【自動車共済】自動車保険との違いと選び方の注意点とは?
自動車共済は、こくみん共済coop(全労済)やJA共済、教職員共済、公務員共済など様々な共済が取り扱います。他にも関東自動車共済、西日本自動車共済など全自共の会員共済もあります。
■この記事で学べること
【1】自動車共済とは?保障やロードサービスの内容は?
【2】自動車共済にはどんな種類がある?
【3】自動車共済は自動車保険より保険料が安い?共済と保険の等級に引継ぎ
自動車共済とは?をテーマに自動車保険の内容と比較しながらファイナンシャルプランナーが解説します。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。
この記事のもくじ
自動車共済とは?
自動車共済とは?
自動車共済とは、共済の取り扱う自動車の保障です。
損害保険会社が取り扱うものを自動車保険と言いますが、共済の取り扱うものを自動車共済といいます。
自動車の保障には加入が強制されている自賠責保険(損害保険)がありますが共済では自賠責共済です。
いくつかの主要な共済などで取り扱いがあります。
なお、都道府県民共済では自動車共済(保険)の取り扱いはありません。
保険と共済の大きな違いは関連記事などもみてほしいのですが、共済はその地域や特定の組合員やその家族などを対象にしています。
非営利事業で行っているのも特徴で掛金が比較的割安です。
加入するには要件をクリアしている前提で組合費を払って組合員になるなどの必要があります。
また自動車保険の場合、各損保とも商品性に違いはあるものの基本的な制度や仕組みは似ています。
自動車共済は共済そのものが多岐に渡るため、運営主体自体が違うのも特徴です。
自動車保険と自動車共済の保障、ロードサービス
自動車保険と自動車共済の保障の違いを確認してみましょう(なお、損保では補償を使いますが、共済は保障なのでこちらの用語を使います)。
大きな共済組織なら損保の保障内容とそんなに大きくは変わりません。
自動車保険の保障は主に下記の4つですが、大きな共済ならこの点はあまり変わりません。
- 第三者に対する損害賠償(対人賠償・対物賠償)
- 契約車両に乗っている人の傷害保険(人身傷害など)
- 契約車両そのものの保障(車両の保障)
- その他の保障(弁護士費用特約・代車費用特約など)
但し保障内容についてはいくつか注意点があります。大きなくくりでお話すると保障の先進性は損保が進んでいます。
ざっくりしたイメージになりますが、損保の自動車保険で新たに開発された保障やサービスを共済が後追いしているケースがほとんどです。
特に各種の特約や自動付帯されている保障なども自動車保険の方が比較的厚めになっています。
共済にもよりますが、大きな規模の共済でないと人身傷害や車両保険、その他特約などがないケースや保障金額が保険に比べて少なく設定されていることもあります。
こうした保障の違いについてはしっかり違いをチェックするようにしてください。
ロードサービスと自動車共済
自動車保険には今やロードサービスが付帯されているのが当たり前になっています。
事故やトラブルの際のレッカー移動やガス欠・バッテーリー上がり、キーの閉じ込みなどの車両トラブルなどに対処するものです。
最近は警備会社と提携して事故現場への駆け付けサービスをはじめたところもでています。
自動車共済でこのロードサービスがどうなっているかというと付帯しているところと付帯していないところがあります。
このあたりは損保会社間の方が競争が激しいので各社しのぎを削っています。
保障内容はもちろんですが、自動車の場合には遠距離での事故やトラブルもあるのでロードサービスの有無も確認しておいてください。
自動車共済にはどんな種類がある?
ここから具体的にどのような自動車共済があるか主なものをみておきましょう。順不同で掲載していくつか特徴なども記載しておきます。
JA自動車共済 「クルマスター」
規模の大きな共済なので保障内容については基本的なところは損保とそんなに変わりません。
農業用貨物車割引などがあるのはJA共済ならではです。自動車保険ほど手厚くはありませんが、ロードサービスも付帯しています。
自賠責を一緒に契約すると対人賠償部分だけですが7%安くなります。
こくみん共済coop(全労済)「マイカー共済」
こくみん共済 coop(全労済)のマイカー共済の特徴の一つは、割引制度である等級が22等級(64%割引)まであることです。
損保は20等級(63%割引)で、割引率自体は1%しか違いませんが、原則1回事故を起こすと3等級ダウンします。
3等級ダウンしても19等級ですから、事故などで複数回共済の利用をしたケースでは意外と効いてくるところです。
逆に一番割増となる1等級については損保と異なり5段階あるため相当掛金が高くなります。
自動車共済の中では、損保の保障に比較的近い内容です。人身傷害は、5,000万円が上限なので、損保でこれ以上つけている人はチェックしておいてください。
なお、自動車保険のものより少し内容が見劣りしますがロードサービスも付帯されています。
自動車共済(教職員・公務員)
最初に教職員共済で提供している自動車共済です。
今回この記事で紹介している他の共済及び損保は似た仕組みの等級制度を使っています。
全労済のように22等級まである特殊な例もありますが、事故なし及び事故ありで同じ等級でも割引率が異なります。
ところが教職員共済の自動車共済はこれを採用していません。
