2017年4月に生保の予定利率引き下げ!貯蓄保険の値上げにどうする?
2017年4月より標準利率が改定(予定利率は引き下げ)、生命保険の貯蓄保険・積立保険(終身保険や学資保険など)が値上がりしました。
■この記事で学べること
【1】マイナス金利の影響と標準利率改定
【2】2017年4月以降の積立型保険
【3】2018年4月の標準利率改定
なお2018年4月の標準死亡率改定に伴う、生保の死亡保険料が値下げの見込みです。これについては興味のある人は下記の記事をご覧下さい。
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この記事のもくじ
マイナス金利の影響と標準利率の改定
生命保険会社は私たちが契約して支払う保険料(掛金)の一部を投資・運用します。生命保険会社が契約者と決めている運用利率のことを予定利率といいます。
- 予定利率が高い 保険料(掛金)は安くなる
- 予定利率が低い 保険料(掛金)は高くなる
予定利率が変われば、変更以降の契約の保険料(掛金)に影響があります。2017年4月から予定利率が改定されました。
マイナス金利と標準利率、予定利率とは
この予定利率のベースになっているのが標準利率と呼ばれるもので、標準利率が改定されるために結果として予定利率も引下げられました。
標準利率は長期金利を基準に決められます。
標準利率は現在1%ですが、2017年4月以降、一気に0.75%引下げられて0.25%になります。
標準利率・予定利率引き下げに伴う、生命保険各社の対応状況
生命保険会社によって、商品ごとの改定幅はかなり異なります。商品や販売戦略が違うので当然ですが、引き下げになることに変わりありません。
特に影響が大きいのが、貯蓄性・積立性の高い生命保険商品です。
値上げや商品によっては販売停止しているところもあります。具体的にみていきましょう。
貯蓄・積立保険(終身保険、個人年金、学資保険等)は値上げ
生命保険料が値上げになる主な商品は?
貯蓄保険・積立保険というと漠然としていますが、具体的な生命保険商品は次のようなものです。
- 終身保険
- 学資保険
- 個人年金保険
- 長期平準定期保険、逓増定期保険(主に法人向け)
貯蓄性が高く、お金が貯まるタイプの保険は、2017年4月からの標準利率・予定利率改定の影響が大きくなります。
終身保険などは一時払いも含めて銀行窓販などでもかなり販売されました。学資保険は子どもの教育費の積立として使われています。
法人向けの保険も一部損金にしながら、資金を貯めるタイプの保険です。
いずれにしても従来のようなお金を貯めるタイプの生命保険の使い方が変わりつつあるとみていいでしょう。
学資保険などは生保によって戦略に差があり、売り止めのところもあれば、それなりの返戻率を残して継続しているところもあります。
なお、これらの改定の影響は2017年4月以降の契約にかかるものですから、既に契約している保険が値上がりするわけではありません。
生命保険各社の動向
生命保険各社の方向性を見てみると、ここ数年はゼロ金利さらにマイナス金利の影響もあり貯蓄保険や積立保険の関係については消極的です。
一時払い終身保険や月払いの終身保険も貯蓄代わりに販売していましたが、かなり前から魅力が薄れています。
生命保険会社も保険でお金を貯めるというよりは、保障性重視の商品に切替えたり、貯蓄性が必要な顧客には外貨建ての生命保険を勧める動きになっています。
2017年3月末までに駆け込みで加入した方がよかった?
2017年3月までに気になるのが、駆け込みでの生命保険の契約です。値上がりする(あるいは販売停止になる)ので、2017年3月中に加入した方がお得というアプローチは増えるでしょう。
何ヶ月も前から分かっていたことですが、実際に2017年の年明けから特にそうした動きが強くなっています。
駆け込みで加入した方がいいかどうかですが、単純な貯蓄目的だけであれば必要性は低いです。
理由は生命保険を使ってもほとんどお金が貯まらない、また低い金利で長期間お金を固定することになるためです。
さらに加えるなら生命保険は契約後、早期に中途解約すると元本割れします。
家計の見直しをしても解約すると損だからとやめるにやめられなくなります。
それでは加入を検討してみる価値のあるケースがあるのかどうかを次にみていきましょう。
2017年4月以降、貯蓄保険・積立保険の使い方は?
2017年3月末までに加入してもしなくても、4月以降は保険料が値上がりします。
2017年4月以降に生命保険の加入を検討する人もいるでしょうから、その視点でみてみましょう。
生命保険のこれからの使い方、考え方
- 生命保険は保障を買う、掛け捨てと割り切る方が合理的。お金を貯める方法として、現在の生命保険は魅力がない
- 相続対策などで生命保険の活用は有効なので、貯蓄以外の別な使用目的(保険本来の保障が必要など)があるなら検討
- 法人向けの保険も積立以外の目的でメリットがあるなら検討
箇条書きにするとこんなところです。
保険の掛け捨てに抵抗感のある人はいまだに多いですが、現状では特に個人契約はマイナス面の方が多いでしょう。
お金を貯める発想を変える必要がでている
お金を貯める方法なら、真剣に資産運用を考えた方が有効です。
こんなことを言うと、資産運用などやったことがない、お金がない、難しくて無理、あなたは知識があるからできる、などと言われそうですが、お金は貯められても殖えにくい時代です。
資産運用といっても月数千円からできます。
こうした状況を踏まえた上で、それでもお金が貯まる生命保険でいいと考えるのであればそれはそれでありです。
状況をきちんと理解した上での判断なら良いと考えます。状況や環境、考え方は変わっていきますから、そうしたときに柔軟に対応できるようにしておきましょう。
2018年4月予定の標準生命表の改定
2017年4月の改定だけでなく、2018年4月にも別な生命保険の改定が予定されています。具体的には標準生命表の改定です。
生命保険の保険料(掛金)は、次のようなことが影響して決まります。
- どのくらいの人が亡くなるか(予定死亡率)
- どのくらい運用できるか(予定利率)
- どのくらいコストを減らせるか(予定事業比率)
2017年4月は標準利率の改定に伴う、予定利率の変更によるものです。
いわゆる運用にかかる真ん中の部分です。2018年4月は標準生命表つまり死亡率にかかる改定です。
平均寿命が延びているので、死亡率に関係してきているのです。
標準生命表の改定って何?
平均寿命の延びとともに長寿化が進んでいます。人はいつか死んでしまうわけですが、これが伸びているということです。
生命保険契約に関係してきそうな影響は次のようなことです。
- 死亡保険(定期保険、収入保障保険など) 長寿化の影響で死亡率低下 値下げ
- 医療保険、介護保険 医療介護のリスク増加 値上げ
このような動きになると言われています。詳細はこれから適宜でてくるでしょうが、こうした動きがでていることも考慮して生命保険や医療保険の加入を検討してください。
生命保険の設計はどう変わる?
少なくても生命保険に貯蓄性を求める時代ではなくなりました。
基本は掛け捨てで、保険本来の機能である保障そして相続などでは控除などができたりする機能があるのでそうしたものを使う形になるでしょう。
医療や介護などはどんどん変わっていきますから、それに合わせて保険も新しい機能をもったものがどんどんでてきます。
年齢で保険料(掛金)が変わる生命保険は、追いかけるときりがありませんが、後から発売されたものはその時代には合ったものではあります。
保険そのものの必要性も含めて検討してみましょう。
まとめ
2017年4月に予定利率改定!生保の貯蓄保険・積立保険の値上げにどうする?についていかがでしたか。
生命保険の貯蓄性や積立性はどんどん無くなっていきます。
今月まで、今がチャンスという言葉に惑わされず必要ななものをしっかり見極めてから加入を検討してください。
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