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iDeCo+(イデコプラス)のメリット・デメリット、役員のみでも可?

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iDeCo+(イデコプラス)は中小事業主掛金納付制度のことですが、中小企業を対象にした個人型の確定拠出年金の上乗せ制度です。

■この記事で学べること

【1】iDeCo+(イデコプラス)とは?

【2】iDeCoプラスのメリット・デメリット

【3】制度導入までの主な流れ

【4】iDeCo+がおすすめな人、一人社長や家族経営で役員のみの中小零細企業の活用法

これらがこの記事のポイントです。中小企業なら知っておきたいiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)についての4つのポイントをまとめます。

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iDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)とは?

iDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)とは?

確定拠出年金には企業型と個人型があり、どちらに加入するかはその人の属性によって変わります。

現役世代のほぼすべての人が確定拠出年金に加入できるようになり、個人型の確定拠出年金の愛称が「iDeCo(イデコ)」となりました。

今回は話はこの個人型確定拠出年金であるiDeCoにさらに+(プラス)がついている制度のことです。

iDeCo+(イデコプラス)とは?

iDeCo+とは、正式名称「中小事業主掛金納付制度」のことをいいます。

2016年に法改正され、2018年5月から制度がスタートしました。

この中小事業主掛金納付制度の愛称が「iDeCo+(イデコプラス)」です(以下。iDeCo+と記載します)。

もともと「iDeCo」は個人が任意で加入する個人型確定拠出年金で自分で掛金を負担します。

「iDeCo+」は中小企業を対象に、役員や従業員が個人で任意加入しているiDeCoに加えて、さらに勤務先の企業が一定の金額を上乗せして負担する制度です。

そのためiDeCoに加入している会社員やその勤務先の会社を対象にしたものです。

例えばiDeCoは、個人事業主や公務員・専業主婦なども加入できますが、iDeCo+には加入できませんし関係ありません。

  • iDeCo  自分で任意加入する老後資金への備え
  • iDeCo+ 中小企業でさらに会社負担で上乗せする退職金的な位置づけ

このようなイメージで考えておくといいでしょう。

逆のパターンとして企業型の確定拠出年金では、会社が掛金を負担するケースが一般的ですが、掛け金の限度枠が余ってしまうことがあります。

その場合会社がマッチング拠出という制度を導入すると加入者自身が掛金を支払って上乗せすることができます。

iDeCo+はこの逆(iDeCoの掛金に会社が上乗せする)というわけです。

そのため逆マッチング拠出などと言われることもあります。

マッチング拠出は企業型の確定拠出年金を導入できる大企業などで掛金の余った枠を従業員が個人負担でで上乗せできる制度です。

iDeCo+は確定拠出年金を導入できない中小企業で、個人型の確定拠出年金に自分で加入している役員・従業員で掛金の余った枠を会社が上乗せして負担する制度というわけです。

対象となる企業・加入者

iDeCo+は中小事業主掛金納付制度というように中小企業が対象です。

具体的には次の要件に合致する場合に制度を利用することができます。

対象となる事業主の要件

  • 従業員(使用する第1号厚生年金被保険者)が300名以下
  • 会社が企業型確定拠出年金・確定給付企業年金・厚生年金基金をそれぞれ実施していない
  • 労使の合意をすること

※労働組合があるときはその労働組合、労働組合がないときは従業員の過半数を代表する者に、中小事業主掛金を実施することについて同意を得る

簡単に言うと、従業員300名以下で、公的年金(厚生年金)の上乗せの企業年金がなく、労使の合意があればOKということです。

制度の趣旨として大企業と違い、中小企業で特に300名以下の企業となると厚生年金の上乗せの制度までなかなか実施できる状況にないのが実際のところです。

そのため中小企業でももう少し導入しやすい制度を設けたということです。

加入対象者の要件

iDeCoに自分で加入している従業員で、事業主掛金を支払うことに同意した人が加入対象者の要件です。

そもそもiDeCoに上乗せする制度ですから、iDeCoに加入している従業員であることが必要です。

iDeCo+の掛金設定

加入者掛金と事業主掛金の合計が、月額5,000円~23,000円以下の範囲で1,000円単位で決めることができます。

ちなみに厚生年金の上乗せの企業年金(確定給付企業年金、厚生年金基金)がない会社の企業型確定拠出年金の掛金上限は、月額23,000円ですのでこれに合わせたかたちになっています。

