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差額ベッド代は保険給付の適用外!?払えないときに拒否の方法はあるか

差額ベッド代は保険給付の適用外!?払えないときに拒否の方法はあるか
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医療機関で「差額ベッド代(特別療養環境室料」がかかることがあります。相場や平均金額、病院都合なら払わなくてよい、拒否できるは本当かなど疑問の多いところです。

■この記事で学べること

【1】差額ベッド代とは?平均金額と相場

【2】病院の都合、同意書のサインがなければ差額ベッド代は払わなくていい?

【3】厚生労働省の通知・通達文(支払わなくていい条件)

【4】差額ベッド代を払えないとき

【5】拒否する方法や未然にトラブルを防ぐには?

病院に入院したときに関係する「差額ベッド代」とは?の素朴な疑問のあれこれについて、保険給付とのからみをつなげて解説します。

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差額ベッド代とは何か?

差額ベット代とは何か?
差額ベッド代とは?

差額ベッドとは何かというと、正式には「特別環境療養室」のことをいいます。

差額ベッド代は特別療養環境室料のことです(この記事では、差額ベッド、差額ベッド代と表記します)。

この差額ベッドにかかるコストが差額ベッド代、いわゆる個室料金ということです。

差額ベッドの制度は、患者の入院環境の向上、その選択の機会を広げるものとされています。

ケースによりますが差額ベッド代の負担は、条件を満たせば原則は患者の自費になります。

この条件を満たせばというところと、現場での実務的な対応が差額ベッド代のややっこしいところです。

差額ベッド代にかかる要件

差額ベッドにも要件があって、次の条件を満たすことが必要です。

  •  一つのの病室の病床数は4床以下
  •  病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上
  •  病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えている
  •  特別の療養環境として適切な設備を有する

一般的な病室は数人単位などの大部屋ですが、完全な一人部屋の個室もあります。

その分別途個室料がかかるというものです。

単純に病室の室料ということであれば上記の要件にあるように、大部屋・相部屋などでも室料がかかるケースもあります。

個室(1人部屋)はもちろんですが、2~4人などの大部屋などでも要件を満たせば、差額ベッド代がかかることがあります。

差額ベッド代の平均金額・相場はいくら?

差額ベッド代の平均金額・相場

差額ベッド代の平均

差額ベッド代がどのくらい平均金額でかかるのか、相場感は知りたいところです。まずは次の表をみてください。

差額ベッド代の平均金額

出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 主な選定療養にかかわる状況報告(令和元年9月11日)の統計を元に筆者作成

この統計は差額ベッド代の1日当たりの平均徴収額ごとの病床数です。8,640円の病床数が最も多くなっています。

病床数ごとの差額ベッド代の平均は次のとおりです。

1日あたり平均徴収額(推計)

1人室 7,907円
2人室 3,099円
3人室 2,853円
4人室 2,514円
全体平均 6,258円

上段の徴収額になるとホテルなみになるので、気にする必要はありませんが、平均をみると6,258円です。

但し、これは全国各地の地域性などまで反映していません。平均金額がもっと安い地域もあれば、高い地域もあります。

東京など地域病院によって差額ベッド代は違う

東京に限ったことではありませんが、都心部などだとやはり高めの傾向になります。例えば8,000円の個室とか患者側で選ぶものではありません。

医療機関によって設定されている金額は違います。そこに個室の空きなどがあるかなどにも左右されます。

救急で運ばれたときなど医療機関を選べるわけではありません。

余談ですが筆者の身内が都内の病院に転院するときのことですが、部屋の空き状況によってはと言う前提で個室の説明を受けました。

一人部屋で2つの個室があり、それぞれ1万円、1.5万円を超える室料でした。差額ベッドは平均金額はあくまで目安です。

特に都心部に住んでいる人はもっと高い金額をイメージしていた方が間違いないと考えます(お金を払えるかどうかはまた別の話)。

病院の都合、同意書のサインがなければ差額ベッド代は払わなくていい?

差額ベッド代は同意書にサインが必要

色々調べてみると差額ベッド代について、病院都合であるとき、同意書などがないときは、支払う必要がないという情報をよくみるはずです。

逆に考えると同意書にサインなどしてしまっていると、後で差額ベッド代の返還を求めることが困難になります。

高齢の方などはよく分からずにサインしてしまうことも多いでしょう。

できれば差額ベッド代の知識を事前にもち、病院都合で差額ベッド代を求められているときはそのとき話をするようにしてください。

具体的にどのようなケースで、差額ベッド代を支払わなくていいのかみてみましょう。

厚生労働省の通知・通達文と差額ベッド代を支払わなくていい3つの条件とは?

