自動車保険の他社運転特約(他社運転危険補償特約)の3つの注意点とは?
他車運転特約(他車運転危険補償特約)は、個人の自動車保険に自動付帯される特約です。他人の車(他車)を運転して事故を起こした際の補償です。
■この記事で学べること
【1】他車運転特約とは?、その注意点
【2】親の車、バイク、レンタカーや代車などの取扱い
【3】1日単位の自動車保険との使い分け
自動車保険の他車運転特約(他車運転危険補償特約)について、知らないと損する3つの注意点について解説します。
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この記事のもくじ
他車運転特約(他車運転危険補償特約)とは?
他社運転特約(他車運転補償特約)とは?
自動車保険の他社運転特約(他車運転危険補償特約)特約は、友人・知人などから臨時に借りた車を運転中の事故を補償する特約です。
対人賠償保険や対物賠償保険、人身傷害保険、車両保険の補償うち契約にセットされている補償の保険金を支払います。
また、 臨時に借りた車の保険に優先して保険金を支払いすることも可能です。
一般的にこの特約は特約保険料は無しで自動付帯されています。
損保会社によって多少名称は違いますが、たいていは「他社運転~特約」という名称です。
特約の対象になる人
この特約の補償対象となる人は、一般的に次のようになっています。
- 本人(記名被保険者という)
- 本人の配偶者(記名被保険者の配偶者)
- 本人または配偶者の同居の親族
- 本人または配偶者の別居の未婚の子
- 本人の業務(家事は除く)に従事中の使用人
これらの人とが対象になりますが、一番下は自営業者の人の使用人さんなどが該当します。
また別居の未婚の子とは、「婚姻歴のない」「生活実態が別にある」人を指します。
非常に間違いやすいところなので注意してください。
過去に婚姻歴があって今は離婚していて、親とは別居しているといっても対象になりません。
対象となる車種
借りる車ならどんな車でも対象になるわけではありません。用途車種については次の自家用8車種の自動車が対象です。
- 自家用普通乗用車
- 自家用小型乗用車
- 自家用軽四輪乗用車
- 自家用小型貨物車
- 自家用軽四輪貨物車、
- 自家用普通貨物車(最大積載量2トン以下のもの)
- 特種用途自動車(キャンピング車)
7つしかありませんが、自家用普通貨物車は最大積載量によって2つに区分されますのでこれで自家用8車種となります。
なお本人(記名被保険者)、配偶者、同居の親族などが所有または主に使用する自動車は、自家用8車種でも対象ではありません。
あくまで人から車を借りるときの補償なので、自分や家族(被保険者になる人)などが普段から使う車は借りる車とみなされません。
他車運転特約(他車運転危険補償特約)の3つの注意点・落とし穴
ここから自動車保険に付帯する他車運転特約の注意点・落とし穴とも入れる部分について解説します。
対象運転者
対象運転者はすでに解説しましたが、実は落とし穴があります。
運転者本人・配偶者限定特約などをセットしている場合、限定された運転者以外の人が車を運転中の事故は補償されません。
同様に 運転者年令条件特約がある場合、運転者年令条件の適用とならない人が運転中の事故は補償されません。
つまりもともと自分の車を運転する際に補償対象から外している人が、他車の運転をして事故を起こしても他車運転でも補償対象外として取り扱うということです。
通常は運転者を限定していればそれ以外の人を運転させないでしょうが、特約にも範囲が及ぶので注意してください。
補償内容
補償内容についても例えば駐車中(運転していない)の事故や車の所有者の承諾なく使用している場合などはこの特約の補償対象になりません。
また借りている車そのものの損害については、元の契約の自動車保険に車両保険が付帯している場合に適用されますが借りた車の時価額が上限になります。
他車運転特約(他車運転危険補償特約)利用による等級の取扱い
この特約を使って事故で保険金の支払いがあった場合、補償されるかということの次に気になるのが翌年以降の自動車保険の等級(割引率)がどうなるかでしょう。
この点は簡単なことで自分の車で事故をした場合と同じように取り扱われます。
保険金の支払いがあれば3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故の3つのうちのいずれかです。
原則は3等級ダウン事故になると考えてください。
親の車、バイクやレンタカー・代車は他車運転特約が使える?
