住宅ローン・団信/がん団信など多様化する上乗せ団信の保障内容・保険料
団信(団体信用生命保険)は住宅ローンでもしものときに返済をサポートする保険です。万が一のときにローンが精算されます。
最近は八大疾病や十一大疾病、就業不能、失業、自然災害などの返済に対応した上乗せ団信がでてきています。
■この記事で学べること
【1】住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは?保険料や保障の仕組み
【2】上乗せ団信の最近の保障の動向(がん団信、三大疾病、八大疾病、就業不能、自然災害)
【3】団信と既存の生命保険契約の違いや比較、重複した場合の見直し方法
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)と多様化している上乗せ団信の保障についてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは?
団信(団体信用生命保険)とは?
住宅ローンの団信とは団体信用生命保険の略で、ローン利用時に加入する専用の生命保険のことです。
住宅ローンは大きな金額を長期間に渡って返済するものです。
ローンの返済途中で本人が死亡したり、高度障害状態、病気で長期間働けなくなると住宅ローンの返済ができなくなってしまいます。
その際に家族が困らないように(金融機関の立場ではローンの返済をしてもらえるように)、団体信用生命保険で住宅ローンを精算する仕組みになっています。
少しくだけた言い方をすれば、住宅ローンでの借金をチャラにする生命保険ということです。
一般の生命保険と違うため、契約のかたちは次のようになります。
- 契約者 :金融機関(住宅ローンで融資した銀行等)
- 被保険者:住宅ローンを利用する本人
民間の金融機関などで住宅ローンを利用する場合には団信の加入が必須です。
そのため健康状態に問題があるとそもそも住宅ローンの利用が難しいというケースもでてきます。
正式名称は団体信用生命保険といいますが、以下本文では便宜上「団信」と記載します。
団信の種類
団信には一般的に次のような種類があります。
- 普通団信 死亡もしくは高度障害状態時にのみローンが完済
- がん団信 普通団信にがんと診断された場合の保障が上乗せ
- その他 さらに三大疾病、七大疾病、八大疾病、就業不能、自然災害(地震)などの保障が付帯
※三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)、七大疾病(三大疾病+高血圧症、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全)、八大疾病(七大疾病+慢性膵炎)
下の2つはいわゆる上乗せ団信と呼ばれるものです。
金融機関によっては八大疾病よりも範囲を広げて九大疾病、十一大疾病など広げているケースもあります。
八大疾病以降になると各社マターの保障と考えてください。上乗せ団信も多様化しています。
団信の保険料はいくら?シミュレーション方法
団信の保険料はいくら?シミュレーション方法
一般的に普通団信は保険料がかかりませんが、それ以外の上乗せ団信の保障は原則として住宅ローン金利に0.1~0.3%程度上乗せされています。
*ローンによって異なります。
各金融機関でもシミュレーションツールをWEB上に用意しているのでうまく利用してください。
団信は借金をチャラにする生命保険と言いました。
そのため団信の掛金(保険料)は2年目以降は住宅ローンの借り入れ残高に応じて減っていく仕組みになっています。
団信保険料は金利上乗せ方式と保険料外枠払い方式がある
団信の保険料(掛金)で一般的なのは、住宅ローン金利に上乗せする方式です。
わざわざ保険料を支払う必要はありませんが、もともと返済に上乗せしているのでお金の区別がつきにくいのです。
もう一つ数は少ないのですが、保険料を別に外枠で支払うタイプのものもあります。
簡単に言えば普通に生命保険に加入するように団信保険料を支払うやり方です。
この方式でメリットがあるとすれば、上乗せ団信の保障が不要になった段階でやめることができるということです。
結構大事なポイントですので覚えておいてください。
がん団信、三大疾病保障付き、就業不能、自然災害など最近の上乗せ団信
普通団信にがん団信、さらにこれらの上乗せで三大疾病や七大疾病、八大疾病などがあるとお話しました。
通常は死亡時や高度障害時、がんと診断されたり上記の○大疾病に該当して所定の状態になったときに住宅ローンが免除(住宅ローン残高がゼロ)になります。
がん・三大・七大・八大疾病以外にも住宅ローンの返済が免除
最近の住宅ローンの団信は競争が激しくさらにさまざまな保障があります。
すべての病気やケガなどで就業不能状態が続いた場合に住宅ローンが免除となるものもあります。
他にも脳卒中や急性心筋梗塞での就業不能状態がその月のローンの返済日にあたるなら、該当月の返済が保障される(その月は返済なし)などもあります。
これは急性心筋梗塞だけに限らずもっと広い範囲の病気でも同様のケースがあります。
就業不能状態でローンの返済日をむかえると条件に該当するケースもあるので極端な話、インフルエンザなどでも適用条件に合うことがあります。
最近は医療技術が進み、病気になったことが必ずしも死に直結するわけではありません。
また以前のように入院をメインとした治療でもなくなっています。
仕事に復帰できないが在宅療養で治療が続く状態だと死亡しているわけでもないので団信で住宅ローンの精算もされません。
その意味では所定の病気になったときに住宅ローンが免除、就業不能にも対応しているものはいまの医療事情などにも合っているのです。
住宅ローンの獲得競争が激しさを増していることもこうした競争に拍車をかけています。
自然災害(地震、台風など)で住まいが損壊したときの保障
