新社会人(新卒)のお金がない・貯まらないNGな9つの行動
新社会人(新卒)が身につけたいことの一つがお金との付き合い方です。収入や支出など家計管理やお金の貯め方や増やし方は大切です。
■この記事で学べること
【1】新社会人(新卒)の家計支出とその割合
【2】お金がない・貯まらないNGな9つの行動
【3】お金で困らないようにするための考え方
社会人1年目の新卒を対象にお金がない、貯まらない、増えないで困らないようにするためNGなことについて解説します。
※新社会人でない人もお金のことは勉強していないなと思ったらぜひ読んでください。
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この記事のもくじ
新社会人が参考にするべき家計支出の使い道とその割合
新社会人が家計管理で気になることの一つは、どのくらいそれぞれの支出にお金を掛けたらいいかということでしょう。
家計におけるお金の使い道やその割合、家計管理の考え方についてまずはお話します。
家計し支出の使い道とその割合
働いている人(独身)がどのくらいの支出をかけているか総務省の統計からチェックしてみましょう。
新社会人・新卒向けの統計はないので働いている独身世帯で年間収入別になっているものを一部抜粋します。
<年間収入五分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯のうち勤労者世帯)>
単位:円
平 均 | |
食料 | 46391 |
住居 | 23815 |
光熱水道 | 13045 |
家具家事用品 | 5955 |
被覆履物 | 4712 |
保険医療 | 7426 |
交通通信 | 21796 |
教育 | 2 |
教養娯楽 | 19425 |
その他消費支出 | 25051 |
消費支出 | 167620 |
出典:総務省統計局 家計調査報告(2023)より抜粋して筆者作成
ここではこんなものかという程度で構いません。この後個別に解説を加えていきます。
年収や地域などを考慮する
こうした統計を見る場合、なかなか自分の条件にぴったりあったものはありません。自分の実態に照らし合わせて参考にしてください。
上記の統計も独身の人の収入別で分けた統計がベースです。
住居費については持ち家や賃貸(民間・公営)、社宅なども含んでいます。
統計は参考程度にして収入からの割合(何にどのくらい予算を振り分けるか)を気にしてください。
続けてお金がない、貯まらない、増えない行動について解説します。
新社会人(新卒)のお金がない・貯まらないNGな9つの行動
お金のことではじめに大切なことはお金についての基本的なルールを知ることです。
これからお話することを収入の中から自分で家計のやりくりをはじめる段階で習慣づけてください。
朝起きたら顔を洗って歯を磨くように当たり前にすることです。
はじめにズルズル、ダラダラしてしまうとそのまま年齢重ねてしまう人もいるので注意してください。
毎月の収入の範囲で家計をやりくりできない(家計の収支バランスを整える)
実家暮らし、一人暮らしによって異なるものの、学生時代と違って自分で生計を立てていかなくてはなりません。
はじめはうまくいかないことが多いでしょうが、大事なことは毎月「手取りで」いくら収入が入ってきて、いくら支出しているかを把握することです。
給料が振り込まれても税金や社会保険料が引かれますので、手元に残るお金は思ったより少ないはずです。
家計簿を使っても、使わなくても構いません。家計簿は方法や手段であっても目的ではありません。
大切なのは家計の収支バランスを把握しているかどうかということです。
家計簿やアプリを使わないとできないということであれば利用してみましょう。
支出も毎月決まった金額(固定費)がてでていくものと、変動するもの(変動費)やイレギュラーで支出が発生するものがあります。
まずはこのくらいの収入と支出で自分の家計は回っているということを把握できるようにしてください。
家計の収支バランスを整えるということです。
1円単位、10円単位などで記憶している必要はありませんので、毎月これくらいの支出というのが自分の中でざっくりでも分かっていればOKです。
給料の中身(給与明細)を理解しない
4月の終わりには社会人としてはじめての給料(初任給)が振り込まれて給与明細が渡されます。
バイトをしていた人は見たことがあるでしょうし、はじめての人もいるでしょう。いずれにしてもバイトの給与明細とは少々中身が違います。
当初聞いていた月給よりも入金額が少なく入金されていますから、ちょっとがっかりということもあるでしょう。
理由は給与から「税金」「社会保険料」の2つが差し引かれているためです。
この税金は「所得税」と言われるものですが、実はもう一つ「住民税」というものが社会人1年目には引かれていません。
住民税は前年の所得をベースに計算するためです。
2年目からは住民税も徴収されますから、2年目に給料が振り込まれてまたあれっと思うはずです。
本格的な家計のやりくりはここからですので、本来は住民税も引かれるものであると頭に入れておいてください。
ちなみに社会保険料は健康保険、厚生年金保険、雇用保険です。
病気になって病院にいっても医療費が3割負担で済むのは健康保険があるからです。
老後の年金不安について年金保険料を払わない人がいると聞いたことがあるでしょうが、会社員などは給料天引きで引かれます。
年金といっても老後にもらうお金だけでなく、若いうちでも事故で障害を負ったり(障害年金)、結婚して配偶者が他界した後に貰える年金(遺族年金)もあります。
年金の話はまた別のことなのでここまでにしますが、社会のさまざま制度についてもお金を支払うのだと考えてください。
お金が残ったら貯蓄する?
