社会保険適用拡大でパート・アルバイトの加入条件が改正2024
パートやアルバイトなど短時間労働者の社会保険の加入が適用拡大、段階的に社会保険(厚生年金や健康保険)の対象となる人が増えていきます。
■この記事で学べること
【1】社会保険に加入する理由と社会保険加入のメリット
【2】パート・アルバイトの社会保険(厚生年金・健康保険)の加入条件
【3】年収130万円を超えなくても社会保険に加入する可能性
【4】社会保険に加入したくない人
【5】パートやバイトの今後の働き方・考え方
パートやアルバイトの社会保険適用拡大における厚生年金や健康保険の加入と働き方、老後の備えについて解説します。
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この記事のもくじ
パートやアルバイトに社会保険の加入が求められる理由と加入のメリット
企業には一定の条件以上働く労働者を社会保険に加入させる義務があます。
また従業員は正社員などばかりではなく短時間労働者であるパートやアルバイトも含まれます。
社会保険の加入が求められる理由
年金や医療、介護といった公的な保障は、長寿化が進んでいくリスクを大きく関わっています。
寿命が延びれば生活費も掛かるのでお金が必要です。
パートは女性のケースがまだ多いでしょうが、特に女性は男性よりも寿命が長いためなおさらです。
お金を貯めて・増やす方法は色々ありますが、その一つが公的年金を手厚くすることです。
自分の年金を増やすために国民年金だけでなく、厚生年金の加入も重要なのです。
高齢になっても働ける人は働く、パートやアルバイトも働き、収入を増やし厚生年金などに加入することが求められはじめているのです。
パートやアルバイトが社会保険に加入するメリット
厚生年金などに加入することで社会保険料の負担が増え、手取りが減るというのが、目先のデメリットでしょう。
その社会保険料負担が増えても、受けられるメリットは次のことがあります。
- 将来貰える年金が増額される(老齢厚生年金)
- 障害になった場合、亡くなった場合に障害厚生年金・遺族厚生年金が支払われる
- 健康保険の加入により病気やけが、出産などで仕事を休まなければならない場合、傷病手当金や出産手当金が賃金の3分の2程度の給付
社会保険料負担をするので、将来貰えるものが増えるわけです。
しかし単純に「老後の(老齢)」年金だけが増えるのではなく、障害や遺族年金も増額されます。
傷病手当金や出産手当金も同様です。
なお、社会保険料負担が増えるのは事実ですが、全額をパートである従業員が負担するのではなく、会社側も半分負担する労使折半なのでこれもメリットです。
パート・アルバイトの厚生年金・社会保険の加入条件
パートやアルバイトが厚生年金や健康保険といった社会保険に加入する条件について確認しましょう。
すでにこれまで何度か改定されています。
2017年4月以降~
現行の短時間労働者であるパートやアルバイトの社会保険の加入条件があります。
下記2つのいずれかの条件を満たしていると加入義務がでてきます。
- 勤務時間及び日数が、正社員の4分の3以上
- 以下の5つの条件を満たしていること
- 1時間あたりの決まった労働時間が20時間以上
- 1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上(年収約106万円以上)
- 雇用期間の見込みが1年以上(*)
- 学生でない(夜間・通信・定時制の学生は除く)
- 従業員数501人以上の会社(特定適用事業所)で働いている、500人以下の会社は社会保険の加入に労使合意
*2022年10月に撤廃。一般の被保険者と同様の勤務期間要件となり、次のケースなどは適用対象となる。
- 雇用期間の見込みが2ケ月を超える場合
- 雇用期間は2ケ月を超えないが、契約書等に更新される旨等が明示されている場合
2022年10月1日以降~
上記のことを前提として、特定適用事業所の範囲について企業規模要件を緩和する方向で改定されます。
2022年(令和4年)10月1日以降:従業員数の総数が常時101人以上
2024年10月1日~
2024年(令和6年)10月1日以降:従業員数の総数が常時51人以上
このように段階的に緩和しています。
図で見るなら下記のイメージになります。
出典:厚生労働省
ちなみに従業員50人以下の場合、「労使が合意すれば、施行期日より前に企業単位でパート・アルバイトの社会保険加入は可能」です。
年収130万円を超えなくても社会保険に加入する可能性
配偶者の扶養に入っていると(国民年金第3号被保険者、健康保険被扶養者)、勤務先が今回の改正の適用拡大の対象となっていなければ、年収130万円を超えた場合に扶養を外れます。
逆に適用拡大の対象になるのであれば月収では8.8万円以上(年収106万円)が目安です。
つまり130万円を超えていなくても扶養を外れることがあると考えてください。
パートやバイトで社会保険に加入したくない
社会保険の適用が拡大しても働く時間を増やせない、手取りが減ってしまうだけでメリットと考える人がいるかもしれません。
結果的に社会保険に加入したくないという人もいるでしょう。
厚生年金などの社会保険の加入条件はここまでお話した内容になります。
社会保険料は労使折半ですから、パートなどの従業員はもちろん企業側の負担も増えます。
適用事業所としての条件が定められている以上、どうしても加入したくないなら、この条件を満たさない企業でパートやアルバイトをするしかありません。
それが可能かどうかはその地域の求人状況、企業の規模によります。
働くことを考えると社会保険料の負担が増えることだけでなく、その他の労働条件も関係します。
社会保険料という一つの項目だけでなく、他の労働条件やその他のメリットデメリットを勘案して検討してください。
パート・アルバイトの今後の働き方・考え方
子育てやその他家庭の事情等でパートやバイトで働くのが精一杯という人も多いでしょう。
厚生年金や健康保険などの社会保険に加入することで、目の前にある手取りが減ることを恐れて社会保険に入りたくない人もいます。
家計の手取りを減らさないためには、扶養の範囲内で働くか、社会保険料(+所得税・住民税)などの負担があっても年収を増やす意識が大切です。
キャリアやスキルを上げることにも繋がれば働く選択肢も増やすことができます。
将来の生活も大切ですが、いまの生活はもっと大切です。
但し、日々のやりくりが大変なので将来の備えなどは後回しになりがちなのは今の時代に限った話ではありません。
職業柄、年金受給世代の方とも話をします。
若いときに頑張って個人年金などを支払っていた知人がいた人が、あの人は頑張って支払っていたけど自分もやっておけばよかったと言っていた人がいました。
目先の負担を避ける行動だけではなく、長い目でみてプラスになる選択を考えてください。
実際に適用対象となった場合、国民年金・国民健康保険ではなく、被用者保険(厚生年金・健康保険)に加入します。
負担する保険料は事業主と折半です。さらに将来の年金給付や健康保険の傷病手当金等の保障が増えます。
被用者保険に加入することになれば配偶者の扶養から外れますから、年収130万円に拘って働く時間を意図的に調整する必要はなくなります。
また社会保険に加入する、加入しないという単に〇か×の選択をする必要もありません。
子どもの手がかからなくなってから、働く時間を増やすというのもあるでしょう。
社会保険の加入も含めて多様な働き方を考え、もろもろ動向を見ながら柔軟に対応することを心掛けてください。
まとめ
2020年からの2年から4年で、パートやアルバイトの社会保険(厚生年金・健康保険)加入を取り巻く状況が変わりました。
どのような選択をするかは個人の判断です。
できれば収入を増やす、世帯年収を増やす、自分の稼ぐ能力をアップすることを考えてください。
結果的に将来の自分自身のさまざまな選択肢を増やすことにも繋がります。
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