共済の地震保険のメリット・デメリット
共済の地震保障は損保の地震保険とは異なる制度で、メリット・デメリットもあります。また共済ごとに制度や内容が違うので注意が必要です。
■この記事で学べること
【1】各共済に共通する地震保険の注意点
【2】都道府県民共済
【3】こくみん共済coop(全労済)/コープ共済
【4】JA共済(農協)
【5】保障の不足をカバーする方法
主要共済の火災共済に付帯されている地震災害の保障についてファイナンシャルプランナーが解説します。
※上記各共済の詳細を直接確認したい人は、下記の目次から直接飛んでください。
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この記事のもくじ
各共済に共通する地震保険のデメリット・注意点
地震保険の基礎知識と共済
一般的に「地震保険」と呼ばれるものは、損害保険会社で取り扱うものを指します。
政府も資金の拠出や仕組みに関与する官民一体の保険です。そのため地震保険の内容や金額は各損保共通です。
一方、地震保険は必ず火災保険に付帯して契約しますが、火災保険は損保各社で異なります。
この記事で便宜上、地震保険という言葉を使っていますが、共済では地震保険はありません。
火災共済の中に「地震災害についての保障」が入っているものと考えてください。
便宜上、共済の地震保険や地震の保障という言い回しを使っています。
主要共済で共通する地震保険のデメリット・注意点
共済にある程度共通する地震保険のデメリットについて確認しておきましょう。
個別の共済についてはこの後内容をみていきますが、まずは共済に共通する地震の保障の主な注意点・デメリットについて確認します。
- 共済ごとに制度が異なる
- 地震の保障だけを除外したり、金額を変更できない
- 保障の大きさ
- 契約者保護
損保で取り扱う地震保険は各社共通の内容ですが、共済の場合には共済ごとに異なります。
地震災害の保障は共済ならどこも同じだろうと考えるのは早計です。
また地震の保障が必要ないからその分だけ安いしたいと考えても地震の保障を取り外すことはできません。
*損保の地震保険は火災保険の30%~50%の間の金額で自分で決める(上限額あり)
共済によって違いはありますが、もともと大型の保障をつけられないケースがあります。
また損保の地震保険と共通する点もあります。例えば、一般的に地震等による少額の損害の場合は共済金は支払われません。
共済によりますが、保障重視の場合は向いていないことがあると考えてください。
なお、損保の地震保険は損害保険契約者保護の対象で100%保護されます(共済は対象外)。
共済の場合、損害保険契約者保護機構のようなセーフティーネットはありません。
共済は短期契約で掛捨タイプの商品(生保医療系も含めて)が多いので、過去に生命保険会社が経営破綻したときと商品性は異なりますが頭に入れておいてください。
次に代表的な各共済の地震の補償について個別にみていきます。
県民共済・都民共済・府民共済・道民共済の地震保険
都道府県民共済の住まいの保障は「新型火災共済」です。この中の地震災害についての保障は次のようになっています。
新型火災共済の地震保障の内容
全国の都道府県民共済では、新型火災共済が該当する商品になります。その中にある地震災害の保障は次のとおりです。
- 地震等による加入住宅の半壊・半焼以上の損害に加入額の5%の範囲内で最高300万円
- 加入額が100万円以上の加入住宅が地震等により一部破損(20万円を超える損害)となった場合、一律5万円
- 地震等による加入住宅の被災を直接の原因に加入者またはそのご家族が事故の日からその日を含めて180日以内に死亡・重度障害となったとき1人100万円(合計500万円まで)
一番下は住まいではなく地震が原因のカラダの保障なのでこの記事ではプラスアルファのものと考えてください。
新型火災共済の地震保険のメリット・デメリット(注意点)
メリット
- 掛金が割安で割戻金がある(新型火災共済について。地震の保障にかかる掛金は割戻金の対象外)
デメリット(注意点)
- 共済金額が少ない(最高でも300万円)
- 半壊・半焼以上なので地震保険のような一部損などはない
都道府県民共済の地震の保障については、それぞれこの点に尽きるでしょう。
少なくても半壊・半焼以上にならないとそれなりの保障が共済金として支払われるわけではありません。
地震災害について県民共済等を利用する場合、この点をよく理解しておかなければなりません。
こくみん共済coop(全労済)/コープ共済の地震保険
こくみん共済coop(全労済)の地震の保障は「住まいる共済」に付帯しています。なお、コープ共済も同様の商品です。
住まいる共済は、2024年4月より9年ぶりに改定されています。
住まいる共済の地震保障の内容
地震災害についての保障を付帯するためには住まいる共済の火災共済に加えて「自然災害共済」の加入が必要です。
- 火災共済+自然災害共済(エコノミー)
- 火災共済+自然災害共済(ベーシック)
住まいる共済の地震の保障は、次の2つで構成されています。
- 地震等共済金+地震等特別共済金
損害の程度(4段階)によって支払われる共済金が変わります。一番下の一部壊・一部焼の認定には損害額が100万円超の場合です。
ここに満たない場合、20万円超100万円以下の場合、大型タイプで4.5万円、標準タイプで3万円の共済金が支払われます。
住まいる共済のメリット・デメリット(注意点)
メリット
- ベーシックなら全壊・全焼で1,800万円まで保障
デメリット(注意点)
- 下の基準でも100万円超の損害が必要なため、それなりにハードルが高い
JA共済(農協)の地震保険
JA共済の住まいの保障は「建物更生共済むてきプラス」です。他に火災共済もありますが、ここでは建物更生共済を取り上げます。
建物更生共済むてきプラスの地震保障の内容
- 住宅や家財、営業用什器備品、畜舎・堆肥舎等を対象にすることができる
- 損害割合が5%以上のとき、750万円×損害割合が保障される(*)
*損害割合の50%が限度
建物更生共済むてきプラスの地震保険のメリット・デメリット(注意点)
メリット
- 営業用什器備品や畜舎・堆肥舎等をカバーするプランがある
(地震保険では保険の対象にできない)
デメリット(注意点)
- 建物更生共済むてきプラスは積立型のため元本割れすることがある
- 積立型のため保険料が高い
- 地震災害に対する保障は多くない
共済の地震保障の不足をカバーする方法
自分なりの考えがあって共済の火災共済等で加入している場合、保障が不足するならそれをカバーする方法も考えておかなければなりません。
国の制度では被災者生活再建支援制度で最高300万円がカバーされます。
共済の地震等の保障と合せて生活再建するための金額が足りないなら、その分をカバーする必要があります。
- 少額短期保険の「地震被災からの再スタート費用保険」SBIいきいき少額短期保険
- 家財の保障を損保にして地震保険に加入 など
損保の場合には、会社によって地震保険の上乗せがありますが、共済にはそうした保障がないので方法は限定されます。
予算次第でしょうがこれらの方法も共済の組み合わせで考えてみてください。
まとめ
共済で地震災害の保障をつける場合、世間で言われている地震保険とは別のものと認識してください。
良い悪いではなく非常に重要なことです。
また繰り返しになりますが、共済によって地震災害の保障は全く異なります。
損保の火災保険や地震保険は2014年頃から改定が頻繁に実施されており、全国平均の保険料は上昇する方向です。
損保の地震保険と各共済の地震保障の制度の違いを理解して、利用するようにしましょう。
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