自転車保険は業務用だと対象外!仕事中の施設賠償責任保険とは?
自転車保険に付帯の「個人賠償責任保険」では、業務用(仕事中)で起こした自転車での損害賠償事故は補償の対象外です。
■この記事で学べること
【1】業務での自転車事故の被害者への責任と保険
【2】個人向けの自転車保険(個人賠償責任保険)では業務中の事故は対象外
【3】業務用の自転車保険、施設賠償責任保険とは?
業務中(仕事)の自転車事故とそれをカバーする保険についてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
業務用での自転車事故の被害者への責任と保険
前項のはじめに記載したように、業務使用での自転車事故の場合、一般の自転車保険では被害者への損害賠償は補償されません。
そのため自転車事故を起こした場合の責任の所在や自転車保険の適用の有無について確認しておかなければなりません。
業務使用の場合には、専用の保険の加入が必要です(施設賠償責任保険など、後で詳細を解説)。
業務中の自転車事故の責任(法人)
自転車で事故を起こして相手にケガをさせたり、相手の所有物を壊したりすれば対人賠償責任や対物賠償責任が生じます。車の場合と同じです。
これは個人の日常生活でも業務中でも変わりません。
しかし従業員が自転車事故を起こした場合、事故を起こした従業員だけでなく事業主である法人にも責任が及びます。
ちなみに業務中の事故は従業員が個人向けの自転車保険に加入していても、補償されるわけではありません。
商品の配達や飲食物のデリバリーなどで車やバイクだけでなく、自転車を使うことがあるならこうしたことに備える必要があります。
またレンタサイクルなどで自転車を貸し出す法人などの場合、利用者に自転車保険の加入を促したりすることも必要です。
レンタルした自転車そのものの不備が原因なら、レンタサイクルの法人にも責任が及ぶことがあるので注意しなければなりません。
業務中の自転車事故の責任(個人事業主)
個人事業主でも事業主の立場と雇われている従業員がいるようなら法人の場合と大差ありません。
個人事業で出前などをするケースもあるでしょうから気を付けなくてはなりません。
また一般の個人向けの自転車保険では業務中の事故は対象になりません。個人事業主の場合、ここを間違えていると大変なことになります。
特に個人事業主の人は業務中とプライベートの生活がごちゃ混ぜになっていることも珍しくありません。
保険では補償の対象になるならないで区分けされているので注意してください。
いずれにしても業務使用の仕事中の事故であれば、法人でも個人事業主でも専用の賠償責任保険に加入しなければなりません。
個人向けの自転車保険(個人賠償責任補償特約)では業務中の事故は対象外
繰り返しますが個人向けの自転車保険(よく話題になる自転車保険のことです)では、業務中の事故による被害者に対する損害賠償の補償は対象になりません。
個人賠償責任保険特約(個人賠償責任補償特約)が、通常の自転車保険についている損害賠償の補償です。
その名称にあるように「個人」の日常生活での損害賠償事故を補償するため、業務中の事故は対象にならないのです。
自転車保険の主な補償
自転車保険の補償は、一般的に2つあります。「自転車に乗っている人のケガ」、「第三者への損害賠償」それぞれの補償です。
ケガの補償については、例えば法人契約などでは業務中だけを補償するようなケースがあります。
個人向けのものであれば、特に危険な職業でなければ、一般的に制約はありません。
しかし第三者、つまり被害者への損害賠償(対人賠償・対物賠償)については個人向けの自転車保険は対象になりません。
個人向けの自転車保険が業務中の事故を対象外にしている理由
個人向けの自転車保険で第三者への損害賠償というと、代表的なものが「個人賠償責任補償特約」です(損保によって言い回しが多少違うことがあります)。
自動車保険や火災保険、傷害保険などに特約で付帯することができます。
この補償は、例えば業務中の事故(職務遂行に係る事故)、自動車事故(自転車ではありません)、闘争行為(ケンカ)、同居の親族間の事故などを対象にしていません。
事業用の賠償責任保険や車の場合は自動車保険という別の保険があるからです。
一口に事業用の賠償責任保険といっても、業種や補償する範囲はさまざまです。なかにはリスクの高い業種や補償もあります。
どの保険に限りませんが、引き受けリスクの高い保険はそれに見合うだけの保険料を支払ってもらうか、契約の引受を見合わせるかなどでしか対応できません。
せいぜい月々100~200円程度の特約保険料で加入できる個人賠償責任補償特約に業務中のリスクまで補償するのは、難しい話なわけです。
ウーバーイーツなどの自転車の配達の事故の補償は?
