【落雷保険】火災保険で落雷による被害を保険金請求できる?
火災保険の保険金請求で落雷の被害は、保険金の支払件数の多い損害です。建物だけでなく、家電製品や給湯器、エアコン、インターホンなども被害を受けます。
■この記事で学べること
【1】火災保険で落雷の被害は適用?
【2】落雷の保険金請求件数は意外と多い
【3】落雷被害と火災保険の対象
【4】法人契約ではどうなる?
【5】落雷の保険金支払いと保険金請求
落雷の被害があった際、火災保険の保険適用と保険金の請求について実務的な内容をファイナンシャルプランナーがお話します。
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この記事のもくじ
火災保険で落雷による損害は適用される?
火災保険では一般的に落雷は補償されています。
落雷は古い火災保険でも基本補償ですから、火災保険に加入していれば補償が外れているということは通常ありません。
ジェイアイ傷害火災保険の火災保険で、落雷の補償を外すことができますが、損保業界では一般的なことではありません。
これは自分で落雷を外す選択をした結果ですし、通常の火災保険では落雷は補償されていると考えてください。
なお、落雷保険という言葉をタイトルに入れましたがこうした保険があるわけではありません。
火災保険の中にある補償の一つが落雷をカバーすると考えてください。
建物の屋根が破損した、落雷による過電流でパソコンやエアコン、給湯器が壊れたなど特に落雷では家電製品の損害が多く発生するのが特徴です。
火災保険で補償される落雷の事故には次のようなものがあります。
- 建物:雷が落ちて自宅建物の屋根が破損、落雷が原因で火事になった など
- 家財:落雷によって家電製品(テレビやパソコン)などが壊れた など
特に家財は落雷が原因だと思わない人もいたり、火災保険で落雷が補償されると考えない人もいるようなので注意してください。
火災共済や賃貸の火災保険、少額短期保険でも落雷は適用?
県民共済やこくみん共済coop(全労済)、JA共済などの火災共済、賃貸向けの家財保険、少額短期保険でも落雷は適用されているのが一般的です。
建物か家財など何を対象に補償がついているかは気にする必要はあります。
一部の例外を除いて落雷の補償がないという心配はしなくていいでしょう。
落雷の補償の免責設定(自己負担)
最近の火災保険は落雷の補償に限らず、免責設定(自己負担額の設定)の設定ができるようになっています。
各補償について共通免責方式というものを採用しています。
落雷だけでなく火災や風災、盗難など各補償に共通した自己負担の設定をすることです。
契約内容次第ですが、たいてい自己負担ゼロから1万円や3万円、5万円、10万円など設定ができます。
仮に5万円にしたら落雷で損害があったときなど修理代のうち5万円は自腹になるということです。
自己負担をつければその分掛金は安くなります。
落雷による火災も火災保険の対象か
落雷の結果、そこから火災が発生するケースもありますが、このケースでも火災保険の保険金支払の対象です。
もちろん落雷により建物の屋根が損傷した、過電流で家電製品が破損したなども火災保険から支払いになります。
繰り返しますが、何を対象にして火災保険をつけているかだけは注意してください(住宅なら建物や家財)。
落雷による火災保険の保険金請求件数は意外と多い
落雷による火災保険の請求というと、いまひとつピンとこない人も多いようですが、過電流による電化製品の破損が多いパターンです。
損害保険料率算出機構の統計によると落雷による住宅物件における火災保険の保険金の請求件数は下記のとおりです(2021年度)。
件 数 | |
火災、破裂・爆発 | 7,816 |
落雷 | 37,027 |
風災、雹災 | 116,448 |
雪災 | 87,062 |
水災 | 2,555 |
水漏れ | 54,298 |
その他、水漏れ以外 | 282,835 |
合計 | 588,041 |
出所:損害保険料率算出機構 2023年度版火災保険地震保険の概況より筆者作成
過去の推移を見ても落雷は毎年2万~3万件程度は発生しています。火災、破裂・爆発の3~4倍程度で、水災よりも多くなっています。
ちなみに水災はゲリラ豪雨や台風、洪水などからの床上浸水、土砂崩れ等のことです。
水漏れは給排水管などから水が漏れた(漏水)ケースなので別なものです。風災の数字が高いですが台風の影響でしょう。
落雷被害の際、火災保険の対象は何か?
