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給与所得控除/2020年から改正!年収850万円からの増税と基礎知識の解説

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所得控除(基礎控除など)と給与所得控除の違いとは?

所得控除(基礎控除など)と給与所得控除の違いとは?

給与所得控除の話の前に、所得控除について簡単に説明します。給与がついているだけなので同じように思うでしょうがまったく別なものです。

税金の話の中ではよく、「収入」と「所得」という言葉がでてきます。この2つも違うものです。

他の記事でも使っていますが、以下が所得税を計算する流れを簡略化した図です。

  • 所得控除と所得税の計算

所得控除(基礎控除など)と給与所得控除の違いとは?

収入から必要経費を差し引いたものを「所得」といいます。サラリーマンの場合、収入を年収に置き換えてください。この図で給与所得控除額に該当するのが必要経費です(②の白いところ)。

収入から必要経費を引いたものを「所得」といいます。さらに所得から差し引くことができるのが各種の「所得控除」です。

基礎控除や配偶者控除、扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、寄付金控除など14種類あります。

控除が多く利用できれば、税金のかかる所得が減らすことができます。最終的には所得控除を差し引いたものに税率をかけるので所得が下がるほど税金が安くなります。

  • 「収入」と「所得」の違い
  • 「給与所得控除」と「所得控除(基礎控除や配偶者控除など)」の違い

まずはこれらの違いをざっくりとでいいので認識してください。

ちなみにこれを源泉徴収票でみると下記のとおりです。

給与所得控除と源泉徴収票

①の支払金額と入っているところがいわゆる年収です。②が給与所得控除後の金額となっているので必要経費を差し引いた所得です(この場合、給与所得)。

所得控除は人によって適用できるものが変わります。源泉徴収票の他のところをみると配偶者特別控除や社会保険料、生命保険料控除などの記載欄があるので該当するものに記入されます。

所得控除と所得税の計算の図と合わせながらみてください。それでは給与所得控除とは?について次に説明します。

給与所得控除とは、給与所得控除額の表・上限額


給与所得控除をわかりやすく簡単にいうと

繰り返しになりますが給与所得控除とは、簡単にいうとサラリーマンや公務員、会社役員などお勤めの人の「必要経費」という意味です。

自営業の人が、交通費や取引先との飲食を必要経費にしたりしますが基本的な考え方はこれと同じです。

接待交際費や通信費、交通費などを必要経費にして収入(自営業の場合、①の収入が売上のようなイメージで考えてください)から控除することができます。

サラリーマンには接待交際費などを自分の収入の経費にできません。その代わりの経費い相当するものが、「給与所得控除」です。

自営業の接待交際費のように実際には現金が出ていっていないにも関わらず、経費として控除できるわけですからその分手取りが増えます。

必要経費と言われるとその領収書が必要などと考えてしまうかもしれませんが、収入金額に応じて控除できる金額が決まっています。お勤めの人でも一定上限までは固定で経費として認めています。

収入によって固定で決まっているので、源泉徴収票にもあったようにすでにそれが控除された金額で書かれています。次にその給与所得控除額について具体的にみていきます。

給与所得控除額の早見表と65万円

給与所得控除額は、給与の源泉徴収票の支払金額によって次のように決められています。

  • 2017年分(平成29年分)給与所得控除額の早見表
収入金額(※) 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40% 65万円未満は65万円
180万円超360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1,000万円以下 収入金額×10%+120万円
1,000万円超 220万円(上限)

※給与所得の源泉徴収票の支払金額

小見出しのタイトルに入っている65万円の意味は上記の早見表の通りです。収入が少ないケースでも最低65万円は必ず控除することができます。

給与等の収入金額が660万円未満の場合は下記のリンクにある早見表から給与所得の金額を計算します。

左側にある目次を一番下までスクロールすると別表第五があるので、ここに収入ごとに細かく分けた早見表があります。

所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表 e-Gov)

給与所得控除額の上限は?

