リビングニーズ特約/税金とメリット・デメリットで知っておく特徴3選
リビングニーズ特約は、生命保険の死亡保障に無料で付けることができる特約の一つです。
■この記事で学べること
【1】生命保険のリビングニーズ特約とは?
【2】リビングニーズ特約のメリット・デメリット
【3】非課税・相続税?リビングニーズ特約の税金の取扱い
リビングニーズ特約とは?から支払いにおける利息や控除、指定代理請求人も含めた制度全体のポイントを解説します。
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この記事のもくじ
生命保険のリビングニーズ特約とは?
生命保険のリビングニーズ特約の基本的な特徴は次のとおりです。まずはここをチェックしてください。
- 生命保険の対象になっている人(被保険者)が余命6ヵ月以内と判断された際、死亡保険金の全部または一部を生前に受け取れる特約。
- 一般的に金額は3,000万円を限度に、契約している生命保険の死亡保障の範囲まで。
- リビングニーズ特約を付帯する分について、掛金(保険料)はかからない。
保険の対象者(被保険者)本人が保険金を請求しますが、それができない場合には事前に指定した「指定代理請求人」が請求することができます。
本人が保険金を請求できる状態にない、本人に余命宣告しない場合などにリビングニーズ特約の請求ができなくなることがないようにするためです。
この特約は死亡保障のある保険(定期保険、終身保険、養老保険、医療保険、がん保険など)に付帯しますから、実務的にはこの特約をつけるのが一般的です。
余命6ヵ月以内と診断を受けても、その間の医療費や生活費等の補てん、残りの人生を充実したものにするために経済的な裏付けは欠かせません。
本人への余命宣告が以前よりも増えてきている現在では、リビングニーズ特約の重要性は高まっていると言えます。
リビングニーズ特約を付帯する意味合いはここにあります。
リビングニーズ特約のメリット・デメリット
生命保険のリビングニーズ特約の特徴をみると、なかなかいいことが多そうです。
しかし生命保険の特約である以上、メリット・デメリットをよく知らなければ損をすることがあります。
メリット
この特約を付帯するメリットは以下のとおりです。
- 特約部分の掛金は無料、リビングニーズ特約の生存給付金の使途は自由
- リビングニーズ特約で受取った生存給付金は非課税で税金がかからない
- 本人以外に家族が代わって請求することができる(指定代理請求制度:後で詳細説明)
- 仮に本人が6ヶ月以上生きていても返さなくてよい
デメリット
次にデメリットというよりは、リビングニーズ特約の実務上の注意点ですが以下のとおりです。
- 使い切らなかった生前給付金が相続税の対象になる
- 先払いするため将来受け取れる死亡保険金が減る
- 余命宣告が本人に伝わる可能性
生前給付金は非課税のため、リビングニーズ特約からの給付に税金はかかりません。
但し、本人(被保険者)が死亡したとき、生前給付金の残額は相続税の課税対象です。
本来生命保険の死亡保険金は相続の際、遺産分割の対象となる相続財産ではなく保険金受取人の固有の財産とみなされるものです。
リビングニーズ特約で生前に先払いで保険金を受け取ると、それが遺産分割の対象となる相続財産に変わるのです。
また先に支払いする分、相続発生時の死亡保険金は減ってしまいます。
本人に病名の告知や余命宣告するのは最近では珍しくなくなりました。
仮に家族が本人に余命宣告などしたくないなどの場合、リビングニーズ特約の請求で気をつけておくことがあります。
リビングニーズ特約は、死亡保険金の全額あるいは一部の受取りをするものです。
その手続きをすると掛金の引落がなくなるか減額されます。
請求そのものは後で解説する指定代理請求人で可能ですが、こうしたことなどから本人が気づく可能性があることを覚えておいてください。
また逆に指定代理請求人の指定をしていないと、本人以外に請求ができません。
余命宣告の告知したくないなら、指定代理請求人がいないとこの特約は意味がありません。
実際に本人に余命宣告をするかなどそのときの状況によります。
リビングニーズ特約は付帯しておいた方が肝心なときに選択肢が増えると考えてください。
指定代理請求人はリビングニーズ特約で必須な理由
生命保険の指定代理請求人とは?