コロナ禍でウーバーイーツの需要も増え、その配達をしている人もよく見かけるようになりました。
こうした場合、自転車事故が起きればケースによっては、企業側の責任を問われることもあれば、配達をして事故を起こした人の責任も問われる可能性があります。
これくらいの規模の企業になれば保険の手配はたいていやっていて、ウーバーイーツでも例外ではありません。
配達する人向けの第三者への賠償やその人のケガの補償などもカバーする補償を提供しています。
但し、こうした場合には業務に従事している配達中のみが対象となり、配達をしていない間(配達リクエストを待っている間や、配達前後の移動中など)は対象となりません。
こうした場合には業務外について配達員が自分で自転車保険に加入する必要があります。
業務外の事故であれば個人賠償責任補償特約などで対応可能です。
念のため加入時に保険会社にも確認しておきましょう。その際に業務中、業務外などどのような状況で自転車を使うはしっかり伝えるようにしましょう。
最近はUber Eatsだけでなく出前館、menu、Wolt(ウォルト)など色々あります。
企業によって補償の提供は違うので、必ず補償内容は確認してください。
業務中の自転車保険、施設賠償責任保険とは?
個人事業主などで出前などをしている場合は、個人賠償責任補償特約や一般の個人が加入する自転車保険では支払い対象にならないのは説明したとおりです。
業務中の自転車事故については、業務用の賠償責任保険に加入する必要があるのです。
事業用の保険で代表的なものが「施設賠償責任保険」(もしくはこれに類する保険)です。
※保険会社によって多少商品名の言い回しが違ったり、さまざまな損害賠償リスクをセットにした商品になっていることもあります。
施設賠償責任保険とは?
施設賠償責任保険とは、一般的にその「施設の管理」や「仕事の遂行」を原因とした対人賠償事故や対物賠償事故を補償する保険です。
例えば次のような事故などをカバーします。
- 持ちビルの外壁が落下して駐車している車が壊れた(ビルの所有者向け)
- レストランでガス爆発が起きて来店客がケガをした(レストランの経営者向け)
- エステサロンで誤ってお客にケガをさせてしまった(エステの経営者向け)
他にもたくさんありますが、事業にかかる施設の管理や業務の遂行というと実に幅広い範囲が補償の対象になります。
業種ごとにリスクは異なるので、実際には保険料や保険契約の引き受け方も違います。
厳密には業種によってリスクが高いものは契約に引受条件などが設定されたり、引き受けしないこともあります。この中に業務中の自転車事故も含まれます。
業務用の自転車保険(施設賠償責任保険)の加入
業務にかかる損害賠償の保険については他のさまざまなリスクも考慮する必要があります。
事業内容によっては、業務中の自転車事故のリスクだけでなく他のリスクも想定されます。
その場合は他の補償もカバーする事業用の保険に加入した方が有利ですので、保険会社や保険代理店などに相談してみてください。
具体的にどんな業務をしていて(自転車で商品の配達をしているなど)、どこまで補償してほしい(業務中と業務外の相手に対する賠償や自分の怪我など)のか具体的に相談してください。
こうした事業用の保険については対面の保険代理店経由で加入するのが一般的です。
コンビニなどで加入できる保険では、取り扱っていません。
また自転車での配達の仕事を事業というよりはバイト感覚でしている人もいるかもしれません。実際には個人事業の形態にあたるようなら専用の保険が必要です。
よく第三者に対する損害賠償のことが話題になりますが、個人事業主など自分が怪我をしたら収入が無くなる人は自分の怪我の保険なども考えておくといいでしょう。
自転車の事故の場合、加害者はもちろん被害者にもなりえます。安全運転が一番ですが、補償される内容や範囲を確認して必要な備えをしてください。
まとめ
警察庁の統計をみると交通事故の死傷者数は年々減少傾向です。しかし人と自転車の事故は大きく減少していません。
自転車事故や自転車保険は以前より話題になっていますが、あまり業務中の自転車保険のことに触れられる機会はあまりないため日常生活と業務での補償範囲の違いをよく確認してください。
業務に係る保険は、どこまで適用されるのかなども含めて事前にしっかり内容を確認してください。
稼ぐために仕事をしているのに損害賠償が自腹になっては後が大変です。
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