差額ベッド代、厚生労働省の通知・通達文

差額ベッド代というと厚生労働省の通知を探す人も多いでしょう。医療機関にその根拠として話しやすいからです。

具体的に差額ベッド代を支払わなくていい3つのケースですが、下記の通知に記載があります。

厚生労働省の通達も何度か出されています。

「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について(平成30年3月5日) 厚生労働省

全文でPDFファイル55ページほどになりますが、この箇所に特別環境療養室について記載がありますので一度読んでみてください。該当箇所を下記に一部抜粋します。

差額ベッド代は求めてはならないという場合の例が赤枠の中です。

差額ベッド代、厚生労働省の通達

要約すると下記のような内容です。

患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられる

 

① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)

 

② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合

 

例)

救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者

 

免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者 など

 

③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合

 

例)

特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合

このように差額ベッド代を求めてはならない3つのケースは具体例も含めて示されています。この通達で着目すべきは、一番最後の③の例です。

簡単にいうと、病室一杯だから個室に入院した場合は駄目と具体的に記載していることです。覚えておきましょう。

しかしながら差額ベッド代を求められるケースもあるのは事実のようです。ではどうするか?

差額ベッド代を払えないとき、拒否する方法や未然にトラブルを防ぐには?

差額ベッド代を払えなければ拒否できる?

このように厚生労働省から通知・通達文もでているので該当するなら交渉の余地はあるでしょう。

入院するときの状況や事情に注意する

実務的にどうかというと、そもそもこうした知識が多少なりともなければ、言われるままに同意書にサインする人も多いと考えます。

また知識だけでなく、治療を受ける医療機関にそれを言えるかという性格の問題もあります。

筆者も身内が入院した際に差額ベッドについて手続きをしましたが、署名する書類は色々あります。

職業柄きちんと目を通しましたが、面倒な人はよく見ないで署名するのではと感じました。

身内がすぐに来ることができなければなおさらです。

まずは差額ベッド代についての知識を持っていることが大切です。

差額ベッド代について未然にトラブルを防ぐために

単純にベッドの空きがないから、個室などのケースもあります。

個室といっても数千円からビジネスホテルに宿泊するような1万円を超える差額ベッド代もあります。

経済的に苦しければ交渉しないわけにはいかないということもあります。緊急搬送されたときはなかなか気持ちの余裕はありません。

治療をしてもらう医療機関と喧嘩するわけにもいきませんから気をつかうところです。

角が立たないように物の言い方はよく考えて丁重に話した方がいいでしょう。

経済的な事情も含めて根拠を示しつつまずはお願いベースで話をしてみましょう。

医療機関の担当の方がどう対応するかにもよるでしょう。

必要に応じて上記の厚生労働省の関連部分もお見せしながら協力を求めてみてください。

この本文の次に行政関連の相談窓口もリンクを入れていますので、早い段階でそちらにも相談してみてください。

差額ベッド代の返還を求めることはできる?

差額ベッド代は払わなくていい?

同意書などにサイン・署名した後に、差額ベッド外のことを知って料金の返還ができないか考えるケースもあるでしょう。

実際になかなか難しい問題です。

仮によく分からずに同意書にサインしても、治療上必要である、単に病室が満室で個室に入院したなどのケースであれば、スマホで厚生労働省の通達などを見せて話をしてみましょう。

医療機関でも対応した人が、差額ベッド代について徴収できない場合のことについてきちんと理解しているとは限りません。

自分で交渉するには知識が乏しいなどのケースが圧倒的に多いでしょうから、行政機関などの窓口に相談してみてください。

医療機関の事情は、、

医療機関も経営がありますから、当然収支を考えています。

救急病院などだと24時間対応に追われる現状や地域によっては医師不足などの現状もあります。

この件は医療機関との差額ベッド代だけのことではなく、医療全体も問題の一つととらえておいてほしいと思います。

もっとも患者の負担の問題と医療機関の事情は別なことですので行政のさらなる対応を期待します。

差額ベッド代(特別療養環境室料)に関する相談窓口

差額ベッド代のような医療保険制度は、厚生労働省が運営する地方厚生局になります。

北海道厚生局

東北厚生局

関東信越厚生局

東海北陸厚生局

近畿厚生局

中国四国厚生局

四国厚生支局

九州厚生局 

下記のようにもう少し細かい行政単位で相談窓口を設けて連絡先を明記しているところもあるので地域の行政機関で探してみてください。

例えば次のように地域の行政のHP上に、差額ベッド代について記載があるケースがあります。

東京都 中央区 差額ベッド(特別療養環境室)について(参考)

