【長寿保険・長寿年金(トンチン)】長生きが得のトンチン性の保険とは?
長寿保険・長寿年金(トンチン年金・トンチン保険)いう年金・保険があり、何社かの保険会社が発売しています。
■この記事で学べること
【1長寿保険・長寿年金(またはトンチン年金、トンチン保険)とは?
【2】長寿保険・長寿年金(トンチン年金・保険)のメリット・デメリット
【3】国内で販売されているトンチン性のある保険商品の状況と使い勝手
この3点を中心に長寿保・長寿年金とは?についてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
長寿保険・長寿年金(トンチン年金・トンチン保険とは)?
長寿保険・長寿年金(トンチン年金・保険)とは、わかりやすく言うと長生きするほど多くのお金を受け取ることができる年金・保険商品のことです。
そのため長寿保険などと言われているのです。
例えば1人300万円の掛金を支払い、30年後に90歳以上で運用で殖やした分も含めて「生存者」がお金を受取る。
このとき死亡していれば1円ももらえないわけです。
本来トンチンとは長生きしたものが得、長生きした人が勝ちという仕組みの年金、保険です(なぜトンチンというのかの由来はこの後お話します)。
日本国内では本来のトンチンの仕組みをそのもの取り入れた保険商品は発売されていません。
その考え方を取り入れたトンチン性のある、いわゆる長寿保険、トンチンタイプの年金や保険の発売がはじまっています。
トンチン性というよりは、いわゆるトンチン「風」な年金という方がイメージしやすいかもしれません。
長寿保険、トンチン保険はいずれも日本の保険・年金として同じものを言っていると考えてください。
トンチン年金・保険の由来
「トンチン」とは聞きなれない名称の年金・保険商品です。
日本人だと「トンチンカン」という言葉をイメージする人も多いかもしれませんが、元々はこの仕組みを考えたイタリアの銀行家の名前に由来しています。
長寿の方が分かりやすいからか、メディアなどでは「長寿保険」「長寿年金」などもよく使われるようになっています。
日本国内での発売は、トンチン性のあるトンチンタイプの年金や保険
本来この商品は、極端な言い方をすると長生きしたもの勝ちの商品です。
満期時や年金支払い時に生きている人が元本や運用益を貰える仕組みの保険です。
多少道義的な部分(生き残った人勝ち)も踏まえるとそれって年金・保険としてどうなの?という部分もあって、日本国内でも賛否両論、多様な意見がありました。
低金利により生命保険や民間保険の年金商品の魅力が低下して、保険でお金を貯めにくい状況が続いています。
そのためトンチン性を取り入れたトンチンタイプの年金・保険商品の販売が日本でも何年か前から始まっています。
長寿保険・長寿年金(トンチン)が注目されてきた背景
預金金利が低いのと同様に生命保険も貯蓄性のある保険の魅力が低下しています。
2017年4月にも標準利率が引き下げられたことにより、貯蓄性のある生命保険のお金を貯めるというメリットは薄れています。
生命保険会社はお金を貯める・殖やす保険については数年前から戦略が分かれています。
具体的には外貨建ての生命保険や変額保険などをどうするかということです。
従来であれば貯蓄性のある生命保険で、それなりにお金を貯めることができたので、敢えてトンチン性のある年金・保険を発売する必要がありませんでした。
こうした背景もあり、長生きするという前提が必要ではあるもののトンチン性のある年金や保険が発売され始めてきたのです。
トンチン性はあるものの、本来の意味での完全なトンチン年金、トンチン保険というわけでもありません。
長寿保険・長寿年金(トンチン)のメリット、デメリット
長寿保険・長寿年金(トンチンタイプ)のメリット、デメリットを確認してみましょう
メリット
長生きするほどメリットがある商品です。自分で寿命を選ぶことはできませんが、長生きしそう、家族でも長寿が多い人などには有利な商品です。
デメリット
早く死亡すると受け取れる金額が少なくなります。本来のトンチン保険は、状況によってはまったくお金を受け取ることができないことがあります。
もう少し補足すると中途解約した場合にも注意が必要です。途中で解約した場合にも損する可能性があります。
高齢者になると医療や介護などで色々状況が変わりお金が必要になることがあります。長寿になるほど確率は上がるでしょう。
そうしたことも考慮してこのタイプの商品を契約する必要があります。
また現在発売されている長寿保険や年金は、何度かお話ししたように本来のトンチンではなく、トンチン性を入れているというトンチンタイプの商品です。
商品によっては損益分岐点がかなり高齢になってからのケースもあります。
その年でお金を貰ってもしょうがないと思うのか、高齢になってからお金がないのは大変と考えるかがデメリットを考える際のポイントです。
