住宅ローンのボーナス併用払いの損得!返済の変更と計算方法を解説
住宅ローン返済には、毎月返済とボーナス併用払いがあります。ボーナス併用払いは楽ですが、ボーナスが減ると大きな影響を受けます。
■この記事で学べること
【1】住宅ローンのボーナス併用払いの仕組と計算方法
【2】ボーナス併用払いの平均割合はいくら?割合や引き落とし日の変更
【3】ボーナス併用払いが払えないときとボーナス返済の変更
【4】繰上げ返済と、毎月の返済・ボーナス返済の考え方
住宅ローンのボーナス併用払いの損得勘定と払えないときの変更、返済割合をどう考えるかなどについて解説します。
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この記事のもくじ
住宅ローンボーナス併用払いの仕組みと計算方法
住宅ローンのボーナス併用払いとは?
住宅ローンでボーナス併用払いにするというのは、単純に指定したボーナス月に決まった金額を増額して支払います。
住宅ローンの返済は毎月指定した日などに、自分で指定した預金口座から自動的に引落(返済)するかたちになります。
つまりボーナス併用払いとは、通常の返済に加えてボーナス時などに増額返済することをいいます。
なお、ボーナス返済で支払える金額には、上限額が決められています(例えば借入れ金額の50%以内など)。
ボーナス併用払いの仕組みと損得勘定
ボーナス併用払いをしない場合とした場合、どちらが得かというと金銭的な勘定では、ボーナスは併用しない方が有利です。
その理由と仕組みをお話すると住宅ローンなどの借り入れは元金を早く減らした方が返済が進みます。
つまり以下のようなイメージです。( )の6月、12月がボーナス併用払いすると考えてください
- 1月 2月 3月 4月 5月(6月) 7月 8月 9月 10月 11月(12月)
← ← 元金が早く減る → →
ボーナス併用払いを使うと、単純に月払いのみするケースと比べて毎月の負担を軽く、その分ボーナスで負担して返済していくケースが多いでしょう。
住宅ローンに限らずローンの返済は、元金をいかに早く減らすかがポイントです。
特に返済の初期の頃は、返済額のうち元金よりも利息の占める割合が高いのです。
そうなると上記の1月~5月までのボーナス支払までに毎月の支払が多い方が、元金の減りが早いのでその金利の分だけ返済額の減りが早いのです。
もちろんいくら住宅ローンの返済するかの金額で違います。
ボーナス併用払いとそうでないケースどの位違うかの計算?
それでは実際どの程度違うのでしょうか。
- 借入額3,000万円 金利2%
毎月返済(35年)
月々99,378円 年間1,192,536円
- ボーナス併用払い(35年)
月々87,751円(ボーナス時+69,964円×2) 年間1,192,940円 - ボーナス併用払い(30年)
月々99,242円(ボーナス時+70,070円×2) 年間1,331,224円
ボーナス約7万円×2回がどの程度負担かはその人ごとに違うでしょうが、上記のように実は年間の返済額はそんなにかわらないのです。
金額を調整すればいかようにもできるということです。
ボーナスで7万円程度支払うと毎月の支払は約1.2万円さがります。これは助かりますね。
3番目の計算は実は返済期間を変えてあります(30年)が、あまり差がでないのは金利が低いからです。
バブル時代のように住宅ローン金利8%などになっていたらこうはいきません。
私見ですが金銭的な収支についてはボーナス併用払いをするかしないかでそんなに気にする範囲ではないと考えます。
住宅ローンのボーナス併用払いは何で判断するか?