学生時代にバイトして貯蓄がある人もいるでしょうが、ゼロの人もいるでしょう。
不測の事態や失業した、転職するなど何かの選択をするときに貯蓄があるとそのときの選択肢を増やすことができます。
何かをはじめるにもタネ銭があることは強みです。そのために毎月一定の金額は貯めるようにしましょう。
理想をいえば、実家の人なら手取りの15~20%、1人暮らしなら手取りの10~15%くらいを目途に貯蓄したいところです。
そのためのポイントは収入-支出=貯蓄ではなく、収入-貯蓄=支出です。
同じように見えるかもしれませんが、毎月のお給料が余ったら貯蓄するのではなく、給与天引きなどでお給料が振り込まれた時点で貯蓄するのです。
毎月の収入でやりくりすることが基本と言いましたが、正確には収入から決まった貯蓄を引いた残りでやりくりすることです。
収入が少ないのであまり貯蓄できないという人もいるでしょうが、数千円でも「継続して積立するクセ」をつけてください。積立の破壊力は数年後に分かります。
ちょっとばかり積立しても大して変わらない、貯まらないという人はいつになっても増えません。
後でお話する投資するとか、何かを変えたいと思ったときにタネ銭があるのと無いのでは天地ほどの違いがあります。
なお、社会人1年目は何かと買い揃えるものが多いので、なかなかお金が残らないことが多いかもしれません。
新卒の年は無理のない範囲で少しずつで構いません。
貯蓄を途中でやめる、ちょくちょく引き出す
毎月給与天引きなどで積立貯蓄をはじめた後に忘れてはならないことは、この貯蓄は日々の生活費と別に考えるということです。
状況によって貯めたお金を使わざるをえないこともあるでしょうが、単に今月ちょっと苦しいからという理由では使わないのが原則です。
最初に家計の収支バランスという話をしましたが、ちょっと苦しい月がしょっちゅうあるようなら、家計の収支バランスがきちんと取れていないのです。
お金があると使っちゃうという人はお金の引き出しがしにくいものや手間のかかるものなどに預けるのも方法です。
他にも例えばある月に上手にやりくりできて5千円余ったとします。
どのように使うかは本人の自由ですが、来月は毎月の予算が5千増えると考えるのか、今月は今月、来月は来月と分けて考えるのかの違いです。
収入が少なくてとても貯蓄まで回らないという人もいるでしょう。
前項でお話したように貯蓄を引いた金額で生活ができるようにすることです。
それでも難しいなら無駄が多いか次に解説する固定費の設定などに無理があるかなどです。
まずは積立貯金を始めて継続する、そして使わないことです。
千里の道も一歩から、数千円でもいいので積立を家計の仕組みとして作ること、貯めることを習慣にすることを心がけてください。
貯まったお金を無駄遣いややりくりできずに使ってしまっては意味がありません。毎月の収入でやりくりをして貯めることを意識してください。
家計支出の変動費と固定費が区別できていない
変動費と固定費の違いは次のとおりです。
- 固定費:家賃やスマホ料金、生命保険料など毎月一定額必ずかかるもの
- 変動費:衣服や食費、趣味など変動するもの
お金がないと食費減らして我慢したり、節約すると思いますが、この後解説するように大切なのは家計の収支バランスです。
固定費が過大だとこの収支バランスが著しく悪くなります。家賃などはその最たるものです。
一人暮らしをしている人は住みたかった場所、良い物件など色々と住環境について希望があるでしょう。
都心部などは誰もが住みたいところや便利な場所はやはり家賃が高めです。
家計の固定費は一度きちんと見直すと家計の改善効果が大きい半面、やり直すのに手間がかかるという弱点があります。
例えばどうしても住みたい物件があってちょっと家賃が高いけど住んでみたら、やりくりが大変だからやっぱり引っ越すのでは大変な手間です。
一人暮らしの人はいま住んでいる物件に引き続き住むのか、通勤の関係で引っ越すのか、配属先によって引っ越しが必要なのか事情は色々でしょう。
物件探すときはこのあたりのことをよく考えてみてください。コロナ禍で必ずしも都心の方が便利とも言えない状況になっています。
固定費は見直すと家計に与える効果は大きいのですが、やるのに手間がかかるという特徴があります。
使うお金、貯めるお金などをすべて一緒に管理
お金の管理がしっかりできる人はいいのですが、一つの財布の中にお金が混ざって入っているとなかなか区別がつきにくくなります。
