住宅ローンで失敗、苦しくて後悔しないためのチェック10選
マイホームの購入後に住宅ローンで「失敗した」「後悔している」「苦しい」人がいます。
■この記事で学べること
【1】住宅ローンで失敗・後悔しないための10のチェック
【2】住宅ローンのリスクを見える化する
【3】住宅購入前に改めて考えてること
無謀な住宅ローンで返済が苦しくなって後悔しないためのチェック項目と購入前にすべきことについてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
住宅ローンの3つのポイントと失敗・後悔しない10のチェック
住宅ローンのポイントになる3つの項目
住宅ローンを利用する際のポイントには次の3つの項目が重要です。
- 金利(より低い金利で)
- 借入金額(より少ない金額を借りる)
- 借入期間(より短く借りる)
住宅ローンの基本事項ですが、金利は低い方がよく、お金を借りる金額が少なく、借入期間が短い方が総返済額は少なくて済みます。
但し、金利が最も低いのは変動金利です(将来金利上昇リスクがある)。
頭金が少なければ借りる金額が多くなりますし、借入期間を長くすれば毎月の返済額を低く抑えることができます(総返済額の損得は別)。
住宅ローンで失敗する人としない人の大きな違いは、事前にこうしたことを確認して、自分でよく考えて決めているかどうかです。
まずはここが前提です。
自分には知識がない、難しい、わからない、営業さんに大丈夫と言われたなど色々言いたいことはあるでしょう。
しかし自分と家族の人生を大きく左右することです。
後で返済が苦しくなって後悔するくらいなら、言われるままに契約せずしっかり確認しましょう。
ここを踏まえて続けて住宅ローンで失敗するありがちな例を挙げながらチェック項目を記載していきます。
住宅ローンで失敗しない、後悔しない10のチェック項目
ここから具体的なチェックポイントは、よくある失敗例でもあります。一つあるいは複数該当するケースもあります。
実際に住宅購入する際にこれらの項目を一つずつ確認してください。
ライフプラン設計をしていない
ライフプラン設計をするということは、住宅ローン返済に限らず現時点で将来に渡っての生活全体の見通しを立てるということです。
人によって生活スタイルや年齢や収入、家族の状況はさまざまです。今の時点で分かること、想定されるリスクなどはきちんとみておくことが大切です。
筆者がよく話すことですが、誰でもよく分からないことには漠然とした不安があります。
お金のことなどはその最たるものですが、健康や病気などに関係することなども似ています。
住宅ローンで大切なのはその仕組みやリスクを知ることです。
不安の正体が分かれば、すべきことはどう対処するかです。不安は課題に変わります。
家計に無駄があるようなら家計の見直しや保険の見直しなども必要なケースもあるでしょう。
購入したい物件が見つかっても、無謀な住宅ローンになっているなら購入のそのものの再検討や予算の引下げなども必要です。
まずはライフプラン設計で家計全体の把握をすることが大切です。
変動金利を利用したが仕組みを理解していない
住宅ローンの金利には次の3つのタイプがあります。
- 変動金利型
- 全期間固定金利型
- 一定期間固定金利型(固定金利選択型)
住宅ローンはお金を貸す側(金融機関)からすれば、例えば35年も先の金利情勢はどうなっているか分かりません。
長い期間を同じ金利で固定するほど金利は高くなります。変動金利型はその名称のように金利が変動しますから、金利を安く設定することができます。
目先の金利が安い方がプランが組みやすくなります。
しかし返済期間が長期になる場合にはずっと同じ金利が続くわけではありません。
金利上昇リスクがありますし、変動金利でも5年間は金利が変わらないルールがありますがそれも落とし穴があります。
詳細は下記の関連記事を見ていただければと思いますが、返済額は同じでも元本と利息の割合が変わっていくのです。
そうするとなかなか元本が減らないという状態になります。
変動金利が駄目なのではなく、変動金利の仕組みを知らないことが駄目なのです。
ちなみに変動金利で金利が上がったら、固定金利に変えればよいなどという営業トークがありますが、その頃には固定金利も上昇しています。
もともと固定金利の方が金利が高いわけですから、言うほど簡単ではないのです。
後から気づいても遅いということになりかねません。
返済可能額ではなく、借入可能額で借りすぎた
