【災害復興住宅融資】金利や審査、高齢者向け返済特例のポイントとは?
災害復興住宅融資制度は、地震や台風、大雨などの災害で住まいを失った人が少しでも早く生活を立て直すための制度の一つです。
■この記事で学べること
【1】災害復興住宅融資とは?(対象者、総返済負担率、借入限度額など)
【2】高齢者向け返済特例とは?
【3】災害復興住宅融資の金利、シミュレーション方法
【4】災害復興住宅融資の審査は厳しい?
【5】団信(団体信用生命保険)と災害復興住宅融資
自然災害などの被災者になったときに選択肢に考えておきたい「災害復興住宅融資」について解説します。
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この記事のもくじ
災害復興住宅融資とは?
災害復興住宅融資とは、住宅金融支援機構が実施している制度で、災害で被災した住宅を復旧するための融資制度です。
地震などの災害で住宅が全壊・大規模半壊・半壊した(り災証明書の交付を受けている)人が、住宅復旧のための建設資金あるいは購入資金に対する融資制度となっています。
原則として「被災日から2年間」が申し込みの受付期間です。
災害で被災した後にも生活が続きますが、新たな住まいを再築・購入するにはさらにお金が必要です。
なかなか自己資金だけで新たな家を購入するのは難しく、被災後は家計の状況が厳しくなることが多いため、こうした住宅ローンの必要性が高くなります。
申し込み対象者
誰でも災害復興住宅融資を利用できるわけではありませんからまずは対象になる人を確認しておきましょう。
- 災害により被害を受けた住宅の所有者・居住者で、地方公共団体からり災証明書の交付を受けている(全壊・大規模半壊・半壊)
- 自分または被災した親等が住むための住宅の建設・購入
- 年収に占める全ての借入れの年間合計返済額の割合(総返済負担率)が一定の基準をクリアしている
- 日本国籍の方・永住許可等を受けている外国人
災害復興住宅融資の総返済負担率の基準・計算式
災害復興住宅融資の総返済負担率は次のように決められています。
◆総返済負担率
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
基準 | 30%以下 | 35%以下 |
◆総返済負担率の計算式
総返済負担率の計算式は次のようになります。
すべての借入れの年間返済額の1/12 ÷ 年収の1/12× 100 = 総返済負担率(%)
すべての借入ですから他の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードのキャッシングや分割払いなども含みます。
普通に住宅ローンを借りるときでも見られることですのでこの点は変わりません。
借入限度額
災害復興住宅融資の借入限度額もどのようなかたちで融資を受けるかで変わってきます。
- 土地を取得する場合 :5500万円
- 土地を取得しない場合:4500万円
詳細な条件等は住宅金融支援機構のWEBサイトで確認するようにしてください。
災害復興住宅融資の高齢者向け返済特例とは?
災害復興住宅融資には対象者の条件を満たせば単純に利用できるものの他に、高齢者向け返済特例と呼ばれる制度があります。
高齢者は年収や年齢などの観点から改めて融資を受けるのが難しいケースがあるためです。
高齢者用に通常の制度とは少し異なる仕組みになっています。
高齢者向け返済特例とは?
「高齢者向け返済特例」とは、月々の返済額を利息だけにして、借入金の元金は申込人(連帯債務者含む)全員が死亡した際に一括返済する仕組みの災害復興住宅融資です。
災害で高齢者が被災するとそれまでと同じような規模の住まいは必要ないケースがあるものの、収入や年齢面で融資を受けにくいのが現状です。
そこで利息だけの返済とすることで、月々の負担を軽減できるようにしている制度です。
高齢者向け返済特例を利用する際の注意点
災害復興住宅融資の高齢者向け返済特例は、最終的に自宅を売却などして精算する仕組みですが注意点もあります。
一つは返済が利息だけなので、総返済額という視点で考えれば通常の融資制度が使えれば、トータルでの負担が少ないことがあります。
もう一つは年齢です。
住まいが全壊・大規模半壊・半壊でり災証明書がでているなどの条件は一緒ですが、ここで高齢者というのは「60歳以上」をいいます。
夫婦のいずれかが60歳に満たなかった際でも利用はできますが片方が死亡したときの精算に問題があったり、最終的に子どもが戻ってくる予定があるとややっこしい事になるケースも想定されます。
融資の返済負担の軽減という意味では一考の余地がある制度ですが、利用する際にはこうした部分も確認した上で家族でよく話し合うようにしてください。
- 通常の住宅ローン融資は難しいか?
