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年金免除・年金猶予/年収の条件や必要書類、手続きから免除・猶予期間

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国民年金の支払いが厳しいとき「年金免除(国民年金保険料免除」「年金猶予(国民年金納付猶予制度)」の制度などがあります。

■この記事で学べること

【1】年金免除制度、年金猶予制度とは?

【2】免除・猶予の条件(年収・所得)

【3】申請に必要なもの(必要書類)と手続き

【4】免除・猶予申請のデメリット

【5】国民年金の掛金(保険料)を支払わない(未納)とどうなる?

掛金(保険料)の支払いが厳しい状態にあるときにほったらかして未納にせず、手続きしたい国民年金の免除と猶予についての内容をチェック、対処しましょう。

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国民年金の年金免除制度、年金猶予制度とは?

国民年金の年金免除制度、年金猶予制度とは?

公的年金である国民年金の加入は義務づけられていますから掛金を支払わないという選択がありません。

しかしどうしても経済的な事情から支払いが厳しいときがあります。

そのようなときの救済制度が年金免除や年金猶予制度です。内容の説明をする前に言葉の定義を説明しておきます。

免除と猶予、似たように感じますがもちろん意味が違います。

免除は国民年金の掛金の支払いをしないでよいとすること、猶予は国民年金の支払を先に延ばすことです。

払わないでよくなるなら免除でよさそうですが、もちろん条件がありますしそう都合よくはいきません。

この2つの制度は正式には、「国民年金保険料免除」「国民年金納付猶予制度」といいますので覚えておいてください。

この記事ではわかりやすくするために単純に「年金免除」「年金猶予」と記載します。

年金免除(国民年金保険料免除)とは?

年金免除とは、所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下(条件は後で解説)あるいは失業したケースで本人が申請することで国民年金の掛金の支払いが免除される制度です。

免除される額は、下記の4種類があります。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

年金猶予(国民年金納付猶予制度)とは?

年金猶予とは、年齢20歳から50歳未満、本人・配偶者の前年所得が一定額以下(条件は後で解説)のケースで、本人が申請することで国民年金の掛金の支払いが猶予される制度です。

※2016年6月までは30歳未満、2016年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象。

学生の年金免除・猶予(学生納付特例制度)とは?

一般的な年金免除・猶予とは異なり学生の場合には申請することで、在学中の掛金の支払いを「猶予」することができます。

これが「学生納付特例制度」です。免除ではありませんので注意してください。

本人の所得が一定以下の学生を対象にしており、この場合に親などの家族の所得については問われません。

年金免除申請・年金猶予申請ができる期間と年収・所得の条件

年金免除申請・年金猶予申請ができる期間と年収・所得の条件

免除・猶予が申請できる期間

国民年金の免除申請は掛金の納付期限から2年を経過していない期間(申請時より2年1ヵ月前までの期間)を遡り免除申請できます。

これは学生納付特例の場合も同じです。

なお、遡って申請できるものの納付期限から2年を過ぎると時効になって免除の申請はできなくなります。

大事なことなので覚えておいてほしいのが、2年1ヵ月前までさかのぼって免除等の申請ができます。

但し、免除等の申請が遅れてしまうと、障害や死亡が起こったときに障害年金や遺族年金を受けられない可能性があります。

年金免除・年金猶予の対象となる所得条件

所得があるのに誰にでも年金の免除や猶予を認めることはありません。

免除にはいくつか種類がありますが、これも自分で選べるわけではありません。

前年の所得から計算した金額の範囲の中で全額・3/4・半額・1/4、そして猶予が認められているのです。

なお、年収と所得は違います。会社員などの場合には、年収から必要経費(給与所得控除)を引いたものが所得です。

下記に給与所得控除の改正の記事がありますが、今の給与所得控除の表もあるので参考にしてください。

それでは免除申請・猶予申請に必要な所得条件をみていきましょう。

全額免除

前年の所得が次で計算した金額の範囲内 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

例えば会社員で扶養親族がゼロなら、上記の計算は(0+1)×35万円+22万円=57万円になります。

現在の給与所得控除は年収の一番低いところが給与などの収入が180万円以下は収入金額×40%(65万円未満は65万円)です。

つまり最低65万円引くことができます。年収から必要経費を引いたものが所得ですから年収122万円-65万円=57万円です。これで上記の範囲に収まります。

4分の3免除

前年の所得が次で計算した金額の範囲内 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

半額免除

前年の所得が次で計算した金額の範囲内 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

4分の1免除

前年の所得が次で計算した金額の範囲内 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

納付猶予制度

前年の所得が次で計算した金額の範囲内 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

このように前年の所得によって免除や猶予できる金額に制限があります。

学生納付特例制度

学生の場合の条件については、学生である申請者本人のみのその年の所得基準が条件になります。具体的には次のとおりです。

118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

ちなみに学生とは大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校 、一部の海外大学の日本分校に在学する学生です。

※夜間・定時制課程や通信課程も含む。

そのため国民年金の加入対象となる学生はほとんどの人が対象です。

免除・猶予申請に必要なもの(必要書類、書き方)と手続き

免除・猶予申請に必要なもの(必要書類、書き方)と手続き

年金免除申請、年金猶予申請の必要書類

年金免除申請・猶予申請に必要なもの(必要書類)は下記よりダウンロードできます。

なお、申請書の書き方については下記のダウンロードファイルの中に書き方の例があります。

年金の免除・猶予申請書は同じ書類で行います。学生納付特例を利用する場合には学生納付特例申請書を使います。

国民年金保険料免除・納付猶予申請書(PDF、記入例あり)
国民年金保険料免除・納付猶予申請書の書き方セルフチェックシート

国民年金保険料学生納付特例申請書(PDF、記入例あり)
国民年金保険料学生納付特例申請書類セルフチェックシート(申請者用)