当サイトの住宅ローン関連のいくつかの記事で繰り返し書いていることですが、住宅ローンの借入は「借入可能額≠無理のない返済可能額」です。
ここが分かっていないと、要は「借りすぎ」な状態になります。
貸す側がOKしているくらいだから、大丈夫なはずとは考えないでください。決して借りられる金額が無理のない返済額ではありません。
具体的には返済比率はできれば25%以内には押さえておきたいところです。
家計の状況にもよりますが、後で返済が苦しくなる可能性が高いです。
住宅ローンの返済はもちろんですが、家計がどうなるかもよくシミュレーションしてください。
いまは低金利の状態が続いておりお金を借りるには有利ですが、住宅ローンで借りすぎてしまうというデメリットもあるので注意しなければなりません。
頭金なしで住宅ローンを利用した
頭金なしでも住宅購入はできますし、住宅ローンの利用も可能です。しかし最初にお話したように借入金額は少ない方が総返済額は少なくなります。
借入金額を少なくするには頭金を用意することはやはりポイントになります。
頭金なしで住宅ローンを利用して後悔する人も少なくありません。
借りられるというだけでなくその後家計がどうなるかシミュレーションしてみてください。
返済割合におけるボーナスの比率が高い
住宅ローン返済で、会社員などの人でよくあることがボーナス返済をどうするかです。
結論としては無理のない範囲で利用することです。
ボーナス返済の割合が高いと、勤務先の業績悪化やリストラなどになったときに返済が苦しくなります。
ボーナスを利用せずに返済計画を立てられれば理想ですが、現実的には難しいでしょう。
ボーナスが少なくなっても何とかなる範囲で設定することがポイントです。
特に今後は働き方も流動的になっていくでしょうから、転職なども当たり前になっていきます。
過剰にボーナスをあてにした返済になっていると、状況の変化に対応しにくくなります。
家賃と同じくらいの返済ならいいと思い住宅ローンを利用した
セールストークでよくある言い回しですが、家賃くらいの返済額で住まいを購入できれば、最後は自分のものになるので購入した方がよいというものです。
賃貸から持ち家になると、住宅の固定資産税などがかかります。
また火災保険や地震保険料も賃貸のときより一般的に高くなり、近年災害の多発等を背景に保険料負担が増える傾向です。
家が広くなると光熱費などのランニングコストも変わってくるので、シミュレーションするときにこうしたことを考慮する必要があります。
また住宅ローンを完済したら、それですべて終了ではありません。
家を長く使っていれば、傷んできますから定期的に修繕が必要です。
マンションだと修繕積立金が取られますし、不足すれば当初の金額より積立金の負担が上がることがあります。
一戸建ては自分で修繕計画を立てなければなりません。
家は体と同じです。定期的に健康診断をするなどしてメンテナンスしていかなければ長持ちしません。
住宅購入後もこうしたコストがかかることも覚えておきましょう。
退職金で住宅ローン返済の多くを見込んでいる
これは会社員や公務員などお勤めの人に多いことですが、退職金で住宅ローン返済の多くと見込んでいると返済はできるでしょう。
しかしその後の老後の生活が苦しくなることがあります。
勤務先の退職金制度も変わることがありますし、そもそも退職金も老後の生活に充当しなければならないこともあります。
平均寿命が延びていますから、老後の生活費も以前より増えています。
せっかく退職金で住宅ローンの返済ができても、その後の生活が苦しくなっては元も子もありません。
返済期間が現役で働く期間を超えている
住宅ローンは返済期間でいうと、一般的に最長35年、80歳くらいまでは可能です。
最近は老後もなるべく長く働くという人が増えていますが、老後になってから現役時代と同じ返済額は返せますか。
前の項目の退職金で完済するということと関連しますが、住宅購入資金と並んで老後資金は人生の三大資金と呼ばれるものの一つです。
単に老後の生活資金ですが、期間が長いゆえにそれなりにお金はかかります。
80歳までは極端ですが、働けなくなった後まで住宅ローンを利用するなら繰上げ返済は必須です。
繰上げ返済も計画を立ててやっていく必要があります。その場合でもやはり働けなくなってから返済する期間が長いとリスクが高まります。
自営業やフリーランスの人は定年はありませんが、年になっても仕事があるかという問題や年になると健康上の問題もでてきます。
