ETF(上場投資信託)と投資信託との比較や手数料・おすすめの選び方
ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)は、日経平均株価などの指数の動きに連動する運用成果目指す投資信託で東京証券取引所などに上場しています。
ETFと投資信託がどう違いどっちを選べばいいのか分からないという人も多いでしょう。
■この記事で学べること
【1】ETF(上場投資信託)と投資信託の違いや手数料、比較
【2】ETFのメリット・デメリット
【3】ETFと投資信託はどっちを選べばいい?
上場投資信託であるETFと投資信託について違いと比較をテーマにどっちを選ぶのか、おすすめの選び方についてまとめます。
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この記事のもくじ
ETFと投資信託の違いと比較
EFTと投資信託の違いと比較の一覧表
はじめにETF(上場投資信託)と投資信託の主な違いと内容を比較した一覧表をみてください。
ETF | 投資信託 | |
取引所への上場 | 上場 | 非上場 |
購入価格 | 変動する市場価格 | 1日1回の基準価格 |
購入先 | 証券会社 | 証券会社、銀行など |
購入方法 | 株式と同様に証券会社を通じて市場で売買 | 証券会社や銀行からその日の基準価格を元にした金額で購入 |
販売手数料 | 証券会社ごとの売買手数料 | 商品や販売会社で異なる販売手数料 |
信託報酬 | 投資信託より低め | 一般的にETFより高い |
売却等コスト | 売却時の売買手数料 | 信託財産留保額等 |
税金 | 譲渡益・分配金に20.315% | |
損益通算等 | 株式やそれぞれの損益を損益通算可能 |
どちらも投資信託であるものの、このように結構違いがあるのです。
ETFは証券会社を通じて市場で売買するため、株式投資のように購入したい価格をしている指値注文や注文した時点の価格で購入する成行注文を選べます。
投資信託は1日1回基準価格が出るだけですから、購入したい価格を指定することはできません。
投資信託には投資手法によって、基準となる指数に連動する成果を目指すパッシブ運用とそれを上回る成果を目指すアクティブ運用があります。
ETFは投資信託のオープン型と似ていて、市場で自由に売買できる商品とイメージしてください。
運用方法による商品性の違い(ETF/投資信託)
投資信託の運用による区分けにパッシブ運用とアクティブ運用があります。違いはそれぞれ次のとおりです。
- パッシブ運用 :日経平均やTOPIXなどの市場平均の各種指数と同じような運用成果を目指す
- アクティブ運用:これらの指数を上回る運用成果を目指す
これを踏まえてETFと投資信託は運用方法がどのようになっているかというと次のようになります。
パッシブ運用 | アクティブ運用 | |
ETF | 〇 | × |
インデックス型投信 | 〇 | × |
アクティブ型投信 | × | 〇 |
ETFと投資信託の違いを比較するときに、運用方法による違いがあることはよく覚えておいてください。
この後これらの商品にかかる手数料について解説しますが、アクティブ運用は市場平均の指数を上回る成果を目指します。
機械的に運用するパッシブ運用より手数料を含めたコストは高くなります。
ETFと投資信託の手数料(信託報酬など)・分配金・配当の違い
ETFは株式に近いかたちの売買ができるので、手数料も商品に対する販売手数料というよりは証券会社への売買手数料になります。
投資信託の販売手数料は有るものと無いものがあります。無いものをノーロードといいますが、最近はこのタイプも増えています。
両方とも保有している間に、信託報酬(運用管理費用)がかかります。運用中ずっとかかるコストなので手数料関係については重視したい項目です。
一般的はETFの方が投資信託よりも手頃な金額に設定されています。次にその手数料などについてもう少し詳しくみていきましょう。
ETFは購入や売却のときに売買手数料が必要です。株式を市場で売買するときにも同じようにかかるものです。
これに対して投資信託では、購入時に販売手数料や売却や解約時に信託財産留保額や換金手数料などがかかります。
これらは商品や証券会社などによって違い一律の手数料ではありません。
ETFと投資信託の手数料で注意したいものが、信託報酬(運用管理費用)です。
運用中にずっと費用が取られるので高いと運用成果が下がる可能性がでてきます。
一般的には投資信託だとインデックス型よりアクティブ型が、国内だけの投資信託より海外の投資信託が、先進国だけより新興国の物の方が高くなります。
専門家が運用しますから、手がかかる方が手数料が高くなりがちです。
信託報酬の違い、比較
おおよその目安になりますが、両方の投資を考える上でのコストで重要な信託報酬のおおよその目安は次のようになります。
- ETF(上場投資信託)0.1弱%~0.5%くらい
- 投資信託 0.1%~2%弱くらい
パッシブ運用するものでも、投資対象や国内か海外かなどで信託報酬は異なります。
一般的にはETFの方が信託報酬は低めと考えてください。投資信託にはアクティブ型がありますが、比較するならインデックス型でしないと公平ではありません。
但し、近年投資信託の信託報酬を含めた手数料は引き下がってきています。なかには手数料の高いものもあるので注意が必要ですが、条件はよくなってきています。
