金投資(純金積立・ETF・投資信託・金地金)で失敗しないための4選
金投資(GOLD投資)は現物の金貨や金地金、純金積立、金融商品(金のETFや投資信託など)もあり種類もさまざまです。失敗しないために、リスクやデメリットを知っておかなければなりません。
■この記事で学べること
【1】金投資の種類、過去相場、手数料
【2】メリット、デメリット
【3】金投資の売却による税金と確定申告
【4】失敗しない為の注意点とポイント4選
投資先の一つとして話題になることが多い、「金投資(ゴールド投資)」についての基本やリスク、ポイントについてファイナンシャルプランナーが解説します。
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金投資(ゴールド投資)とは?
金投資とは?
金投資(ゴールド投資)とは、金を投資対象とした貴金属投資の一つでその中で最もメジャーなものです。
はじめて投資する方法としては、現にある金そのもの(金貨や地金など)を購入する方法と金を対象にした金融商品を購入する方法が一般的です。
金は「有事の金」とも言われています。
例えばその国の通貨価値が無くなったり、投資した企業が破綻して株式などの価値がゼロになることはあっても、金は無価値になることがありません。
世界中どこでも通用する資産であることが大きな特徴です。
金相場の上昇の背景
金投資も株式市場のように、売り買いされるため価格が上がったり、下がったりします。
先に結論をお話しておくと、「アメリカの実質長期金利」と「金の価格」は逆相関の関係にあります。つまり逆の動きをすると覚えてください。
実質長期金利とは、アメリカの10年国債利回り(名目長期金利の指標)から、アメリカの期待インフレ率を差し引いたものです。
ちょっと小難しい話ですがこれがマイナスの状態になっていると、米ドルの価値が実質的には下落していることになります。
細かい理屈は抜きにして、世界の基軸通貨である米ドルの価値が落ちているため、金の価格相場が上昇しているのです。
金の価格相場の特徴と過去の推移
金価格相場の特徴
例えば、株式は企業が業績が良くなったり、その企業が成長していくと株価が上がります。
これに対して金は実質的な価値は変わりません。他の資産と比較して価値が上がるか下がるかということです。
一般的に金相場は上昇しているときは、他の資産が下落しています。金は守りの資産とも言われる所以で、こうした状況下での資産保全を想定した投資です
過去の金地金価格相場の推移
これまで過去の金価格相場がどのように動いており、現在どうなっているか知りたい人も多いでしょう。
金を対象にした金融商品なら自分で価格は分るでしょうが、金地金の価格相場については下記のリンク先の情報を参考にしてください。
【参考】
金投資の主な種類
金投資にはいくつか種類があるとお話しましたが、はじめて金投資を行うにあたり、具体的な投資方法をみておきましょう。
一般的な金投資で考えられる方法は大きく分けると主に2つあります。
現物での金投資(金貨・金地金・純金積立)
現物というのは実際にある金そのものを金塊や金貨などで購入することです。貴金属を持ち運びしやすいように塊(金塊など)にしたものをインゴットといいます。
日本語での言い回しや読み方は、「金地金」です。
現物の金を持っていれば、基本的に無価値になることは考えにくいので、保有していれば安心感があります。
金地金の場合は、一般的に5グラムくらいから1キロまでさまざまなサイズがあります。
購入・売却いずれも大きさによって手数料が変わります。金貨は加工されているだけ価格が高くなっています。
10分の1トロイオンス(トライオンスは金の単位のこと。3グラム程度)~1トロイオンス(31グラム程度)まで数種類あります。
まとめて現物の金を購入する資金がない人には純金積立もあります。
小口で金の積立が可能になっており、積立購入した金は契約先の会社で保管されます。
購入手数料が1.5%くらいから2%~3%程度までかかります。
金融商品などの手数料基準で考えると決して安くはないので、よく比較検討することが大切です。
なお、純金積立などでは金の保管について消費寄託と混蔵寄託という2つの方法があります。主な特徴は次のとおりです。
- 消費寄託:保管料は無料のことが多い一方で、金の所有権は運営会社
- 混蔵寄託:保管料はかかるが、所有権は本人
いずれも一長一短ありますが、所有権が自分にないなら業者選びも重要であると認識してください。
金融商品での金投資(金を投資対象にしたETF・投資信託)
金の価格相場を対象とする金融商品は、主にETF (上場投資信託)と投資信託があります。
手数料が安く、コストを抑えることを考えるならETFの方がおすすめです。運用期間中にかかる信託報酬は、高めのもので~0.5%くらいです。
但しこれは運用中のコストなので、商品によっては他に売買手数料も別途かかると考えてください。
ETFは一般的に積立などは利用できないので、金の金融商品で積立投資を考えるなら投資信託という選択になります。
小口で始められますが、手数料は金融機関や投資信託によって異なるので比較してから購入を検討してください。
金投資のメリットとデメリット・リスク
金投資も当然のことながらリスクがあります。
