2018年4月生命保険の値下げ!医療保険は値上げ?標準生命表の改定の影響
生命保険会社が、標準生命表の改定を背景に2018年4月にも死亡保険などの掛金(保険料)が値下げに改定する見通しになりました。
生命保険の改定と言えば、2017年4月に予定利率・標準利率の引き下げによる保険料(掛金)の改定があったばかりです。貯蓄性の高い保険は値上げされています。
2018年には次のような保険料の改定も予想されていました。
- 掛け捨ての死亡保険 値下げの見込み
- 終身医療保険 値上げの可能性
2018年になって各保険会社の動きが具体的にみえてきました。
標準生命表の改定にともなう、2018年4月からの生命保険、終身医療保険、がん保険などについて、その背景や今後の生命保険加入についての影響、保険加入・見直しの考え方についてお話します。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。
この記事のもくじ
生命保険の保険料(掛金)決まり方と標準生命表
2017年4月の予定利率の引き下げに伴い特に貯蓄性の高い生命保険の保険料が値上げ、今度は標準死亡率に改定に伴う死亡保険料の値下げと何だかよく分かりませんね。
生命保険の掛金(保険料)がどのように決まるかをまずは確認しましょう。
生命保険の掛金(保険料)の決まり方
生命保険の掛金は次の3つのことが関係して決まります。
- どのくらいの人が亡くなるか(予定死亡率) →死亡率が低いほど掛金は安い
- どのくらい運用できるか(予定利率) →予定利率が高いほど掛金は安い
- どのくらい運営・事務コストを減らせるか(予定事業比率)→予定事業費率は低いほど掛金は安い
一番最後の予定事業費率は、生命保険会社の事業の運営コストに掛かる部分です。つまり各社ごとに違いがあります。
それに対してどのくらいの人が亡くなるのか、どのくらい運用できるかは各社で大きな違いがあるわけではありません。
2017年4月と2018年4月の改定と掛金の決まり方の関係
2017年4月の生命保険の改定は2番目の予定利率の改定(引下げ)によるものです。
特に運用にかかる部分ですから、貯蓄性の高い生命保険は大きな影響があったわけです。
利率が下がれば運用が悪くなります。終身保険や学資保険などの積立タイプの保険が値上げされたのはそのためです。
この記事の保険改定のテーマは先ほどの3つの決まり方の1番目の予定死亡率の部分です。
簡単な話、長寿化の影響で死亡率が低下したことにより、一部の保険で掛金が引き下げとなる見込みということです。
この予定死亡率に関係するのが標準生命表というものです。
逆に死亡率が低下することは寿命が延びるということでもあるので、医療保険(特に終身)は収支が悪化が懸念されます。
長生きになる分、入通院や手術などの支払いが増えるためです。
生命保険の死亡保険料はなぜ値下げ?
生命保険の死亡保障の死亡率は、公益社団法人日本アクチュアリー会という機関が「標準生命表」を算定しており、この死亡率を参考に保険料を決めています。
日々進歩している医療技術の影響などにより平均寿命が延びたため、標準死亡率が11年ぶりに下がることによります。
他にも自殺者の減少などで死亡率が改善しているようです。死亡率が下がってもいつかは死亡するのになぜ保険料が値下がりするのか、疑問に思う人もいるでしょう。
保険の種類にもよりますが、例えば掛け捨てタイプの保険の代表に「定期保険」があります。
名称のとおり契約期間が定まっている(定期)保険です。
契約期間10年の定期保険なら、30歳で契約すれば40歳までが契約期間です。
その後自動継続などするでしょうが、30歳の死亡率が下がっていれば、この年齢の10年間の死亡保険料は安くできるというわけです。
2018年4月以降、死亡保険料はどのくらい値下げ改定される?