早見表のところで見たように収入によって給与所得控除額は変わりますが、控除することのできる金額上の上限は収入1,000万円超の場合で220万円です。

給与所得控除額の上限は、2017年分について220万円ということです。あえて2017年はと記載したのはこの数年上限額の変更がされているためです。

直近の給与所得控除額の上限は次のように改正されてきました。

  • 2020年分    収入850万円超   給与所得控除額 195万円(見直し・改正予定)
  • 2016年分    収入1,200万円超  給与所得控除額 230万円
  • 2013-2015年分 収入1,500万円超  給与所得控除額 245万円
  • 2012年分以前  収入1,000万円超  給与所得控除額 収入金額×5%+1,700,000円

このように少しずつ高所得者の給与所得控除額の上限は減ってきています。

ちなみに金額の上限は決められていますが、その人(納税者本人)の収入については1,000万円超などとなっているため、上限はありません。

3,000万円の人でも5,000万円の人でも給与所得控除を使うことができるのです。このあたりの高所得者が次の改正に大きく関わります。

給与所得控除の見直し・改正

給与所得控除の見直し・改正2020年1月から

給与所得控除は改正で一律で10万円引下げられます(控除が引き下げられるので増税)。しかし基礎控除(10万円引上げで減税)の改正にも関わることなので並行してこれもみてください。

年金受給者で給与を取っている人は公的年金等控除の改正も関わってきます。

給与所得控除の改正の背景

税制改正大綱をみると給与所得控除や公的年金等控除から基礎控除へ「振替え」という言葉が使われています。基礎控除は、条件を問わずに一律に所得税なら38万円(改正後48万円)を差し引くことができます。

政府の働き方改革から繋がることですが、どのような働き方をしても適用される基礎控除に調整の比重を移していくということです。

会社員でも高所得者でない人は給与所得控除額の引下げは、基礎控除の引上げがあるため大きな影響は受けません。

会社員でも副業OKとする会社がでてきたり、これを認めるような動きが見られますがこうしたことも繋がっているのです。今後のキャリアや働き方もじっくり考えてみてください。

次に給与所得控除の改正について具体的にみていきましょう。

給与所得控除の見直し・改正の内容

給与所得控除の改正のイメージ図

給与所得控除の改正 限度額195万円 最低55万円

下の赤線が基礎控除、上の赤線が給与所得控除です。

給与所得控除が一律10万円増税、基礎控除が一律10万円減税ですから年収850万円までの人は大きく変わりませんが高所得者は増税になります。

改正内容のポイントは次の2点です。

  1. 控除額を一律10万円引下げ(増税)、最低65万円が55万円に
  2. 給与所得控除の上限額の適用が給与等の収入金額が850万円、上限額を195万円の引下げ(改定前220万円)

給与所得控除の増税ライン

物凄くシンプルに図にすると上記のようになります。基礎控除額が10万円アップしているものの一律ではありません。2,400万円のラインから段階的に引き下がります。

この図で増税の箇所が2,400万円で区切っているのはそのためです。一つ上の図(線グラフ)を見ると下が基礎控除です。2,400万円、2,450万円、2,500万円と段階的に下がっているのが分かると思います。

改正後の給与所得控除額表

これを踏まえて改正後の給与所得控除額の表は次のようになります。

<給与所得控除額表 2020年1月より改正予定>

給与等の収入金額 給与所得控除額
162.5万円以下 55万円
162.5万超180万円以下 その他収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下 その他収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下 その他収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下 その他収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円

特定支出控除の見直し

サラリーマンには仕事に直接必要な技術や知識を得るための研修費や資格取得費を所得から差し引くことができる特定支出控除があります。

これが拡充されます。具体的には下記の内容です。

  • 職務に必要な旅費等で通常必要と認められるものを追加
  • 単身赴任者の旅費につき、1月に4往復を超えた分の旅費を対象外とする制限の撤廃
  • さらにこれに自動車を使用することでのガソリン代、高速道路の料金も追加

これまで単身赴任者の旅費などには回数など制限がありましたが、拡充されるかたちになります。

給与所得控除の改正は2020年1月から

給与所得控除の改正は、2020年(平成32年)分以後の所得及び2021年(平成33年)分以後の個人住民税について適用されます。実務的な納税については2020年の年末調整及び2021年の確定申告で直接関係してきます。

