退職金の投資と運用/失敗しないおすすめの運用方法ガイド
退職金の預ける先は大きな問題でまだ元本保証の商品では増やせません。投資・運用の未経験者が人任せにして失敗することも珍しくありません。
■この記事で学べること
【1】退職金の運用方法のおすすめのはじめ方
【2】退職金の税金にも注意
【3】元本保証なら退職金の預け先は安心?
【4】退職金の預け先(投資運用、保険、銀行、貯金・貯蓄)
【5】大損・失敗しないための7つの方法
退職金の投資・運用について取り返しのつかない大損や失敗をしないための方法についてファイナンシャルプランナーが解説します。
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この記事のもくじ
退職金の投資・運用方法のおすすめのはじめ方
最初に考えておくことは、退職金についてのお金の使い方についての全体像を把握します。
その上でそれぞれ目的別に色分けしてシミュレーションしておくことです。
働き方や老後のあり方なども多様化している中で、退職時の状況というのは人によって色々です。
もともと住宅ローンでマイホームを購入したときに、退職金でローンの完済を考えていた人もいるでしょう。
晩婚で子供が生まれた人はまだ教育費にお金が必要かもしれません。
預貯金や年金などが少ない人はその後の生活費に充当が必要なこともあるでしょう。
自分の置かれた状況を正確に把握するところからはじめてください。
退職金も目的ごとに色分け、シミュレーションする
元本保証商品では退職金を増やしにくい今の状況では、無駄遣いしているつまりはなくても漠然と使っていくとすぐに目減りするのも退職金の特徴です。
- 使うお金(生活費・その他)
- 守るお金(預貯金など)
- 殖やすお金(可能であれば投資・運用)
このあたりをきちんと整理してみてください。仮に65歳で退職後、35年間あるとして収支をシミュレーションします。
年金収入や継続して働くなら勤労収入、その他収入があればそれを加味して収入を合計します。
併せて支出もチェックしながら、退職金での不足分の充当や取り崩しがどのくらい必要か、どの程度なら可能かざっくりとでも計算していきます。
自分で整理が難しければ専門家に相談(無料・有料いずれでも)してみましょう。
銀行や証券会社、保険会社などに相談する場合には、そのまま即決してお金を預けてしまわないようにしてください。
一旦持ち帰って比較・検討するようにしましょう。
投資・運用以前に退職金の税金にも注意
退職金には退職所得控除が適用されますが、税金がかかることもあります。
基本的には現在の制度では、退職金に思っていたほどの退職金はかかりません。
勤続年数が長い人ほどそのような仕組みになっています。
但し、多額のお金が動きときには税金が必ず関係しますので、退職金の税金については受け取る前から早めにチェックしておいてください。
元本保証なら退職金の預け先は安心?
投資や運用はよくわからないから、貯金・貯蓄など本保証されているもので十分だと考える人もいるでしょう。
その意味では「退職金で運用しない」というのも1つの選択かもしれません。
しかし投資・運用にかかるリスクは預けたお金の価格が変動することだけではありません。貯金や貯蓄にはインフレリスクがあります。
この数年の物価高でインフレリスクを実感した人も多いはずです。
銀行など金融機関が経営破綻すれば預けたお金は、預金保険保護機構で元本1,000万円とその利息までしか保護されません。
退職金の額が多い人はこれを超える人もいるでしょう。
退職金が投資・運用で減らないこと、つまり価格の元本が保証されていることが最重要であれば、貯金や貯蓄を優先するのもありでしょう。
実際に退職金専用の定期預金などもあります。
退職金はどこに預ける(投資運用、保険、銀行、貯金・貯蓄)?