現状の金利で収支の損得はそんなに気にしなくてもよいとすると、考えることはボーナスを当てにして大丈夫かということです。
住宅ローンのボーナス併用払いのリスクの一つは、ボーナスは変動するということです。
勤務先の業績が悪くなれば大幅にカットされることもあります。
ボーナス併用払いに返済を大きく頼っている状況だと、突然住宅ローンの返済ができなくなる可能性を常に抱えていることになります。
業績が比較的安定している企業ならまだいいでしょうが、安定感に欠けるようならあまりボーナス頼みにするべきではありません。
ボーナス併用払いを使うことの意味(メリット・デメリット)
ボーナス併用払いのメリットがあるとすると、主に次の2つです。
- 毎月の住宅ローンの返済額を減らす
- ボーナス併用払いにすることで、返済期間を短縮して総返済額を減らす
デメリットは、最初に挙げたボーナス払いの不確実性です。
何らかの事情(失業や転退職、病気、介護など)でボーナス併用払いの返済ができなくなる可能性は誰にでもあります。
必要以上にボーナス併用払いに頼らず、必要なところだけ利用するくらいの方が失敗を減らすことができます。
住宅ローンの返済にボーナスを当てにしない家計作り
なるべくボーナスを当てにしないでといいたいところですが、そんなことは誰でもわかっているでしょう。
やはり自分の家は特別なもので、ボーナス払いでこれだけ増やせば希望の家が買えるとなると考えてしまいますよね。
ボーナスを当てにしない家計作りといいましたが、判断に迷ったら住居費の目安を手取り収入の25%くらい目処に考えてください。
当サイトの住宅ローン関係の記事で、返済可能な金額と借入可能な金額を混同しないことを何度も言っていますがこれも同じことです。
ボーナス併用払いにしたからと言って、打ち出の小槌でお金がでてきているわけではありません。
住宅ローンの支払にも決まりがあるので簡単に言ってしまえば、その点から考えると毎月均一に返済するか、後で支払うかの違いです。
返済比率が30%でももちろん借入可能ですが、ボーナス併用払いはもちろん毎月の支払だけでも何十年先の状況はどう変わるかわかりません。
勤務先も業績が悪くなればボーナス(賞与)を減らしたり、無くしたりすることがあります。
実際にコロナ禍の際などには、住宅ローンの返済について困っている人も増えました。
家計も糸がピンピンに張ったプランよりも、多少は緩みや余裕がある方が糸が切れにくいわけです。
車のハンドルに遊びがあるのと同じです。
ボーナス併用払いの割合と引き落とし日、および変更
すでに解説しましたが、ボーナスの併用払いの平均的な割合がいくらか?というよりは、あくまで手取り収入に占める返済割合を基準に考えてください。
借入総額に対するボーナスの割合の目安
住宅ローンのボーナス返済の割合はある程度は決まってきます。
公的な融資なら借入総額の40%以内、民間の住宅ローン融資なら50%以内程度といったところです。
ここから割合をみていけば、おおよその目安はできるでしょう。
ボーナス併用払いは決して否定しません。
お話したように金利も低いため金銭的な収支ではボーナス利用の有無で何十万円も差がでるような時代でもありません。
一方で、今後金利上昇の動きが出てきているのでこの点は注意してください。
ボーナス返済の引き落とし日と変更
住宅ローンのボーナス払いによる増額返済分は、引き落とし日と決めておきます。
もちろん途中で引き落とし日(月)を変更することはできます。
転職などをすればボーナス支給日の関係で、当初取り決めていた引き落とし日では対応できなくなることもあるからです。
住宅ローンのボーナス払いの利用の仕方・考え方
例えば極端な話、ボーナスが30万円なのに、その多くを住宅ローンの返済にあてるとなるとどうかと思います。ボーナスにぶら下がった返済です。
仮にボーナス5万円10万円くらいなら、いざというときも対処できそうということであれば、ボーナス併用払いは利用するのはありだと考えます。
もちろんボーナス併用払いはあえて利用せずに、手元に現金を残しつつ繰り上げ返済で対応するという考え方もまたありです。
手は掛かりますが、色々シミュレーションしてみてください。面倒に思うでしょうが、はじめが肝心です。
住宅ローンのボーナス併用払いが払えないとき変更できる?
実際に収入が下がったり、家族が病気やケガでお金が他にかかったりして、住宅ローンのボーナス返済が難しくなることがあります。
住宅ローンのボーナス併用払いで何を変更する?