ポイントは元を取れる損益分岐点が何歳かということです。いくら長生きになって平均寿命が延びていてもあまり高齢になってから元が取れてもという部分が心理的にはあるでしょう。
トンチン性の年金・保険(トンチンタイプ)を発売した生命保険・金融機関
本来のトンチンではないにしても、トンチン性のあるトンチンタイプの年金や保険は以前にも販売されてきました。
古くは90年代からアリコジャパン(現メットライフ生命)が発売していました。最近では日本生命、第一生命、太陽生命、かんぽ生命などがトンチンタイプの年金保険を売り出しています。
- 第一生命 とんちん年金『ながいき物語
- 日本生命 ニッセイ長寿生存保険『Gran Age』
- 太陽生命 『100歳時代年金』
- かんぽ生命 長生き支援保険『長寿のしあわせ』 など
繰り返しますがこれらの長寿保険は「トンチンタイプ」の年金・保険です。死亡時の支払や解約返戻金を減らしたり、無くしたりしています。
平均寿命よりも長生きする、解約はしないという前提です。加入を検討するならこのあたりの収支を事前によく確認してください。
長寿保険・長寿年金(トンチン)の比較や加入の前に考えておくこと
これらのタイプの年金・保険を比較したり、加入を検討する前に改めて考えておいてほしいことがあります。
実はほとんどの人がトンチン性のある年金に加入していますが、何だと思いますか。
公的年金には繰下げ受給がある
答えは国民年金や厚生年金などの公的年金です。年金の支払いが始まってから生存している間は終身で年金が支払われます。
その代わり年金受給前に死亡すれば自分はお金を貰えません。
年金受給が始まっていても死亡すればその時点で終わりです。実は公的年金にはトンチン性の仕組みが入っているのです。
もちろん公的年金は年を取ってから貰う年金(老齢年金)だけではなく、障害年金や遺族年金もある社会保障ですので同じように比較するものではありません。
年金給付を増やしたいのであれば、年金をもらう時期を後ろにずらしていけば可能です。トンチン年金・保険で長生きしそうと考えるならこうした視点も持っておいてください。
他の資産や入ってくるお金とのバランス
老後の生活資金の軸になっているのは、主に①公的年金、②企業年金、③就業収入などです。ここに資産の取り崩しなどが続きます。不動産投資などをしている人はその収入もあるでしょう。
今後はできる限り働くことにスポットが当たってくるでしょうが、老後にどのような生活をしてどう収入を得る、あるいはそれに備えて増やしていくのか考えてみましょう。
何歳までどんなことができそうか、年金がいつから貰えるか生活とお金のバランスを個別に考える必要があります。
長寿保険・年金(トンチン)商品の使い勝手と損得勘定
実際に長寿保険(トンチン)の使い勝手はどうなのかというと、ポイントは長生きできるか、途中で解約しなくてもいい経済状態かどうかです。
お金が貯まるタイプの保険や年金、もちろんトンチンタイプのものも含めて同じことが言えるのですが、以下の点に留意してください。
- 掛金はいくら支払うのか。
- それはどのくらい増えるのか
- 元金を上回るのはいつか(何歳か)。
- 解約返戻金や死亡保障
トンチンタイプですから、掛金の総額を上回るタイミングはある程度の年齢になってからです。
この年まで長生きしない、この年でお金貰ってもなあ、と感じるなら敢えて利用する必要もないと考えます。
うちは家族みな長生きだから、というのであれば予算の範囲で検討してみるのもいいでしょう。
但し損益分岐点は何歳か(受取る金額が払込みの掛金を上回る時期)、自分の今の平均余命から考えてどのくらいの人が生存しているのかなども冷静に考えてみましょう。
先々別に資金が必要で長い契約期間では、解約の必要性がでてくることもあります。解約時の取扱いなどにも注意するようにしてください。
特に高齢になっていると、受取りがはじまる前に健康あるいは介護などの理由で解約が必要なケースもありえます。
色々賛否両論はあるのでしょうが、完全なトンチン年金、トンチン保険であれば明確なニーズを感じる人がでてくるのではないかと考えます。
もちろん商品性の理解は必要です。
まとめ
日本ではまだまだ馴染みの薄い長寿保険・長寿年金(トンチン年金、トンチン保険)。
トンチン性ではなく、本格的なトンチン年金・トンチン保険が発売されるか、また普及が広まるかは何とも言えません。
平均寿命が延びていく中で、公的年金が軸になっていた老後の保障が今後変わりつつあることは間違いないでしょう。
現状はそれを踏まえてそうした選択もあるという程度の認識でいいでしょう。
生命保険会社の人から勧められることも増えてくるでしょうから、安易に加入するのではなく収支を計算するのとざっくりでも内容を知っておくといいでしょう。
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