最近は自然災害が多いことなどもあり、体のことだけではなく火災や自然災害で住宅が損壊して住めないときに一定期間の住宅ローンの返済を保障するものもあります。
ここまで必要かという保障もあるかもしれませんが、あくまで住宅ローンの返済を支援したり保障したりするものです。
通常の生命保険や火災保険とは機能が違うと考えてください。具体的には次のような2つのタイプがあります。
一定期間の住宅ローン返済相当額を免除
■対象になる災害
地震、台風(風災)、豪雨、洪水、津波、噴火、雪災、落雷
- 全壊 24回分免除
- 大規模半壊 12回分免除
- 半壊 6回分免除
全壊の認定で住宅ローンの50%相当額を免除
■対象となる災害
- 地震、噴火、津波
一般的に多く取り扱いがあるのは、前者の台風などもカバーするタイプです。後者については完全に地震保険の上乗せをイメージしているようです。
地震保険はもともと50%までしか契約できませんから、これを付帯すれば全壊なら100%保障がついていることになります。
自然災害については上乗せ金利もそこそこするので、民間の地震保険の上乗せや少額短期保険の地震補償、家財への保険の付帯なども検討してみてください。
タイプは2つありますが、一定の期間返済を免除するタイプが多く提供されています。
団信の三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)の必要性
三大疾病が団信に必要かの判断
わかりやすくタイトルには三大疾病と書きましたが、解説したように七大・八大疾病、就業不能、失業、自然災害などの損害まで住宅ローンの返済にかかる保障がでています。
内容はその後の住宅ローンの返済が免除されるかその月もしくは一定期間の返済額を保障するものです。
その分保険料もいくらか上乗せされます(金融機関や内容によって上乗せがないケースもある)。
住宅ローン金利+コンマいくつかの上乗せ分がどの程度負担があるかというところが判断基準です。
返済が進めばローン残高も下がりますからそれも考慮しておきましょう。
必要性を考えるにあたりもっと大事なことがあります。続けてみていきましょう。
住宅ローンの免除や保障に関する注意点
注意点があるとすると一つは対象となる条件の確認です。
がんは診断されると住宅ローン免除(上皮内がん対象外や給付額が変わることもある)です。
しかし脳卒中や急性心筋梗塞などの場合は診断されて即免除というわけにはいきません。
事前にチェックしておいてください。60日程度の労働制限などの条件がついていることがあります。それからもう一つ。
*通常に加入する三大疾病保障保険はこうした要件が緩和傾向です。
これらの保障があれば死亡や高度障害のときだけでなく、仮に病気になって条件を満たせば住宅ローンはなくなります。
その際繰上げ返済したお金は戻ってきません。
例えば確定して住宅ローンが免除になった、その直前に200万円で繰り上げ返済したばかりでもそれを含んでそれ以降の返済が免除されます。
実際にどのタイミングで病気になるか分かりません。繰上げ返済はやめましょうというのではなく、こうなるというルールは覚えておいてください。
住宅ローンで団信と生命保険の保障の重複と違い、両方の比較
住宅ローンで団信に加入する場合に気になるのが、いままで加入していた生命保険との保障の重複です。次のような疑問も珍しくありません。
- 両方加入したままでいいのか
- どっちが得なのか
- 違いが分からない
- どっちか解約していいのか
色々分からないことが多いでしょう。これを踏まえて次に両方の違いについてみていきます。
団信と生命保険の違い
団信と一般の生命保険は、似ていますが実は保障するものが同じではありません。
- 一般の生命保険 遺された家族の生活費など
- 団信 住宅ローンの返済をカバー、サポート
もちろん本人が死亡した場合、一般の生命保険にも遺された家族の生活費なども含まれています。
その点から考えると団信に加入することで、住宅ローン(その後の住居費)にかかる保障が両方で重複していることになります。
それから団信の掛金(保険料)は生命保険料控除の対象になりません(契約者が金融機関になるため)。
年末調整や確定申告では使えませんし、生命保険料控除証明書もありません。
どっちが得?重複したら解約する?
団信と一般の生命保険の両方がある場合、どっちが得かで解約するべきかというと重複している部分は削るなりして調整するが正しいやり方です。
お話したようにそれぞれ保障するものが違いますが、住居費については一般の生命保険の死亡保障に重複している可能性があるからです。
必要保障額を確認して住居費にかかるところが多いようなら、契約金額(保障額)を減らすことも考えてみましょう。
ネット上で一般の生命保険の保険料との比較もよく見かけますが、掛け捨ての一般の生命保険だと30代前半くらいだとそちらの方が契約時ベースの掛金は安くなることもあります。
ちなみに先ほどもお話しましたが、団信の掛金は返済とともに減っていく仕組みになっています。
団信の保険料の減少も考慮しないと正しい比較ではありませんので注意してください。
まとめ
住宅ローン・団信/がん団信など多様化する上乗せ団信の保障内容・保険料、についていかがでしたか。
住宅は大きな買い物です。色々調べたり確認したりすることも多いので、団信のことは後回しになることも多いでしょう。
しかし長い住宅ローンの返済期間中にはどんなことがあるかわかりません。
必要以上に保障をあれこれ付帯することはないでしょうが、本人の病気やケガ、自然災害など住宅に絡んで色々なことが考えられます。
最近はペアローンの団信では夫婦いずれかに何かあったときに、夫婦双方の残債を精算するものもでています。
マイホームを守るための団信についても住宅同様じっくり検討してみてください。
住宅ローンそのものと同様に住宅を守るために必要なものです。
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