全労済や県民共済の火災保険という選択~補償内容や掛金
火災保険の制度や保険料が頻繁に改定される中、選択肢の一つが共済「全労済(こくみん共済coop)や都道府県民共済など」です。
■この記事で学べること
【1】火災共済を取り扱う主な共済
【2】全労済の「住まいる共済」
【3】都道府県民共済の「新型火災共済」
火災保険と比べて、実際のところ火災共済は補償内容や掛金はどうなのかを解説します。
※損保では補償、共済では生損保問わず保障という字を使いますが、この記事では補償に統一して記載しています。
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この記事のもくじ
火災共済を取り扱う主な共済と一般的な特徴
火災保険を取り扱う主な共済
分かりやすいように記事のタイトルは火災保険としましたが、共済が取り扱うものは「火災共済」といいます。
共済の場合、全国的に展開しているメジャーな共済もあれば、そうでない共済もあります。
多くの人が知る共済で、火災共済の取り扱いがあるのは次の共済および商品です。
- 全労済(こくみん共済coop) 「住まいる共済」
- 都道府県民共済 「新型火災共済」
- コープ共済(生協) 「住まいる共済」
- JA共済 「建物更生共済 むてきプラス」
コープ共済の場合、商品名を見ると分かりますが、全労済(こくみん共済coop)の住まいる共済を提供しています。
そのため個別に解説等は入れていませんが、全労済の商品と同じと考えてください。
JA共済ですが、建物更生共済むてきプラスは積立型の火災共済です。
掛金が高くなるのと、定額での保険商品の積立は条件が悪いので、この記事では解説の対象にしておりません。
農協の関係や農林畜産業の方で、JA共済の商品が合う人はいると思いますがご了承ください。
火災共済の主な特徴
簡単に説明しましたが、火災共済と言っても共済ごとに補償内容は一律ではありません。
主な特徴を確認しておきましょう。
- 共済掛金(保険料)は、損保の火災保険に比べると安いことが多い(高いこともある)
- 通常は1年契約で長期契約はできない(積立型のJA共済の建物更生共済などは除く)
- 1年の決算ごとに割戻金が支払われることがある(県民共済等)
- 保険金額(補償される金額)が火災保険より少ないケースがある
- 損保の火災保険のように補償の付け外しなどカスタマイズはできないことが多い
- 地震災害等の補償はあるが、損保の地震保険とは違うもの
共済によって異なるのはお話したとおりですが、損保の火災保険や地震保険とは違う、共済間でも異なると理解してください。
全労済(こくみん共済coop)の住まいる共済
住まいる共済は、2024年4月に9年ぶりに改定を実施しています。補償内容や共済掛金等について改定されています。
2024年4月の主な改定内容
- 住まいる共済の主な内容は以下のとおりです。
- 風水害等の補償の改善
- 自然災害共済のタイプ名変更
- ベーシックタイプ(旧大型タイプ)の補償額拡大
- 自然災害共済の掛金額の改定
- 自然災害共済の総支払限度額の改定
- 空き家契約の取り扱いの変更
- 建物構造区分の変更
9年ぶりの改定ですから、この10年ほどで一気に増加した自然災害に対応する改定を行っています。当然掛金も一部改定されています。
住まいる共済については筆者も改定について直接お話を伺っているのでそれを踏まえて内容を記載します。
詳細については下記のリンクを参考にしてください。
こくみん共済coop 住まいる共済 2024年4月 商品改定のお知らせ
住まいる共済の補償内容の特徴や掛金
住まいる共済は、補償は次のかたちでいずれかで補償内容を決めます。
- 火災共済
- 火災共済+自然災害共済(エコノミー)
- 火災共済+自然災害共済(ベーシック)
この3つのうち下にいくほど、補償が充実しており、掛金が高くなると考えてください。
住まいる共済の主な特徴は次のとおりです。
- 全国一律掛金
- 築年数による掛金の違いはない
- 補償内容によって、補償される金額が一律ではない
住まいる共済は、加入できる限度額が6,000万円です。
基本補償となる火災共済に600口加入すると6,000万円になりますが、火災共済に付帯している風水害等の補償は同じ口数で300万円が限度です。
この補償を充実させるには、自然災害共済に加入する必要があります。
住まいる共済が合う人合わない人
こくみん共済coopの住まいる共済の特徴から、比較的合いやすい人合いにくい人がいます。
火災保険より掛金が安いケースがあるものの、逆に地域や構造、築年数等によっては高いケースもあります。
一般的には火災保険料が高い地域(この10年ほどの改定で掛金のアップ率が高い地域)で築年数が古く水災リスクが高いケースは住まいる共済が有利でしょう。
補償される金額の上限が6,000万円までとなっていることから、高額の物件に居住している人には保険金額が不足します。
今回の改定内容を見ると、物件の構造だとマンション構造に該当する場合は、住まいる共済の優位性がでてくると考えます。
なお、掛金については口数制になっています。加入できる口数×単価で計算します。
損保のように細かい調整はできませんが、その分わかりやすいと思います。
都道府県民共済の新型火災共済
新型火災共済は、全国共済連が提供する火災共済です。
都道府県ごとに、道民共済、県民共済、都民共済、府民共済といいます。
新型火災共済は、色々プランがあるわけではありませんので、補償の構成はシンプルです。
新型火災共済の補償内容の特徴や掛金
新型火災共済の主な補償内容等の特徴は次のようになっています。
- 掛金が手頃
- 決算ごとに剰余金があれば割戻金が支払われる
- 補償される金額は大きくない
手頃な掛金で剰余金があれば割戻金もありますが、一方で大型の補償はありません。
例えば風水害等の補償は600万円が限度です。
新型火災共済も口数制になっています。一坪(3.3㎡)あたりの掛金が木造と鉄筋コンクリート造などで分かれています。
一覧表にまとまっているので、自分の住まいの坪数が分かれば掛金はわかります。
新型火災共済に合う人、合わない人
新型火災共済は補償される金額の上限が4,000万円までです。これを超える金額が必要な人や風水害等についても同程度の金額が必要な人には合いません。
一方で、既定の金額の範囲で問題がない人、補償内容を理解した上で掛金の手軽さを優先したい人などは合うでしょう。
まとめ
損保の火災保険は2015年の秋以降、頻繁に改定が実施されています。
地域や構造によっては改定のアップ率が高く、さらに築年数によって保険料に差が設けられる状況になっています。
2024年10月に再び火災保険は改定されており、水災リスクを地域ごとに反映させたかたちになります。
また数年前から始まっている築年数による料率区分もさらに細分化され、築古の物件ほど保険料が高くなっています。
火災共済と火災保険のどちらもメリットデメリットがあるので、どちらがいいかは一概に言えません。
選択肢は色々あるので補償内容や制度の違いをしっかりチェックして検討してください。
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