住宅ローンの返済が難しくなる前に変更が可能かどうか検討してみることが必要です。
- ボーナス払いの返済月変更
- ボーナス払いの返済額変更
- ボーナス併用払いから毎月返済のみへの変更
つまり上記のようにボーナス払いについて、何か変更することを具体的に検討・実行しなければなりません。
知っておいてほしいのは、返済条件変更、つまり当初と異なる条件に変更すると審査や手数料などがかかることがあります。
それから住宅ローンの条件変更については、対応がさまざまでこれは金融機関によって異なります。
住宅ローンのボーナス併用払い、払えないとき
実際にボーナス併用払いに住宅ローンの返済に頼る部分が大きいと、ボーナス払いでの返済が払えないときもあるでしょう。
最後の方法としては自宅に任意売却がありますが、できれば避けたいところでしょう。
借入先の金融機関に早めに相談する
ボーナス併用払いの部分に限った話ではありません。
事情があって今の毎月の返済やボーナス時の返済が難しいようであれば、早めに借入先の金融機関に相談に行ってください。
今回のボーナス返済がどうしても支払えない、というときでも金融機関に早めに相談することです。
支払いが迫れば迫るほどできることが少なくなります。
今後の収入の見通しを確認して、方向性をよく相談してください。
具体的には住宅ローンの変更契約をすることで、ボーナス払いの引き落し月を変更することができます。但し年2回の増額返済月の一方のみの変更はできません。
例えば、現在6月と12月を増額返済月にしている場合、6月を7月に変更すると、 もう一方の引き落し月は1月になります。
住宅ローンの繰り上げ返済、毎月の元金の返済か、ボーナス併用払いの返済か?
実際にまとまったお金があって住宅ローンの一部繰り上げを考えたとき、毎月返済の元金返済か、ボーナス併用払いの元金返済にするか悩むところです。
繰り上げ返済は必ずこれがいい!というものではない理由
どちらがいい、こうすべきという情報は沢山ありますが、いつ、いくら一部繰り上げ返済するかによって、また考えた方によって一概にはいえません。
住宅ローンの元利均等返済(一般的にはほとんどこれ)は、毎月の返済金額の利息と元金の割合は毎月変わっていきます。これはボーナス分も同様です。
借入時の初回返済分がもっとも利息の割合が高く、返済とともに利息が減っていき、元金の割合が増えていくためです。
例えば全額ボーナス返済分に充当すると、金額によりますが後ろの返済分の利息の割合の少ない分の返済することになります。
利息の割合が高い初期の返済分を返済していく方が有利なのです。
繰り上げ返済をボーナス分に充当することの意味
そう考えると毎月の支払を優先する考えになります。
結果ボーナス返済分は残すことになります。
ボーナス併用払いを利用するかどうかで話をしたように、何十年先のボーナスがいくらかはどうなるか当てになりません。
支払はそのままにそれを先に返済するというのも考え方の一つです。
まとめ
住宅ローンのボーナス併用払いの損得!返済の変更と計算方法を解説、についていかがでしたか。
ボーナス併用払いについては、無理のない金額で使い方次第ということです。
先のことが見えないのはいつの時代でも同じですが、昔のように雇用が確保されている、会社にいれば給料は上がっていくなどの時代ではありません。
住まいの場合にはどうしてもこの家が欲しい!というのがあるでしょうし、ちょっと無理をすれば買えるということなら尚更です。
本文にも書きましたが、背伸びした住宅ローンは車のハンドルに遊びがないような状況でずっと運転し続けるようなものです。
住宅ローンは10年、20年、30年と長期に返済するものです。
家計の緊張状態がずっと続くことが本当によいのかを改めて考えてみてください。
住宅購入時にテンション上がっていて、冷静になれないこともあります。
無理のない身の丈にあった住宅ローンの借入をして、選択肢は多様にもっておくことを心がけてましょう。
その上で状況の変化に柔軟に、また素早く対応することが大切になります。
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