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夫婦控除とは?創設の可能性と配偶者控除の廃止についてわかりやすく解説

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配偶者控除とは?配偶者控除廃止の議論と見送りの背景

配偶者控除廃止は見送り・先送り

まずは現状の制度である配偶者控除とその廃止の議論、見送りとなった状況などについて確認します。

配偶者控除とは?

配偶者控除とは、妻(もしくは夫)の収入がないあるいはパートなどで年収103万円以下(2018年より150万円以下)のときに受けられる所得控除です。

扶養している一定収入以下の配偶者がいるならば、税制上は多少なりとも配慮しましょうという制度です。これを廃止しては、というのがそもそもの発端です。

配偶者控除廃止の議論、見送りの背景

配偶者控除がいつから始まったかというと55年以上前のことです。

その後女性の社会進出やライフスタイルの多様化なども含めて、55年以上も前に作られた制度が現代の生活実態に必ずしも合っていない状況です。

夫婦共働きの2馬力で働くのは珍しくありませんし、妻の方が収入の多いケースもあります。

また配偶者控除には、高所得者の片働きの世帯の優遇や何よりもパート主婦などの就業の壁(現在103万円、今後150万円)となっていることがあります。

すべての人に優遇された制度はありませんが、例えば以下のようなケース。

  1. 夫:年収600万円 妻:年収100万円
  2. 夫:年収300万円 妻:年収300万円

1は配偶者控除の対象ですが、2はそうではありません。働こうと思っても税制上不利になるなら、働きには出にくいでしょう。

逆に2のケースでは、配偶者控除と違うかたちで控除できるものがあるならそれに越したことはありません。

様々なケースがありますし税率も違うので一概に言えないところがあります。結局のところ配偶者控除の廃止については見送られました。

これを行うとなると大きなことですから、政治が安定していないと難しい部分もあるでしょう。その意味では選挙の時期なども大きく関係してくるのは間違いありません。

夫婦控除とは?わかりやすく解説・説明

夫婦控除とは?わかりやすく説明

配偶者控除を廃止して夫婦控除を創設というものが見送り・先送りとなりましたので、夫婦控除とはこれだ!というものが確定しているわけではありません。

2016年の議論なども含めて確認してみましょう。

夫婦控除の考え方や方向性としては配偶者控除を廃止することで、配偶者(主に妻)の収入で所得控除するのではなく、夫婦の所得(世帯単位)から一定額を控除するということです。

個人単位の所得を夫婦一緒に世帯単位の所得としてみていくということでしょう。もっとも最初にお話したように、夫婦控除の創設は見送られています。

夫婦控除と配偶者控除の違い

夫婦控除と配偶者控除の違いについては、上記に解説したところに多少かぶりますが、妻の就業の壁となる部分を排除することがあります。

  • 配偶者控除 夫に扶養されている収入が一定以下の妻が受けられる所得控除
  • 夫婦控除  夫妻の世帯単位での一定額を控除

※便宜上扶養者夫、妻が扶養されている前提にしてあります。夫婦控除は見送られたので制度として議論されていた内容です。

夫婦控除は共働き世帯だと損なの得なの?

夫婦控除が損か得かは気になるところではあるでしょう。

但し共働き世帯については、もともと配偶者控除による103万円(150万円)の壁によって就業に制限が掛かっているのを何とかするという意図もあります。

夫と妻それぞれの収入がどれくらいかによって、最終的な損得は変わってくるでしょう。

夫婦控除が導入されると専業主婦は不利?

