火災保険・風災(台風・竜巻)の必要性!風災の補償範囲と雨漏りとの関係
台風や竜巻、暴風雨などの損害は、火災保険の「風災・雹災・雪災」の補償で対応します。特に2010年以降に被害が増えている災害です。
■この記事で学べること
【1】火災保険の風災の補償
【2】風災補償は火災保険に必要か
【3】雨漏りは火災保険の風災補償
【3】火災共済(都道府県民共済・こくみん共済coop・JA共済)と風災補償
【4】火災保険と風災の保険金の申請
火災保険(火災共済)と風災補償についての必要性(特にマンションや家財)と実際に被害を受けたときの申請についてお話しします。
※台風では水災(床上浸水など)もありますが、火災保険の水災については下記の関連記事を参考にしてください。
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この記事のもくじ
火災保険の風災の補償とは?
はじめに火災保険の風災の補償について確認します。
火災保険では「風災」のみの補償はなく、「風災・雹災(ひょうさい)・雪災」の3つが一緒です。これは損保各社共通です。
火災保険の風災補償とは?
火災保険の風災の補償とは、台風や突風、竜巻、暴風などの風による損害をいいます。
これらを原因として専用住宅であれば建物の屋根や家財などに損害があったときに保険金支払いの対象となります。
多くの火災保険では、風災・雹災・雪災の補償が付帯されています。
一部の火災保険ではこの補償を選ぶことができて、風災・雹災・雪災の補償がいらないと考えるなら外すことができます。
あくまで自分で選んだ結果、風災の補償がない状態になるので、意図せずこの補償が付いていないということはありません。
例えば九州・四国あたりなら台風がよく通過するので水災や風災の補償は必須です。
また雪国なら雪災は必須です。雹による被害も以前よりは増えています。
火災保険として風災・雹災・雪災は同じ補償のため、風災は必要だが雪災は不要というわけにはいきません。
※以下、風災とだけ記載しますが、火災保険では「風災・雹災・雪災」もセットだと考えてください。
火災保険で風災は補償されている?20万円以上のルールや免責金額にも注意
一般的な火災保険であれば、「風災・雹災・雪災」の補償は付帯されています。
これは昔の損保各社の共通商品(住宅火災保険、住宅総合保険)でも同様です。
現在の保険では、一部で風災等を選択可能なものもでています。
補償の必要性については後で改めて解説しますが、風災を自分で外す選択をしない限りは補償されているプランを選んでいることになります。
風災で注意が必要なのは、免責金額の設定です。
先ほどの古いタイプの住宅総合保険などは、損害額が20万円以上になったときに全額支払うというようなルールになっています。
例えば台風で屋根に損害がでて修理費が15万円では支払いにならないが、20万円以上になったら全額支払うというものです。
現在でもこうしたタイプの保険はありますが、特に古いタイプでは注意してください。
その分保険料は安いのでこれが駄目だというわけではなく、それを知っていることが大切です。
最近の火災保険は、風災に限らずすべての補償に免責金額0万円、1万円、3万円、5万円、7万円、10万円など自由に設定できるものがあります(特に大手損保)。
免責金額が高額になれば掛金も安くなります。
また火災保険によっては風災等の補償にのみ高額免責(10万円、20万円など)を設定できるケースもあります。
風災はあまりなさそうだけど大きな損害があったら保険に頼ろうという考えての人に合う火災保険の設計といえます。
火災保険で風災の補償はいらない、不要で契約できる?
実は「風災・雹災。雪災」の補償はほとんどいらないからといって補償を除外することはできない火災保険がほとんどです(一部除外できる損保もあり)。
火災・落雷、破裂・爆発、一般的にこの補償を除外できる火災保険はありません(落雷はジェイアイ傷害火災が除外可能)。
補償を選べる火災保険でも基本補償です。
風災・雹災・雪災もほとんどの損害保険会社で基本補償に近いかたちになっていますから、これをいらないという契約はできないケースが多いのです。
多くの損保で火災保険の風災補償は必要かどうか以前に補償を外すことができるものが少ないのが現状です。
もちろんすべてではないので風災も選択できる火災保険なら風災がいらないという選択もできます。
あまり風災について利用することがなさそうということであれば、風災に免責金額(自己負担額)を高めに設定できれば掛金は安くできます。
損保によっては風災等だけ高額免責の設定(自己負担を高く設定する)が可能なケースもあります。
風災の補償は火災保険に必要?
