雹の被害は車両保険(自動車保険)や火災保険で補償される?
自然災害が全国的に多発していますが、雹(ひょう)による被害もあり、雹被害の保険(火災保険・車両保険)が必要です。
■この記事で学べること
【1】雹の被害と車両保険の補償
【2】火災保険における雹災の補償
【3】雹の被害と共済(自動車共済・火災共済)
雹災と車両保険・火災保険及び共済における取扱いと注意点について雹の被害にあったことのあるファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
雹と車両保険(自動車保険・共済)の補償
雹(ひょう)による被害で自動車保険に契約している車両のボディーがへこんだり、ガラスが割れたりした場合、自動車保険・自動車共済に車両保険の契約があることが必要です。
雹災(ひょうさい)についての注意点や覚えておきたいことについて続けてみていきましょう。
雹による被害は車両保険ならすべて補償される?
自動車保険の契約に車両保険をつけていることが前提になります。
一般的に個人が加入する自動車保険には補償範囲の異なる車両保険が2つは用意されています。
- 一般車両保険
- エコノミー車両保険、車対車+Aなど(※)
※自損事故などが対象にならない限定タイプなどとも言われるタイプ。各社の車両保険でプランの名称が異なります。
通常は、雹災については上記いずれのタイプでも補償されています。
個人の契約する車両保険の契約があれば、通常は補償されていることがほとんどと考えてください。
雹災では全損扱いも珍しくない
雹による車両損害で特徴的なのは比較的浅い傷が広い面にできるということです。
深い傷が一つあるよりも修理代金が高額になりがちです。
車両保険に加入していても年式が古く車両金額が低いと、修理代金が車両保険の金額(車両金額)を超えることも珍しくありません。
保険金の支払いは車両金額が上限になりますから、修理代がこれを超える場合には全損扱いとなります。
被害の状況にもよりますがその車を修理して乗り続けたい場合、車両保険から支払われる保険金だけでは修理代をカバーしきれないこともあります。
車両の修理はしてもしなくてもよい
車両の修理をするかどうかは本人が決めればいいので、保険金だけ受取って終わりにするということもできます。
例えばもう古い車で半年後の車検のときに買い替えするつもりだったというなら、保険金だけ貰っておいた方がいいこともあります。
ガラスが割れているとそのままにはできませんが、ボディのへこみが少しあるだけで自走できるならそのまま使うこともできます。
車両保険と翌年のノンフリート等級の取扱い
自動車保険を利用した際に気になるのが翌年以降の継続時のノンフリート等級の取扱い(割引のランク)でしょう。
雹による損害は、自動車保険では1等級ダウン事故に該当します。
つまり翌年は割引率のランクが一つ落ちるのです。
自動車保険では、一般的な事故などでは3等級ダウン扱いになります。
修理金額にもよるでしょうし試算も必須ですが、原則車両保険を利用する前提で検討するといいでしょう。
車両保険での雹災の保険金請求の注意点
いくつかポイントがありますが、以下の点はチェックしておいてください。
- 早めに事故報告をして修理工場に入れる、あるいは保険会社に損害確認してもらう
- 通勤や業務で利用する人は代車をどうするか
- 車両保険に免責金額ある人は2回目以降の事故にも注意
雹に限らず自然災害では多くの人が自動車に損害を受けるので修理工場も手一杯です。
なるべく早めに損保会社・修理工場への手配を進めてください。
それから自動車が自走可能で問題なければいいのですが、自走に問題があれば代車の手配が必要です。
代車特約があればまだいいのですが、そうでない場合に工場が無料で代車貸してくれるなどはできない可能性も高くなります。
生活に車が必須な人は日頃から代車の手配をどうするか考えておいてください。
また車両保険には、免責金額(自己負担額のこと)の設定ができます。
例えば0-10万円などと保険証券に記載されていれば、保険期間中1回目の事故は自己負担ゼロ、2回目以降は10万円自費になります。
この場合雹災で保険金の請求をすると、2回目になんらかの事故があったときには10万円自費になります。
対向車の飛び石でフロントガラスにひびが入った、車上荒らしにあった、追突したなどいずれの場合も10万円自費です。
免責金額を設定すれば掛金が安くなるのでそれはそれでいいのです。
但し1回目から免責設定がある、2回目以降免責があるなどの場合、保険金の請求に注意してください。
契約内容によっては保険金請求しない方がいいケースもでてきます。
雹の被害と火災保険の補償
自動車と並んで雹の被害が発生するのが、持ち家の人の建物です。屋根が外壁、門・塀などに損害が発生することがあります。
火災保険における雹による損害の補償をみていきましょう。
火災保険で雹災は補償される?