日々の生活用の決済をするための財布(銀行口座)、貯めるための財布、後でお話しますが投資などでお金を殖やす財布を分けて考えてください。
つまり口座を分けて管理するということです。
また勤務先などが企業型の確定拠出年金をしていればその分はお金を貯めていることになります。
但し、確定拠出年金は老後資金を目的にしたもので原則引き出しすることができません。お金の目的に合うお金の預け方もあります。
例えば日々の生活用の決済口座ならそのほとんどは普通預金口座などでしょう。
いつでも好きなときに引き出せて(お金の換金性が高い)、金額が下がることも原則ありません(安全性が高い)。
先ほどの確定拠出年金は老後までにお金を育てることが目的なので、お金の換金性は低い半面、価格変動のある商品であれば収益性が高くなります。
目的別に口座を分けて管理しましょう。
クレジットカードの利用で毎月の収支がわからない
ネットで買い物をしたり、まとまった金額のものを購入すると現金よりもクレジットカードの方が便利なこともあります。
クレカは後払いになるのでお金の管理の仕方が肝です。
電子マネーなどもありますが、クレジットカードも併用することでポイントが貯まったりお得になることもあります。但し使い方には注意してください。
- リボ払いは使わない
- キャッシング機能は不要にする
- 一括払いが原則
- クレジットカードは後払いでも毎月のやりくりの範囲で使う
- 引落し不能にならないように注意する
上記の5項目について補足しておきます。
リボ払いというのはクレジットカードで利用した金額に関わらず、毎月一定の金額(例えば1万円など)しか引落しされないというような仕組みです。
簡単にいうと利息ばかり支払っていて元金がいつになっても減っていきません。クレカでリボ払いはNGです。
リボ払いを条件にキャンペーンをやっていてもやらないようにしてください。
いまは低金利が続いていますが、借りるお金の金利は少し高いのです。
毎月の給料でやりくりするのが基本といいましたが、クレジットカードでお金を借りるのも得ではありません。
一括払いが原則と書いたのは、支払いを分けると支出の内訳が分からなくなるからです。百歩譲ってボーナス一括払いです。
これを崩すと毎月のやりくりが厳しくなるので注意してください。お金を借りて生活していることになります。
クレジットカードは便利なものですが注意が必要なのは、リボ払いもそうですが毎月のお金の出入りが把握できなくなると失敗します。
クレカは基本後払いで翌月以降の決まった日に指定口座から引き落されます。
例えばクレカで2万円の買い物をしても、その月2万円を残しておけば翌月以降お金に困ることはありません。
後払いだからと使ってしまうということを繰り返していると、その月のお金の出入りが分からなくなってきます。
クレジットカードを使うのが駄目なのではなく、お金の収支が分からなくなることが問題です。
自分で工夫してクレカの利用分のお金は別に分けるなど分かるようにしましょう。
なお、クレジットで残高不足でお金が引き落せないと履歴に残りますので注意してください。
逆に一定の利用があって毎月の引落しがきちんとできているとそれはそれでよい意味での履歴が残ります。
よく買い物をする、よく利用する沿線などうまく使えばポイントも貯まりますので自分の利用実態に合ったクレカを選びましょう。
投資にまるで興味がない
お金を増やすのに必要なことは次の3つが基本です。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 投資などでお金を殖やす
大切なことは自分で稼ぐ力を身につけることです。これに勝るものはありません。もちろん家計管理をして無駄を減らすことも大切なことです。
強要はできませんが少しずつで構わないので、お金を殖やすことも勉強もはじめてください。
勤務先によっては、先ほどもでてきた企業型の確定拠出年金を会社が導入していることがあります。
その場合は投資教育を受ける機会は必ずあります。タダで会社が投資教育の場を提供していくれるものですから積極的に利用しましょう。
お金を預金しておくだけで増やせる時代ではなくなっています。
仕事などで稼ぐ力を身につける、その方法を増やすのが基本ですが、自分のお金を育てることのできる知識と経験を持つことも重要なことです。
仕組みが分からない金融商品には手を出す
金融商品や保険、住宅ローンは自由化されていて、昔のようにどこで入っても同じではありません。