自然災害ということでみると、台風はほぼ全国各地に被害をもたらします。しかし竜巻のような災害はいつ、どこで発生するか予測ができません。
風災の必要性の是非と考える以前に自然災害については、こんなことはないだろうでは済まないこともあるのです。
想定される被害が大きくなるリスクについては一般的に保険の必要性が高いと考えてください。
風災の補償は外せないけれど、自己負担を増やすことで掛金を安くすることは可能です。想定されるリスクと対応を考えてみましょう。
風災と建物構造
建物構造だと特にマンションやコンクリート造のビルなどは風災に限らず、雹災。雪災にも構造上強いのが一般的です。
都心部のタワーマンションなどで専有部分だけ火災保険の契約をする場合、特に多いのがガラスの損害です。
台風などによる暴風の場合、風だけでなく一緒に飛来物も飛んできます。
当たれば窓が割れますし、マンションの高層階では飛来物を遮るものがないため危険が増します。
一戸建てでは屋根の破損に注意が必要です。
マンションの場合は高さも関係するでしょうから、風災補償がいるかいらないかはこうした点も考慮してください。
風災と地域性
建物構造と並んで風災(あるいは水災、雪災)などの地域性が関係あるのが自然災害です。
先ほど解説したように強風や竜巻など発生が読みにくい災害もありますが、火災保険ではどこに居住しているかは重要な要素です。
風災の家財と火災保険
意外と気になるのが「家財」です。住宅物件の場合、持ち家なら建物と家財、賃貸住まいの人なら家財を目的に火災保険に加入します。
台風や竜巻など持ち家なら建物は外壁などに被害を受けることがあるかもしれません。
しかし例えば賃貸物件住まいの人だと、火災保険に契約するのは家財です。
家財の保険しか加入していないのに、そもそも家財に風災の補償が必要かと考える人もいるでしょう。
例えば賃貸マンションでコンクリート造、鉄骨造だと木造の一軒家に比較すると風災のような災害には比較的強いでしょう。
余談ながら筆者が経験したレアなケースをご紹介します。
賃貸マンションで家財の保険に加入した方が、風の強い日に窓を開けたときにマンション内に強風が入って家財がぐちゃぐちゃになった方がいました。
何があるか分からないのが自然災害とご理解ください。
マンションに火災保険の風災補償は必要か?
上記に少しレアのケースがお伝えしましたが、構造上はマンションの専有部分などは風災には戸建てより比較的強いでしょう。
一方で、解説したように窓ガラスの破損などはありえることです。
特に自然災害では想定を超える大きさのものもあるため、安易に火災保険で風災はいらないと判断するのは危険です。
補償の選択には十分に注意してください。
雨漏りしたら火災保険の風災で対象?
風災に限った話ではありませんが、雨(台風、集中豪雨・ゲリラ豪雨など)があると気になる災害が雨漏りです。
風災で雨漏りが補償されるかというとされません。
さらに補足すると火災保険で雨漏りは補償されません。これはどこの保険会社も同じです。
基本的な考え方として自然災害による損害というよりは、自然消耗や劣化、工事の不備などによる原因が大きいからです。
但し、台風などによる強風で屋根が吹き飛ばされた、壊れた結果として雨が入ってきたなら対応可能なケースがあります。
状況を保険会社にきちんと話をして相談してください。
風災でカーポート、門塀、物置は対象?
