自賠責保険が値下げ(2017年4月)!改定後の料金表と補償内容
2017年4月より自賠責保険の保険料が、全車種平均で値下げ改定されました。自賠責保険料の引下げ改定は実に9年ぶりです。
■この記事で学べること
【1】自賠責保険料が値下げ改定された背景
【2】自賠責保険の補償
【3】2017年4月以降の自賠責保険料の早見表一覧
以上の3点を中心に自賠責保険の2017年4月改定についてファイナンシャルプランナーが解説します。
*自賠責共済も同様ですが、ここでは自賠責保険で統一して記載します。
この記事のもくじ
自賠責保険の保険料改正(値下げ)の背景
2017年4月より、自賠責保険の保険料が値下げとなるのは次のような背景があります。金融庁の自賠責保険審議会の資料の一部をみてみましょう。
- 2年連続で損害率が現行料率の予定損害率を下回る水準の料率検証結果となり、保険収支が黒字傾向であるほか、予定損害率と損害率との乖離幅が昨年度の料率検証結果よりも拡大していること。
- このことから、運用益積立金を考慮した累計収支残の更なる拡大が今後見込まれること。 (出典:金融庁 自賠責保険審議会資料)
つまり収支が良くなってきたので、値下げするということです。9年ぶりの値下げですから、前回自賠責保険が引下げられたのは2008年です。
ちなみにその後2011年に全車種平均で11.7%、2013年に全車種平均13.5%、自賠責保険は値上げされて現在に至ります。
自賠責保険は加入が強制されている強制保険ですが、「ノーロス・ノープロフィットの原則」をベースに作られています。
簡単にいうとノーロス(損失なし)・ノープロフィット(利益なし)、運営上必要なコストを除けば、後は利益も損失も出ないようにするということです。
そのため収支が改善してくれば、当然このように自賠責保険料の引き下げとなるわけです。
ちなみにこの原則は、地震保険でも適用されています。
自賠責保険の改正内容
自賠責保険の改定率や改定時期など具体的な改正内容について確認していきましょう。
いつから自賠責保険は改正される?
自賠責保険の保険料の改定は、2017年4月1日(保険の始期日ベース、契約日ではない)より適用されます。
通常、自賠責保険の保険期間は車検期間よりも1ヶ月程度ずれています。
そのため保険始期(契約期間の始まり)が4月10日だったとしても、契約手続きは2月中に行うこともあるわけです。
保険始期ベースですので、4月10日から保険が始まる契約なら、改定後の保険料になります。
車検期間ではなく、あくまで自賠責保険の始期日を基準に考えますので間違えないようにしてください。
具体的な自賠責保険の値下げ幅?
改定後の自賠責保険の保険料の値下げ幅(改定率)は全車種平均で6.9%の引下げとなります。
対象者が多いと思われる自家用乗用車の現行保険料は、2年間(24ヶ月 離島以外)で27,840円です。
自賠責保険料の改定(値下げ)後は25,830円となり、この車種・期間では7.2%保険料が引下げられることになります。
ちなみに2008年からの改定の各保険料は下記のとおりです。
※自家用普通乗用車 24ヶ月 本土用(離島以外)
- 2017年4月~25,830円
- 2013年4月~27,840円
- 2011年4月~24,950円
- 2008年4月~22,470円
2011年、2013年の自賠責保険の全車種平均の引上げ幅を考えると今回の改定による値下げでもまだまだですが、値下げになるのは家計にはありがたい話です。
ちなみに任意の自動車保険の2018年以降に全車種平均で値下げ改定の動きがでてきています。
自賠責保険の補償内容
自賠責保険は強制保険であるが故に、自分で色々補償内容や保険料(掛金)を考えて加入する保険ではありません。
車種と車検の回数で保険期間や保険料(掛金)は決まっています。
補償内容は、対人賠償事故のみが対象になるため、対物賠償事故は対象外です。
自賠責保険の補償内容は以下の3つです。
- 傷害による損害 限度額120万円
- 後遺障害による損害 常時介護要4,000万円 随時介護要3,000万円 これら以外第1級3,000万円~第14級75万円
- 死亡による損害 限度額3,000万円
自賠責保険は賠償責任保険ですので、第三者に損害賠償をする保険です。
但し次のようなケースでは、自賠責保険(自賠責共済)で支払われる金額につき、減額が行われます。
- 被害者に重大な過失があった場合
- 受傷と死亡または後遺障害との間の、因果関係の有無の判断が困難な場合
こういうこともあるという程度の認識で構いませんが、この機会に頭に入れておきましょう。
2017年4月1日以降、自賠責保険料金表(自家用乗用車)本土用
それではここから2017年4月1日以降から値下げになる自賠責保険の料金表(早見表)の一覧で確認していきましょう。
