企業年金についてわかりやすく解説する5選
会社員等の老後の生活資金源の一つである「企業年金」。年金も公的年金である国民年金や厚生年金、私的年金の企業年金、個人年金、確定拠出年金など種類も多く分かりにくく感じている人も多いでしょう。
■この記事で学べること
【1】企業年金とは?
【2】企業年金と厚生年金の違い
【3】企業年金は平均いくらもらえる?
【4】企業年金と確定申告
【5】企業年金の税金計算
企業年金とは?についてわかりやすく、いくらくらいもらえるのか、確定申告での税金の取扱いや退職金についてお話します。
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この記事のもくじ
企業年金とは?
日本の年金制度の基本
日本の年金制度は、大きく分けると「公的年金」と「私的年金」の2つがあります。公的年金は、国が運営する年金制度です。
公的年金とは?
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金と会社員が国民年金の上乗せするかたちで加入する厚生年金があります。
日本の年金制度は、この公的年金制度がベースになっています。
自営業者(第1号被保険者)や会社員や公務員の主婦(第3号被保険者)の公的年金は国民年金です。
会社員(第2号被保険者)の公的年金は、国民年金+厚生年金になります。
私的年金とは?(←企業年金はここ)
私的年金は公的年金の上乗せの位置づけになります。さまざまな種類がありますが、いずれも任意加入です。
具体的には、主に以下のものがあります。
- 確定給付企業年金(DB)
- 確定拠出年金(DC)
- 国民年金基金
- 民間の生命保険会社で加入する個人年金 など
上記の中で企業年金に位置づけられているのは、確定給付企業年金(DB)、企業型の確定拠出年金(DC)、他に厚生年金基金(現在は新設不可)です。
企業年金は、一部の企業の会社員が対象
企業年金は国が運営をする公的年金に上乗せして受けることができる年金制度です。名前のとおり「企業の」年金制度ですから、対象となるのは会社員など給与所得者です。
私的年金の一つとして公的年金にプラスされる位置づけですからあくまで企業の任意加入です。
企業年金は勤務先が加入するものですから、会社員が個々人で好き勝手に加入するものではありません。
勤務先でどのように制度の導入をしているかで変わります。
企業年金と厚生年金の違いとは?
すでに解説したように、厚生年金は公的年金の一つです。国が管理・運営を行っています。
20歳以上になると加入する国民年金にプラスして、会社員が加入する年金制度が厚生年金です。
同じ公的年金制度内において国民年金の上乗せの位置づけです。掛金は厚生年金では労使折半(企業と労働者が半々)です。
これに対して企業年金は、その会社が任意に選択して加入する私的年金です。
企業が破たんすれば年金受給についても影響を受けることがあります。JALや東電なども年金の減額議論がでていました。
企業年金って平均いくらもらえる?
退職給付における一時金や年金が、平均でいくらくらいなのかみてみましょう。
厚生労働省の退職給付(一時金・年金)の支給実態によると、学歴別退職者1人平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者)は次のようになっています。
なお、企業年金制度というのも退職給付の一つです。
◆退職給付(一時金・年金)制度の形態別退職給付額(定年退職者)
- 大学卒(管理・事務・技術職) 退職一時金制度のみ:2,144万円・退職年金制度のみ:2,522万円・両制度併用:2,517万円
- 高校卒(管理・事務・技術職) 退職一時金制度のみ:2,122万円・退職年金制度のみ:1,697万円・両制度併用:2,362万円
- 高校卒(現業職) 退職一時金制度のみ:2,350万円・退職年金制度のみ:1,433万円・両制度併用:1,891万円
- 中学卒(現業職) 退職一時金制度のみ:1,032万円・退職年金制度のみ:1,234万円・両制度併用:2,061万円
出典:厚生労働省 退職給付(一時金・年金)の支給実態
なお、退職一時金制度のみの場合は退職一時金額、退職年金制度のみの場合は年金現価額、両方導入の場合はこれらの合計となります。
もちろん業種や勤続年数、企業規模などによって変わりますから、一つの目安として見てください。
退職金(一時金)と企業年金の違い、及び両方もらえる?
