個人年金保険の受取りの税金と対策(確定申告)~分割と一括受取まとめ
個人年金保険は掛金は所得控除、受取時は一括受取、分割受取などによって一時所得や雑所得と税金の扱いが違います。
■この記事で学べること
【1】個人年金保険と税金
【2】個人年金保険の一括受取の税金
【3】個人年金保険の分割受取の税金
【4】解約したときの税金
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。
確定申告で損がないように個人年金保険の受取りの税金の対策についてファイナンシャルプランナーが紹介します。
この記事のもくじ
個人年金保険と税金
個人年金保険は、生命保険会社が上乗せの年金で昔から販売している自助努力の私的年金です。
単に個人年金保険の税金といっても、入口と出口の税金の話があるので整理しておきましょう。
年金の掛金を支払っているときの控除
入口は掛金を支払っているときの個人年金保険料控除です。生命保険関係の控除は3種類ありますが、そのうちの一つに該当します。
保険料(掛金)の金額の応じて控除できる金額に決まりがあります。
- 一般の生命保険料控除
- 介護医療保険料控除
- 個人年金保険料控除
現在では各種類最高で年間4万円(×3種類)所得控除することができます。
2011年(平成23)年12月31日以前に加入している人は最高5万円控除できますが、改正があったので所得控除できる金額が変わります。
一般の生命保険料控除の場合、旧制度で加入していても更新する契約の場合そこから新制度に変わることがあります。
個人年金保険の場合は契約時から変わることはないので加入年次で判断してください。
年金を受取るときの税金
もう一つが年金を受取るときの税金です。実際には個人年金の税金というとこちらをイメージしている人が多いでしょう。
個人年金保険の契約で年金をどのように受取るかにより、所得税の税金の取扱いが「一時所得」や「雑所得」になります。
実際には個人年金保険の受取だけでなく、公的年金(国民年金・厚生年金)、その他の私的年金(確定拠出年金、厚生年金基金、確定給付年金等)などもあればそれも所得です。
実際にはこれらすべてを考慮して年金受取の税金を考えなければなりません。
個人年金保険の位置付けと税金
個人年金保険は私的年金と説明しましたが、年金の受取方法によって税金のかかり方も違ってきます。
また終身保険などは掛金の払込み終了後、個人年金に振り替えて年金として受取ることができるので補足しておきます。
個人年金保険は分割受取と一括受取と簡単に2つに分けましたが、一部一括受取などのケースもあります。
また商品によって受取方法が決まっているケースもあります。
個人年金保険の契約形態の違いによる税金
一般の生命保険はもちろん個人年金保険の場合でも、契約形態によって税金の取扱いが違います。
個人年金保険なら所得税か贈与税のいずれかですが、せっかく掛金を支払ってきた個人年金保険で損がない契約形態にしておきましょう。
- 契約者(掛金の負担者)と年金の受取人が同一 所得税
- 契約者(掛金の負担者)と年金の受取人が別 贈与税
簡単な話ですが、自分で掛金を支払って自分で年金を受取なら所得税、自分で掛金を支払って年金の受取が配偶者などになっている場合には贈与税の扱いになります。
自分が掛金を支払ったものを配偶者に渡すわけですから、贈与したものとしてみられるわけです。
契約者は掛金(保険料)負担者と同一であること
契約者(掛金負担者)と書きましたが、上記の税金の取扱いはこの契約者=掛金負担者であることが大前提です。
契約者も受取人も自分である個人年金保険の契約であっても、例えば掛金の引落口座が自分の親になっていたら実際には同一ではありません。
例えば掛金の負担がきついの援助してもらっているなどと承知の上ならいいでしょうが、そうでないなら確認してください。
一括受取するときの個人年金保険の税金(一時所得)と計算式
個人年金保険の年金を一括受取すると、所得税の一時所得扱いとなります。
- 一時所得の計算式
総収入金額-必要経費-50万円(特別控除) ※この計算結果の1/2が税金のかかる所得
つまり一括で受取った年金から必要経費(支払った掛金)を差し引いて50万円を引きます。それを1/2した額に税金がかかります。
分割受取するときの個人年金保険の税金(雑所得)と計算式
分割受取する場合には、分割受取する年金額から公的年金等控除を差し引いて計算します。
- 雑所得の計算式(公的年金等)
収入金額 – 公的年金等控除額
個人年金保険は分割受取する前提で契約する人も多いかもしれませんが、かかる税金の取扱いについては重要なポイントですので注意してください。
解約したときの個人年金保険の税金
個人年金保険を解約した場合の取扱いについてもお話しておきましょう。
解約時の税金を考える前にそもそも解約すると支払った掛金全額が解約返戻金として戻されるわけではないことを覚えておいてください。
個人年金保険を中途解約すると損が多い
加入して数年だとほとんど戻されるお金はありません。
払込み間近のところまで来ていればお金が増えていることはあるかもしれませんが、個人年金保険の解約は基本的に損をします。
掛金の引落が厳しければ、払済保険や自動振替などの制度があります。
一時的にお金が必要なら契約者貸付などの選択肢があります。
個人年金保険の解約と税金
解約返戻金が解約までの掛金の総額より多いか少ないか(要は損しているかどうか)で、税金がかかるか変わります。
当たり前ですが、損していれば税金はかかりません。
税金がかかる場合は、通常は一時所得扱いです。
源泉分離課税がかかるケースもありますが、掛金を一括払いしていて条件を満たしている場合です。
いまはあまり該当するケースは少ないでしょう。解約するにはそれなりの事情があるでしょうが、極力続ける方が得です。
個人年金保険の受取りと税金対策
個人年金保険の受取方法の選択ができる場合、どちらが得、どちらが損とは言い切れませんが基本的な考え方をお伝えしておきます。
年金を受取るときにまとまったかたちの資金が必要なら一括受取、毎月の生活費を長く貰いたいなら年金形式が一般的です。
いずれの場合でも総額でいくら貰えるのかを計算してください。
通常一括受取と分割受取は同じ金額ではありません。
分割受取する方が受取総額が多くなるのが一般的です。
受取総額の違いとそのときのお金の状況、さらに他の所得(他の年金や勤労収入など)の状況に合わせて柔軟に選択してください。
一時所得の場合、年金受取額と掛金を差し引いてさらに50万円引きますから、税金がかからないケースもあるでしょう。
但し、分割受取すると総額自体が多くなるため、仮に税金がかかっても総額が多くなることもあります。
受取段階で試算のシミュレーションをするのが前提になりますが、基本的な考え方は知っておいてください。
まとめ
民間の生命保険会社の個人年金保険となると予定利率などの条件の良い契約を持っているのは、40歳代以降の人が中心でしょう。
個人年金保険といっても年金の受取をするときには、60歳以降というケースがほとんどでしょう。
公的年金やその他の私的年金、再就職した際の収入などもらうお金が集中するときには、収入全体に視点を広げて税金の対策を考える必要があります。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。