信託報酬(運用管理費用)は投資信託手数料のキモ!目安や平均は?
投資信託はいくつかの手数料がかかりますが、特に重要なのが信託報酬(運用管理費用)です。保有中ずっと手数料がかかるためです。
■この記事で学べること
【1】投資信託の3つの手数料
【2】信託報酬(運用管理費用)の平均や相場・目安は?
【3】ETF、iDeCo、新NISAと信託報酬
投資信託の手数料の軸となる信託報酬の負担について解説していきます。
*信託報酬という言葉が専門用語なので、運用管理費用という言い方もしますが、この記事では信託報酬(運用管理費用)などと記載しています。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。
この記事のもくじ
投資信託にかかる3つの手数料とは?
投資信託は個別の株式の銘柄を自分で売買するのと違いシステム的にまたは専門的に多くの銘柄に幅広く分散投資します。
そのため専門の人に運用をお任せてしています。
手間がかかればコスト(手数料)がかかるというわけです。具体的には以下のタイミングで、投資信託は主に3つの程度の手数料負担がかかります。
- 販売時:販売手数料
- 保有中:信託報酬(運用管理費用)
- 売却時:信託財産留保額
販売手数料については、最近はノーロード投資信託という販売手数料がゼロのものも珍しくなく、2019年12月あたりから販売手数料ゼロ化の動きが各社でています。
売却時の信託財産留保額については負担のあるものとないものがあります。
そのため保有中、継続的に負担する投資信託の信託報酬(運用管理費用)が高いか安いかというのは運用成果を上げるためには重要な要素になるのです。
信託報酬(運用管理費用)とは?
信託報酬とは、投資信託を専門家が代行して管理・運用してもらうためのコストとして、投資信託を保有している間に引かれる手数料です。
報酬という言葉を使うので初めての人にはわかりにくいのですが単に手数料です。
ここまで「信託報酬(運用管理費用)」と書いていますが同じものを指していると考えてください。
もともと信託報酬という言葉が使われていましたが、言葉が分かりにくいということもあり運用管理費用という言葉も使われるようになりました。
信託報酬(運用管理費用)とずっと書いてあると記事が読みにくくなるでしょうから、以後は信託報酬という言葉のみ本文中に記載します。
投資信託を保有している間ずっとコストがかかります。投資ですから手数料が高いよりも安い方が収益性は上がります。
また通常の税金のかかる口座で投資信託を購入するか、確定拠出年金(企業型やiDeCo)や新NISAの中で購入するかで投資信託の手数料は違います。
どんな投資信託を購入するかもポイントです。
信託報酬は誰がもらう?
投資信託は証券会社や銀行の窓口などで販売していますがこうした販売会社だけでなく、投資信託会社や受託会社などももらっています。
資金を委託した運用の対価だったり、運用財産の管理に必要なためです。
信託報酬(運用管理費用)は、いつ引かれる?
信託報酬はわざわざ手数料を振り込んで支払うことはありません。
それではいつ引かれるのかというと、購入した投資信託の財産から純資産総額に対して○%という方法で「毎日」差し引かれます。
繰り返しますが毎日です。だから信託報酬が何%であるかということはかなり重要なのです。
もちろん投資信託を比較して選ぶ際に手数料の安さだけがすべてではありません。
多少手数料が高くてもその分運用成果がでるならそれに越したことはありません。
しかし投資運用にあまり時間(商品の比較・選定など)をかけることができないケースでは手数料を中心に考える方が無難です。特に初心者の人は尚更です。
投資信託の信託報酬(運用管理費用)の平均や相場、目安はあるのか?