台風や竜巻などで自宅は被害がなかったが、カーポートや門塀などに損害が発生するケースもあります。
建物を火災保険目的として加入する際は、通常カーポート(車庫)や門・塀なども保険金支払いの対象になるのが一般的です。
なかには敢えて除外しているケースもありえるので、契約内容について損害保険会社に確認してみてください。
火災共済(県民共済・こくみん共済coop(全労済)・JA共済)の風災補償
このサイト(mylife money online)の記事内でたびたびお話ししていますが、火災保険と火災共済はまったく違います。
共済も全国各地に地場の共済がたくさんあります。誰もが知っている火災共済ということであれば、県民共済、こくみん共済coop(全労済)、JA共済、コープ共済などでしょう。
割戻金がでる共済もありますし、掛金の付帯が軽いのが特徴ですが、補償内容は相当違うと思ってください。
都道府県民共済と水災
都道府県民共済(以下、県民共済)の場合、風災の支払いは「風水害等見舞共済金」という項目で支払います。
建物や家財の損壊程度として、「全壊・流失」「半壊」「一部破損(4区分)」の3段階あります。
さらに建物は契約金額が2,000万円以上か未満か、家財は1,000万円以上か未満かの区分があるので、これに上記の損壊の程度の区分を縦横でクロスさせて支払い金額が決まります。
県民共済の場合は600万円が最高なので大型の補償ではありません。
こくみん共済coop(全労済)の水災補償
こくみん共済coop(全労済)は住まいる共済という商品があり、2024年4月から改定して補償内容を一部拡大しています。
風災の支払いは「風水害等共済金」という項目が該当します。
県民共済と同様に建物などの損壊の程度が「全壊・流失」「半壊」「一部壊(4区分)」の3段階になります。
こくみん共済coopの場合、基本は新火災共済で風水害等共済金を支払いますが、自然災害については別途、新自然災害共済という上乗せ補償があります。
エコノミーとベーシックの2タイプがあるためこれらのいずれかの上乗せする、あるいは上乗せせずに新火災共済のみかで風災による支払金額が大きく違います。
例えば全壊の場合、新火災共済では最高300万円ですが、新自然災害共済のベーシックのタイプなら6,000万円になります。
JA共済の風災補償(風水災等共済金)
JA共済の建物更正共済むてきプラスでは次の条件を満たしていることが共済金支払いの条件です。
支払は「風水災等共済金」から共済金が支払われます。
- 風災などによって生じた損害の損害割合が5%以上
- 風災などによって生じた損害の損害割合が3%以上5%未満
- 風災などによって生じた損害の額が5万円以上
その上で次のような計算をします。
- 火災共済金額が共済価額の80%以上 損害額(共済金額が限度)
- 火災共済金額が共済価額の80%未満 損害額×火災共済金額/共済価額×80%
契約時に共済価額の80%以上の金額で契約しているかどうかで支払いの計算方法が変わります。
積立型なので契約時は掛金負担が気になるところでしょうが、80%以上を目安にしておくといいでしょう。
火災保険と風災被害の保険金の申請
風災の保険金の申請のややっこしいところは、契約者の請求は大きな損害が遭ったときということです。
竜巻の被害で屋根が吹き飛んだと言えば、誰もが保険金の請求をするでしょう。
しかしプロがみれば屋根に損傷があるのに日常生活に支障が無ければだれも損害保険会社に連絡しません。
近年、火災保険でリフォームなどといって、いつの損害が分からないものを火災保険の請求をして保険金受取、バックマージンを貰うことを目的にして営業されるケースもあります。
多いのは、風災、雪災、地震などです。実務的に風災よる屋根の損害は一般の人にはほとんどわからないためそれなりの意義はあるでしょう。
但し詐欺まがいも業者も多いので注意してください。下記のとおりかなり多くの注意喚起がでています。
まとめ
毎年ゴールデンウイークを過ぎてしばらくしてから台風の季節に入ります。
この記事では風災を取り上げましたが、火災保険や火災共済の補償では、火災はもちろん水害や地震、その他色々な被害を想定します。
風災だけでなく水災や地震など他の災害の補償も総合的に考慮して、専門家の意見の参考にしながら無駄のない火災保険の設計をしてください。
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