落雷による損害で火災保険の保険金の支払がどうなるかは、何に火災保険をつけているかで変わります。
一般的な住宅物件なら建物か家財、あるいはこの両方が主です。
事業用の物件や店舗併用住宅なら、商品や設備什器などまで火災保険の目的に入れることができます。
建物、家財、商品、設備什器それぞれ火災保険料率が違いますし、保険の目的として個別に火災保険に入れる(もしくは入れない)かたちになります。
持ち家か賃貸か
火災保険は持ち家か賃貸かで火災保険を付けることができるものが違います。火災保険は自分が所有しているものしか付けることができません。
例えば住宅物件であれば持ち家か賃貸かで火災保険の対象となる対象は一般的に次のようになります。
- 持ち家:建物、家財(両方もしくは片方)
- 賃貸 :家財
事業用の物件であれば商品や設備什器など色々でてきますが法人や事業関係については次に解説します。
建物や家財に火災保険を付ける場合について何がどこまで範囲になるかを続けてみていきましょう。
建物
一般的なお話をすると建物が保険の目的である火災保険の契約は次のものです。
保険の対象者(火災保険では所有者)所有の畳・建具その他の従物および電気・ガス・暖房冷房設備・その他の付属設備は特別な定めがない限り保険の目的に含まれるとされています。
そのため建物の火災保険では、建物部分の損害はもちろんエアコンや給湯器、インターホンなどは建物の付属設備として含まれます。
落雷の損害でも建物の屋根や落雷による火災などがあるでしょうが、付属設備や家財の損害の方が圧倒的に多いでしょう。
落雷の事故でも個別の事故については火災保険を契約している損害保険会社に確認するようにしてください。
それぞれの火災保険約款にもとづいて保険金が支払われますのが前提です。
家財
パソコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機などは家財の範疇になります。
落雷被害の場合、コンセントで繋がっている家電製品の損害が多くなります。
ここまで補償するには建物だけでなく、家財にも火災保険をつけておく必要があります。
落雷保険の保険金額
保険金額とは契約金額、つまりは補償額のことです。
損保の火災保険では、一つの保険の対象で補償ごとに保険金額が異なることはありません。
例えば建物に保険金額3,000万円、家財に保険金額1,000万円の契約だとします。
被害の原因が落雷でも台風でも火災でも、上限はこの金額が上限になります。
落雷での火災保険、法人契約ではどうなる?
火災保険の場合、落雷による損害は法人であっても大きく変わることはありません。但し法人契約では、火災保険の対象が多岐にわたります。
建物や商品、設備什器、半製品、仕掛品などまで色々あります。
落雷の補償はありますが、どれに火災保険を付帯しているかということです。
住宅物件ならパソコンは家財になりますが法人なら設備什器です。
法人でも小規模事業者で建物が店舗併用住宅なら、住居で使用している家財にも火災保険を付帯することができます。
また法人のケースではパソコンなどが破損すると、業務データの復旧が必要だったり、営業中止せざるを得ないことによる喪失利益の補償が業種によっては必要です。
ここまでくると単純な火災保険ではカバーできません。
こうしたものをカバーする事業用の保険があるのでそちらを検討してください。
火災保険で落雷の保険金支払いと保険金請求
落雷での保険金の支払われ方
火災保険は物にかける保険です。家電製品など家財の損害があれば、修理ができれば修理費用、修理不能であれば全損扱いとなります。
建物の場合は、再調達価額(新価)*で契約している場合、契約金額を上限に実際の損害が補償されます。
*新品の価額のこと。最近の火災保険は時価額ではなく再調達価額が基本です。
賃貸の火災保険なら再調達価額で契約しているのが一般的です。
持ち家の場合は契約期間が長期で古い契約(住宅火災保険、住宅総合保険など)だと契約金額が時価額の場合があります。
よほど大きな損害でまた時価の80%以上の金額で契約していれば、一般的には問題は少ないでしょうが、契約内容を確認しておいてください。
契約金額が著しく低いと、損害によっては支払が減額となることがあります。
落雷と火災保険の保険金請求、証明書
保険金の請求には、損害保険会社所定の保険金請求書や落雷損害の記載のある修理見積、落雷の証明書などが必要です。
落雷の証明書などは台風などの罹災証明のような公的な証明書はありません。
加入先の損保より落雷の証明書が必要と言われた場合、次のものがあります。
- 気象庁や気象観測会社が提供している観測情報
- 電力会社のホームページ等にある落雷情報の印刷や停電証明
- 落雷による損害が原因と記載のある修理不能見積 など
実際に落雷による損害であれば保険会社に対してそんなに構える必要はないので、どのような書類なら証明書になるかを契約先の損害保険会社に気軽に相談してください。
まとめ
【落雷保険】火災保険で落雷による被害を保険金請求できる?、についていかがでしたか。
落雷による損害は、過電流による電化製品の損害につながるため思ったよりも数が多いのが特徴です。
個人契約の火災保険でも、パソコンなどが落雷で破損するとデータ消失して困るのは法人と変わりません。
パソコンに限った話ではありませんが、データのバックアップなどもやっておきましょう。消えたデータまではいくらお金を貰っても戻ってきません。
落雷が発生しているときには電源抜いておくというのも一つのリスクヘッジです。
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