すでに解説済みのところもありますが、改めて確認していきましょう。親の車やバイク、レンタカーです。
親の車
ここは対象となる人の範囲で解説したように同居の親族、別居の未婚の子であれば適用されます。
すでに結婚して親と別居している人などは、親の自動車保険の他社運転特約は利用できません。
但しこのケースの場合、実家に帰省して子が親の車を運転するとき、自分の自動車保険契約があればその契約の他社運転特約は親の車に対して使うことができます。
バイクに他社運転特約は適用?
他社運転特約の対象となる車種は、一般的に自家用8車種とお話ししました。
但しもとの自動車保険が車ではなくバイクについている場合、他社(他のバイクなど)を運転して事故を起こした場合の他社運転特約が用意されているケースがあります。
バイクで自動車保険の契約がある人は、他人のバイクを運転する前にチェックしておいてください。
レンタカー・代車と他社運転特約
自家用8車種の対象自動車であれば、レンタカーや車検中などで借り受けている代車も適用されます。
対人・対物賠償責任保険は問題ありませんが、車両保険などは元の契約の内容によって適用範囲が変わるのでレンタカーを使う際には適用範囲を確認しておきましょう。
なおレンタカーや代車の場合でも駐車中の事故はこの特約が適用されないので気をつけてください。
法人契約での他車運転特約(他車運転危険補償特約)
法人契約の場合、この特約は適用されていませんでしたが、法人他車運転特約などもでてきています。
記名被保険者に設定されている法人の役員や従業員が、業務などで取引先から借りた車について運転中に事故があった場合に対人・対物賠償保険等の補償が適用されるものです。
契約の際、他社の車の運転をすることがあるならチェックしてみてください。
1日だけの自動車保険と他車運転特約(他車運転危険補償特約)はどっち?
友人や知人の車を借りる際、大手損保が1日だけ、24時間単位で500円から加入できる自動車保険を一部の損保が取り扱っています。
他社運転特約でも1日単位の自動車保険でも、友人・知人の車の運転は対象にできますが、どちらが有利でしょうか。それぞれ違う点を列挙します。
1日単位の自動車保険と他社運転特約の主に違う点
- 他社運転特約は自家用8車種が対象、1日単位の自動車保険は自家用乗用車の3車種(普通・小型・計四輪)
- 事故で保険を使うと他社運転特約は等級に影響あり、1日単位の自動車保険は関係ない(使用頻度によって割引あり)
- 他社運転特約は自動付帯なので手続き不要、1日単位の自動車保険は手続きと掛金が必要
- 他社運転特約の対象は自分や配偶者・条件を満たした親族、1日単位の自動車保険は追加の掛金を支払うと同行者も対象にできる
- レンタカーは他社運転特約は対象、1日単位の自動車保険は対象外
主な違いはこうしたところです。これを踏まえてどちらを利用したらいいか続けてみていきましょう。
どちらの補償を利用するかの判断
結論としてはケースバイケースです。借りる車の用途車種によっては1日単位の自動車保険では適用されないことがあります。
また同行者(他人)も借りる車を運転するときには1日単位の自動車保険の方がいいでしょう(同行者が借りる車の所有者と別の場合)。
他には自分の車の等級がよくない場合などは他社運転特約を利用して等級が悪くなるよりは1日単位の自動車保険を優先した方がいいでしょう。
例えばノンフリート等級で1~4等級などの場合、3等級ダウン事故を起こすと翌年は1等級です。
損保会社によっては契約を引き受けないケースもあるのでこうした点も考慮するといいでしょう。
まとめ
自動車保険の他社運転特約(他社運転危険補償特約)の3つの注意点とは?、についていかがでしたか。
普段自分の車を運転するときには全く気にすることのない特約でしょう。
他人の車を運転することがある際、または他人の車を運転して事故を起こしてしまったら、他社運転特約(他車運転危険補償特約)があることを思い出してください。
※他車運転特約(他車運転危険補償特約)は、損保各社によって特約の名称や補償内容が異なることがあります。
契約先の損害保険会社に必ず補償内容や補償範囲を確認してください。
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