給与所得控除の改正までの流れ

具体的に税制改正が実施されるまでのスケジュールは次のようになります。

  • 2017年12月  与党(自民党)が税制改正大綱発表
  • 2018年01月  閣議決定
  • 2018年02月  改正法案 国会へ、その後法案可決
  • 2018年04月  改正法 施行
  • 2020年01月  この年の所得税から給与所得控除改正 2020年の年末調整、2021年の確定申告で適用

このように給与所得控除の見直し・改正についての法案は可決されています。

2020年からの給与所得控除の改正に向けて考えておくこと

2020年からの給与所得控除の見直し・改正に向けて考えておくこと
どの改正が関係するのか?

会社員の人は年収850万円超から増税となりますが、そもそも自分が該当するのかしないのかをまずみてください。

基礎控除額が10万円引上げられていますので、これ以下の年収の人は振替えられることで大きな影響はありません。

繰り返しになりますが、給与所得控除だけでなく基礎控除や公的年金等控除も改正されます。基礎控除額が10万円引上げられますが、これも一律ではないのです。

収入の多い人は実は増税になります。これは年金受給者でも同じです。国が進めている働き方改革、多様性を改めて考えてみる必要があります。

自分だけでない家族も含めた働き方・収入の取り方

2018年からは配偶者控除・配偶者特別控除が改正されています。いわゆるパート主婦などの年収が103万円が150万円の壁に見直しされたことです。

その家の中で収入が入ってくる流れはいくつあるのか。

  • 誰が働いているのか。
  • その他収入はあるか。

これらについて税金がどう関係してくるのか、または改正されてくるのかは個別に変わってきます。目先のことだけでなく、将来の働き方、キャリアの積み方について考えてみてください。

以下は現状の給与所得控除にかかる内容ですので基礎的な内容を理解する上で続けてお読みください。

給与所得控除の計算式・計算方法


所得税の計算をする際、その所得の種類に応じて計算方法が違います。全部で10種類ありますが、サラリーマンや公務員、会社役員などの場合は給与所得です。

計算の方法は次の流れになります。

給与所得の計算 給与所得は給与等の収入金額(源泉徴収票で確認)から給与所得控除額(前述の早見表)を差し引いて計算

【給与所得控除の計算例】収入金額700万円のケース

  • 給与所得控除額=700万円×10%+120万円=190万円
  • 700万円(収入金額、図の①の黄色)-190万円(給与所得控除額、図の②の白)=510万円(給与所得、図の③の黄色)

これが給与所得の計算式の例です。先ほどの図をもう一度みてください。

給与所得控除の計算とは?

税金(税額)を計算するならここからさらに各種の所得控除(基礎控除や医療費控除、生命保険料控除など)を控除して計算した出した金額に税率をかけて税金の計算をします。

厳密にはこの後さらに税額控除というものもありますが、ここでは一旦スルーして給与所得控除の計算の流れを確認してください。なお給与所得控除額の表を使う場合の注意点があります。

同じ一年間の給与所得の源泉徴収票が2つ以上ある場合、つまり2カ所から給与などを貰っているケースではその支払金額の合計額で表を当てはめてください。

それぞれの収入ごとにバラバラに計算するのではなく合算して計算します。会社役員などをしている人の場合だと比較的よくあるケースだと思います。

まとめ

給与所得控除/2020年から改正!年収850万円からの増税と基礎知識の解説、についていかがでしたか。

サラリーマンや公務員、会社役員には必須の給与所得控除(額)ですが、見直し・改定のところでも説明したように所得税改革の一環の中で変わってくる可能性があります。

この記事は2017年12月に平成30年度の税制改正大綱が発表された際に書いたものですが法案は可決されました。2020年1月からの改正に向けて自分や家族も含めた収入の取り方、働き方を考えていきましょう。

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平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし
平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。FP歴20年。



・個人のお金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて損害保険ガイドを務め、約14年に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は550本以上。

現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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