には売買に伴う各種手数料などもかかってくるため、それを含めて物件の資産価値、売却金額をみて検討しなければなりません。

リバースモーゲージの利用

リバースモーゲージは、簡単に説明すると自宅を担保にして資金を借り入れる方法です。返済負担は利息のみなので負担は軽減されます。

最終的には死後、自宅を売却することで元本を返すことになります。

気をつけたいのは通常の住宅ローンよりも金利が高くなるため、返済期間が長くなると総トータルでの利息負担が増えてしますことです。

まとめ

定年後に退職金で住宅ローンを一括返済する落とし穴とは?、についていかがでしたか。

大切なことは定年後の資産や収入、退職金などと負債や支出の収支バランスをしっかりみることです。

雇用延長で減りはするものの収入が得られる人、配偶者も働いている人、子供の教育費がかかる人、結構無理な住宅ローンの人など状況はそれぞれです。

後回しにするほど、打ち手は限られてきます。定年後の生活を見据えて退職金の一括返済だけでなく、複数の方法を比較、検討してみください。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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