夫婦控除と専業主婦

仮に夫婦控除が創設された場合、就業調整している専業主婦の就労を促す部分もあることから、働く時間を抑えていた人には有利になる面もあると考えられます。

逆にこれ以上就業時間を増やしたくない、子育てなどもあり物理的に不可能などの場合、不利になる可能性も否定できません。

税制改正大綱に見る夫婦控除の今後の動き

夫婦控除の今後

2016年(平成29年)12月に税制改正大綱(今後税制をどう変えていくかまとめたもの)が発表されています。

この中に配偶者控除の廃止、及び夫婦控除創設についての考え方が記載されています。以下、一部を抜粋します。

就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築するためには、税制、社会保障制度、企業の配偶者手当制度などの面で総合的な取組みを進める必要がある。

 

税制面においては、このような仕組みとして、配偶者控除を廃止するという考え方や配偶者控除を廃止した上で夫婦世帯を対象に新たな控除を認めるといった考え方がある。

 

~略~

 

夫婦世帯を対象に新たな控除を認めるとの考え方もあるが、全ての夫婦世帯を対象とすれば、高所得者の夫婦世帯にまで配慮を行うことなり、非常に多額の財源を必要とすることから、控除の適用に当たって夫婦世帯の所得に上限を設けることが必要となる

 

わが国においては個人単位課税を採用しており、世帯単位で所得を把握することが難しいとの問題がある。夫婦世帯を対象に新たな控除を設けることについて、国民の理解が深まっているとは言えない。

こうした問題を踏まえると、これらの考え方を具体的な制度改正の案として直ちに採用することは難しい。
出典 平成29年度 税制改正大綱より一部抜粋

要約して箇条書きにします。

  • 就業調整しないで済むような仕組み作りには税制上は、配偶者控除の廃止、夫婦控除の創設がある。
  • 夫婦世帯を対象にあらたな控除(夫婦控除)を設ける考え方もあるが、財源上、所得に上限を作ることが必要。
  • 日本は個人単位で課税。世帯単位での所得の把握は難しい。
  • 夫婦控除の創設に国民の理解が深まる前に直ちに採用は難しい。

夫婦控除の創設には、必要性には触れていながら、財源の問題やそれに伴う上限の設定(つまり対象が絞られる可能性)、国民の理解が必要ということです。

配偶者控除については廃止が見送りとなり、103万円の壁が150万円の壁となりました(配偶者特別控除も改正)。

配偶者控除の廃止や夫婦控除の創設は見送られていますので、当面は配偶者控除・配偶者特別控除の改正の動きに合せて働き方を考えていくかたちでいいでしょう。。

夫婦控除創設の可能性と今後の働き方

夫婦控除は将来創設される?

配偶者控除のさらなる改定(もしくは廃止)、夫婦控除の創設を見据えてできることはあるのでしょうか。

夫婦控除の創設の方向性がでたら一度夫婦で話し合う

実際のところパートや正規かどうかはともかく、共働きで子供がいる(これからできる場合含む)場合、子供の成長に従って働く時間を調整する必要がでてくるケースはあるでしょう。

都心部では子供を預けられるかという問題もあります。

夫婦控除創設の議論が、いつから再開されるか(そもそもされないか)未定ですが、再度話がでてきた段階で、夫婦でお互いの働き方について改めて話合ってみましょう。

2020年から基礎控除や給与所得控除、公的年金等控除も改正されています。これらはすべて働き方改革の一環ですので、そうした視点で考えてください。

配偶者に収入を内緒にしていたら、、

なかには、夫婦共働きだがお互いにいくら収入があるか知らない、もしくは内緒にしているケースもあるはずです。

夫婦控除が創設されて、世帯で収入が見られるようになったらこういう人は大変です。

但し内容がはっきりしていないものを今から心配しても何も変わりませんし、現状では静観するしか方法はありません。夫婦控除も立ち消えになるかもしれません。

今後の政府の動きや改定の議論、配偶者控除に関わる動きがでてきたら適宜この記事に追記、上書きしていきますので気になったタイミングで見に来てください。

まとめ

夫婦控除とは?創設復活の可能性と配偶者控除の廃止についてわかりやすく解説、についていかがでしたか。

現状は夫婦控除の創設は見送り・先送りとなっていますから、いま何かを心配したり、気にする必要はありません。

所得制限などについては見送りとなった夫婦控除よりも配偶者控除・配偶者特別控除の改正の内容の方が重要です。

但し結婚していて共働き世帯の人には、大いに関係のある話ですので、ニュースや新聞などで「夫婦控除」「配偶者控除廃止」の話をみることがあれば、都度アンテナを立てるようにしておきましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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