例えば前述の契約期間10年の定期保険で5~10%程度、保険料(掛金)が引下げられる見込みです。特に高齢者よりも30~40歳代の現役世代の恩恵が大きそうです。
死亡保険料といっても、定期保険だけでなく終身保険など生命保険にも種類があります。
さらに各社販売戦略がありますから、その辺りは改定が近くなった段階で確定された情報を適宜追記していきます。
一般的に契約期間に終わりがある定期保険(○歳まで、○年間など)はより安くなるでしょう。
直近(2017年4月以降)の生命保険の改定を整理
生命保険も保険料の値上げ・値下げの改定が続いているので、混乱すると思いますので情報を整理しておきましょう。
- 2017年4月~ 予定利率の引き下げ 特に貯蓄性の高い保険の保険料が引き上げ
- 2018年4月~ 標準死亡率の引き下げ 死亡保険料について引き下げ予定
直近はこの2つですが、それぞれ改定されることが違いますから、混同しないようにしてください。
標準生命表の改定で終身医療保険などは値上げ?
死亡保険料が引き下げとなる反面、平均寿命が延びることで保険料が引き上げられる可能性が高いのが「医療保険」「がん保険」など医療分野の保険です。
平均寿命が延びて長寿化が進むと、高齢者が増えていきます。高齢な人ほど病気になるケースが多いため、保険金や給付金の支払も増加します。
結果として、保険料の引き上げ要因となるわけです。
但し医療保険は、各社の販売戦略を見極めたいところです。
医療保険などのいわゆる第三分野の保険は、保険業界では競争が激化している分野です。
この部分を改定時に生保各社がどのように現場に反映させていくかというところです。簡単に値上げというわけにもいかないので各社お互いの状況を探っての動きになるでしょう。
- 2018年3月3日追記
2018年に入っていくつかの生命保険会社が終身医療保険の掛金を据え置きする方針を打ち出しています。上記の通り掛金を値上げしにくい状況というところでしょう。
2017年から終身医療保険やがん保険などをいくつかの会社が新商品や改定を行っています。
他社の動向もあるものの年2018年4月の改定をある程度見越してのことでしょう。
こうなると他の会社も収支は気になっても医療保険の値上げはしにくいという状況です。参考までに生命保険会社2社のプレスリリースをつけておきます(PDFファイル)。
2017年4月、2018年4月の標準生命表の改定(値上げ・値下げ)でどうする?
2017年4月の予定利率の改定を受けて、貯蓄性の保険(終身保険、学資保険など)駆け込みで、2017年3月に契約した人もいるでしょう。
生命保険に加入する意思が明確に決まっていて、その上で値上げとなる改定前に加入する、あるいは改定した値下げ後に加入するというのはありでしょう。
その方が得なわけですから、選択肢となるのは当然のことです。まずは上記の改定の動きをよく理解してください。
生命保険でお金を貯める場合
保険各社は昨今の低金利の状況の中で、生命保険でお金を貯めることについては、「外貨」「変額」の方向に舵を切っています。
学資保険や貯蓄性の保険などお金を貯める、殖やすのは保険に拘る必要はないので、色々な方法を模索してください。
掛け捨ての死亡保険、終身医療保険の保障
この記事のテーマにあるように死亡保険は値下げとなります。医療保険は据え置きのケースが増えてくるでしょう。
いま保険の加入・見直しをしている人は相談先の会社が2018年4月から何がどう変わるか確認してください。
改定があるのが分かっていれば、事前にゆっくり検討することができます。
医療技術の進歩というのは、今後も続きます。この流れはそのまま続くでしょうから一般的には死亡保険料は下落傾向になることが考えられます。
医療保障や介護保障はその逆ですね。もちろん各社の思惑も関係するでしょうから、この辺りのことを頭に入れつつ、今後の保険加入を検討していくといいでしょう。
まとめ
2018年4月生命保険の値下げ!医療保険は値上げ?標準生命表の改定の影響、についていかがでしたか。
貯蓄性の保険の魅力がかなり下がるなかで、掛け捨ての死亡保険料も下がる見込みです。
死亡保険などは、掛け捨てで割り切る方が合理的な商品設計が今後はしやすいでしょう。
保険でお金を殖すことと、保険で何かに備えることは、分けて考える方が当面は有利だと考えます。
保険でお金と貯める・殖やすことを考える場合、中途解約すると元本割れの可能性があること、長期間低金利でお金を固定することになる点はよく理解して保険を使ってください。
改定がある場合は、その改定をどう使ったら自分に有利か情報を収集しつつ、専門家などに相談して検討してみてください。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。