投資信託の3つの手数料は、「投資信託の種類(何を買うか)」や「どこで投資信託を買うか」よって異なります。
これは信託報酬も同様です。
投資信託の信託報酬の平均や相場、目安
商品によっても信託報酬は異なりますが、年0.1%~2.0%程度くらいが一般的です。
その投資信託の種類や運用対象などによって信託報酬などの手数料は異なる点は考慮してください。
例えば日経平均などの指数に連動して運用するインデックス型の方が信託報酬は安く、こうした指数を上回る運用を目指すアクティブ型の投資信託の方が信託報酬は高めになります。
これについては運用の仕方や方針が違いますので当然のことです。
必ずしも信託報酬の高い安いの関係でインデックス型がよくて、アクティブ型が駄目というものではないことは捕捉しておきます。
実際に投資信託も日本国内の投資対象だけで運用するものもあれば、海外株式や債券などを投資対象に含むものもあります。
日本国内のものと海外のものを比較すれば、海外の方が色々と手間がかかるためコストがかかるイメージは持てるでしょう。
運用方法もインデックス・パッシブ型のもの、アクティブ型などもあります。
手間がかかる方が手数料が高くなるのは自然のことです。
初心者の人はそれだと選びようがないなと思うかもしれません。そこで新NISAの信託報酬などから検討してみましょう。
この後新NISAの信託報酬の基準を解説するのでぜひ参考にしてください。
金融庁による調査結果からみる信託報酬
2020年8月25日、金融庁では、国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標 (KPI)について、QUICK・資産運用研究所に調査を委託してその結果を公表しています。
この中にあるコメントを一部抜粋します。
・投資信託は年を追うごとに低コスト化に進んできた傾向がみられる。
・インデックス型とDC専用、つみたてNISA対象ファンドは分類によらず信託報酬の低さが鮮明。特に、大手運用会社はインデックス型での信託報酬の低さが目立つ。2019年度末時点の全ファンドではアクティブ型の信託報酬平均1.45%に対し、インデックス型の平均は0.4%と3分の1の水準。
出典:「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」についてより一部抜粋
インデックス型とアクティブ型で信託報酬に差があるのは、運用方法が異なるので当然ですが、年を追うごとに低下傾向ということに注目してください。
投資信託の手数料引き下げの動き
販売手数料については、日本国内でも無料を表明する会社が2019年12月から相次いでいます。
信託報酬についてはiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの影響もあり安いものが増えています。
すべての投資信託の手数料が安いというわけではありませんが、今後の各社の動きも含めて信託報酬の動向に注目してください。
ETFと信託報酬(運用管理費用)
投資信託の信託報酬は、「何を買うか」によって異なるという話をしました。
商品というくくりでみると、ETF(Exchange Traded Fundの略:上場投資信託)は信託報酬が安く設定されています。
もちろんETFもさまざまな投資対象があるので、信託報酬も一律ではありません。
安いものなら0.1%程度くらいから、1.0%程度くらいのものまであります。
通常の投資信託の信託報酬よりは安いのと、取引所に上場しているので個別銘柄の株式のようにリアルタイムで売買することができます。
*普通の投資信託(未上場)は、価格が決まるのは日に1回
商品の特性上、分散投資もできるので人気があるようです。
iDeCoと新NISAの信託報酬(運用管理費用)
投資信託は「どこで買うか」によっても信託報酬が違うといいました。
この「どこで」というのは意味が2つあって一つは金融機関です。同じ投資信託でも金融機関によって違うこともあるのです。
もう一つは投資信託を購入するにあたり、お金をどこに置くかという意味です。
普通に投資信託を金融機関で購入する方法がありますが、これは一般的な方法です。
他に確定拠出年金(企業型、個人型/iDeCo)と新NISAなどがあります。これらを個別にみていきましょう。
確定拠出年金(企業型、個人型/iDeCo)の信託報酬
年金制度の一つですが、確定拠出年金の運用商品は主に投資信託です。
もちろん信託報酬という手数料がかかりますが、確定拠出年金の中にある投資信託には信託報酬が割安なものがあります。
特に個人型/iDeCoの場合、各種手数料が安いものが増えてきています。
インデックス投信なら0.15%を程度のものもあります。
確定拠出年金の場合には高いものもありますので選別が必要です。
