確定申告・医療費控除で還付!対象の金額や市販薬、予防接種等Q&Aで解説
医療費控除は、確定申告の際にその年の医療費を所得から引ける所得控除の一つです。1年間にかかった医療費や市販薬の購入などで還付され、税金がお得になります。
■この記事で学べること
【1】確定申告で対象となる医療費控除の期間・期限・金額
【2】医療費控除は診断書、交通費(タクシー代含む)、市販薬でもOKか?
【3】確定申告の医療費控除で家族や子どもの分は対象?
【4】予防接種、健康診断、人間ドックの取り扱い
【5】コンタクトレンズやレーシック施術、介護保険やデイサービスは医療費控除の対象
医療費控除で還付を受けるための疑問(期間・期限、対象となる家族や子供、市販薬や予防接種、交通費など)をQ&A形式でファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
(Q&A-1)確定申告で対象となる医療費控除の期間・期限・金額
最初に医療費控除の基本的な仕組みについて確認していきましょう。勘違いしている人もいますが、医療費控除は支払った医療費が戻ってくる制度ではありません。
払いすぎた税金が、還付される制度です。これは他の所得控除(生命保険料控除など)も同様です。まずはここを理解してください。
医療費控除の対象期間、還付申告の期限は?
医療費控除の対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費です。
例えば2024年に確定申告を行う際は、前年(2023年1月1日~12月31日)の医療費を申告します。還付申告については、その年の翌年1月1日から5年間提出することが可能です。
医療費控除の対象金額は?
医療費控除で対象となる金額は、下記で計算した金額になります(最高200万円)。
医療費控除の計算式
(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額
(1) 保険金などで補填される金額
(生命保険契約などの給付金、健康保険などの高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など)
(2) 10万円
つまり医療費として支払った分を単純に所得から差し引くのではなく、受け取った給付金などがあればそれも考慮されるわけです。
仮に生命保険や健康保険関係からの給付がなかったとしても、年間の医療費が10万円を超えていないと対象にならない計算になります。
(※) その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
(Q&A-2)医療費控除は市販薬でもOKか?
ちょっと具合が悪いときに、薬局などで市販されているかぜ薬を購入することがあると思いますが、医療費控除の対象です。
医薬品については、治療や療養に必要なもので、かつその病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額はOKとなっています(所得税法施行令第207条)。
単に疲労回復や健康増進のためのものについては、対象外となるので気をつけてください。
必ずしも医師の処方や指示が必要なわけではありません。但し、市販薬だけだと少額のため医療費控除の対象にならないことがあります。
そんなケースについても、医療費控除の特例となるセルフメディケーション税制が始まっています。
(Q&A-3)確定申告の医療費控除で家族や子どもの分は対象?
意外と勘違いしている人が多いのですが、医療費控除は自分の医療費のみではありません。
本人だけでなく、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も対象です。
生計同一要件を満たしていれば、高齢で医療費のかかっている親あるいは子どもなど家族の分の医療費も含めることができます。
(Q&A-4)診断書は医療費控除の対象?
医師に診断書を書いてもらうと、5,000円程度のお金がかかることがあります。
医療費控除の対象になるなら助かりますが、診断書の発行にかかる費用については医療費控除の対象になっていません。
(Q&A-5)予防接種、健康診断、人間ドックは医療費控除ではどう扱う?
前提として「治療」というより「予防」のためのものの多くは、医療費控除の適用から外れます。
そのため予防接種は医療費控除の対象外です。インフルエンザの予防接種などはそれなりの費用がかかりますが適用されません。
健康診断や人間ドック、メタボ健診なども同様です。
健康診断や人間ドックで重大な疾病が発見されて、その後も継続的な治療を行うようなケースでは医療費控除へ含めることが可能です。
考え方として治療に先立つ診察などと同じように考えます。
元は予防だけれども、治療に繋がりがあるということです。
(Q&A-6)コンタクトレンズやレーシック施術は医療費控除の対象?
レーシック施術やオルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)は、眼の機能自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものとして、医療費控除を適用できます。
なお、近視や遠視などのために日常生活の必要性によるものは、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象外です。
具体的にはメガネやコンタクトレンズのことです。
つまり一般的なコンタクトレンズなどのついては医療費控除に含めることはできません。
斜視、白内障、緑内障など手術後の機能回復のため短期間の装着、幼児の未発達視力を向上のための装着を要する眼鏡などで、治療のために必要で医師の指示によるものは対象です。
(Q&A-7)医療費控除における交通費(タクシー代含む)は対象?
医療費控除では、治療費用だけでなく通院や入院のための交通費、電車やバスの移動が困難な場合のタクシー代なども対象です。
あくまでタクシーの場合には、電車やバスの移動が困難な場合という条件がつくので注意してください。
ちなみに自家用車のガソリン代や駐車料金などは、医療費控除の対象ではありません。
また医療費における公共交通機関(電車やバスなど)の場合、領収書がないと取りまとめも面倒です。
電子マネーで医療費控除にしたいところですが、他にも使える用途があるため難しいところです。
こんな場合は、自分で交通費の一覧表を作成しておきましょう。Excelなどが楽でしょうが、自分で明細を作成しておくと確定申告の際に楽です。
- 診断を受けた人の名前
- 病院名
- 医療費
- 交通費(どこから~どこまで)
これらをまとめておいて、確定申告の際に使ってください。
(Q&A-8)医療費控除で介護保険やデイサービスは対象になる?
要介護者または要支援者が受ける居宅サービスや介護予防サービスで、療養上の世話の対価に相当する部分についての金額は医療費控除の対象です。
介護といっても幅が広いので、生活援助中心型の訪問介護や有料老人ホームなど医療費控除の対象から外れるものもあります。
細かい規定があるので、詳細は国税庁のWEBサイトを確認してください。
(Q&A-9)医療費控除で領収書やレシートの原本は必須?
確定申告で医療費控除を利用するのに領収者やレシートを集めたり整理したりするのに苦労している人も多いでしょう。医療費控除の領収書について見直しがありました。
2018年の確定申告の医療費控除から明細書の作成でOKになります(原本の保管は必要)。
詳細は下記の関連記事にありますが、確定申告の際に慌てないように準備しておきましょう。
まとめ
医療費控除は最高200万円ですが、よほどの病気やケガでないと、高額の医療費はなかなか支払うことはありません。
高額療養費などもありますし、民間の生命保険に加入している人はその分は引いて考えます。
また2018年の確定申告では、セルフメディケーション税制による医療費控除の特例もはじまります。今のうちに内容を理解して準備しておきましょう。