つまり仮に15等級という割引率だった場合、損保やここで紹介している他の共済は前年事故があったか、なかったかで同じ15等級でも割引率が違います。
教職員共済は同じなのです。事故で自動車共済(自動車保険)を利用する人には有利でしょう。
また公務中の事故は等級が下がらない特徴もあります。
保障面では契約車両そのものの保障(自動車保険でいう車両保険)の付帯がないようなので注意してください。
公務員共済については、国家公務員・地方公務員といった違いによって公務員共済といっても一律ではありません。
もの凄く細かい保障の話になるので割愛しますが、等級などの割引制度や保障内容が違うこともあるので注意してください。
なお、公務員だと損保が提携して団体扱いを持っていることもあります。
普通に損保で加入するより同じ内容で割引があったりするのでこれも選択肢になるでしょう。
関東自動車共済、西日本自動車共済、中部自動車共済、北海道自動車共済、東北自動車共済など
全自共(全国自動車共済共同組合の略、以下全自共)には、各地域に分かれた次の会員共済が主にあります。
- 北海道自動車共済
- 東北自動車共済
- 関東自動車共済
- 中部自動車共済
- 西日本自動車共済
- 全日本火災共済
自動車共済としての保障は基本的には共通した内容のようですが、この共済も比較的損保の内容に似た内容です。
損保ではすでになくしているところもある搭乗者傷害などは残しているようで、車両保険の種類は3種類用意されています。
この自動車共済でもロードサービスは提供されています。
自動車共済は自動車保険より保険料が安い?選び方と注意点
自動車共済と自動車保険の掛金と保障
自動車共済は自動車保険に比べると共済掛金が割安な傾向にあります。
自動車保険も通販などがあるので一概には言い切れませんが、共済という一定の組合の中で非営利での相互扶助を目的としていることも関係しています。
自動車共済とは?のところで解説したように、保障などは自動車保険の方が厚めな傾向があるので後はこれらのバランスをどう考えるかでしょう。
その他自動車共済の注意点
付け加える点があるとするなら経営破綻した際の契約者保護の仕組みです。
自動車保険では損害保険契約者保護機構により、経営破綻後3か月間、自動車保険では保険金を100%支払います(それ以降は80%)。
期間限定なのは自動車保険は生命保険の年齢や病歴は関係ないので、この間に他社に契約を移しやすいためです。
これに対して自動車共済は共済契約準備金を経営破綻時の支払原資として確保しながら、掛金などを安全な運用しながら備えをしています。
損保の仕組みに比べると規模は小さめです。
大きな共済なら比較的こうした備えは高めでしょうが、共済によってはこうした部分にも注目して検討してください。
また自動共済と自動車保険の仕組みの違いではここまでみてきたように、規模の大きな共済ではそんなに変わりませんが、中小になると少し事情が変わってきます。
中小ではないでしょうが、教職員共済の車両の保障やノンフリート等級制度の割引が事故なし・事故ありと別れていないなどはかなり大きな違いです。
自動車共済と自動車保険、等級の引継ぎ
自動車共済を利用する際に確認しておきたいことが、自動車保険と等級が繋がっているかどうかです。
一般的に自動車共済、自動車保険とも契約期間中に事故などで共済や保険の利用がなければ割引が進んで翌年の掛金が安くなります(一部共済を除く)。
例えば損保の自動車保険は1等級から20等級まであり、20等級なら63%割引です(多くの自動車共済もほぼ同じです)。
この割引制度は損保各社で繋がっていますから、他社に契約を移しても割引をそのまま持って移すことができます。大きな共済なら損保と等級制度を引き継ぐことは可能です。
但し例えば共済から損保に更新時に切り替えをする場合、共済によっては前年の等級や事故の有無の確認に証明書を取るように言われることがあります。
ある程度メジャーな共済なら等級の引継ぎは問題ないケースが多いですが、なかにはそもそも等級の引継ぎができない自動車共済があります。
通常新規契約は6等級からはじまり、無事故なら1等級アップして翌年は7等級です。20等級になるには14年かかります。
以前筆者に相談に来られた方が、ご両親が職業の関係で自動車共済に加入されていました。
ご本人は損保への切り替えを考えていましたが、この共済は損保で等級は引き継げませんでした。
割引も20等級まで進んでいたので、引継ぎができないとせっかく進んだ割引を捨てることになります。この方はこの共済の加入資格を失うまではこのまま続けるという結論になりました。
加入先の共済と事故対応などでトラブルがあった際、等級の引継ぎができないと契約を他に移しにくくなります。等級が進んでいる場合はなおさらです。
自動車共済に加入するときには他の共済や自動車保険に等級の引継ぎができるかどうかは大事なポイントです。
まとめ
自動車共済も運営母体となる共済の種類が多様なため、分かりにくい部分も多く混乱しがちです。
特に等級の引継ぎについては重要なことです。1年に1等級ずつしか進みませんから、20等級近くなるまで割引を進めるには10年以上もかかります。
保障内容やサービスの違い、等級の引継ぎ、契約者保護そして掛金などを比較して検討するようにしてください。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。