以下の自賠責保険の保険料は離島以外の地域(沖縄等を除く)のものです。
自家用乗用自動車 | |
37ヶ月 | 36,780円 |
36ヶ月 | 35,950円 |
25ヶ月 | 26,680円 |
24ヶ月 | 25,830円 |
13ヶ月 | 16,380円 |
12ヶ月 | 15,520円 |
2017年4月1日以降、自賠責保険料金表(軽自動車)本土用
軽自動車(検査対象車) | |
37ヶ月 | 35,610円 |
36ヶ月 | 34,820円 |
25ヶ月 | 25,880円 |
24ヶ月 | 25,070円 |
13ヶ月 | 15,960円 |
12ヶ月 | 15,130円 |
2017年4月1日以降、自賠責保険料金表(自家用小型貨物)本土用
自家用小型貨物 | |
25ヶ月 | 30,460円 |
24ヶ月 | 29,470円 |
13ヶ月 | 18,360円 |
12ヶ月 | 17,350円 |
2017年4月1日以降、自賠責保険料金表(自家用普通貨物)本土用
自家用普通貨物2トン超
自家用普通貨物(2トン超) | |
25ヶ月 | 53,890円 |
24ヶ月 | 51,990円 |
13ヶ月 | 30,660円 |
12ヶ月 | 28,720円 |
自家用普通貨物2トン以下
自家用普通貨物(2トン以下) | |
25ヶ月 | 44,100円 |
24ヶ月 | 42,580円 |
13ヶ月 | 25,520円 |
12ヶ月 | 23,970円 |
2017年4月1日以降、自賠責保険料金表(バイク、原付)本土用
バイク(250cc超)
バイク(250cc超) | |
37ヶ月 | 14,950円 |
36ヶ月 | 14,690円 |
25ヶ月 | 11,780円 |
24ヶ月 | 11,520円 |
13ヶ月 | 8,560円 |
12ヶ月 | 8,290円 |
バイク(125cc超250cc以下)
バイク(125cc超250cc以下) | |
60ヶ月 | 22,510円 |
48ヶ月 | 19,140円 |
36ヶ月 | 15,720円 |
24ヶ月 | 12,220円 |
12ヶ月 | 8,650円 |
原付バイク等(125cc以下)
原付バイク等(125cc以下) | |
60ヶ月 | 16,990円 |
48ヶ月 | 14,690円 |
36ヶ月 | 12,340円 |
24ヶ月 | 9,950円 |
12ヶ月 | 7,500円 |
自賠責保険を値下がり前に加入した人は差額の返金はされる?
2017年4月から自賠責保険料は、全車種平均で値下がり改定したのはすでにお話したとおりです。
なかには改定前(値下がり前)に加入したのだから、差額分を返金して貰えないのかと考える人もいるでしょう。
実際にどうなのかというと、基本的は値下がり後の保険料との差額を返金して貰うことはできません。
任意の自動車保険や火災保険などでも同様ですが、保険料や補償内容などのルールは保険始期(保険契約が始まったとき)を基準に考えます。
契約後に改定があって保険料が変わったり、補償内容が変わってもその前にした契約については満期を迎えるまで改定の影響は受けません。
改定で値下がりしたから途中で差額を返金するなら、逆に値上がりした場合は差額を後から支払わなければならなくなります。
自賠責保険はどこで加入する?
自賠責保険の自賠責法に基づく強制保険ですから、どこの損害保険会社で加入しても金額が変わるわけではありません。
自賠責保険と任意の自動車保険を同じ損保で加入すると事故の際に楽
できればですが、任意の自動車保険を加入している損害保険会社と合せておくと事故の際に多少楽です。
事故の際に自賠責保険の手続きは、保険会社が異なっても任意の自動車保険の契約を持っている保険会社が行うことが一般的だからです。
保険会社が違えば自賠責保険の証明書の写しを任意の自動車保険の契約先に送る必要があります。
送ればいいだけですが、事故で慌てているときにあれこれやるのは精神的にも疲れますし、自賠責を使うということは対人事故が起きています。
手間がかからないにこしたことはありません。
自賠責保険の手続きを車検と別にすることは可能
車検にだす際にディーラーなどで車検と一緒にまとめて自賠責保険を手続きする人が圧倒的に多いでしょう。
任意の自動車保険に加入しているところで自賠責保険を手配して、車検にだす車と一緒に自賠責保険の証明書を渡して手続きしてもらうことも可能です。
よくあることなので、車のディーラーや修理工場などは言えばわかります。
そういう方法もあるということは認識しておいてください。
まとめ
2017年4月からの自賠責保険の値下げ改定、早見表の一覧、についていかがでしたか。
損害保険業界もさまざま種目で保険料アップが続くなかで値下げは助かります。
今後も自賠責保険の収支状況によって変わっていくでしょうから情報収集しつつ動向はみておいてください。