一定の資格(職種、勤続期間)を定めた場合同一資格内において、同一の掛金額とする必要があり、特定の人に不利になるようなものではいけません。

もちろん一般社員と役員などで差を設けるなどは可能です。

掛金納付の仕組み

個人の任意加入となるiDeCoは、自分の銀行口座から掛金の引落しをすることも、会社での給与天引きすることもできます。

中小企業・零細企業の場合、事務負担なども増えることから個人口座から引落ししている人も多いです。

iDeCo+では、個人の掛金及び会社の掛金について会社(事業主)が取りまとめて支払いをします。

iDeCo+ チラシ

iDeCo+ 事業主向けパンフレット

iDeCo+(イデコプラス)のメリット・デメリット

iDeCo+・イデコプラスのメリット・デメリット

おおよそiDeCo+のイメージができたものの、実際の加入にはメリットやデメリットがあるためよく検討することが必要です。

特にどのようなデメリットがあるかは事前にチェックしておく必要があります。確定拠出年金そのもののメリットやデメリットは下記を参考にしてください。

企業側のメリット・デメリット

企業側も新たな制度を導入するとなると少なからず手間がかかるので、この点は承知しておく必要があります。

事業主である企業が、iDeCo+を導入する際に考えられる注意点を含めたメリット・デメリットは次のとおりです。

  • 企業型の確定拠出年金を導入するほどではないが、会社として近い制度を導入できる
  • 労使の合意が必要、制度導入に手間がかかる(導入時に中小・零細企業には負担になりがち)
  • 導入後に掛金は事業主が取りまとめるため(給与天引き)、事務負担が増える

従業員側のメリット・デメリット

次に従業員側の視点でみる注意点とメリット・デメリットです。

iDeCo+もベースはiDeCoですので、個人型の確定拠出年金であるiDeCoそのもののメリット・デメリットに近いもしくは同じです。

  • 会社が上乗せしてくれる分は掛金の負担がない
  • iDeCoと同様にiDeCo+も口座管理手数料は「本人」が負担する
  • iDeCo+を使わない場合、会社が上乗せする掛金を現金で受け取れるわけではない。

本人がiDeCo+をやりたくないといっても代わりに現金がもらえるわけではありません。

また確定拠出年金全般にいえるデメリットですが、60歳まで原則として資産を受け取れないのはこの制度も同様です。

iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)導入までの流れ

iDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)導入までの流れ

この制度を導入するまでの大まかな流れは次のようになります。

①iDeCo+(イデコプラス)の制度導入の検討

  • 制度を実施できる要件を充足している
  • 制度を開始する日時をいつからにするか
  • 資格対象者の範囲を含めるか(職種や勤続年数など)、上乗せ掛金をいくらにするか、特定の人に不利になっていないかなど
  • 事務手続き(導入後の人数変更や氏名の変更、年1回の報告など)を行う体制は取れるか

②労使協議の準備と協議・同意

③加入対象者の同意

④各種届出書類の作成・提出

⑤制度実施

まずは制度の導入を検討するところからはじめてみるといいでしょう。

iDeCo+を検討した方がいい人は?一人社長や家族が役員の中小零細企業の活用法

一人社長や家族が役員の中小零細企業の活用法

iDeCo+を検討した方がいい企業は?

iDeCo+(イデコプラス)は前提として従業員100人以下の企業と謳っているので中小企業が対象です。

大企業に比べて確定拠出年金の普及がいま一つな中小零細企業をターゲットにしています。

特にこれから自社に退職金制度のようなものを導入しようかと検討している企業は一考の余地があると考えます。

特に中小零細企業の経営者も多忙な方が多いので意識的に情報収集する、取引のある専門家などからの情報提供がないとなかなか検討のテーブルに乗ってこないでしょう。

こうした制度がはじまっていること、自社が対象になっているかなども含めてじっくり検討していくといいでしょう。

iDeCo+は社長や役員も活用できる

iDeCo+は従業員だけでなく会社の社長や役員の人も利用することができます。

特に一人社長や家族経営なら役員のみという中小零細企業も少なくありません。

小規模な企業で社長や役員をしている人は例えば次のように活用します。

  1. iDeCo+(イデコプラス)を導入、社長や役員である家族が個人で負担している掛金の多くを法人負担に変更
  2. iDeCo+で法人が掛金の負担をする役員分の報酬を変更(減らす)

社長や役員は役員報酬が減るものの、これまで個人で負担してきたiDeCoの掛金は法人負担になりますので個人で使えるお金に大きな変更はありません。

また会社は全体としての経費負担を軽減することができます。

役員報酬については標準報酬月額が変わるくらいに変更をすると社会保険料の負担が軽減させることができますから会社の経費も軽減することができます。

但し、代表取締役はもちろんその他役員の報酬を変更するときには、その時期に注意してください。

ご存知のように役員報酬は好きな時期に好きな金額に変更することができません。

iDeCo+の導入時期も踏まえてこれらのことを検討してみるとうまく活用することができます。

中小零細企業では、iDeCo+(イデコプラス)だけでなく、前のページにリンクが貼ってある「選択制確定拠出年金」も検討の余地があります。

選択肢はいくつかあるので自社に合った制度を検討してください。

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まとめ

iDeCo+(イデコプラス)のメリット・デメリット、役員のみでも可?、ついていかがでしたか。

iDeCo+(イデコプラス)を検討する中小企業が増えてきています。

大企業に比べて制度導入が遅れている中小企業に対してさまざまな制度が設けられています。

確定拠出年金について選択肢が増えてくるのはいいことですので、情報収集しながら自分(自社)に合う制度の導入を検討してください。

iDeCo+はその選択肢の一つです。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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