お金のことで人に騙されたり、よくわからないまま金融商品などの契約をして失敗しないために、自分で内容の分からないものは契約しないことです。
投資の勉強をしていきましょうと言った後に逆のことを言うようですが、うまい儲け話などはありません。
もしあるなら人に教えずに自分でこっそりやればそれが一番儲かります。
分からないものは契約しない、そして何か話があったときにこの人(この会社)はどこで儲けを出しているのか考えてみてください。
ビジネスなら儲けを出すのは当然ですが、どんなところから収益を取っているかでその背景がみえてきます。
新社会人(新卒)がお金で困らないための考え方
新社会人の人がはじめに気をつけたいことについてお話しました。
ノウハウ的なところもありましたが、これに加えて考え方についても少しお話しておきましょう。
浪費・消費・投資を区別する
他の家計関連の記事でも書いていることですが、大事なことですからよく覚えておいてください。
家計の支出には大きく分けると「浪費」・「消費」・「投資」の3種類があります。
浪費はいわゆる無駄なものです。欲しいなと思ったときにこの3つのどれに該当するか冷静に考えてみてください。
家計の無駄と自分の生活を充実させるためのお金は区別が必要ですが、趣味に使うものだとしても予算を決めて無駄遣いがないようにしなければなりません。
趣味のお金でも際限なく使っていたらやはり浪費に近い支出になってしまいます。消費は生活に必要なお金です。
消費の中でも浪費になるような使い方もありますから、これらの線引きをしっかりしておきましょう。
本来お金は使うためにあるので、貯めることは目的ではありません。
勘違いしなでほしいのがお金を使って人生を楽しむことが、浪費の言い訳になってはいけないということです。
この記事で家計の収支バランスを整えて、貯めるお金はしっかり貯めていくことをお話しました。
新社会人に最も意識してほしいことが投資に関するお金です。お金を殖やす勉強を少しずつでもするべきとお話しましたが投資とはこれだけではありません。
一番お金をかけて投資すべきもの
あなたの中で一番お金をかけて投資すべきものは何でしょうか。株式投資、不動産など投資の対象になるものはたくさんあります。
これらの投資も大切ですが、もっと大切な投資先があります。
新卒として社会人1年目の人だけに限った話ではありませんが、若い人ほど大切なことが「未来の自分」に投資することです。
稼ぐ力を身につけるのは何より大切と言いましたが、そのためには未来の自分に投資することです。
5年後、10年後の自分を作るのはいまの自分の考え方と行動です。
あなたが入社した会社には、社長さんがいてその会社のお金のやりくりも含めて経営をしています。
規模や法人という違いはありますが、これは個人でも同じことです。
あなたの家計のやりくりはあなたが決めて実行(経営)するのです。またあなたが将来何をしたいか、どんな方向に向かって進むか決めるのはあなた自身です。
社会人になったあなたの人生の経営者は他ならぬあなた自身です。
目先のお金のやりくりだけでなく、自分の将来を見据えたお金の使い方を考えてみてください。
経験を積んでスキルが上がりできることが増えると、見える景色や考え方がこれまでと変わってきます。
考え方が変わると意識と行動も変わってきます。
この記事タイトルの内容に少し矛盾するかもしれませんが、社会人1年目から老後の心配をするより積極的に自分に投資して行動する方がずっと大切です。
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まとめ
新社会人(新卒)のお金がない・貯まらないNGな9つの行動、についていかがでしたか。
余談ながら筆者は小さな会社の運営に関わりながら自分で事業をしています。
ちなみに新卒で社会人になったときから、いつか自分で事業をしようと考えていたわけではありません。
自分に考え方やあり方に影響を及ぼすようなことは色々起こり、自分が考えていた方向と違う方向に進むこともあるのです。
失敗を恐れずどんどん挑戦してください。失敗も経験で財産の蓄積です。
年齢重ねると分かりますが、失敗が多いと後で結構おいしいネタになりますよ。会社員でも自分で事業をしても変化の時代です。
どんな変化にもついていけるようにキャリアを積み稼ぐ力、貯める力、殖やす力など人生の節目の変化に対応できる力を身につけるように心がけてください。
お金の知識や管理もその一つです。