近年、住宅の価格は上昇傾向ですし、会社員などの所得は下落傾向です。
期間の長いローンを利用すれば理屈上の返済は可能ですが、実際に苦しまずに返済できるかは別です。
また晩婚で子供がまだ幼いような人は、ある程度頭金が必要です。
住宅ローンの完済期間もなるべく現役時代に終えることを前提にローンの返済計画を立ててください。
団体信用生命保険(団信)に未加入
住宅ローンには、返済中に万が一のことがあった場合に残された遺族が返済に困らないように団体信用生命保険(以下、団信)が用意されています。
加入が必須なローンと任意のローンがありますが、何かあったときに返済に困らないように手を打っておきたいところです。
これについては事前にわかることなので知らなかったということはないでしょうが、ポイントは2つあります。
すでに病気をかかえていて団信に加入できない場合にどうするかということが一つ。
すでに加入している生命保険があればそれを続ければいいでしょうが、そうでなければ家族のリスクも高まります。
もう一つは医療事情が昔とかなり変わってきていることです。
少し乱暴な言い方をしますが病気で亡くなってしまえば、団信で住宅ローンは返済して終わりです。
いまは医療技術が上がっていますから、病気になったことが必ずしもすぐに死亡に繋がるわけではありません。
働けなくなって長期の療養を余儀なくされる状態も実はリスクです。
最近は8大疾病等で所定の状態で住宅ローン免除や就業不能に対応した団信なども増えています。
上乗せ金利もかかるので一概にプラスアルファの保障が必須とは言い切れませんが、現状の医療事情に対応できるようにすることも考えてみましょう。
住宅ローン選びの際には金利だけでなく、こうした視点も持っておいてください。
持病のある人向けの団信なども一部発売され始めています。
事前に予想できない理由で住宅ローンの返済が苦しくなる場合
住宅ローンの返済が苦しいというのは、すべて事前に予想できるものばかりではありません。
病気の話をしたので補足をすると、自然災害で被災した場合なども同様です。
特に地震(及び噴火や津波)では、別途地震保険が必要ですが住宅ローンをすべてカバーしてくれるわけではありません。
地震などのリスクが不安なら一定期間上乗せなどに加入することも考えてみてください。
他には夫婦共有名義などで二人で住宅ローンの返済をしていたが、離婚した場合なども後の処理が大変になることもあります。
一緒に住むわけではないので売却するにしても、新築マンションなどだと購入金額より売値が安くなることはよくあります。
もちろん離婚を前提に何か準備をするようでは夫婦関係がうまくいかないでしょうが、こうしたこともある程度に知っておいてください。
予想できないことまで備えることは難しいのですが、本質的には無理のない返済かどうかが肝です。
住宅ローンのリスクは見える化しておく
多くの人が住宅購入するために住宅ローンを利用します。
金額が大きいので当然のことではありますが、先ほど挙げた項目などきちんとチェックしてリスクを見える化しておきましょう。
人生の三大資金との関係
人生の三大資金とは「住宅購入資金」「教育資金」「老後資金」です。
ちなみに老後資金はいつかかるか誰でも決まっています。
仮に年金受給のはじまる65歳以降を老後とするなら、自分の年齢から逆算すれば何年後にかかるものかすぐに分かります。
教育資金も同様です。すでに子供がいる人、作る予定のある人も含めて子供の年齢を考えれば、いま0歳なら16年後に高校、19年後に大学に入学します。
子供が二人いて2歳差なら、下の子供が大学入学時に上の子供は大学3年生です。
このとき最も教育費負担が重く家計が厳しくなります。
これらの資金は時間軸を動かせませんからすでに決まっていることです。この時間軸を動かせるのは三大資金のうち住宅購入資金だけです。
教育・老後の2つは時間軸が明確に決まっているということを強く意識してください。
ライフプランシミュレーション
先々のお金を見える化するということは、チェック項目に挙げたライフプラン設計をしてみるということです。
将来の予測はなかなか難しいのですが、いまの時点で考えられることを含めてシミュレーションをしてみます。
いまから将来に渡っての状況を少し高い視点から俯瞰してみてください。それをすることでいまどうするか方向性が見えてきます。
住宅購入する前に改めて考えてみるべきこと
住宅購入前に改めて考えてみることとは?