企業年金と言っても、その内容は企業ごとに違いますし色々です。例えば以下のようなパターンです。
- 退職金(一時金)+企業年金
- 退職金(一時金)なし、企業年金のみ
- 退職金(一時金)のみ
後は、退職金(一時金)も企業年金もないパターンです。退職金と企業年金の両方がもらえるのが一番良さそうです。
しかし例えば総額は同じで、例えば退職金1,000万円、企業年金1,000万円と企業年金のみ(あるいは退職金のみ)2,000万円なら支給自体は同じです。
もちろん退職金(一時金)と企業年金(分割)とお金の受け取り方が違えば税金の取り扱いも変わります。
つまり勤務先の会社が「企業年金制度」をどのように導入しているのかで、企業ごとに違うのです。
まずは勤務先の会社の企業年金がどのようになっているのか確認してください。
企業年金と確定申告の税金
ここから企業年金と確定申告・税金について確認しておきましょう。
企業年金は確定申告が必要?不要?、所得の取り扱い
退職して企業年金を受け取ると、雑所得の扱いとなりますので確定申告が必要です。
公的年金などと同じ所得の取り扱いになります。但し所得によっては確定申告が不要になります。
確定申告することで、有利になる!?
企業年金などの所得金額から控除を引いて残りがでるなら、確定申告すると所得控除が受けられます。
所得控除には、「配偶者控除、扶養控除、基礎控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除など」があります。
公的年金等に係る確定申告不要制度で申告不要
公的年金等に係る確定申告不要制度公的年金等に係る確定申告不要制度により、次の2項目が該当するときは、確定申告は不要になります。
- 1年間の公的年金等の収入金額が400万円以下
- 1年間の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
確定申告をした方がいい場合もある
医療費控除や住宅ローン控除などの税の優遇措置を受けた方が有利なケースもあります。
そのような場合には、確定申告をしないと所得控除が受けることができません。
確定申告が必要・不要というよりもした方がいいケースがあるということです。
企業年金の税金計算の流れ
企業年金を分割の年金で受け取りは、公的年金(国民年金・厚生年金)と合せて雑所得として税金の計算をします。
実際には合算した収入から控除(公的年金等控除)を引くことができます。そこから各種控除で使えるものがあればさらにそれらを差し引きます。
これをして引き切れない所得があれば、税金がかかるわけです。
企業年金の税金の計算の流れ
- 具体的な企業年金の税金の計算の流れは以下のようになります。
- 公的年金・企業年金の収入から控除(公的年金等控除額)を引いて雑所得を計算します。 公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額の合計額×割合-控除額 ※割合・控除額は収入によって変わります。
- 他に給与など他の所得があればさらに雑所得と合算します。
- 合算した所得から各種の控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除・医療費控除・社会保険料控除など)引いて、税金がかけられる所得を計算します。
- ここに税率を掛けて、企業年金を年金受取するときの税金の計算の流れです。
企業年金と源泉徴収
上記のように企業年金を年金受取するときの税金の計算をします。最も一般的には年金給付の際に源泉徴収します(しないケースもあります)。
翌年に確定申告する際に、精算する流れで税金を還付してもらいます。
もちろん他の収入や控除なども関係しますから、すべて税金が還付して戻されるわけではありません。
まとめ
企業年金とはについてわかりやすく解説する5選、いかがでしたか。
現在日本の老後の生活費の中心になっているのは、「公的年金」です。ここに企業年金や自分の資産、就業による収入が並びます。
今後公的年金からの収入の増加が見込みにくいなかで、企業年金や確定拠出年金などの役割も大きくなっていくことが予想されます。
会社員の人は、勤務先の会社の企業年金制度について確認してください。
定年後の生活の見通しを考えるときに、収入がどのくらいあるか分からないと、予測がたてられません。
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