ここから退職金をどこに預けるかという選択肢をみていきましょう。
投資・運用
投資・運用の経験のない人が、何の知識を得ないままで、いきなりまとめてお金を預けるのはリスクが高すぎます。
注意点をみていきましょう。
言われるがままに投資・運用をはじめない
一番やってはいけないのが、言われるままに、まとめてお金をリスク商品に預けることです。
筆者のお客さんでも仕事を辞めた後、独学で勉強して株式投資をはじめた人がいました。
上手く結果がでたこともそうでないこともあったようですがご本人は楽しそうでした。こういう人はいいでしょうが皆がそうではありません。
はじめての人はまずは少しずつ(少額で)はじめてください。少なくとも金融商品にかかる各種手数料が高いものもおすすめしません。
手数料が多少高くてもそれ以上に運用成果がでればいいわけですが、はじめての人にはやはりハードルが高くなりがちです。
最初に退職金について、目的ごとにお金を色分けするとお話しました。
退職後は若いときと違って投資・運用の成果をじっくり待つことができないケースもあります。
そのために無理をせずに少額からはじめていくことが大切なのです。
平均寿命が延びているので、退職後でもこれまでより運用にかけられる時間も長くなりつつあります。
資産運用をすることはおすすめしますが、株式投資で個別の銘柄にまとめて退職金を突っ込むようなことは控えてください。
分散投資(投資先・購入タイミングの分散)が基本です。
NISA(つみたて投資枠)は初心者向き
投資・運用をするなら、基本は分散投資です。購入するタイミング・銘柄を分散します。初心者の人が入りやすいのはNISAのつみたて投資枠です。
初心者向きと言ったのは、手数料が安いものしか選ばれておらず商品の選定条件が色々あるためです。
基本は投資信託ですから、購入銘柄は分散され、積立てなら購入のタイミングも分散されます。
退職金はもっとあるという人もすべてリスク資産に入れる必要はないので、繰り返しますがうまく分散することを考えてください。
個別の株式投資をはじめてみたいという人は「少額で」はじめることを検討してください。
個人向け国債
日銀の金融政策の変更とともにリスクを取りたくない人に改めて注目されています。
中途解約に注意が必要ですが、金利が上昇する動きを見せてきているので選択肢として考えておきましょう。
保険
生命保険でお金が殖やせるものがあるものの、預貯金同様に低金利の影響を受けているのは保険も同様です。
つまりある程度殖やすことを考えたら、保険でもリスクは必要なのです。
具体的には運用を積極的にしているところは「外貨建ての保険」「変額保険」にシフトしています。
つまり各種リスクなどがあります。
面倒な人には保険に加入すればあとはやってくれるという側面があって楽でしょうが、手数料もそれなりにかかるのでよく見極めてください。
金融政策の変化に伴いこれまでの貯蓄性の保険も条件がよくして変更する動きがでています。
貯金・預金(退職金専用の定期預金)
預入期間は数ヶ月と短期のものが多いですが、通常の定期預金金利より高金利なのが特徴です。
一部の都銀や地銀などが中心でどこでも取り扱ているわけではありません。
高金利なのが魅力である退職金定期預金ですが、取り扱いは店頭のみでネット取引は不可のケースがほとんどです。
また対象者を何らかのかたちで限定していたり、年金の受取口座の指定など条件がつくこともあります。
注意が必要なのは目先の金利は高く設定されているものの、投資信託などが一緒になっていたりします。
投資信託の手数料が高いものがあるので、結局目先の高金利が思ったほど有利でないこともあるのです。
投資信託を一緒に購入する必要がないか、あるなら手数料がどのくらいかよくチェックしてください。
退職金の投資・運用で大損・失敗しないための7つの方法
最後に改めて退職金の投資・運用で大損したり失敗を減らすための方法についてみておきましょう。
- 退職金を使うお金、殖やすお金、守るお金に色分け、シミュレーション
- 自分のリスク許容度をチェックする(複数のツールを利用)
- 自分が良く分からない投資商品には手を出さない
- 売り手の言いなりにならない、複数の意見を参考にする
- 金融商品にかかる手数料を比較する
- 投資・運用する金額、期間を把握する
- リスクを取る場合ははじめは「少しずつ」「分散投資」を心がける
色々面倒だなと思うことも多いでしょう。昔と違って貯金や貯蓄をしておけば元本保証でそれなりに殖えた時代は終わりました。
いまでは多様な選択肢がある半面、自分で比較・検討する手間をかけなければ損をする時代です。
最初は誰でもはじめてですから、無理なく・自分の許せる手間の範囲ではじめてみましょう。
但し老後について収入の強い柱となるのは、可能であればですが「勤労収入」です。
楽しく、元気に働くことは心と体とお金の健康に大きく寄与します。投資・運用はそれをサポートして退職金を殖やすくらいに考えていた方がいいでしょう。
お金は自分の人生を豊かにするために使うのですから。
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まとめ
国でも貯蓄から投資を合言葉に、確定拠出年金やNISAなど税金の優遇措置のある投資・運用の仕組みを提供しています。
昔よりもこうしたことに興味を持つ人も増えていると思います。
勤務先に確定拠出年金の制度があって、会社で投資教育などをしてくれる場合には積極的に参加してください。
投資を勉強する環境に身を置くことができますし、変に営業されたり、勧誘されたりすることもありません。
平均寿命が延びていくなかで漠然とした不安を持つ人は多いでしょうが、なるべく早いうちからお金を稼ぐ手段や、殖やす方法の選択肢を多く持てるようにしましょう。