火災保険で雹による被害は、「風災・雹災・雪災」という補償でカバーされます。
一部の火災保険でこの部分の補償を自分で選択できる火災保険があります。
つまり自分で「風災・雹災・雪災」をつけるかどうか選ぶタイプです。
全体からみるとまだ少数ですので一般的には補償されていると考えてください。
雹の被害の際に火災保険の免責に注意
住宅火災保険・住宅総合保険(店舗なら普通火災保険・店舗総合保険)などの旧タイプの火災保険は、「風災・雹災・雪災」の保険金支払いに条件があります。
それは損害額が20万円以上となったときに、保険金の支払い対象になるというものです。
19万円の損害では1円も保険金は支払われませんが、20万以上になれば保険金は契約金額の範囲で全額支払われます。
また最近の火災保険では免責金額(自己負担額)を自分で自由に設定できるものもあります。
大抵1万円くらいから10万円くらいの間で設定するケースが中心です。
火災保険によっては「風災・雹災・雪災」などについては個別に高額な自己負担の設定ができるケースがあります。
念のため火災保険の契約内容がどうなっているか確認してください。
保険金の請求漏れに注意する
火災保険に建物の契約をしていると門・塀、自動車の車庫(カーポート)なども保険の対象に含まれるのが一般的です(あえて除外していなければ)。
雹災ではこうしたものにも損害がでるので忘れないようにしてください。
それから破損はないものの外壁などに雹が当たった跡がついて再塗装する必要などが出るケースもあります。
大ざっぱ人だとそのままにしてしまうケースも少なくありません。
自然災害は保険会社でも承知していますから、保険金が支払われるかどうかは別にして早めに対応して貰った方が楽です。
まずは住宅がどうなっているか確認して、その上で保険会社に相談するなりして見に来て貰いましょう。
雹の被害と共済(自動車共済・火災共済)
損害保険以外でもよく利用されるのが「共済」です。
こくみん共済coop(全労済)やJA共済、県民共済などはよく聞く共済でしょうが、これら以外にも大小さまざまな共済があります。
自動車共済・火災共済がそれぞれあるのでみておきましょう。
自動車共済
一般的な話を先にすると雹災は「飛来中・落下中の物との衝突による損害」の扱いです。
その観点からすると共済でも損保と基本的な考え方は変わりません。但し、共済によって設計するプランが違います。
JA共済のクルマスターのように損保の一般車両保険のようなタイプしかないケースもあります。
一方で、こくみん共済coop(全労済)のマイカー共済のように車両のカバーするプランが3つある(*)ケースもあります。
*雹が対象にならないプランがある。
県民共済はそもそも自動車共済自体がありませんが、まずは契約内容を確認してください。
注意点などは損保の場合と同様です。
火災共済
雹災も一般的対象になるものが多いのですが、共済も設計するプランによって雹災がカバーされていないものや支払い条件がありますので注意してください。
例えば県民共済などの場合、最高600万円まで風水雪害による10万円を超える損害を被ったときなどといった制限があります。
支払額の上限や自己負担の設定、雹による被害の支払い条件など共済も種類が多様で共済ごとにルールが異なります。
まとめ
台風や地震とは違うものの雹も竜巻などと同様に以前はそんなに発生しなかった災害です。
近年ちょこちょこ発生するようになりました。
雹災における車両保険(自動車保険)の注意点や火災保険の請求漏れなどに気をつけてまずは契約先の損害保険会社か保険代理店に相談してください。
大きな損害がないとこんなことでと考えてしまう人がいますが、聞くのはただですからどんどん利用しましょう。
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