誰にでも住んでみたい場所があるでしょうし、住宅購入する以上は理想の家があるはずです。できれば最初の段階できちんと予算組みをして物件を探すといいでしょう。
借りられるから購入してしまうでは、後から失敗する、返済が苦しくて後悔することになりかねません。
仮にまだ検討段階だったときに、無理のない予算に下げて再検討するのか、住宅購入を継続して考えるのかも大切です。
無理な購入は勧められませんが、予算を下げた結果、どうしても欲しい家が見つからないということもあるでしょう。
ある意味勢いが大事なときもありますが、資金計画についてはクールに冷静に考えてください。
それからお金の話と関係ありませんが、占いなどで方角などが気になる人は最初にチェックしておきましょう。
筆者の専門外のことではありますが、きっちり資金計画を立てても方角や占いなどで全部リセットになる人がいます。
住宅ローンは年収の何倍もする買い物を長い年月をかけて返済します。
長い間には病気や事故、災害、トラブル、少し前だとコロナ禍など考えられないようなことも起こりえます。
ピンと糸が張った状態でちょっと引っ張ったら切れてしまうようではこうした予想外のことに対処しきれません。
少しくらいの糸の緩みが必要です。クルマのハンドルの遊びのようなものです。
そのために住宅ローン購入のシミュレーションをするなら、数字は厳し目にしておきましょう。余力が多い方が何かあったときの選択肢も増えます。
良いものが欲しくなる気持ちは分かりますが、身の丈にあった住宅購入をすることが、失敗したりや後悔する確率を減らします。
住宅ローンに関するお金の知識を増やす
お金のことは難しい、分からないからという理由で自分で勉強しない人がいますがこれは間違いです。
本を読んだりネットで情報を収集するなどいまは色々な方法があります。複数の専門家の意見を聞くのもいいでしょう。
自分と家族の人生に関わる大切なことです。住宅ローンで失敗を減らすために、優先して取組んでみてください。
まとめ
住宅ローンで失敗、苦しくて後悔しないためのチェック10選、についていかがでしたか。
できれば住宅購入する前にこの記事を読む、住宅ローンのリスクや注意点をよく調べてほしいと思います。
昔と違いネットやスマホがあるので、その気になればある程度は調べられます。
先々どんなことが起こるかは誰にもわかりませんが、少なくても住宅ローンの仕組みについて知らなかったがために返済が苦しくて後悔することは少なくなります。
自分と家族の人生の舵を切るのは自分(と配偶者)で他の誰でもありません。
船を進める先に危険が予期されるなら事前に回避策を考えるのは当然でしょう。
そして住宅ローンの利用もまったく同じことです。無謀な住宅ローンを契約してしまい、問題を放置すればするほど選択肢が少なくなります。
すでに失敗した、後悔しているという人は借り換えなどの選択も含めて対応してください。
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