【自賠責保険の解約】車や原付の売却と自賠責の解約返戻金のツボ
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、任意の自動車保険と異なり強制加入しなければなりません。そのため解約にも制限が設けられています。
■この記事で学べること
【1】自賠責保険は原則として解約できない
【2】自賠責解約の手続き(必要書類、解約返戻金、解約日、解約場所など)
【3】災害で車が使えない場合の自賠責保険の解約
自賠責保険の解約について具体的な手続きと解約する場合のポイントについてファイナンシャルプランナーが紹介します。
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この記事のもくじ
自賠責保険は原則として解約できない?
自賠責保険は自賠法(自動車損害賠償保障法)に定められた強制加入の保険です。
車やバイク、原付などを運転するなら自賠責保険(もしくは自賠責共済)に加入しなければなりません。
加入が強制されているということは、簡単に解約することもできません。
各種共済では保険という言葉を使いませんので、「自賠責共済」といいますが、自賠法に定められているのは自賠責共済も同様です。
以下、この記事では自賠責保険と書きますが共済も同じものと考えてください。
自賠責保険が原則解約できない理由
自賠法にあるようにこの法律が定められているのは被害者救済のためです。
自賠法(自動車損害賠償保障法)
第五条 自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
このように自賠責保険は強制加入の保険制度です。
自賠責保険に未加入の状態で車や原付などを運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
他にも「自賠責保険証明書」を所持していない場合でも30万円以下の罰金が科せられます。
自賠責保険に無保険状態での運転すると違反点数6点となるため一発で免停(免許停止処分)です。
自賠責保険にはこのような前提があるため、自賠責保険の解約も契約者の好きにはできないのです。
特に車を売却・譲渡したら自賠責保険を解約できないか考える人もいるでしょう。
しかし売却した車などがまた他の人の手に渡り運転されるのであれば解約することはできません。
自賠責保険の解約が可能な場合
自賠責保険を解約することはできないのかというとそうではありません。車やバイク、原付がナンバープレートを付けて運転されなければいいのです。
具体的にいうとこれらの車両を「廃車」した場合、自賠責保険を解約することが可能です。
自賠責保険解約の手続き(必要書類、解約返戻金の計算方法、解約場所など)
自賠責保険の解約手続きについて具体的に必要なことを確認していきましょう。
自賠責保険の解約に必要な書類
自賠責保険の解約に必要な主な書類は次の書類です。
- 所定の解約承認請求書(損害保険会社にあります)
- 自賠責保険証明書(加入時発行。車のダッシュボードなどに車検証などと一緒にあることが多い)
- 保険契約者本人確認書類(運転免許証・健康保険証・住民基本台帳カード・パスポート・その他公的証明書など)
- 自賠責ステッカー(原付などステッカー交付されているもの)
- 印鑑、解約返戻金の入金先口座がわかるもの
- 車やバイク、原付を廃車(返納)した事実が確認できる書類(一時抹消登録証明書・抹消記載のある登録事項等証明書など)。
事前に契約先の損保に確認しておきましょう。
自賠責保険はどこで解約できる?
自賠責保険の解約は、加入先の損害保険会社の支店などの窓口に直接出向くか郵送するかたちになります。
加入するときには損害保険会社の窓口や保険代理店、セブンイレブンなどのコンビニでも可能ですが、解約は加入先の損害保険とやりとりするかたちになります。
加入先の損害保険が分からない場合、自賠責保険証明書をみるとその契約先の損害保険がどこか記載があります。
自賠責保険の解約日はいつになる?
自賠責保険の解約日は、必要書類がすべて提出されて解約の申し出を行った日が解約日です。
郵送の場合は郵送先の損害保険会社などが書類を受け取った日が解約日となります。
なかには車や原付などを廃車した日などに遡及するかたちで解約日を指定したい人もいるでしょうが、過去に遡って解約することはできません。
自賠責保険を解約した場合の解約返戻金(還付金)の計算方法
自賠責保険を解約した場合の計算は、下記の3つの要素で決まります。日割り解約ではありませんので注意してください。
一番影響があるのは解約日から満期までの残りの期間です。日割りのイメージでいるとちょっと少ないかなと感じるかもしれません。
- 自賠責保険の保険開始日
- 保険期間
- 解約日から満期日までの残り期間(未経過期間)
残りの期間(未経過期間)が大きな影響があり、未経過期間が1か月未満となった場合の解約返戻金(還付金)はありません(0円)。
災害などで車を廃車にするときの自賠責保険の解約
土砂崩れで車が押しつぶされた、集中豪雨で水没したなど災害によって自動車が使えなくなることがあります。
こうした場合でも状態によっては車を買い取ってくれるケースはないわけではありません。
買取不可で廃車しか方法がなければ、自賠責保険の解約について相談してみてください。
災害のときに気持ちに余裕がないので自賠責保険の解約のことは忘れがちです。
大きなお金ではないかもしれませんが、車検を通したばかり、新車を購入して間もなければいくらか解約返戻金がでてきます。
災害の種類によっては車やバイクそのものがどこにあるか分からないケースもあります。
こうした場合には必要な書類も変わってくるので加入先の損害保険会社に確認してください。自賠責を加入した先などでも調べることは可能です。
自然災害の場合、損保協会で窓口を設けていることもあります。
まとめ
自賠責保険は単なる車やバイク、原付の譲渡や売却では解約することができません。
車を廃車にするのは事故や災害などのときも多いでしょうが、これらの状況では意外と気持ちに余裕がなく自賠責保険の解約まで気が回らないことも少なくありません。
解約するタイミングによって自賠責保険の解約返戻金(還付金)は多い少ないはありますが受け取れるお金はしっかり手続きしておきましょう。
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