ネット火災保険・地震保険/インターネット申し込みと契約、加入のポイント
火災保険(や地震保険)は損害保険の主力商品ですが、インターネットで火災保険の申し込み・加入ができる火災保険が増えてきています。
■この記事で学べること
【1】インターネットで申し込み・契約・加入する火災保険・地震保険
【2】ネットの火災保険はなぜ少ないのか?
【3】ネットで申し込み・契約・加入ができる損害保険会社一覧
【4】ネット契約の火災保険なら安い?
【5】ネット火災保険の比較と選び方のポイント
ネットで申し込みから加入までできる火災保険と地震保険、そのポイントについてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
インターネット申し込みで契約・加入する火災保険と地震保険とは?
はじめに地震保険についてですが、火災保険と一緒に申し込みのがルールになっているため、単独では加入することができません。
ネット火災保険・地震保険と書きましたが、地震保険の契約をする場合でも、基本的には火災保険と同じ考え方や手順と考えてください。
インターネット申し込み~契約~加入する火災保険とは?
ネット火災保険とは、インターネットから見積作成や申し込み・契約、加入までできる火災保険のことをいいます。
厳密には会社によってネットで見積もりなど作成はできますが、実際の本申し込みは保険代理店や電話で依頼したり、書類を郵送でやりとりするケースもあります。
但し、ここにきてネットで火災保険の見積もり、申し込み、契約、加入まで完結する損保もできてきています。
対面の代理店型とネット型保険の違い
販売経路
損害保険業界では、もともと代理店型が主流で保険代理店を経由して保険に加入するケースが一般的でした。
損保では社員が直接販売して取り扱うケースがないわけではありませんでしたが代理店型が圧倒的です。
規模も個人代理店から大型の代理店までさまざまです。
火災保険の補償内容
現在の火災保険は、昔と違いそのほとんどが補償を何らかのかたちで選ぶタイプが主流です。
この補償を選ぶということにも意味が2つほどあります。
- 代理店型:補償の異なるプラン(3つから6つ程度)から選ぶ
- ネット :基本補償をベースにユニットで分けられている補償を自分で選ぶ
大手損保は代理店型ですが、3つから6つほどの異なるプランを用意してその中から自分必要な補償を選んだり、特約を付けて補償を厚くします。
このように決まっているわけではなく、現状の販売状況をみるとこうなっていると考えてください。
一般的にネット火災保険では、基本補償(火災、落雷、破裂・爆発)は必ず付帯します(ネット火災保険は会社によって基本補償の範囲が違います)。
その上でその他の補償ユニットを自分で選択します。補償のユニットの構成はだいたい下記のようなかたちです。
- (風災・雹災・雪災)
- (水災)
- (盗難)
- (水濡れ・外部からの飛来物などの衝突・騒じょう)
- (その他諸費用など)
※ユニットの構成は損保によって多少異なることがあります。
代理店型でも6つほどプランがあるとかなり自分で補償を選べますが、ネット火災保険の方が選択する自由性は高いケースが多いといえます。
ネット火災保険のメリット・デメリット
ネットの火災保険でも自動車保険と同じようにメリットやデメリットがありますので確認しておきましょう。
- 煩わしく勧誘されることがない
- 24時間必要な補償を好きなときに自由に設計でき、掛金(保険料)無駄が少なくなる
- 必要な補償や他社との違いなどを自分でよく考え、検討しなければならない
- 火災保険の契約に際して保険会社に照会が必要なケースなどは、代理店型などで人間関係がある方がやりやすいことも。
補償については条件が複雑なことなどもあるので、自分で比較・選択する場合にはこうした部分にも注意が必要です。
また補償が選べるといっても、各補償ユニットもいくつか補償が組み合わさっています。
例えば漏水などが心配だから「水濡れ」の補償はいるが、「騒じょう」の補償はいらないというようなことはできなかったりします。
ネット火災保険や地震保険はなぜ少ないのか?
