確定拠出年金(iDeCo・企業型)の元本確保型のおすすめの選び方
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の運用商品には預金や保険など元本確保型と呼ばれる運用商品があり、価格変動リスクを取りたくない人は検討しているでしょう。
■この記事で学べること
【1】確定拠出年金(iDeCo・企業型)の元本確保型のおすすめの選び方
【2】iDeCoで元本確保型商品を100%がNGな理由
【3】確定拠出年金の理想的な運用商品の使い方
確定拠出年金の元本確保型商品の選び方と活用のポイントについてファイナンシャルプランナーが解説します。
この記事のもくじ
確定拠出年金(iDeCo・企業型)の元本確保型のおすすめの選び方
確定拠出年金の元本確保型商品の選択割合
はじめに確定拠出年金の運用商品で元本確保型がどのくらい選ばれているか統計から確認します。
統計の出所は、運営管理機関連絡協議会の確定拠出年金統計資料(2022年3月末)です。
元本確保型を選んでいる人の比率
■企業型
預貯金:29.4% 保険:生保7.8% 損保4.2% 投資信託:57.9%
■iDeCo(個人型)
預貯金:27.4% 保険:生保3.8% 損保6.5% 投資信託:61.1%
僅かな違いですが、おおよそ企業型もiDeCoも似たような比率になっています。
元本確保型商品の選択比率は預金と保険を合わせると40%前後という状況です。
ちなみに同統計は2019年3月末から4年間の推移ででていますが、元本確保型商品(預金・保険)の選択割合は減少傾向、投資信託は増加傾向です。
これは投資について理解が進んでいることが関係していると考えます。
確定拠出年金の元本確保型商品のおすすめの選び方について、iDeCo(個人型)と企業型にわけてみてみましょう。
確定拠出年金の元本確保型のおすすめの選び方
確定拠出年金(企業型、iDeCo)の運用商品は、現在では上限が35本と決められています。
元本が変動するタイプは投資信託になりますが、投資信託には複数の種類があります。
例えば株式型、債券型、REIT、バランス型などになりますが、これにそれぞれ国内型と海外型があります。
各タイプ2~3本くらいの商品を揃えると、これだけでそれなりの数になってしまいます。
これに加えて元本確保型には、預金と保険があります。多いところでも預金と保険とそれぞれ2本くらいです。
ネット証券だと元本確保型の商品を定期預金1つだけというところもあります。
複数取り揃えても金利も変わらないこともあるでしょう。
金利が低い状況では元本確保型商品にそんなに違いが出せないことが多いでしょう。これを前提に記事を読み進めてください。
企業型の元本確保型のおすすめの選び方
残念ながら企業型の場合、契約する運営管理機関(金融機関)は、一括して契約します。
企業型の確定拠出年金のデメリットの1つですが、自分で運営管理機関を選べないため、商品構成が自分の運用商品にあっていないとほとんど選べないのです。
その上で敢えてお伝えすることがあるとすれば以下の点です。
- 中途解約した場合、元本割れすることはないか
- 預金等は普段自分が利用している金融機関とダブっていないか
- 金融機関の健全性
特に保険商品の場合、満期前に中途解約すると元本割れすることがあります。
また最近は金融機関の経営破綻などは話題になりませんが、預金が保護される元本1000万円と破綻日までの利息が保護されますが、確定拠出年金の中と外で別枠ではありません。
他に銀行でも保険でも念のため経営の健全性はチェックしておきましょう。
iDeCo(個人型)の元本確保型のおすすめの選び方
企業型のところでも解説しましたが、元本確保型商品はあまり商品性に違いが出せない為かネット証券の商品をみてもそんなに多くありません。
そうなると元本確保型の選び方というよりは、運営管理機関(金融機関)の商品ラインナップをみて金融機関を選ぶことが重要です。
ちなみに投資信託に元本確保型はありません。
以下は、企業型と同じ内容ですが、これらの点はチェックしておいてください。
- 中途解約した場合、元本割れすることはないか
- 預金等は普段自分が利用している金融機関とダブっていないか
- 金融機関の健全性
iDeCoの場合、これに加えて元本が変動する投資信託のラインナップもしっかりしているところにしておくと無難です。
この記事を読んでいる人は、iDeCoで元本確保型の商品にしたい人だと思います。
状況や考え方は変わっていきます。
もしも将来、投資信託で少し運用してみようとなったときに商品が希望に合わないと金融機関の変更も考えなければなりません。
企業型と違いiDeCoなら金融機関の変更は可能ですが、デメリットの方が多いです。
面倒かもしれませんが、はじめに金融機関と契約する際に元本確保型・元本変動型など商品一覧などをみてしっかり選んでください。
後が楽です。
iDeCoで元本確保型商品100%がNGな理由
iDeCoはもちろん企業型でも運用は分らないので、元本確保型商品100%でよいと考えている人がいるかもしれませんがそれはNGです。
理由はiDeCoの場合、金融機関にiDeCo口座を開設するときやその口座の維持、年金の支払い時に手数料がかかるためです。
例えば、毎月掛金を支払って運用を行う加入者は、毎月最低でも171円の手数料がかかります。
金融機関によってはこの171円にプラス200円から400円程度の手数料が上乗せされることもあります。
定期預金の現在の金利を考えたら、この手数料を取られたら元本確保型だけでは、積立する資産は増えるどころか毎月減ってしまいます。
iDeCoで元本確保型のみの運用を考えている場合には、この点をよく考えてからはじめてください。
価格変動リスクない商品を選んだのに、毎月じりじりと資産が減っていくだけになります。
他にも預金には価格変動リスクはありませんが、インフレリスクがあります。
預金金利よりも物価上昇の方が早ければ実質的に資産は減っていることになります。
確定拠出年金の理想的な運用商品の使い方
確定拠出年金(企業型、iDeCo)の大きな特長の1つは、運用して儲かった利益に税金がかからないことです。
つまり本来は高いリターンが想定される商品で運用する方が、確定拠出年金のメリットをより享受できるのです。
iDeCoなら元本確保型で運用しつつ、掛金を所得控除できれば運用でリスクを取らなくてもよいという人もいるかもしれません。
しかしiDeCoで元本確保型100%にすることのデメリットはすでに解説してとおりです。
運用したくないのを無理に運用する必要はありません。
投資経験のない人は、運用リスクが「有る」「無し」だけで比べがちです。
しかし投資信託は複数の種類があり、そのリスクが「高い」ものから「低い」ものまでさまざまです。
預金等の元本確保型の割合が高くても構わないので、元本変動型商品にも少しずつ慣れていってください。
まとめ
確定拠出年金(企業型、iDeCo)は、もともと老後の資産形成を税制優遇などを使って自分で作る制度です。
元本確保型もあるものの、元本変動型を利用する方が資産は増やしやすいですし、メリットも多く受けられるのです。
資産運用に抵抗のある人は、ほんの少しの割合からでもいいので運用に慣れてください。
大きく資産は増えませんが、大きな損失も回避できます。