セルフチェックシートは提出不要です。書き方が分からないときや記入ミスや漏れがないかのチェックに使ってください。

年金免除・猶予の申請に必要な添付書類の一覧

年金の免除や猶予の申請書の他に添付書類が必要なケースがあります。必須の書類とケースによって必要な書類があります。

申請に必須の書類

国民年金手帳 または基礎年金番号通知書

申請に必要なことがある書類等

  • 前年(前々年)の所得を証明する書類
  • 所得についての税の申告を行っていないときは「所得の申立書」
  • 失業の申請の場合には雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し

※申請内容によって添付する書類の必要・不要が変わります。追加の書類が必要になることもあるので、事前に近くの年金事務所等に照会してください。

免除申請・猶予申請の手続き

具体的な申請の手続きは、住民登録をしている市役所・区役所・町村役場の国民年金担当窓口になりますのでそこに申請書を提出します。

なお問い合わせの窓口は近くの年金事務所になります。

日本年金機構 全国の相談・手続き窓口(年金事務所検索)

提出方法は行政の国民年金担当の窓口に直接持参あるいは郵送して申請します。

年金免除・年金猶予制度のメリット・デメリット

年金免除・年金猶予制度のメリット・デメリット

免除や猶予の申請をするからには一番気になるのがデメリットでしょうが、未納とは違うこれらの手続きをすることのメリットもあるのです。

それぞれチェックしてみましょう。

メリット

  • 経済的に厳しい家計状態のときに掛金の支払いをしないでよい
  • 掛金の免除期間分については、老後に年金は1/2を受け取ることができます(自分の支払いではなく税金の負担分もあるため)。
  • 免除・猶予の期間中でも障害年金や遺族年金の対象。

デメリット

  • 年金額を計算するときは、保険料免除は保険料を納めた時に比べて1/2(平成21年3月までの免除期間は3分の1)。

その他デメリットというか注意点が一つあります。

免除等の申請が遅れると、万一、障害を負ったり死亡した際に、障害年金や遺族年金を受けられないケースがでてきます。

免除等の申請をするなら早めに申請することを心がけましょう。

このようにメリットとデメリットが表裏一体ですが、いずれも年金免除や納付猶予申請をするときには知っておきたい大切なことです。

国民年金の掛金を支払わずに未納にするとどうなるか?

国民年金の掛金を支払わずに未納にするとどうなるか?

手続きを踏んで年金免除申請あるいは年金猶予申請をするのと、国民年金の掛金を支払わずに未納にするのでは意味が全く違います。

具体的に国民年金を未納のままにすると、例えば事故で障害を負ったり、死亡した場合に障害基礎年金や遺族基礎年金を受取ることができないケースがでてきます。

年金というと高齢になってから(老齢)貰うものだけが国民年金(高齢になってから受取るものは、正確な言い回しをすると老齢基礎年金といいます)だと思っている人がいますがそうではありません。

もちろん未納のまま所定の加入期間を満たさなければ、高齢になってから国民年金が貰えないこともあります。

さらに国民年金の掛金の支払いは任意ではありません。会社員や公務員の人は給与から天引きされるので支払わないという選択はないでしょう。

自営業の人などが支払えるのに年金の未払いをしていると、強制徴収や差し押さえの対象になるので注意しなければなりません。

年金免除、年金猶予について知っておくこと、考え方

年金免除、年金猶予について知っておくこと、考え方

年金免除・年金猶予で知っておくこと、考え方

失業で所得が下がったり、病気や家族の介護などでお金がかかり経済的に国民年金の掛金を支払うのがどうしても厳しいときがあります。

本当にどうにもならなければ国民年金には免除や猶予といった制度があることを覚えておいてください。

知らずに未納のままにしてしまうと、障害・遺族・老齢の各年金が貰えないことがあり、金銭的に生活が厳しいスパイラルから抜けられなくなります。

掛金を支払わないでいいと思うと流されてつい甘えがちです。

フリーランスや個人事業主の人は給与天引きされる会社員と違います。

支払いを滞らせるとなかなか支払えません。

年収をアップすること、家計の無駄を減らすことを計画的に考えて実行してください。家計のやりくりで苦労しているのはみな同じです。

それから経済的な事情で掛金を払えない、未納になるのと、払えるのに払わないは違います。

支払えるのに支払わない状態を続けていると催告状や督促状が送られていて財産などの差押えもあります。

年金免除・年金猶予した保険料を後から支払う

年金猶予した分を後から支払えるようになった際、自分がどのくらい支払うことが可能か(追納等可能月数や金額)を確認することができます。

下記を参考にして進めるようにしてください。

日本年金機構 追納等可能月数と金額の確認

まとめ

年金免除・年金猶予/年収条件や必要書類、手続きから免除・猶予期間、についていかがでしたか。

年金の免除や納付猶予などは将来受取る年金が減ってしまうので、しなくて済むならしない方がいいのは確かです。

こうした知識がないために大変なことになるくらいならこうした制度があるということは覚えておいてください。

また一時的にこうした制度の助けになってもその状態から時間がかかっても何とかでることも考えていきましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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