指定代理請求制度とは本人(被保険者)に特別な事情があるとき、あらかじめ契約時に指定しておいた「指定代理請求人」が本人に代理して保険金の請求をする制度です。
ちなみに特別な事情と言うのは、一般的に主に次の要件です。
- 傷害または病気で保険金などを請求する意思表示ができないとき
- 治療上の都合で本人が傷病名または余命の告知を受けていないとき
先ほど本人に余命宣告したくないときに指定代理請求人がいないと役に立たないと言いました。
他にも本人の病状によって、保険金の請求ができる状態でないこともあります。
家族が経済的に治療費に困っているなら、リビングニーズ特約の請求はしたいでしょう。
指定代理請求制度の利用が難しいとこの特約をつけている意味がなくなります。
ちなみにこの制度は代理人として誰でもなれるわけではありません。
指定代理請求人の範囲とは?
死亡保険金の全額あるいは一部を受取るのですから、死亡保険金の受取りと同じです。
他人が請求できてしまうようだと、保険金詐欺も含めたトラブルになりかねません。
指定代理請求人に慣れる人は一般的に次の人です。
- 本人(被保険者)の戸籍上の配偶者
- 本人の直系血族
- 本人と同居または生計を一にしている3親等内の親族
なお保険金の請求時点においてもこの代理人は上記の要件にあることが必要です。
そのため家族とは疎遠だけどお世話になった知人に頼みたいなどの場合は利用できません。
最近は独身の人も多いのでこの制度が利用しにくい、あるいは独身で親を指定代理請求人にしていると自分が高齢になったときにその人が既に亡くなってしまっている可能性もあります。
リビングニーズ特約の手続きと利息等の控除
リビングニーズ特約の付帯する手続き
リビングニーズ特約をつけることができる生命保険契約(死亡保障)なら、契約時もちろん契約後に後から足すこともできます。
その際にはリビングニーズ特約とともに指定代理請求特約もあわせて付けることを忘れないようにしましょう。
この特約の使い勝手が良くなります。
リビングニーズ特約は、利息や掛金が控除される
この特約は余命6ヶ月以内という判断のものと、保険金を先払いします。
そのため6ヶ月分の利息に6ヶ月分の掛金(保険料)を払ったものとして手続きされます。
そのため保険金が支払われる際にはこの6ヶ月分の利息や掛金は引かれます。
リビングニーズ特約の請求は1度だけ
リビングニーズ特約は死亡保険金の全額もしくはその一部を生前に受取るものです。
全額ならそれで支払うものがなくなりますから終わりますが、一部の場合でも以降は請求できません。
この特約は一度請求すると消滅します。死亡保険金の一部の請求ならまだ残りはありますが、リビングニーズ特約の請求は通常は一度するとできなくなります。
この後の税金の話にもかかることなのでよく覚えておいてください。
リビングニーズ特約の税金(非課税・相続税)
リビングニーズ特約の生存給付金(保険金)の取扱いは、メリット・デメリットのところでも触れましたがもう少し詳細を解説していきます。
リビングニーズ特約の生存給付金の税金の扱いは非課税
本人が受取ったリビングニーズ特約の生存給付金は既に解説したように非課税です。全額及び一部でも同様です。
覚えておいてほしいのは、生命保険の死亡保険金はその受取人の固有の権利です。
相続放棄をしても受取ることができます。
保険金というかたちで受取人に遺したいという気持ちがあった場合、この特約で先に受取ってしますと、その主旨から外れる可能性があることは覚えておいてください。
相続税が課税される場合
リビングニーズ特約で受取ったお金は非課税ですが、使い切らないと相続財産になります。
死亡保険金として受取った場合、生命保険の保険金には非課税枠があります。
- 生命保険の非課税枠=法定相続人の数×500万円 配偶者と子供2人いれば、1,500万円までは課税されません。
死亡保険金に相当するリビングニーズ特約のからの給付が残った場合は相続財産となります。
その際上記の非課税枠とは別に考えられます。
こうしたときには税金のことも考慮しておいてください。
この特約を活用するための大切なポイントです。
医療費控除とリビングニーズ特約の関係
医療費控除を適用する場合、実際に支払った医療費から保険金や給付金で補てんされる金額は差し引いて計算します。
リビング・ニーズ特約による生存給付金はこれに当たらないため、医療費控除の計算において医療費を補てんする保険金として差し引く必要はありません。
まとめ
リビングニーズ特約/税金とメリット・デメリットで知っておく特徴3選、についていかがでしたか。
生命保険の死亡保障は、本来家族になんらかのお金を遺すことです。
余命宣告されることでその資金を使うことができるリビングニーズ特約はこのときの選択肢を広げるものです。
この特約を付帯できるのに付けていないと、保険会社の営業から無料なのでつけませんかなどと話がよくあるはずです。
利用する際に税金など気をつけておくことはあるものの、特約をつけること自体にはマイナス面はないので検討しておくといいでしょう。
残りの人生を有意義に過ごすために、そして家族に何を遺すのかを考慮してこの特約を活用してください。
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