預貯金や株式、不動産投資などとは異なる特徴があるので、具体的なメリットやデメリットについて確認しておきましょう。
メリット
- 基本的に資産がゼロになることは考えにくいため無価値にならない
- 国内外含めて資産価値が共通しているため、資産を保全する点では優れている
- 現物での保有が可能
金などの鉱物系の資産は経営破綻リスクがない点と通過と違って世界で共通した価値があるのが一番のメリットです。
なお、この後で別に解説しますが現物の金を売却して利益がでた場合、長期保有していると(5年が基準)税制上有利になる点も特徴です。
メリットとは違うでしょうが、金投資をはじめる前に知っておきたいことです。
デメリット・リスク
- 貴金属の投資は、預貯金や株式などと異なり利息や配当がない
- 金そもののの取引は米ドルで行われるため円建て価格は為替リスクがある
- 手数料が高め
何かに投資した場合、購入したもの(金や株式など)が値上がりして利益がでる場合(キャピタルゲイン)と保有していることで利息や配当で利益がでる(インカムゲイン)があります。
金投資の一番のデメリット・リスクは、インカムゲインがないことです。
仮にまとまった資金で金地金の購入をして、その後金価格相場が購入額より下落した場合、値上がりを待つ以外に資産が増えないのです。
株式相場と同じように過去には金価格も下落して低迷した時期があるので注意が必要です。
各種手数料についてはすでに解説しましたが、ETFのようなものならともかく、金地金や純金積立でもそれなりに「手数料」がかかります。
どの投資でも手数料(つまりコスト)がどのくらいかは重要なポイントです。
特に現物の金投資の場合、おすすめしない点があるとすると特にこの2点です。
純金積立はやめておけなどというネットの情報があるのはこのあたりのことが関係しています。
金投資が駄目というのではありませんが、この点は十分に吟味してください。
手数料(コスト)がどのくらいかかり、どのくらい値上がりを見込む必要があるかをはじめにチェックしておかなければなりません。
金価格相場も高値圏にあるので注目されていますが、極端な話、株式の短期売買のように日に何度も売り買いして儲けをだす投資ではありません。
どちらかというと資産を守るための投資先の一つ選択して考えて利用することを考えてください。
ある程度の中長期での投資を心がけた方がいいでしょう。
また現物の金を持つときには保管方法も検討事項です。
購入先でコストを支払って保管してくれることもありますし、自分で保管するなら金庫などが必要です。貸金庫がある人はそれも選択肢になるでしょう。
金投資の売却による税金と確定申告
金の投資に限りませんが、どのような投資でもはじめにチェックしておきたいのが売却して利益がでた後の税金の取り扱いや確定申告の必要性です。
一般的な金投資の税金
金地金を売却した場合に利益がでた場合、原則として譲渡所得として課税されるため、他の所得と合わせて総合課税の対象になります。
譲渡所得の計算については、所有期間が「5年以内」「5年超」で計算方法が異なります。
- 所有期間 5年以内の場合
売却価額-(取得価額+売却費用)=譲渡益
{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=課税される譲渡所得の金額
- 所有期間 5年超の場合
売却価額-(取得価額+売却費用)=譲渡益
{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=譲渡所得の金額
(譲渡所得の金額)× 1/2 = 課税される譲渡所得の金額
*譲渡所得の特別控除額は、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円となります。
これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。
5年以内・5年超の両方の譲渡益がある場合、特別控除額は2つ合せて50万円が限度となり、5年以内の譲渡益から先に控除します。
金投資の税金は、長く保有するほど(5年超)税金面では有利になります。
なお、一般的な金投資では関係ありませんが、営利目的の継続的に金地金の売買による所得は、実態に応じて事業所得や雑所得になります。
金投資口座などの金融商品の税金
金投資口座などの利益は金の現物譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いと考えます。
そのため金融類似商品の収益として一律20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税になります。
ETFや投資信託での金投資はこちらに該当します。
金投資と税金と確定申告
現物の金の税金の計算は上記のようになりますが、この計算をして利益がでているようなら確定申告が必要です。
ETFなどの場合は、上場株式の税金と取り扱いは同じです。
取引先の証券会社などで、源泉徴収あり特定口座を開設して取引を行えば、売却時に税額が徴収されるため確定申告の対象とする義務はありません
下記の上場株式の税金の記事も参考にしてください。
金投資で失敗しないための注意点とポイント4選
ここまで解説した内容を踏まえた上で、金投資の注意点とポイントについてお話します。
金投資、純金積立などをする目的は何か?