埼玉県 差額ベッド(特別環境療養室)について

神奈川県相模原市 医療安全相談窓口

相模原市のWEBサイトをみると助言などはあるようですが、病院側には最終的に自分で話しをしていく必要もあるようです。

都道府県というより市区町村単位だと比較的掲載されています。

居住地域の市などの単位での窓口に相談もしてみてください。

差額ベッド代は保険給付の適用外?・対象?高額療養費制度は?

差額ベッド代は健康保険や高額療養費の対象?

病院で入院あるいは手術など医療費がかかった場合、健康保険で現役の人なら原則3割負担、さらに一定金額を超えた分には、高額療養費制度が適用されますので負担が軽減されます。

それでは高額療養費制度に差額ベッド代が含まれるのかというと対象外です。

入院環境に関わる部分ではありますが、治療費そのものではないためです。

同じ考え方で食費なども同様です。高額療養費制度で、差額ベッド代までは負担されることはありません。

なお治療費にかかるものでも先進医療にかかるものは対象外です。

差額ベッド代と民間の医療保険

差額ベッド代と民間の医療保険での備え

医療保険などで調べていくと、差額ベッド代は支払う必要がないから気にしなくていい、という情報を見かけることがあります。

または病院都合なら拒否できるから、気にしなくてもいいというようなことです。

医療保険に入ってまで必要になるかわからない差額ベッド代に備えるかどうかはあるでしょう。

その上で病院との交渉がうまくいくかどうかわからない、自分で意思で個室に入りたいと考えることもある、ということは頭に入れておいてください。

前者はこの記事の主旨にかかるところです。

後者については大部屋でも我慢すればいいという考えもあるでしょうが、その病室の環境にもよります。

いびきがうるさいとか、同室の人が具合が悪くて苦しんでいる声が毎日聞こえるとか、入れるのなら個室がいいという人もいます。

以前お客さんとお話していると、何かあったらお金がかかっても絶対に個室に入るという人もいました。

経済的に余裕がある人でしたが、元気な人がそんなものは我慢しろというのと、患者本人がとてもいられないというのは意味が違いますし、本人しかわからないことです。

医療保険でどうこうするかどうかはともかく、思ったよりもお金が掛かるケースがあるということは頭に入れておきましょう。

余談ながら差額ベッド代だけを補償する保険の発売もはじまっています。

プラス少額短期保険 差額ベッド代保険

確定申告で個室の差額ベッド代は医療費控除の対象?

医療費控除は差額ベッド代は対象?

医療費がかかるとなると差額ベッド外が医療費控除の対象になるのか確定申告で有利になるのか気になるところです。

医療費控除は、自分や生計を一にする配偶者とその他親族のために負担した医療費を、一定の金額の所得控除の対象とする制度です。

医療費控除の対象にできれば税金の上で得になるというわけです。

差額ベッド代が医療費控除の対象になるかですが、国税庁のWEBサイトには以下の文言が記載されています。

入院に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断

 

本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は医療費控除の対象になりません。

 

国税庁 医療費控除の対象となる入院費用の具体例

つまり自分が望んで差額ベッド代のかかる個室を使ったのなら、医療費控除の対象外ということです。

実はこれ以外の記載がないのですが、言い方を変えると病院都合であれば医療費控除の対象にすることができるとも読めるわけです。

実務的な話をすると領収書などにその旨の何らかの記載等が必要になるでしょう。

自分で自己申告して病院都合といっても税務上の判断はできないだろうと考えられるためです。

差額ベッド代を医療費控除の対象にできるかは、差額ベッドを利用した理由によるということです。

まとめ

差額ベッド代は保険給付の適用外!?払えないときに拒否の方法はあるか、についていかがでしたか。

特に緊急に治療をようするようなときなどは、差額ベッド代のことまで冷静に考えているような状況はなかなか難しいのが現状です。

差額ベッド代については、こういうことがあるということを日頃から頭の片隅にでも入れておくことです。

コロナ禍の影響もあり地域によっては医療機関もあまり余裕のある状況ではないでしょう。

結果的に支払わずに済むかどうかはわかりませんが、特に経済的な事情も含めて厳しい状況ならそうした事情もお話してみてください。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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