- 夫婦ともに60歳以上か?一方だけ60歳以上か?
- 将来、夫婦が亡くなった後に子どもが家を継ぐなど予定はあるか?
高齢者の特例を利用する際には、確認しておきたいポイントです。
親孝行ローンという制度もある
災害復興住宅融資には、他に親孝行ローンという制度もあります。
被災した住まいに居住していた60歳以上の親等(父母・祖父母等)が住むための住宅を建設または購入するときに対象になります。
その被災した住まいの居住者が、融資の利用者やその配偶者の親族であることなどの要件が設けられています。
高齢者向け返済特例と同様に60歳以上というところがポイントです。
自分自身が該当する高齢者あるいは親が該当する場合で、被災者になったときには選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
災害復興住宅融資の審査は厳しい?
被災者のための災害復興住宅融資制度と言えども、融資である以上は年収や他の借入などの審査を受けることになります。
総返済負担率の計算式のところでもお話したように、他に借入があればそれも当然見られます。
審査が厳しいかどうかはともかく住まいを再築する、再購入する人はすでに他の住宅ローンを利用しているケースもあるでしょう。
カーローンや教育ローン、クレジットなどもあれば融資の審査に関係してきます。
この融資制度に限らず仮に審査に落ちた場合でもその内容は教えてはくれません。
制度を利用するならまずは自分なりに他のローンなどの状況なども冷静に確認して、返済可能は借入額などをシミュレーションしておきましょう。
誰と、どこに、どのような住宅に住むのかを家族間でよく話し合うことが大切です。
災害復興住宅融資の金利、シミュレーション方法
災害復興住宅融資の金利も個人やマンション管理組合、高齢者向け返済特例など条件によって金利も別々に設定されています。
金利の確認には自分の利用条件をよくチェックしてください。
この金利タイプは、借入申込のときにに返済期間の全ての金利が確定している全期間固定金利型の融資です。
金利(災害復興住宅融資)
災害復興住宅融資の金利は次のようになっています。
最新の金利が何%かの詳細は下記から確認できますので、都度チェックしてください。
シミュレーション(災害復興住宅融資)
災害復興住宅融資といえども借入資金であることに変わりはありませんから、当然返済しなければなりません。
もちろん新たに住宅を購入するのか、賃貸にするのかも考えなければなりませんし、この制度を利用するなら返済に問題がないかよく検討しておくことが必要です。
そのためには災害復興住宅融資のシミュレーションが必要です。
災害復興住宅融資の具体的なシミュレーションは、住宅金融支援機構のサイトですることができますので参考にしてください。
団信(団体信用生命保険)と災害復興住宅融資
住宅ローンあるいはこれと同様の制度の融資を受ける以上、死亡した場合や病気で治療が長引いた場合のリスクも考慮しなければなりません。
具体的には、団信(団体信用生命保険)への加入です。
住宅金融支援機構は制度変更があり、フラット35などは新機構団信制度に移行しています。
これは民間の銀行の住宅ローンなどでもある金利上乗せ方式になっています。
災害復興住宅融資ではこの新機構団信は利用できないため、従来の特約料方式の団信を使うことになります。
まとめ
【災害復興住宅融資】金利や審査、高齢者向け返済特例のポイントとは?についていかがでしたか。
被災後の生活の立て直しに収入や住まいの確保は欠かせません。いずれも重要な生活基盤の一つだからです。
解説にも書きましたが、災害復興住宅融資にも審査がありますし、高齢者向け返済特例なども利用する前に覚えておきたいポイントがあります。
自然災害が多発している状況で、被災した後にこうした選択肢があるということはぜひ覚えておいてください。
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