例えば金投資で儲けたいのか、資産防衛の一環として現物の金を持っておきたいのどちらが優先かで金投資に対する考え方も変わります。
もちろん両方重要という人も多いでしょうが、第一優先がどちらかで金投資に対するスタンスも変わってきます。
投資期間を短期で考えるのか、長期で考えるのかも重要です。
まとめて資金を投入して金を購入するなら値動きに注意
金地金や金の金融商品に対して投資する場合、タイミングを誤ると購入額よりも価格が下がる可能性は否定できません。
今後、金価格相場がどう動くかにもよりますが、価格が下落すると配当などはありません。
多少の価格変動はともかく資産防衛の一環で現物の金を持ちたいという人はまだいいのですが、価格の下落は気分のいいことではないのでまとめて購入するときには注意してください。
場合によっては一気に購入せず、何度かに分けて分散購入するのも方法です。
金融商品で積立投資(つみたてNISAなど)
実際に相場が高値圏にあるときに、単発で買いに入るのはなかなか勇気が必要です。
その点積立投資なら購入するリスクは分散されます。
資産防衛などではなく資産を殖やすことを優先するなら、通常の投資信託やETFでもいいのですが、つみたてNISAを利用していなかったり、年間の限度額がまだ余っているなら先に利用を検討してください。
つみたてNISAでも購入可能ですし、その場合値上がり益は非課税です。
予算上の問題やどのように金投資をするかの主旨にもよりますが、長期視点での積立分散投資は価格が高値圏にあるときも有効です。
金投資や純金積立に限りませんが、それぞれの金融資産にはメリット・デメリットがあります。
これを理解した上でどこにお金を預けるのかを考える必要があります。
資産防衛手段の一つ、あるいは金が安値のときに購入したいというなら「金」は選択肢の一つですが、そうでないなら違うかたちでの投資も考えるべきです。
金投資の購入先業者の選択
金融商品としての金投資であれば、すでに取引のあるネット証券などでどのようなETFや投資信託があるか確認して同じところではじめるか、商品よっては他のネット証券なども選択に入るでしょう。
恐らくどこで購入するか迷うのは、金地金などの現物の金の購入を考えているケースです。
下記のトップページに会員会社などの紹介があるので参考にしてください。
具体的に金投資をする予算や目的、方法によってどのような金投資の方法を選択するかはご自身の判断です。
しかし資産を殖やす、保全するという側面以外にも税金や業者の経営破綻時の対処なども考えておいてください。
まとめ
金投資(純金積立・ETF・投資信託・金地金)で失敗しないための4選、についていかがでしたか。
金価格(GOLD投資や金投資についてはニュースなどでもよく見るでしょうから、興味はあるけどよく分からないから何もしていないという人も多いでしょう。
どのような投資でもその特徴やリスクを知ることで、実態が分かり、具体的に行動するための方向性が見えてきます。
金融商品での金の積立投資ならすぐにはじめてもいいでしょうし、金地金などの現物を購入する人は価格変動を見る、急がないなら様子見もありでしょう。
いずれにしても今後は預貯金や株式、不動産とも性質の異なる資産の保有を選択肢に入れてみてもいいでしょう。
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