企業型に加入する一部の会社員の場合、加入先は会社が決めるため良くも悪くも自分で選ぶことはできません。
なかには信託報酬の安い投資信託がないケースもあります。
こうなると自分ではどうすることもできませんが、信託報酬は開示されていますので可能な限り負担の少ないものを比較してください。
新NISAの信託報酬
新NISAのつみたて投資枠の場合、具体的に運用商品の条件(信託報酬等)が明示されています具体的にみていきましょう。
新NISA(つみたて投資枠)・インデックス型の信託報酬の条件
- 信託報酬0.5%以下(国内資産投資)
- 信託報酬0.75%以下(海外資産投資)
新NISA・ETFの信託報酬の条件
- 販売手数料が1.25%以下
- 信託報酬0.25%以下
実際にはこうした信託報酬以外にも細かい要件があります。
内容をみるとこれからはじめて投資(長期・積立・分散)をする人に配慮した内容です。
新NISAや確定拠出年金の口座以外で購入すると信託報酬は高いものが多いのですが、長期間運用する上では大きな差になります。
積立で投資をする際には一つの目安や平均として知っておきましょう。積立なので初心者の人にもはじめやすいと言えます。
なお確定拠出年金とは使い方や税制優遇の仕組みなどが違いますので、可能であれば両方そうでなければニーズに合う方を優先してください。
投資信託の信託報酬(運用管理費用) 比較と投資信託選びの方法
この記事のテーマが投資信託の手数料の一つである信託報酬なので、これにフォーカスすると安い投資信託ということになります。
手数料の安さありきです。
信託報酬の安さだけがすべてではない
投資信託の選び方は本来は信託報酬などの手数料の安さだけではありません。
信託報酬が高くてもそれを超える運用成果がでれば問題がないからです。
実際に数多くの投資信託の中から運用成果の上がりそうなものを比較・選択している人もいるでしょう。
但し投資の初心者の人にはそこまでするのはかなり難しいですし、仮にそうでなくてもそこまで時間を割きたくない人もいます。
それを考慮すると手数料の安いものを中心に考えるのも方法であるということです。
投資の目的をはき違えない
記事の中でETF、確定拠出年金(企業型、個人型iDeCo)、つみたてNISAなどにも触れてお話しました。
但しこれらの中には手数料の安さだけで飛びつくと失敗することがあります。
その代表が確定拠出年金です。これは老後の資産形成が目的なので原則は60歳まで資産を引き出すことができません。
老後の資産形成なら税制優遇も含めて最強ですが、そうでないなら使うべきではありません。
つみたてNISAは積立ですから、積立ではなく一時金で運用したい資金があれば現行のNISAやETFの方が合うかもしれません。
何のための投資か、そのためにどこにお金を置くのかを間違えないようにしてください。
信託報酬の安さありきでいいのですが、ここだけはブレないようにしておきましょう。
信託報酬以外に見ておきたい投資信託選びで気をつけておきたいこと
個人型の確定拠出年金であるiDeCoには信託報酬の安い投資信託があります。
またつみたてNISAにはインデックスタイプで信託報酬の安い商品で校正されています。
普通に投資信託を買う場合でもこれらの影響を受けて信託報酬の安いものも少しずつではじめています。手数料は安いことに越したことはありません。
少し気にしておいてほしいことは、手数料の値下げ競争の先にその投資信託が維持されなくなることです。
投資信託は皆がお金を出して大きなお金にしてそれを運用します。
このお金は純資産残高と呼ばれるものですが、毎年これが増えているものなどを選択基準にしてください。
はじめて設定される投資信託では難しいのですがお金が順調に流れてきているかは大事なポイントです。
まとめ
信託報酬(運用管理費用)は投資信託手数料のキモ!目安や平均は?、についていかがでしたか。
投資信託選びのポイントの一つになる信託報酬がどのくらい取られるかざっくりでもイメージできたかと思います。
わずか数%だとしても今の預金金利考えると影響が大きいのが分かるでしょう。
はじめて投資する人などはそれでもどうしていいかよく分からないと言う人も多いかもしれません。
投資信託といっても何に投資するものかでリスクの大小はかなり幅があります。
また投資信託選びは手数料がすべてではありません。
本文中につみたてNISAの信託報酬の基準を紹介しましたが、これ以外にも運用期限や実績なども決められています。
自分で運用できる無理のない予算の中で、自分の気持ちで許せるリスクの範囲から少額ずつでも投資をはじめてみてください。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。