自動車保険にネットが参入してから25年以上と言いましたが、火災保険にネットがいま一つ普及してこなかったことに疑問に思う人もいるでしょう。
いくつか理由はあるのでしょうが、そのうちの一つは自動車保険と比較して申し込みや契約時に取りそろえる書類が多かったり、複雑だったりすることがあります。
自動車保険では、車検証と運転免許証、保険証券があれば、確実かつ間違いのない見積もりを作成することができます。
火災保険は特に持ち家などの場合、最初に物件の構造級別の判定があります。
例えば木造の一戸建てとマンションでは保険料率がそもそも違います。
現在は住宅物件(M構造・T構造・H構造)、事務所や店舗併用住宅などの一般物件(1級・2級・3級)ともに構造区分は3区分で中身も簡素化されています。
2009年12月末まではそれぞれ4区分、5区分あり、外観から目視しただけでは確実に構造級別の判定ができないケースもありました。
そうなるとそもそも書類で確認するより方法がないのですが、あまり古い物件だと自動車の車検証のようにきちんと保管されていないケースも多くありました。
これをネットで行うというのは結構ハードルが高かったこともあるでしょう。
同様に構造級別によっては所定の確認資料の提出が必須だったり、地震保険などでも割引の適用に書類の提出が必要です。
賃貸だとこのあたりは多少楽ですが、それでもなかなか難し面もあったようです。
ネット火災保険に参入してきた損保では、必要書類をスマホなどでアップロードすることでOKになってきました。
対面ならではサービスというのはもちろんあるでしょうが、火災保険のネット加入についてもかなり緩和されつつあるのです。
ネット火災保険・地震保険を取り扱う損害保険会社一覧
ここから具体的にインターネットで申し込み・契約・加入する損害保険会社をみていきましょう。
会社によって書面を郵送したり、電話のやりとりが必要なケースもありますが、ネットで契約が完結できる損保が少しずつ増えてきています。
火災保険の補償については、先ほど解説したように基本補償を軸に自分で必要な補償のユニットを選択します。
なお、地震保険については、政府が関与する官民一体の保険なのでネットでも代理店型でも補償内容も掛金(保険料)も違いはありません。
代理店型も含めて一部の損保で地震保険の上乗せ補償がありますが、これは各社の独自のものです。
また少額短期保険に「SBIいきいき少短の地震の保険」がありますが、ここでいう地震保険とは仕組みが違って単独で加入できる地震災害の補償です。
ネットで申し込みができますが、ここでは分けて考えてください。
以下、ネットで見積・契約が可能な火災保険です(掲載は順不同)。
セゾン自動車火災保険
基本補償をベースに補償を自分で選択する火災保険といち早く導入した火災保険。ネットで自分で詳細な火災保険の見積を作ることが可能です。
申込書などは郵送などでやりとりするやり方でしたが、ネットで見積から契約まで完結できるようになっています(同社のプレスリリースは2020年10月21日)
セゾン自動車火災保険 じぶんで選べる火災保険
SBI損害保険
SBIグループのネットの火災保険。この手のタイプには珍しく破損・汚損等の補償も付帯されています。
SBI損害保険 SBI損保の火災保険
ジェイアイ傷害火災保険
2018年3月より発売開始。補償が最も細分化されています。基本補償は「火災、破裂爆発」のみです。
落雷が除外できる、水濡れと物体の飛来・落下等が別なユニットになっています。
なお、築年数の古い物件の引受けに制限があります。地震保険の上乗せの特約もあります。
ジェイアイ傷害火災保険 ieho(いえほ)
ソニー損害保険
2018年10月より発売。補償を選択するタイプには珍しく「地震保険の上乗せ保障」を付けることができます。
地震による火災だけではなく、火災保険だけの契約にこうした上乗せをネット契約で選べます。
ソニー損害保険 ソニー損保の新ネット火災保険
楽天損害保険
2018年7月から楽天ホールディングスの子会社となり、このときから楽天損保として営業しています。
火災・落雷・破裂爆発、風災・雹災・雪災を基本補償にその他の補償を選ぶことができます。
ハザードマップの水災リスクに応じて水災危険の保険料が変わるのも特徴です(5段階)。ネットで契約が可能です。
楽天損保 ホームアシスト
チューリッヒ
新たに2022年3月28日からチューリッヒがネット火災保険に算入しました。
火災、落雷、破裂・爆発を基本補償にシンプルな構成になっています。証券不発行で500円割引になります。
チューリッヒ チューリッヒのネット火災保険
インターネット契約する火災保険なら安い?
インターネット火災保険の申し込みや加入を考えている人の期待の一つは、保険料が安いだろうとことでしょう。
実際にユニットで補償を選べるので合理的ですし不要な補償は外せます。
ネット契約にする分、コストが下げられるでしょうから安くできるでしょう。
保険料が安いかどうかの注意点は、契約条件をよく確認することです。それによってネット加入とはいえ、安いかどうか変わることもあるので覚えておいてください。
細かいところをみると代理店型は色々手厚くなっているので違いは確認する必要があります。
しかしネット火災保険に対する一定のニーズは必ずあるでしょうから、その意味では今後の普及も含めて保険料部分も含めて役割は大きいと考えます。
ネット火災保険選びの比較と選び方のポイント
ネットの場合には、基本的に自分で比較・選択してどのような内容で契約するか判断しなければなりません。
不明な点などあればネットでも問い合わせは受け付けてくれますからきちんと聞いておきましょう。
例えば床上浸水などを補償する「水災」には、一般的に細かい支払い要件があります。
水災というものの土砂崩れなども補償します。近くに河川はないが、裏に山があるなら安易に補償を外すべきではありません。
同じように最近の火災保険には、「破損・汚損等(不足かつ突発的な事故)」という補償があります。
家財に火災保険があれば、プラズマテレビが倒れて壊れたなどが対象です。ネット火災ではこうした補償は付帯していないことが一般的です。
ネット火災保険同士や代理店型も含めて次の手順で比較・選択を進めてみてください。
- 自分の住まいの周囲の住環境やリスクをよく確認する(ハザードマップの確認、昔から住んでいる人に聞くなど)
- 物件の構造、火災保険をつける対象(建物、家財など)
- 建物や家財の評価額を他社と揃える
- 補償内容や免責金額(自己負担額)を他社となるべく揃える
- 契約期間、払込方法の確認
- 掛金(保険料)の比較
こうした細かくて複雑なところは見落としがちなので覚えておきましょう。
特に住まいの周辺の住環境はリスクは所在地や構造、対象(建物・家財)によって個別に変わってきます。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト
まとめ
損害保険業界でネットの火災保険(や地震保険)が増えてきたことは大きな意味があります。
自然災害や地震災害が多発する中で、掛金(保険料)は改定が続き上昇傾向です。
自分に合った合理的な火災保険を比較して選ぶことは今後少しずつ増えてくるでしょう
安易に安いものに走らずに補償内容をよくチェックすることも忘れないようにしてください。
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