確定拠出年金(iDeCo・企業型)は年金受取り前に死亡したら一時金が支給!
確定拠出年金(個人型iDeCo・企業型)で、60歳を迎える年金受給前に本人が死亡したり、障害状態になって掛金を支払えない続けられない状態になることもあります。
はじめにこの記事の結論です。
- 確定拠出年金には、「死亡一時金」や「障害給付金」もある
- 死亡一時金の受取人は事前に受取人を指定する、指定しないと遺族の順位によって支払われる
- 死亡一時金は相続財産として課税対象
■この記事で学べること
【1】確定拠出年金で年金受給までに死亡したら死亡一時金
【2】確定拠出年金で所定の障害になったら障害給付金
【3】各給付を受取ったときの税金の取扱い(非課税・相続税など)
意外と知られていない確定拠出年金(個人型iDeCo・企業型)の老齢給付(年金)以外の死亡や障害にかかる受給について紹介します。
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この記事のもくじ
知られていない確定拠出年金(個人型iDeCo・企業型)の3つの給付とは?
意外と知られていませんが、確定拠出年金で給付されるものは次の3つです。
- 老齢給付金(年金・一時金) ※60歳以降に受取る年金・一時金
- 障害給付金(年金・一時金)
- 死亡一時金
それぞれ支給されるためには、要件を満たしている必要があります。
どの年金制度に限りませんが、年金というと高齢になってから受取るもの(老齢給付といいます)だけをイメージしがちです。
実際にはこのように一定の障害状態になったときや死亡したときにも支払が発生するのです。
次に障害給付金と死亡一時金について詳細をみていきましょう。
確定拠出年金(個人型iDeCo・企業型)の死亡一時金
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の死亡一時金は加入者が死亡した場合に遺族に支給されます。
死亡してしまえば本人が受取りできるわけではないので、確定拠出年金(iDeCo・企業型)のデメリットとも言えます。
しかし死亡した場合、iDeCoや企業型の確定拠出年金に限らず預貯金や他の資産も自分で使えるわけではないので同じことです。
しかし確定拠出年金ではこのように一時金が支給されるのです。
この死亡一時金を受取ることのできる遺族には順位があるので、遺族なら誰でも貰えるわけではありません。
死亡一時金の受取人の順位
死亡一時金は加入者本人が下記の人から、事前に(死亡する前)金融機関に受取人として指定することが可能です。
但し指定がない場合には、下記の順位になります。相続の法定相続分のように亡くなった本人に近い人からとイメージしてください。
- 第1位 配偶者
- 第2位 子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、死亡した方の収入によって生計を維持していた人
- 第3位 第2位の人以外で、 死亡した本人によって生計を維持していた親族
- 第4位 子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、第2位に該当しない人
給付方法及び受給方法
本人が死亡しているため、遺族が契約先の金融機関(運営管理機関)に請求します。
受取り方法は、一時金のみで年金での分割払いはできません。
死亡一時金の金額はいくら?税金の取扱いは?
確定拠出年金の死亡一時金の金額は、原則として死亡時の個人別管理資産相当額になります。
個人別管理資産相当額というのは、障害給付金の場合と同じです。
これについても死亡したから特別に増額したものが支払われるわけではありません。
死亡一時金の税金は、相続税の課税対象となります。但し税金については一定の非課税枠というかたちで優遇制度があります。
確定拠出年金(個人型iDeCo・企業型)の障害給付金
障害給付金の支給要件
加入者が一定の高度障害者(※)になった場合に、障害給付金の受取ることができるようになります。
要件は次の2つです。
- 高度障害の状態となったとき、障害認定日から70歳の誕生日の2日前までの期間内において請求可能
- 障害認定日は、病気または怪我で初めて医師等の診療を受けた初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日(その期間内に傷病が治った場合はその日)
※高度障害者とは、障害基礎年金の年金証書等の所持者、または身体障害者手帳(1級から3級)、療育手帳(重度の者)、精神障害者保健福祉手帳(1級または2級)の所持者
給付方法及び受給方法
障害給付金の請求は加入先の金融機関(運営管理機関といいます)に行います。
受取方法は年金か一時金、及びこれらの併給が可能です。
障害給付金の金額はいくら?税金の取扱いは?
障害給付金の金額は、確定拠出年金の個人別管理資産額のすべてです。
つまり自分でこれまで積立ててきた資産ということです。
確定拠出年金は、国民年金などのように公的な年金ではなく個人が老後の為に積み立てておく私的年金です。
障害に該当したからといって何かしら増額されるといった事はありません。
あくまでも、自分が積立てておいた資産の中からと考えておきましょう。
なお、この給付金の税金の取扱いは非課税となります。続けて確定拠出年金の給付にかかる税金について確認します。
確定拠出年金の各種の給付にかかる税金の取扱いや控除制度
確定拠出年金にかかる給付金を受取る際、課せられる税金は給付金の種類や受取り方法によって取扱いが異なります。
一通り解説してきましたが、60歳以降の年金等の給付も含めて一覧表で確認してみましょう。
給付にかかる税金の取扱い一覧
年金受取り | 一時金受取り | |
老齢給付金 | 公的年金等控除が適用 | 退職所得控除が適用 |
障害給付金 | 非課税 | |
死亡一時金 | - | 相続税の対象 |
確定拠出年金で本人が死亡した場合の相続税の非課税枠
確定拠出年金の死亡一時金は相続税の対象となります。
しかしすべての相続人受け取った合計金額が、非課税の限度額以下のときは課税されません。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
相続人以外の人が一時金を受け取った場合には非課税の適用はありません。
参考 国税庁 相続税がかからない財産 より一部抜粋
死亡一時金や障害給付金で覚えておくこと
年金を受取るときと同様に、障害給付金や死亡一時金でも給付に際して手数料等の事務手数料が差し引かれます。
特に個人型確定拠出年金であるiDeCoの場合、金融機関への口座の開設時、口座開設中も手数料がかかります。
そして年金(老齢)・障害・死亡などでお金を受取る際にも手数料が必要です。
iDeCoでよく手数料の比較がされるのはこのためです。
請求忘れに気をつける
死亡一時金は、死亡後5年以内に請求が必要です。
確定拠出年金に通常の年金以外に死亡一時金などの支払いが可能であることを覚えていないと忘れがちになりますので覚えておきましょう。
まとめ
確定拠出年金には単純に老齢給付で年金や一時金を貰うだけではなく、障害給付金や死亡一時金もあるのです。
公的年金(国民年金、厚生年金)にも年を取ったときの年金(老齢)だけでなく、遺族年金や障害年金がありますが、これと同じです。
細かいところまで過剰に気にする必要はありませんが、これらの支払いがあることを覚えておいてください。
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