確定拠出年金やつみたてNISAがはじまったことで投資信託のこれらの手数料は以前よりも下がってきています。
ETFの手数料競争過熱
ETFの手数料が投資信託より安いのはお話したとおりですが、手数料の引き下げ競争が過熱しています。
地銀や保険会社がコストの低いETFに運用をシフトしていることなどが背景にあります。
2022年6月くらいから各運用会社が信託報酬を引き下げており、競争が激化しています。
商品によっては0.05%前後のものもでています。
購入者にとっては良いことですが、運用会社は利益の確保に苦慮しているようです。一つの流れとして覚えておきましょう。
分配金・配当
一般的な投資信託と同じように、ETFでも分配金を支払うケースがあります。
ETFの場合、一般の投資信託と違うのは、決算期間中に発生した利子や配当などの収益から信託報酬などのコストを差し引いて残りの全額を分配する仕組みになっています。
すべてのETFに分配金があるかというと、金などを対象にしたETFの場合、金は株式などと違ってそもそも配当や利息がありません。
そのため分配金もないということになります。
分配金についてはETFの種類によって出るもの出ないものがあります。
ETFのメリット・デメリット
ETFと投資信託の違いについてはすでに解説しましたが、この部分を踏まえて改めてETFと投資信託のメリット・デメリットをチェックしてみましょう。
メリット
- 手数料などを含めたコストが安い
- 市場でいつでも売買可能で、指値注文・信用取引もできる
- 分散投資ができる
デメリット
- 分配金が再投資に回るわけではない
- すべてが積立投資できるわけではない
株式の取引に近いということは、価格が市場の需給関係で決まります。
売却しなければならないタイミングで価格が低下していれば安い価格で売却せざるを得なくなります。
投資信託でも分散投資はできますし、多くの銘柄から選ぶことができることなども似ています。
一方で手数料などのコストの安さやリアルタイムで売買できるなどの違いもあります。
ETF・投資信託はどっちを選ぶ?
人によって考え方はあるでしょうが、ETFと投資信託の違いは理解した上でどちらを選べばいいのでしょうか。
投資スタイルなどにもよりますが、毎月の積立投資をすることを考えているならETFや投資信託を比較検討する前にすることがあるのです。
積立投資をする場合にETF、投資信託よりも先にすること
コツコツ積立投資をするなら先にするのは、「つみたてNISA」です。
ETFと投資信託の違いや比較をする人なら、NISA(つみたてNISAもしくは一般NISAいずれか)口座を開設して利用している人が多いでしょう。
まずはつみたてNISAを優先させてください。
その理由は運用して利益がでた分について税金がかからないからです。
つみたてNISAなら年間40万円(毎月約3.3万円)まであるのでこれを優先して使ってください。
つみたてNISAの対象商品は185本程度ありますが、ほとんどがインデックス型の投資信託です(2022年8月18日時点)。
20本強がアクティブ型の投資信託、7本くらいのETFがあります。
ETFと投資信託のおすすめの選び方
ETFと投資信託のどちらを選ぶかより前にもう一つ確認してほしいことがあります。
他の資産(貯蓄タイプの保険や預貯金を含む金融資産すべて)はどこに、どのくらいありますか。
ETFと投資信託を検討するくらいですから資産運用が前提でしょう。仮に老後資金も視野に入れていてすぐに利用しない資金なら確定拠出年金にも非課税枠があります。
税金がかからない制度は投資する上で積極的に利用すべきなので、制度を利用していないなら検討だけはしてみてください。
予算で選ぶ
ETFでは、最低の購入単位が決まっています。具体的には取引価格×最低の1取引単位が最低必要な費用です。一般的には1万円から10万円程度です。
投資信託は購入先の証券会社や銀行などによっては、100円からなどさらに少額で購入できるケースもあります。
予算の範囲でしか投資もできませんから、より少額で投資したい場合には投資信託のほうがいいでしょう。
投資スタイル
例えばつみたてNISAの話をしましたが、ETFでは対象商品が3本程度しかありません。
またアクティブ運用するものを選ぶならやはり投資信託になります。
まとまった資金があってリアルタイムで細かく売買をしたいのであれば、市場で売買できて指値もできるETFの方が向いています。
まずは金融資産がどこにどのくらいの割合で置いてあるか、何に投資しているか(もしくは預貯金がほとんどか)など現況を確認してください。
投資する以上はどの程度リスクを負えるか(リスク許容度)も重要です。
これらの要素を複数掛け合わせて、自分に合いそうな条件により近い方を選んでいくといいでしょう。
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まとめ
ETF(上場投資信託)と投資信託との比較や手数料・おすすめの選び方、についていかがでしたか。
この記事ではETFと投資信託についての違いや比較を軸に解説しましたが、人によってはREIT(不動産投資信託)なども候補に挙がってくるでしょう。
予算はもう少し高くなりますが、国内・海外など幅広く投資対象を広げていくことを考えてください。